ACVD ヴェニデの剣豪 REvolution   作:D-delta

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第四話 二度目の実戦

 霧山たちが指揮官室を出て十分後。

 格納庫にて。

 

「全員集まっているようだな。任務だ、よく聞け」

 

 格納庫では霧山、フレイド、アルス、ユキムラの四人が一ヶ所に集まっていた。

 それを確認したバーンズは作戦の説明を始める。

 

「今回の任務は第23支部に関わる全ての基地と部隊の補給線に攻撃するシリウス部隊の迎撃、撃滅となる。味方の目撃情報によれば、我々の補給線を攻撃した敵部隊は十二機のACを運用する大規模な部隊だ」

 

 今回の作戦での敵はシリウス・エグゼクティヴス。

 ミグラントの集まりであるMoHという組織から発展した三大勢力の一つ。秩序による平和を重んじる敵組織で、ヴェニデのような力による無法は通じない。

 

「我々の補給を担っているのは鉄道と装甲列車だ。だが、鉄道路線が破壊されるのは修復に数時間と大して問題ではない。問題は修復に数週間を要する鉄道橋、そして補給物資を積載した装甲列車が破壊されることだ」

 

 谷などを越えるために用意された鉄道橋や物資輸送の装甲列車が破壊された場合、補給にかなりの遅延が発生する。もちろん飢える部隊もいくつか発生し、それに伴ってシリウス部隊の更なる攻撃を許すことになるだろう。

 

「よって我々は敵部隊の攻撃に備えて、三つある鉄道橋の内一つを防衛。他二つの防衛は親衛隊と突撃隊が担当する。任務の内容は以上だ。全員出撃に取り掛かれ」

 

 作戦の説明は終わった。

 次にやるのは出撃準備。

 パイロットは自機のコックピットへ、作業員たちは機体のチェックへ動き、格納庫内は慌ただしくなる。

 

「各機体チェック急がせて! アタシは晴陽をチェックするから!」

「了解、アルス整備隊長!」

 

 作業員たちが各ACをチェックする中、AC乗りでもあるアルスは自身の機体への搭乗よりも先に晴陽の調整を行う。

 

「霧山、機体システムはどう?」

「大丈夫だと思う」

 

 霧山の機体は既に起動。HUD画面にAMSの停止が表示され、機体は通常モードとなっている。

 それをアルスは目にする。

 

「これがAMS……バーンズの言っていた特殊システム。まぁ今は様子見ね。霧山、異常があったら報告してよ。助けてあげっから」

「うん」

 

 このAMSというものが霧山の操縦のみを許す以外になにがどう作用するのかはまだ誰にも分からない

 だから様子見するしかなく、アルスは晴陽から自機のバルカンドラッヘに移る。

 

「各機、出撃準備を終えた機体から順次出撃せよ」

 

 通信越しにバーンズが告げる。

 最初に出るのは「出番だ、竹鉄槍」と見た目に違わない年老いた声のユキムラ。両腕にパイルを搭載した軽量二脚型AC――竹鉄槍は早々に格納庫を出ていく。

 

「こちらアルス、今行くから輸送ヘリをスタンばらせておいて!」

 

 次はアルス。両手にオートキャノン、両ハンガーにバーストバトルライフルを搭載したバルカンドラッヘがゆっくりと格納庫を出ていった。

 

「さぁ霧山、人の血に汚れる仕事だ。行くぞ」

「うん……!」

 

 先に格納庫を出ていくフレイドのAC、ダンパー。その後ろを霧山は機体を動かして付いていく。

 出撃の時。

 それぞれのACは所定の位置で大型ヘリに輸送され、地下から地上へと上がっていく。

 

「霧山、君の輸送は私の機体が行う。戦場での活躍を期待している」

 

 そして霧山の機体は指揮官のバーンズが乗る大型ヘリに輸送される。まるでバーンズが直々に霧山の経過観察をするかの如く。

 差し込む太陽の光に照らされながら地下から飛び立ち、彼らは戦場へ行く。

 

