異界冒険譚シリーズ【ミラ編】-少女たちの冒険譚-   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第18話『冒険者ランクやら危険度やらはどういう物なんだ?』

思わず体の底から震えてしまう様なシュンさんとオーロさんの感情を受けていた私は、震えを止める為に息を吐いた。

 

しかし、それでも震えは止まらず、私は目をキュッと閉じて、何度も呼吸を繰り返すのだった。

 

「あー。すまなかったな。ミラ」

 

「い、いえ」

 

「何か気分転換の出来る話でもしようか……あー。何かあるか? シュン」

 

「では、前から気になっていた話を一つ」

 

私は目を開き、シュンさんを見た。

 

優しい笑顔を浮かべているシュンさんを。

 

「冒険者ランクやら危険度やらはどういう物なんだ?」

 

「えと、ですね。世界には国家連合議会という物がありまして、この国連議会の実行組織が冒険者組合というのですが、冒険者組合には所属する冒険者に安全と秩序の為、いくつかのルールを提示しているんです」

 

「ルール?」

 

「はい。ルールです。そしてそのルールの中に、先ほどの冒険者ランクと危険度ランクが関わってくる訳です。例えばですが、シュンさんは、私がジャイアントベアーの討伐をすると言ったらどうしますか?」

 

「止めるな」

 

「そうですね。何故かと言えば私の力ではジャイアントベアーには勝てないからです。討伐に向かっても餌になるだけでしょう。だからこそ、私の様な者が、ジャイアントベアーの討伐に向かう事が出来ない様な決まりを作る必要がある訳です。何もないと無理をして本来勝てない相手に挑む人が出てきますからね」

 

私は少しずつ落ち着いてきた体で話を続けた。

 

「冒険者組合では危険度ランクという物を魔物ごとに設定しておりまして、討伐の依頼がある場合には状況等も考えて適切な難易度を設定します。そして冒険者は自分のランクを見て、その一つ上か二つ下までの依頼を受ける事が可能です。ただし、一つ上の依頼や二つ下の依頼を受ける際には、受付で審査が必要となる場合が多いそうです。なので、自分のランクと同じランク、もしくは一つ下のランクの依頼を受けるのが基本という事ですね」

 

「上は分かるが、下も駄目なのか」

 

「はい。例えば、私が冒険者組合の最低ランクのFだとして、シュンさんがSランクだとします。私が扱える依頼は角ウサギの討伐だけだとしましょう。私はこの依頼を受けて日々の生活費を稼いでいます。無論、これより上のランクの依頼を受ける事は出来ません。何故なら受付の人に止められてしまうからです」

 

「ふむ」

 

「そんな時、依頼が無くて暇だなと感じたシュンさんが角ウサギ討伐の依頼を受けたとしましょう。しかも、シュンさんはとても強いので、角ウサギ討伐の依頼を全て受けてしまいました。その結果、私は受ける事が出来る依頼が無くなり、冒険者を続ける事が出来なくなってしまいました。と、ならない為に、制限を設けているという訳です」

 

「なるほどな。ちなみにだが、俺が冒険者になった場合、Fランクから始まるのか?」

 

「そうですね。例外はありません。何故ならシュンさんがどれだけ強くても、冒険者として必要な知識と経験が無いからです。知識が無ければ、魔物の罠にハマり被害をより大きな物にしてしまうかもしれませんし。経験が無ければ魔物がどれだけの被害を街へ与えるのか分かりません。冒険者のランクにはそういう戦う事以外の事も多く求められますから」

 

「面倒な事だ。冒険者になるのも良いかと思ったが、俺にはそういうチマチマとした作業は向かんな」

 

私は心底面倒だというポーズを取っているシュンさんにクスリと笑った。

 

「そんなシュンさんに朗報です」

 

「うん?」

 

「シュンさんの様に冒険者としては未熟ですが、実力は高い方への救済処置として個人戦闘力という物があるのです」

 

