ACVD ヴェニデの剣豪 REvolution   作:D-delta

19 / 27
第十八話 死神の人形たち

 数日続いた戦いへの準備。それぞれの機体とUNACの調整。

 一週間の準備を終えた朝の頃合い。

 

「こちらはヴェニデ第23支部移送隊10だ、緊急の依頼を頼みたい! 聞こえているか、元特務隊の傭兵たち!」

 

 通信越しに来た緊急依頼が自機のコックピットで待機するフレイドのところへ届く。

 

「はい、元特務隊のフレイドです」

「良かった、聞こえているようだな!」

「用件は?」

「依頼だ、緊急の! 我々は現在所属不明UNACの襲撃を受けている! こちらの現在地をリアルタイムで表示し続けるから早く来てくれ!」

「了解。後で合流しよう」

 

 前に護衛を担当した移送隊10からの依頼を、フレイドは応対して受ける。すると本当に緊急であることを示すように、コックピットモニターに動き続ける移送隊10の現在地が送られてきた。

 

「よし、姐さん! 霧山!」

 

 依頼を受ければ後はみんなで出撃するのみ。

 すぐにコックピットハッチを開き、二人を呼ぶ。

 

「はいはい?」

「緊急の依頼が来たよ。かなり急ぎだから早く出撃しよう」

「あいよ。霧山も出撃急いで」

「分かった」

 

 今日まで準備したものを披露する時が来た。

 フレイドはコックピットハッチを閉め、霧山とアルスは機体に乗り込んで起動。

 

「UNACも起動するよ」

 

 アルスの機体から遠隔でUNACを起動。

 これで全機揃って機体のメインカメラにそれぞれの色の光が灯り、通常モードで動き出す。

 

「行くよ! 絶対に全員で生きて帰るを忘れないでね!」

「分かってる、姐さん。次は誰も欠けさせないで作戦を終わらせてみせるさ」

「うん。絶対に生きて帰る、みんなで」

 

 共に生きて帰る。

 それを願い、決意して霧山たちは出撃する。その姿を死神に見られながら。

 

  ※

 

 出撃から数分後。

 丁度近いのもあって、霧山たちはすぐに移送隊10との通過予定地点に到着。

 

「こちらフレイド。聞こえるか、移送隊10」

「今どこだ!」

「そちらの通過予定地点にいる。そのまま逃げてこい、UNACはこちらで引き受ける」

 

 遠くから鳴り響く戦闘音と線路を走る装甲列車の走行音。

 通信に答えながら移送隊10と敵UNACが来るのを待つ。

 

「全機戦闘モード起動! そろそろ敵をぶっ壊す準備をして!」

 

 アルスの合図の下、全機は戦闘モードを起動した。

 

――AMS作動 メインシステム 戦闘モード起動

 

 霧山機も戦闘モード起動させ、いつもの如く霧山の頭の中を殺意が駆け巡る。

 

「斬る。フレイドとアルスを殺そうとする敵を……!」

 

 霧山は殺意を理性で抑えながら向けるべき殺意の矛先を意識。

 今までフレイドからの命令でようやく作戦遂行のために冷静になれたのを、今度はフレイドとアルスを想い、二人のために斬り殺すことを決めて頭の中をクリアにしていく。

 

「霧山、大丈夫か?」

「大丈夫。行ける」

 

 植え付けられた人形としての運命。誰かに命令されることで殺意をコントロール出来ることを意図された兵器。

 しかし今は植え付けられたものを、自分で見つけた最優先目標で上書きしている。

 

「来るよ、みんな」

「フレイド、霧山、備えて!」

「言われるまでもなく万全さ!」

 

 そして殺意を遠方に向ける。

 

「こちら移送隊10! まもなくそちらと合流、後は頼んだ!」

 

 全速力で接近してくる移送隊10の装甲列車。もう姿がハッキリ見える距離だ。

 

「所属不明機、見えてきたね」

「あれは、また死神部隊じゃないのか!?」

 