  ※

 

 出撃から数十分後。

 戦場。

 

「こちら第23支部移送隊10。各鉄道橋の防衛部隊に告ぐ。これより我々の装甲列車が各地点の鉄道橋を通る。防衛部隊は鉄道橋及び装甲列車を狙う敵部隊の全滅を頼む」

 

 装甲列車を運用する移送隊10からの広域通信が来る。

 

「こちらはエル・ヴェニデ臨時派遣隊、第一ポイント現着。これよりACを投下する」

 

 エル・ヴェニデ――親衛隊の通信。遠くで轟音を轟かせる大型輸送機から親衛隊のACが投下されていく。

 

「第23支部突撃隊4、第二ポイント到着! 部隊を展開、攻めてくる連中を地獄に叩き落してやれ!」

 

 次に来るのは突撃隊の通信。

 到着する突撃隊4の戦力は全て一般兵器。

 バルスマシンガンを搭載した高機動型機動兵器とスナイパーキャノンを搭載した狙撃型機動兵器が存在。その機数は親衛隊や霧山たち特務隊よりも多い。

 

「こちら第23支部特務隊、第三ポイント到着。ACを投下、防衛戦力を配置する」

 

 最後の通信はバーンズが率いる特務隊。

 荒れた大地の巨大な谷に架けられた鉄道橋に到着し、それぞれの大型ヘリは順次霧山たち四機のACを投下していく。

 

「行って来い、霧山。その力を見せてくれ」

「……っ!」

 

 そうして霧山の機体も投下。ブースターの出力を調整して鉄道橋付近に着地する。

 

「アルス機、異常なし。他はー?」

「竹鉄槍も異常はない」

「おっとと……! こちらフレイド、機体に異常なし。たぶん大丈夫!」

 

 ユキムラとアルスは霧山同様に無事に着地。対してフレイドは機体を谷間の岩壁に擦れさせて着地した。

 

「霧山は?」

「異常はないよ」

「オッケー。んじゃ、全機戦闘モード起動。張り切って殺しに行くよ」

 

 各機の機体状態は問題なし。

 それを確認出来たアルスは指揮を執り、戦闘モードの起動を指示する。

 

――AMS作動 メインシステム 戦闘モード起動

 

 全機戦闘モード。すると、またAMSを通して霧山の意識に殺意が込み上げる。

 まるで機械のスイッチのように感情が切り替わっている。

 

「敵を、斬るっ……!」

 

 AMSが作動した戦闘モードの今、霧山は人機一体となって機体を動かしながら敵を探す。その様子はまさに獲物を探す獣、もしくは敵を探し続ける機械だ。

 

「霧山?」

「敵、敵はどこだ……フレイド」

「まぁ待っていろよ。ここまで輸送してくれた大型ヘリが上空から索敵してくれているからな、その内敵の報告が来るはずさ」

「っ……! 分かった」

 

 溢れ出る殺意、変えられた感情を抑えながら霧山はフレイドの言う通りに待機。

 上空で索敵する大型ヘリからの報告を待ち続ける。

 

「こちら第一ポイント、移送隊10の第一ポイント通過開始を確認。警戒は怠るな」

 

 親衛隊からの通信。移送隊10の装甲列車が一つ目の鉄道橋を渡り始める。

 

「敵影を確認出来ず。各機、周辺の索敵行動を開始せよ」

 

 一つ目の鉄道橋では攻撃なし。

 親衛隊は打って出るようにリコンユニットを展開しながら周辺の索敵を始める。

 そして――

 

「こちら移送隊10、第一ポイント通過完了」

 

 装甲列車は一つ目の鉄道橋を通過。敵は影も形もなく一機も来なかった。

 

「肩透かしか? それともビビッてんのかな、敵さん」

「気を引き締めろ。我々が守るべきは装甲列車だけじゃないのだからな」

 

 親衛隊は索敵、鉄道橋の防衛を継続。

 次に装甲列車が向かうのは突撃隊4が防衛する二つ目の鉄道橋だ。

 

