ACVD ヴェニデの剣豪 REvolution   作:D-delta

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第九話 鉄塊の雷雨

 鳴り響く発砲音。爆発と着弾の衝撃。ミサイルが空に尾を引く。

 上空は爆煙が立ち込め、何発もの直撃を受けた敵の大型ヘリが落雷の如く地響きを立てて爆発の閃光と共に墜ちていく。

 

「敵来るぞ!」

 

 港湾基地は既に戦場。

 防衛隊の砲台が撃ち漏らした大型ヘリの一団がACを投下する。

 

「基地にACが侵入!」

「迎撃しろ!」

 

 下から上へ、上から下へ、両勢力が撃ち放つ弾幕と鉄塊の雨。

 盾を構える防御型機動兵器のガトリング、大型ヘリのオートキャノン、砲台とACの攻撃が敵と味方の間を入り乱れる。

 

「こちらはACを潰す。嬢ちゃんと小僧たちは自分の頭で動け」

「よし、霧山は敵ACを斬っちまえ! 姐さん、俺たちは大型ヘリを叩く!」

「了解!」

「オッケー! ドデカいハエは叩き落してやるわ!」

 

 霧山とユキムラは敵ACに、フレイドとアルスは上空から攻撃してくる大型ヘリに攻撃を開始。

 

「AC各機、戦闘開始しました」

「UNACの指揮は私がやる。輸送ヘリは味方の補給要請に備えろ」

「了解。上空で待機します」

 

 そしてUNACの指揮はバーンズが行う。

 バーンズが指定するターゲットは敵AC一機。

 UNAC三機はターゲットとなった敵ACに接近、一機に対して集中砲火を始めた。

 

「ヴェニデの機体、かなり速い奴がいる! 来たぞ!」

「なに!? どこだ――」

 

 戦闘が始まってから最初に脱落するACは敵のもの。

 敵が砲台と防御型の機動兵器に構っている隙に、霧山機の刃が敵パイロットの首に届いた。まさしく機体の稼働限界など無視した一撃必殺。

 すぐさま血に濡れた刃を引き抜き、霧山は次の敵に目を付ける。

 

「なんだ今の!? まさか機体は生きたまま、中のパイロットだけを――」

 

 次の撃破はユキムラが取る。

 仲間の撃破に目を向けた敵ACの横腹にヒートパイルを突き出し、二連装の大型杭に仕込まれた成形炸薬弾を直接ぶつけた。

 その威力は強烈。敵に抵抗する間も与えず、一撃で撃破。

 敵ACの上半身を爆炎に染めた。

 

「死に落ちた者を注視する時、自らもまた死に落ちる」

 

 それだけ言い残して、ユキムラは次の敵を選定する。

 

「おんどらぁ! 落ちろ、ハエ!」

「姐さん、そのまま火力を集中!」

 

 アルス機とフレイド機の集中砲火。

 大型ヘリ一機に対して出せる最大火力を押し付け、数秒の内に撃破。そのまま次の大型ヘリに火力を押し付けていく。

 

≪U1、敵AC撃破≫

 

 UNAC三機も敵を撃破。

 味方の被害が少数の砲台と機動兵器だけに留まっており、敵の迎撃は上手く進んでいる。が、まだ海上に戦艦であるセントエルモが残っている。

 

「敵戦艦が飛翔体を射出!」

「あの飛翔体はなんだ? 誰か分かる者はいるか?」

 

 上空で待機する味方大型ヘリからの報告。

 これを聞いた防衛隊の指揮官は「ヒュージミサイルだ! 全員避けろ!」と叫ぶ。

 

「各機、回避行動を取れ。UNACを囮に使う」

 

 バーンズの言葉通りにUNAC全機は敵の方へと前進。囮に使うが、肝心のヒュージミサイルはUNACを無視。上空に打ち上がった後に矛先が向いた先にいるのは霧山だ。

 

「霧山、お前の方にミサイルが行ってる! 絶対に避けろ!」

「狙われたACから離れろ! 着弾時の爆発はバカにならん!」

 

 霧山機の周辺にいる味方が離れようと動く。

 ヒュージミサイルの着弾は後数秒。しかも誘導性能は高く、確実に霧山機に向いている上に避けたとしてもACを全壊させる爆発範囲がある。

 

「……っ!」

 

 ヒュージミサイルの着弾。

 その五秒前にジャンプからハイブーストで周辺の建物に移動、若干高度を取った状態から建物の壁面を蹴り飛ばすと同時にブーストを吹かす――ブーストドライブを着弾二秒前に繰り返し、ACの通常速度を大きく凌駕した速度でヒュージミサイルから距離を離していく。