 ハッキリ見えてくるのは装甲列車だけじゃなく、煙を上げる移送隊10に攻撃を仕掛ける所属不明の黒と赤のUNAC――死神部隊も見えてくる。

 

「後部車両を切り離せ! 誘爆する!」

 

 移送隊10の装甲列車は後部車両を切り離し、煙を上げて大量の弾薬に引火した後部車両は大爆発を起こす。

 そうやって損耗しながら軽くなった装甲列車は霧山たちに接近。横を通過していく。

 

「死神……! 最近よく会うな」

「会っても会わなくてもぶっ飛ばすことは変わらないでしょ!」

「そう、斬ることに変わりはない」

 

 装甲列車を追っていた四機のUNACたち。霧山たちと会敵して戦闘は始まる。

 

「だから斬る!」

 

 まずは霧山から仕掛ける。

 一番突出している四脚型を狙い、最大加速。機体が出せる最高速度と勢いに乗って武器腕ブレードを振るう。

 

「斬った」

 

 重い衝撃音。敵機のコアに斬り込み、振り抜く。

 

「!?」

 

 しかし敵四脚型UNACは上半身を傾けて斬撃によるダメージを軽減。一撃では倒れずに霧山機に銃口を向ける。

 

「上手い。ただの人形じゃない」

 

 霧山は向けられた銃口に瞬時に反応。ハイブーストで回避行動を取るが、反撃として至近距離で放たれる両腕部のショットガンの何発かに被弾した。

 そこから敵は連携するように動き、重量逆関節型UNACからレーザーライフルとハイスピードミサイルが霧山機へと放たれる。

 

「霧山、避けろ! 一旦俺たちの後ろへ来い!」

 

 寄ってくる攻撃に意識を集中して回避。

 次は中量二脚型UNACがガトリングを撃ちながら接近、レーザーブレードを振るってくる。

 

「突出した俺を袋叩きにするつもりか」

 

 ガトリングは避け切れずともレーザーブレードは回避。

 そこにすかさず次の攻撃。二機目の四脚型UNACが高出力型レーザーライフルをチャージしながらスナイパーライフルとミサイルを放ち、続けて中量二脚型と重量逆関節型からも攻撃が来る。

 

「フレイドのところへ――っ!?」

 

 押し寄せてくる攻撃を避けつつ徐々に後退。だが、意識外からなにかに複数回被弾。

 その被弾の正体はミサイル。複数の子弾頭に分裂して視認しづらいスプレッドミサイルでのもの。

 この子弾頭での被弾で凄まじい衝撃が加わり、霧山機は硬直してしまう。

 

「霧山!」

 

 死神の人形たちは硬直した隙を逃さず、最大までチャージされた高出力型レーザーライフルを発射。霧山機に直撃する。

 

――機体がダメージを受けています、回避してください

 

 晴陽のCOMが警告を告げる。

 このままフレイドの言う通りに一度後退しなければ斬撃することも出来ず、集中砲火で撃破されるだろう。

 

「ごめん、一旦下がる」

 

 だから霧山は攻撃を回避しながら後退。前進するフレイドたちよりも後ろへ行く。

 

「それでいい。俺たちにも少しくらい任せろよ」

「そうそう! 生きて帰るのが最優先なんだからさぁ!」

 

 フレイドたちも交戦開始。撃ち合いが始まる。

 これで敵UNACのターゲットは霧山機から外れ、フレイド機やアルス機などに狙いが分散する。

 

「死神だろうとなんだろうと正面からスクラップにしてやんよ!」

 

 アルス機のオートキャノンとハイスピードミサイルでのフルバースト射撃。

 火力と装甲を押し付ける形で正面から中量二脚型に突っ込み、弾幕を押し当てていく。

 

「ほら来なよ! 美女が誘ってんだからさ!」

 

 対して敵の中量二脚型はガトリングと肩部のCIWSでハイスピードミサイルを迎撃しつつ真っ直ぐ接近。誘いに乗ってレーザーブレードをアルス機に振るい、車体の装甲を斬り溶かす。

 

