ACVD ヴェニデの剣豪 REvolution   作:D-delta

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リメイク前では第一話に出た奴がここで登場


第六話 敵は誰?

「こちら移送隊10、第三ポイント通過完了。各部隊感謝する。これで味方が飢えなくて済む」

 

 敵部隊を全滅させた後、移送隊10の装甲列車は霧山たちが防衛する鉄道橋を通過していった。

 これで補給線を守る任務は完了である。

 

「はぁ……終わったね」

「いや? まだだ」

 

 それでもまだ戦闘は終わっていない。

 通信越しにアルスに告げる男の声。

 谷を越えて、親衛隊のタンク型ACが霧山たちのいる第三ポイントにやってくる。

 

「親衛隊か。防衛目標を放り出して、わざわざなにをしに来た?」

「うるせぇな、死に損ないのジジィ。オレは確かめに来たんだよ。オレと同期の賤民がいる部隊が十二機のACを本当に全滅させたのかをよ」

 

 親衛隊という虎の威を借り、ユキムラに暴言を交えて答える男。

 そのまま視線を破壊されたUNACと有人機のACの方へ移し、敵が全滅している光景をしっかり目に映す。

 

「へぇ……本当にやったのか。気に入らねぇ」

「なにが気に入らないんだよ。アルルド・ベング」

「フレイドぉ……気に入らないに決まってんだろ? 賤民のいる部隊如きに親衛隊以上の活躍をされちゃあ困るんだよっ!」

 

 そうして男――アルルド・ベングはフレイド機にオートキャノンの銃口を向ける。

 

「アルルド! 味方に銃を向けるのか!」

「何を今更。オレたちはヴェニデだぜぇ? 弱者は死に、強者だけが生き残るんだ」

「そんな建前を……俺を殺したいだけだろ!」

「じゃあ本音を言ってやる! 上位階級生まれのオレより活躍する賤民はいらねぇ、ここでオレの手で死ねぇ!」

 

 アルルドはフレイド機を敵に設定。

 途端、アルルド機から両手のオートキャノンがフレイドのダンパーに放たれる。

 

「本気か!?」

「本気だ!」

 

 対してフレイドは距離を離しながら回避。撃ってくるアルルドをまだ味方と認識して攻撃せず、回避に徹する。

 

「血迷ったか、アルルドとやら」

「フレイドに撃つならこっちだって!」

 

 気に入らないの一つで行われる敵対行為。

 フレイドが撃たれるのを黙って見ている訳にはいかず、アルスもユキムラも矛先をアルルドに向けた。

 

「これは決闘だ。手を出すんなら、オレたち親衛隊全員がお前たちの相手になってやるぜ?」

 

 二人の矛先に対してアルルドは脅しを言う。

 親衛隊は選りすぐりの精鋭。鉄道橋を襲撃したシリウス部隊よりも実力がある。親衛隊を敵に回せば、面倒なことになるのはまず間違いない。だからアルスもユキムラも手を出せず見守るしかなかった。

 

「そっちがその気なら俺だって!」

 

 もう決闘をやるしかなく、フレイドはアルルド機を敵に設定。武装の銃口を向ける。

 

「敵……」

 

 その敵設定はデータリンクで霧山にも共有され、アルルド機が敵として映った。

 

「フレイドを撃ってる奴、斬る……斬る……!」

 

 それまで殺意を尖らせながらフレイドとアルルドの様子を静観していた霧山。

 システムがアルルドを敵と認識した瞬間、即座に殺意の矛先がアルルドに向いた。

 そして決闘へ乱入。実体ブレードの刃にアルルド機を映し、霧山は突撃する。

 

「霧山っ!」

「手を出しやがる気か! だったらお望みの結果にしてやる!」

 

 脅しで言ったことの実行。

 アルルド機はハイブーストでフレイド機と霧山機から距離を離し、通信を始める。

 

「こちらアルルド! 特務隊から攻撃を受けている、至急援護頼む!」

「自分からちょっかいを出しておいて、これか。まぁいい、援護しに行く」

 

