ACVD ヴェニデの剣豪 REvolution   作:D-delta

8 / 27
リメイク前はあまり巨大兵器を出せてなかったから、今回は結構出してく所存


第八話 戦いという日常

 女性用シャワー室での一件から五日後。

 夜明けを越えた地上の朝の景色。

 AC乗りの何気ない日常が今日も始まる。

 

「起きてぇ! 格納庫に集合だよ!」

 

 アルスのなにやら楽し気な声が二人の起床を促す。

 

「んー……なにぃ? 作戦?」

「そんなとこ。ほら早く、フレイド! 霧山も起きて!」

「……ん?」

 

 急かされてフレイドも霧山も起床。

 二人揃って寝起きに気だるくしながら、ベッドから体を起こす。

 

「霧山、準備」

「……ん」

 

 作戦とあれば動かなければならない。

 二人は寝ぼけながらも部屋着から戦闘服に着替え、アルスと共に自室を出て格納庫へ移動。その道中、通路に見覚えのあるACが三機も並んでいた。

 

「あれ? このACって敵UNACの……姐さん、これどうしたの?」

 

 並んでいたのは敵であった軽量二脚型UNAC。

 知らぬ間に増えている上に機体の整備も完全であり、フレイドは疑問に思う。

 

「フフン、実は戦場から持って帰ってきたんだぁ! UNACをいじれるのなんてまたとないチャンスだから!」

「あぁ、そういうこと……でもよく状態がいいのを持って帰って来れたね。霧山が全部破壊したって言うのに」

「逆だよ、フレイド。霧山が破壊したから状態が良かったの」

 

 なぜ霧山が破壊したから良かったのか、フレイドの頭にまた疑問が浮かぶ。

 

「綺麗な斬撃のおかげで装甲に余計な損耗がなくてさ、部分的な修理とか持って帰ってきた機体のパーツ取り、装甲の移植も容易だった訳」

 

 対して疑問への答え。

 

「逆にアタシらが撃破した肉入り共のACは各部装甲の損耗が激しくてね、パーツ取りは出来ても補修は必須って感じなんだよねぇ」

 

 追加でアルスは告げる。

 これが意味するところは霧山が放つ斬撃は急所だけを狙う丁寧なものということ。

 そこに実体ブレードが装甲を切り裂くだけなのも相まって、撃破したACは綺麗な状態で残る。

 

「そんで今日の作戦はこうやって早めに整備出来たUNACをテストついでに早速使うの!」

「朝から姐さんがいつにもまして元気なのって、そういう?」

「そういう!」

 

 二人を起こす際、楽し気でいたこと。

 それはまるで手に入れたおもちゃで早速遊びたいというのに等しく、UNACを早くも実戦に使うことが理由であった。

 

「さぁ早く! 行こう!」

 

 アルスの子供のような無邪気な笑顔。

 そのまま上機嫌でフレイドと霧山を連れ、格納庫へ入っていく。

 

「来たな。早速ブリーフィングを始める」

 

 霧山を見て笑みを浮かべたバーンズは言う。

 これで先に集まっていたユキムラも含めて全員集まり、作戦の説明が始まる。

 

「今日の任務はヴェニデ領内の港湾基地奪取を目論むシリウス艦隊の迎撃となる。先に交戦した港湾基地防衛隊の情報によればACや大型ヘリを乗せた輸送艦の他、セントエルモと呼ばれる戦艦も確認されている」

 

 テーブルに置かれた地図に指差しながらの説明。

 港湾基地のある場所から敵の大体の位置を指で示す。敵と味方の距離は遠い。

 

「現在、先に交戦した防衛隊とシリウス艦隊は損害をかなり出している。しかし敵は完全な撤退をせず、距離を離したところで増援と補給を待っているとのことだ。そのため増援の我々と残存する防衛隊で敵の第二波を殲滅することになる」

 

 敵と味方の距離が遠い理由。敵も味方も戦力を立て直している最中ということ。

 

「今回は補給線防衛よりも大規模な作戦だ。よって今回は敵から鹵獲したUNACも使用。港湾基地防衛の助けとなるだろう。以上だ、出撃を始めたまえ」

 

 アルスが言っていたようにUNACの実戦運用も行われることが告げられ、ブリーフィングは終了。

 

「霧山、今日も力を見せてくれ。期待している」

 