「突撃隊4、移送隊10の装甲列車を確認」

「高機動型を索敵に出せ! 狙撃型はそのまま待機だ!」

 

 気合のある怒号の指示。

 いつでも狙撃出来るように狙撃型はスナイパーキャノンの展開を維持、高機動型が鉄道橋の周辺を索敵する。

 すると少しして「報告! 谷間にヘリを確認、一機だけです!」と通信が入った。

 

「一機だけ? しかもACじゃないのか」

「どうしますか?」

「まぁいい、友軍機でないのなら撃ち落とせ!」

「了解!」

 

 高機動型の集団は一機だけのヘリを狙い、撃ち落としに行く。

 だが、そこに十二機のACはいない。

 

「こちら移送隊10、第二ポイント通過完了」

 

 結局敵は来なかった。だけど敵がいない訳じゃない。

 

「バーンズ指揮官! あれを!」

「なるほど。バーンズより各機へ、敵が来た」

 

 霧山たちの上空で索敵していたバーンズ率いる大型ヘリたちはようやく敵を発見した。

 

「ACが十二機。情報通りの数だ」

「なにが情報通りの数さ、バーンズ! こっちの三倍なんだけど!」

「分かっている。各防衛部隊に増援を要請する。それまで耐え抜け」

「ったく! こっちでも見えてきたよ!」

 

 アルスの目からでも遠方の土煙が見える。

 敵との戦闘は近い。

 

「戦力の集中投入による迅速な目標の破壊。そう来たか……」

「感心してる場合じゃないよ、じいちゃん。こっちは一人三機倒さないといけない計算なんだから」

 

 ユキムラとフレイドにも見える遠方の土煙、敵の機影。

 上空の大型ヘリからリコンユニットが敵に放たれる。すかさず霧山たちはスキャンモードを行い、敵の情報を見た。

 

「そういうことか、妙に数が多いはずだ。姐さん!」

「こっちでも見たよ。あの十二機の内九機、最近導入され始めたって噂の無人機――UNACじゃん」

 

 UNAC――フォーミュラブレインによって制御されるACの無人機。

 本来ACは他兵器を凌駕する性能の高さとパーツ交換による汎用性の高さの代わりに操縦難度が難しく、誰でも乗り回せる兵器ではない。それ故、乗れる人間は自然と限られて稼働数は多くない。

 しかしUNACはそんな操縦難度を無視。パイロットの訓練、教育などコストも掛からずにACを自然に動かせる。結果的にACの稼働数が多くなり、今まさに接近している十二機のAC部隊のように大規模な部隊の編制が出来てしまう。

 

「ということは内三機が肉入りという訳か。ならば、肉入りを先に叩いた方がいい。頭を使う敵の方が危険だ」

 

 ユキムラは言う。

 UNACに恐れや人間らしさはなく、プログラムされた戦術思考と指示された行動のみがある。

 人間は違う。恐れも抱くが、目標達成のために知略を尽くす。機械のように分かり切った行動ではない動きをしてくる可能性があるのだ。

 

「敵……! 敵……!」

 

 そんな無人が九機、有人が三機、計十二機のACがいるシリウス部隊。

 アルスとフレイド、ユキムラが数的不利で頭を動かしている間に、霧山はなにも考えずに敵の集団に殺意をひたすら向ける。

 

「斬る!」

 

 そしてブースターの出力を最大、グライドブーストで加速して十二機のACに突撃していく。

 

「打って出るか。面白い!」

 

 突撃する霧山にユキムラも続いて突撃。

 

「確かにこの数だと敵の接近を待ってからの防戦では鉄道橋か装甲列車が破壊されるリスクが上がる。姐さん、俺たちも打って出た方がいいよ」

「なるほど。じゃあ行くよ、フレイド!」

「おう!」

 

 アルスとフレイドも前に出る。

 二度目の実戦の始まり。殺し合いは始まる。

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