ACVD ヴェニデの剣豪 REvolution 作:D-delta
二度目の実戦。二度目の殺し合い。
戦闘は人の血を流さない機械の飛び散る破片から幕を開ける。
「斬った!」
加速、突撃した勢いを乗せたまま実体ブレードの一振りで敵UNACの一機は大破。
軽量二脚型の薄い装甲であっさり上半身と下半身が真っ二つになるという見るも無残な姿で敵戦力は一機減った。
しかしまだ十一機もいる。
≪敵AC確認。中量二脚≫
≪ターゲット確認≫
そして今まさに全ての敵UNACの目は霧山に向いた。
八機から向けられるライフルとヒートマシンガンの銃口。このまま集中砲火を浴びれば機体は数秒の内に機体は大破する。
「っ!」
霧山はすかさずハイブーストで機体を加速。幾重にも重なってくる敵弾をハイブーストの連続と人機一体の精密な動きで避けていく。
「霧山、援護する!」
グライドブーストで真っ直ぐ助けに来る、フレイド。
スキャンモードを元に敵UNACの装甲の弱点となる弾種の武装に切り替え、横やりを入れていくように援護を開始する。
「あっちは小僧たちに任せる。嬢ちゃん、肉入りを仕留めるぞ」
「オッケー。一瞬で殺してやるんだから!」
霧山とフレイドをUNACに任せて、鉄道橋に向かう敵の有人機。
ユキムラとアルスは脅威度の高い有人機に向かって機体を加速。仕留めに掛かる。
「敵戦力は全部UNACに任せろ! 我々は敵の補給線を叩く、確実に!」
「ヴェニデ機接近!」
「散り散りになれ! ACの火力ならば一機だけでも鉄道橋と装甲列車を破壊出来る!」
接近してくるユキムラとアルスに対して敵の有人機は散開。
中量二脚と重量逆関節の機動力を活かし、三機はそれぞれ別行動を取り始める。
「やはり肉入りはよく分かっている」
「これじゃ目の前の奴を倒しても後一機を倒せない……霧山、フレイド! どっちか手を貸して!」
ヒートパイルを主軸とした近接機の竹鉄槍では目の前の敵を仕留めても、残りの敵を破壊し切る射程と攻撃力が足りない。逆に近距離高火力タンクのバルカンドラッヘでは目の前の敵を仕留めた後、機動力の差で残りの一機を追えない。
だから後一機欲しい。
「クソ、俺からの方が近い! 霧山、ここは任せる!」
「あぁ……!」
フレイドは敵UNAC一機を中破させたまま放置。グライドブーストで機体を一気に機体を加速させ、鉄道橋へと向かう敵ACを追う。
「このまま、このまま……!」
「行かせないっての!」
敵中量二脚型の横からアルスのバルカンドラッヘが突撃。両手のオートキャノンと両肩部のKEミサイルによる弾幕が敵ACに飛んでいく。
「力による支配など! 死んででもヴェニデを……!」
敵ACは回避行動を取らない。装甲を削られながらも、ただひたすらに鉄道橋を射程内に入れようと目指し続ける。
「じゃあそのまま地獄に行きな!」
アルス機は逃げる敵ACを追いかけるように、グライドブーストにハイブーストを重ねてエネルギー容量の限界が来るまで加速。フルバースト射撃をしながらタンクが出せる全速力で背後に接近、その背部目掛けて脚部をぶつける。
ブーストチャージ。重量と加速による暴力。
バルカンドラッヘは重く、かなりの加速で衝突したが故にブーストチャージの威力は凄まじく、敵ACの背部を容易に押し潰し、ジェネレーターを破壊。そのままコックピットも押し潰してパイロットを圧死させた。
「殺したぁ! 後は……」
――エネルギーがありません
「もうやっぱり! 後の二機は任せた!」
エネルギー容量の限界まで使い切った。
ジェネレーターからのエネルギー補充を待っていては次の有人機を倒すのに到底間に合わない。
「任された! じいちゃんの方は!」
「もう届いた」
一番先頭を進む敵中量二脚型を追うユキムラの竹鉄槍。
言葉通りに既に肉薄しており、VTFミサイルを発射。回避行動を取らずに鉄道橋を目指し続ける敵ACはもちろんミサイルに直撃し、そのまま衝撃によって硬直した。