 最後にバーンズは霧山に言葉通りの期待の目を向け、格納庫を出ていった。

 出撃が始まる。

 

「さぁ今日も張り切って行くよ! チェックを終えた機体から順次出撃してって!」

 

 そう告げるアルスは楽し気にUNACのチェックに回る。

 

「人形共が味方か。フレイド、今回の戦場では常に気を張っていろ。なにがあってもいいようにな」

「ご忠告どうも。言われなくても分かってるさ」

 

 忠告するユキムラは機体を動かして先に格納庫を出る。

 続いてフレイドのダンパーと霧山の晴陽もチェック終了。出撃の時が来た。

 

「霧山」

「どうしたの?」

「俺は弱い。だけど、お前の背中は守ってみせる」

「俺だけじゃダメだよ。アルスの背中も守ってね」

「あ、おう! 当然守ってみせるさ!」

「じゃあ行こうか」

「あぁ!」

 

 言葉を交わして二人も格納庫を出る。

 そのまま所定の場所に移動。大型ヘリに輸送され、朝焼けに染まった空に照らされる。

 出撃。彼らは再び死地へと飛ぶ。

 

  ※

 

 出撃から数時間後。

 ヴェニデ領内、港湾基地。

 

「こちらは第23支部特務隊。港湾基地に到着。防衛隊13、応答しろ」

「こちら防衛隊13! 特務隊、よく来てくれた!」

 

 バーンズの通信に応じる港湾基地に属する防衛隊13。

 霧山たち特務隊の眼下に見えてくる港湾基地内は激しい攻防の跡が残っており、いくつもの砲台やAC、機動兵器の残骸が転がっている。

 一見して相当な被害だが、それでも防衛隊13はまだ相当数の戦力が残存。通常兵器に混ざってACも残っている。

 

「敵の艦隊が接近!」

「来るぞーっ! ここで食い止めろ!」

 

 同時に敵も残存。補給を終えて、増援と共に港湾基地に接近してくる。

 

「敵、セントエルモ二隻と輸送艦六隻の艦隊だ。全機降下、敵戦力を迎撃しろ」

「AC投下!」

「投下! 投下!」

 

 バーンズの分析と指示。

 霧山たちのACは次々大型ヘリから切り離され、降下していく。

 

「全機戦闘モード起動! 寄ってたかってくる敵を全部ぶちのめしちゃえ!」

「了解、姐さん!」

 

 降下して、すぐに戦闘モードを起動。

 

≪U1、オペレーションを開始します≫

 

 UNACの方も一機目の起動に続いて二機目、三機目と戦闘モードを起動。三大勢力に提供された標準オペレーションでUNACは動き出す。

 

「斬る……!」

 

 霧山の晴陽も戦闘モードを起動。再びAMSが作動し、システムに殺意を促される。

 また敵を狩る殺人マシーンとなった。

 その目で海上にいる敵を見つめ、今一番に敵目掛けて飛び出す。

 

「待て! ACで海上での戦闘は不利だ、遮蔽物もないんだぞ!」

「だけどフレイド、敵はあそこにいる!」

「行けば斬る前に死ぬ! 向こうが接近してくるまで待て!」

「くっ……!」

 

 フレイドの制止は正しい。

 どれだけ人機一体の機動といえども、遮蔽物も足場もない海上で集中砲火を受ければ全てを避け切るのは困難。水中に叩き落されてしまえば一斉に狙い撃ちされるだろう。

 霧山はそれを最初から理解していても止められず、友の制止でようやく突撃をやめることが出来た。

 

「敵がいるからって突撃するな。俺は、お前を失いたくない」

「……分かった」

「よし、じゃあ俺と一緒にいてくれ。絶対に離れるな」

「うん!」

 

 システムによって殺意に染まった感情をフレイドという友の声で抑える。

 そうして指示通りに霧山はフレイド機の隣に来る。

 

「敵輸送艦から輸送ヘリ接近! 敵ACだ!」

「残った砲台で迎撃! 各隊は墜とし損なった敵を潰してくれ!」

 

 早速敵の第二波が来た。

 防衛隊はスナイパーキャノンからミサイルまで残った全ての砲台で迎撃を始める。

 

「始まったな。霧山、基地に侵入してくる敵をぶった切れ!」

「あぁ分かった!」

 

 艦隊を中心とした大部隊と基地を中心とした大部隊のぶつかり合い。

 日常の如くまた戦いが始まる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。