「個人戦闘力?」

 

「はい。この個人戦闘力は、その人の冒険者としての知識や経験などは一切考慮せず、ただ純粋な戦闘力だけを評価したものとなります。その為、シュンさんが冒険者組合に登録した場合、この個人戦闘力が規格外。つまりはSランクに登録される為、一部の特記事項ありの依頼を除いたSランクとAランクの依頼を受ける事が出来るのです!」

 

「ほー。それは便利だな。だが、その個人戦闘力はどうやって調べるんだ?」

 

「えっとですね。現在冒険者組合には何人かのSランク冒険者の方が居るのですが、この方々と実際に模擬選を行っていただき、そこで調べるという様な形式ですね」

 

「なるほどな」

 

「ふむ。面白そうなルールだな。俺も今度冒険者になるか。傭兵やっているよりは自由度も高そうだ」

 

「そうですね。オーロさんもシュンさんも特に問題なくSランクになれると思いますので、とても良いと思います。特にこれからお二人で行動されるという事であれば、チームとしても登録出来ますし。最強のチームとして名を馳せる事になるでしょう。あー! でもー! 惜しいですねー! そんなに強いのにー! 知識が足りないから、どうしても冒険者ランクは上げにくいんですよねー! 知識の豊富な人が居れば、すぐにでも冒険者ランクもSランクに行くと思うんですけどねー! あー! 残念ですねー!」

 

「そうだな。まぁ、無いモノはしょうがない。そう思うだろ? シュン」

 

「あぁ」

 

「え、えぇぇええ!?」

 

「さ。面白い話も聞けた。そろそろ寝るか」

 

「そうだな」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!? あれ!? あれー!?」

 

「どうした。ミラ。そろそろ疲れただろう。寝ると良い」

 

私はオーロさんに抱きかかえられ、近くにあった眠る用に置かれた布の上に降ろされた。

 

そしてそのまま掛け布団の様に毛布を被せられ、寝る様に言われる。

 

むー! 夢くらい見せてくれても良いのに!!

 

「もう! 夢くらい見せてくれても良いですのに! 」

 

「なんだ。まだ寝ないのか?」

 

「早く寝た方が良いぞ。子供にはもう遅い時間だ」

 

「私は子供じゃありません! 立派な大人です!」

 

「そうか。そうか。それは良かったな」

 

「一つ教えておいてやろう。ミラ。自分を大人だと自称するのは子供しか居ないんだ」

 

「えっ、じゃ、じゃあ! 私、子供です!」

 

「そうだな。見たままだな」

 

「じゃあ子供だと分かった事だし。早く寝るんだな」

 

「むー! むー!!」

 

私は布団の上から抗議するが、二人はハハハと笑うばかりだった。

 

悔しい! 悔しい!!

 

「ワハハ。早く大人になりたいのなら、夜更かしせずに、さっさと寝るべきだ」

 

「そうだな。寝ないと大きくなれないぞ」

 

「うー。分かりました。分かりました! じゃあ寝ますよ! 寝れば良いんでしょう!? 明日になったらオーロさんの倍くらい大きくなってますから! はい! おやすみなさい!!」

 

「あぁ。おやすみ」

 

「また明日だな。ミラ」

 

私は怒りのままに掛け布団を体に掛けて、横になった。

 

そのまま目を閉じて夢の世界へと向かう。

 

今日見る夢はきっと、私がとっても大きくなって、オーロさんとシュンさんがこんなに大人になっていたなんてと驚く夢だろう。

 

そうに違いない。

 

そしてそして! その夢を私は現実にするんだ!

 

という訳でさっさと寝よう。そうしよう!

 

かくして、私はそのまま深い眠りの中に落ちていったのだった。

 

 

 

翌朝。

 

私は、特に変わってない身長と、夢の中でも子供扱いされ、現実でも子供扱いされることに怒りながらも、ちゃんと成長する様に朝ごはんをしっかりと食べるのだった。

 

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