 他親衛隊機への援護要請。

 これに他親衛隊機は応じて第一ポイントから離脱。援護をしに、第三ポイントに移動を開始した。

 

「へへへッ! 手を出した罰だ、オレたち親衛隊の力で殺して――」

 

 アルルドの声は突然の轟音に掻き消される。

 気付けば、晴陽の刃がコアの装甲を切り裂いていた。

 

「へっ……なっ!?」

 

 確かに距離を離していた。だが、アルルドの目が霧山機から通信に向いた瞬間に急接近。一瞬の内にコアの装甲を深く切り裂いており、後もう少し切り込むとコックピットにまで届く。

 

「な、なんだ、コイツ!?」

 

 走る戦慄。

 アルルドは無闇なハイブーストの連続で距離を離し、オートキャノンを全力発射する。

 

――エネルギーがありません

 

 焦って距離を離そうとした結果、エネルギーが切れる。

 次のハイブーストまで一秒待たなくてはならず、しかも霧山機の姿は既にモニターの端にいてロックオンが出来ない。

 

「クソッ! 速くしやがれ、このポンコツ脚部が!」

 

 駆られる焦燥感。

 一秒のクールタイムを長く感じながら再びハイブースト。ブースターの全力噴射も使って旋回を速めるが、それでも霧山機に照準が追い付かず、ひたすらに連射するオートキャノンの弾丸は地面と谷の岩壁に当たるばかり。

 

「この賤民共がぁ! オレはエル・ヴェニデなんだぞぉ――」

 

 アルルドの声を掻き消す二度目の轟音。

 晴陽の刃がアルルド機のコアを切り裂いた。

 そして今度は声を完全に掻き消した。これ以上、見下す声は通信に届かない。

 

「霧山……殺した……?」

 

 機体のメインカメラや各種センサーはまだ機能している。しかし機体は死んだように動かない。

 つまりは晴陽の刃が中のアルルドを切り裂いたということ。パイロットが死んで動かなければ機体もまた動かない。

 

「斬ったぁ!」

 

 アルルド機から刃を引き抜く。

 その刃は人間の血に濡れている。

 

「本当に殺したのか、霧山」

 

 刃の血は機体だけ残してアルルドを殺した証。

 フレイドはアルルドの死を認識する。

 

「俺のために?」

「違う、敵だから」

 

 生身の常人の問いと機械的な狂人の答え。

 フレイドと霧山は機体のカメラ越しに見つめ合う。

 

「そっか……でも、ありがとう」

「なんで?」

「俺、ACの操縦が下手で勝ち目があんまりなかったから……代わりに戦ってくれて助かった」

「俺は敵を殺しただけだ。気にするな」

 

 感謝の気持ちと機械的に処理した言葉。

 二人がそうして見つめ合っている内に「特務隊」と親衛隊から通信が来る。

 

「アルルドを殺したか」

「当たり前じゃん? そっちが先に仕掛けてきたんだから」

 

 親衛隊の通信に答えるアルス。

 そのやり取りと共に、第三ポイントに親衛隊のACたちがやって来た。

 

「ふむ、まぁいい。こちらの隊員が一人減ったとはいえ、お前たちは力を示した。今後も活躍を期待する」

 

 しかしアルルドの言った脅しのように攻撃を仕掛ける様子はなく、ただヴェニデのやり方を遵守する物言いで撤退していく。

 もうこの場に敵はいない。

 

「フフフ、作戦完了。全機撤退するぞ」

 

 バーンズは告げる。エル・ヴェニデの機体を圧倒したことに、笑顔で拍手しながら。

 

――AMS停止 メインシステム 通常モードへ移行

 

「……ふぅ」

 

 システムに制御されて霧山の感情は落ち着いていく。

 もう殺意はない。敵の認識もない。

 こうして鉄道橋を守った全員はこの場を撤退する。後に残るのはシリウス部隊の残骸とパイロットを失ったアルルド機。

 霧山にとっての二度目の実戦はこれで終わった。

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