「老兵と侮るなかれ」
「クソッ――」
敵ACの硬直を逃さず、即座に二連装のヒートパイルを背部装甲に突き出す。
その火力はまさに一撃必殺。
ヒートパイルで背部のジェネレーターはもちろん、コックピットも爆発で満たし、挙句の果てには頭部や両腕も吹き飛ぶ。
絶対にパイロットは生きていないと思える破壊の仕方で有人機の二機目を撃破した。
「残るは一機。小僧、どうだ?」
「敵の重量逆関節、射程内に今入った! 撃つ!」
「こっちでも追いかけて援護する」
フレイド機の射程内に敵ACが入った。途端にライフル、ガトリング、CEミサイルでフルバースト射撃をぶつける。
しかしどれだけの攻撃を受けようと、この敵ACもまた止まらない。
「鉄道橋! 射程内!」
「まずい!」
そして鉄道橋が敵ACの射程内に入ってしまった。一射でかなりの火力を期待出来る両手のヒートハウザーと両肩部のロケットが鉄道橋に向けられる。
――エネルギーがありません
「動きを止める。小僧、一瞬で仕留めろ」
鉄道橋が攻撃されようとする一瞬、エネルギーがなくなりながらも追いかけて来ていた竹鉄槍のVTFミサイルが敵重量逆関節に直撃。敵ACは攻撃の姿勢が崩れて硬直する。
撃破するには動きを止めた今しかない。
それでも破壊し切るには、ダンパーの搭載された武装の火力では足りない。
「俺の火力じゃ間に合わない!」
「フレイド、ブーストチャージ! 重量二脚なんだから!」
「そうか!」
アルスの助言をもらって自機であるダンパーの特性に気付く。
そのまま助言通りに硬直から動き出しそうな敵ACに突撃、ブーストチャージを仕掛ける。
「後少し、後少しだ!」
「させるか!」
重量二脚の重たく、思い切り加速したブーストチャージ。
動き出す直前の敵ACを装甲の付いた左脚部で蹴った。
それによって敵ACは背部のジェネレーターが破損。姿勢を崩されて地面を抉りながら倒れ、破損したジェネレーターが派手に大爆発を起こす。
これで最後に残った敵有人機の重量逆関節も沈黙。中にいるパイロットは大爆発に巻き込まれて死亡である。
「よし、これで有人機は全部!」
「霧山! 今から援護しに行く、まだ耐えていてくれ……って……」
残っているのは八機のUNAC。
ずっと撃たれ続けて霧山も限界のはず。フレイドはそう思って霧山を援護しようと視線を向けるが、そこにあった光景は思っていたものとは違うものだった。
「まさか……全部、やったのか?」
そこにあったのは敵UNACが全て残骸と化した光景。
――機体がダメージを受けています、回避してください
晴陽のCOMが告げる。
同時に敵のコアに深く斬り込んだ刃を最後の一機から引き抜いた。
倒れる最後の敵UNAC。
敵の残骸の中で立ち続ける霧山の晴陽。
「すごい」
数的不利をひっくり返した霧山の力。
フレイドを始めとした、この場の誰もが霧山の力に圧倒される。
「あの数を、たった一人で、しかも近接武装のみでこれか」
上空から一部始終を目に焼き付けていた、バーンズ。
その戦いは最初こそ敵側が一方的に攻撃しているように見えた。
だが、霧山が斬撃と回避を繰り返す一撃離脱戦法で一機ずつ斬り倒していくと、一方的から互角と認識する。
そして最後の一機に斬り込めば互角という認識は消える。
斬る側と斬られる側。
UNACはただ抵抗するだけで、戦いを支配していたのは霧山であった。
「やはり戦闘となれば、彼の力は一級品だ……!」
遺物たる霧山の凄まじい力。
それまで冷静に戦況を見ていたバーンズは、防衛部隊の増援など忘れて感動していた。
「バーンズ指揮官、残る敵は?」
「フフ……敵影なし。装甲列車が通るまで警戒は継続せよ」
感動を抑え切れず、フレイドの確認にバーンズは笑みを浮かべながら告げる。
これで敵であるシリウス部隊は全滅した。
だけれども戦闘モードが続く限り、霧山の殺意は全身を行き渡る。
まだ戦いは終わっていないのだ。