 

「あの機体、避けやがった!」

 

 そしてヒュージミサイルが着弾したのは、霧山機にではなく地面。付近の建物を根本から吹き飛ばし、凄まじい衝撃波が基地内を駆け抜ける。

 落雷以上の轟音と圧倒的な威力。しかし霧山機の装甲に多少の傷が出来る程度。あらかじめ霧山機周辺の味方が退避したことで人的被害は少なく、周辺の砲台を破壊するだけで終わった。

 

「だったら何度だって撃ち込んでやるだけだ。ヒュージミサイル発射」

「高脅威目標、ヴェニデ近接特化機を誘導ロック。ヒュージミサイル着弾まで三十秒」

 

 それでも一発限りの攻撃じゃない。ヒュージミサイルの二射目が打ち上がる。

 狙われているのは相変わらず霧山だ。

 

「二つ目! 避けろ、霧山!」

「問題ない。もう避けられる」

 

 避けるコツは早々に掴んだ。

 着弾直前の回避に移るまで霧山機は敵へ接近、一瞬の内に一機仕留めた。

 

「全く流石だな」

「フレイド、あの大型ヘリおかしくない?」

「え?」

 

 敵の大型ヘリを減らしている最中にアルスの言う、様子のおかしい大型ヘリ。

 視線をアルスが言った機体に移せば、目立った武装がない代わりに機体下部に細長いポッドらしきものが付いていた。

 

「あのヘリ、ずっと霧山の方に向いてる? まさか……!」

 

 アルスが感じた違和感。フレイドは敵の大型ヘリの兵装と様子から察して確信へと変わる。

 

「姐さん、あのヘリを優先して叩くよ。アイツがヒュージミサイルを誘導してる」

「へぇー代わりに誘導ロックしているって訳ね。じゃあ叩くに限る!」

 

 二人はターゲットを目の前の敵から霧山機を捉え続ける敵大型ヘリに変更。

 霧山とユキムラによって敵ACの数が減っている今、敵機を気にせず全速前進。ヒュージミサイルの地形を変化させる大爆発を横目に、誘導ロックを行う大型ヘリに真っ直ぐ突っ込む。

 

「火力集中!」

「一気に落とすよ!」

 

 二機での一斉射撃。三射目のヒュージミサイルが来る前に誘導ロックを行う大型ヘリを墜としに掛かる。

 

「ヴェニデ機が攻撃してきている! 誰か援護を!」

「無理だ今は! うわ――」

「ダメだ、やられる――」

 

 霧山とユキムラ、基地の防衛隊が敵ACを抑えている間にフレイドとアルスはACの大火力で誘導ロックを行う大型ヘリを瞬く間に撃破。

 放たれる三射目のヒュージミサイルは外部誘導支援装置を積んだ大型ヘリを失い、狙いを付けた霧山機から何百mも離れた位置に着弾する。

 

「基地内の残存敵機、残り三機」

 

 四射目の当てずっぽうのヒュージミサイルが落ちる中、既に敵は半数以下。敵の大型ヘリは全滅している。

 

「撤退! セントエルモと合流!」

「了解、ぐぉ――」

 

 これ以上の戦闘が続行不能と見た敵ACは一機撃破されながらも一時撤退。

 ブースターを最大出力、グライドブーストで残る二機の敵ACはセントエルモのいる海上へと去っていく。

 

「敵AC、一時撤退。基地に接近中の戦艦二隻と合流する模様。現在砲台の80%が使用不能、防衛隊による追撃は不能です」

「各機、対艦戦闘に備えろ。補給が必要な機体は基地より離脱せよ、敵の射程外で補給を行う」

 

 基地内に入った敵の撃退には成功したが、戦闘はまだ終わってない。

 

「アルスからみんなへ。どう、まだ行ける?」

「俺はまだ行けるよ」

「こちらユキムラ、弾薬補充に一時離脱する」

 

 アルス機とフレイド機は戦闘続行。ヒートパイルを使い切ったユキムラ機だけ離脱、補給しに行く。

 

「霧山、そっちはまだ行けるか?」

「大丈夫。まだやれる」

 

 フレイドの質問に霧山も戦闘続行を告げる。

 次に待つのは艦隊の中核たる戦艦――セントエルモ二隻との戦闘。

 ここからが本番。死闘が始まる。

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