「バカがよぉ!」

 

 しかしタンク型の装甲はエネルギー系の武装に強く、怯まずにハイブーストで突進。

 機体が接触するほどの至近距離で車体横の射突ブレードを放ち、コアを撃ち貫く。そのまま機体重量と加速した勢いで中量二脚型のバランスを崩させ、押し倒す。

 

「一機スクラップ確定!」

「流石だな、姐さん」

 

 そうして中量二脚型は倒れたまま動かず、大破。一機目を撃破する。

 

「よし、UNACの目標を設定。まずは高火力を垂れ流す重量逆関節から頂く!」

 

 味方UNACのターゲットを敵の重量逆関節型に設定。

 敵が連携で攻撃するなら連携で反撃。フレイド機とUNACの二機一組の連携で確実な撃破を狙い、武装の射程内まで接近。

 そんな二機の接近に勘付いた重量逆関節型からは迎撃が来る。

 

「狙ってきたな、来い!」

 

 レーザーライフルとハイスピードミサイルの強烈な一撃。

 フレイドは機体に被弾を許しながらもライフルとパルスマシンガン、プラズマミサイルを一斉に発射。

 攻撃はそれだけではない。味方UNACが両腕部のハンドガンとショートレンジミサイルを発射、火力を更に上乗せして重量逆関節型を削っていった。

 

「これで二機目!」

 

 二機の火力を叩き付けて数十秒後、重量逆関節型は稼働限界を迎えて大破。地面を転がって木端微塵になる。

 残るは地を駆ける近距離四脚型と空中に留まる遠距離四脚型のみ。

 

「みんなもやってくれている。なら俺もやってみせる」

 

 今度は霧山の攻撃。今まさに敵の狙いはフレイドたちに向いており、不意打ちのチャンス。

 機を逃さず機体を一気に加速。狙うは先ほど一度斬った近距離四脚型。

 その横っ腹に突撃し、敵に認識される前に斬る。

 

「斬ったぁ!」

 

 二撃目の斬撃。

 近距離四脚型がショットガンを放つ暇もなく、上半身と下半身に真っ二つになった。

 

「後一機! やっちまえ!」

「あいよ!」

 

 残りの空中に留まる四脚型にはフレイド機とアルス機、味方UNACの弾幕をひたすらに浴びせる。

 そうやって数十秒もすれば最後の四脚型も大破した。

 

「終わった」

 

 この場の死神部隊は全滅。全てがスクラップとなっている。

 これ以上に戦う相手はもうおらず、霧山たちは勝利を手にした。

 

「よし、死神部隊相手に全員生き残った!」

「全員怪我はない?」

 

 フレイドは喜び、アルスは怪我を確認。

 霧山は怪我などなく「大丈夫」と身体の状態を素直に告げる。

 続いて「こっちも大丈夫だ」とフレイドも言う。

 

「良かった、みんなピンピンだね」

「UNACも生きてるよ。流れ弾に少し当たった程度で済んでる」

 

 全員に怪我はなく、UNACも含めて全員生存。

 

「そんじゃあ早速移送隊10に報酬の請求するわ。傭兵は慈善事業じゃないからね」

 

 仕事も生存確認も終えて、この場での戦いと仕事は終わった。

 後は報酬を受け取るため、アルスは移送隊10に通信を始める。

 

  ※

 

≪Pだけでなく、万全の状態にしておいたUNACも全て破壊したか。やはり遺物の周りも候補者として見直す必要がある≫

 

 遠くから三人を見る死神の目。

 

≪全てを黒く焼き尽くす者……これまで殺してきた奴らのように、奴らにも死んでもらわなければならない。この世界のために≫

 

 死神は三人を殺すと決めて、揺らめく黒い死の影を大きくしながらタンク型の重い脚部でその場を離れていく。




今更だけど、V系ACの衝撃による防御低下がAC6のACSと似ているからV系ACにもACSに似たものが搭載されているかも?
それかもしくは武装の衝撃で装甲の形状を歪ませるから防御が低下するのかもしれない……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。