機動戦士ガンダムSEED 白夜の守護者   作:椎名伊織

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 引き続きナタル視点です。この戦いはほぼ原作通りなのでナタルさんの内心を描きます。


PHASE-05:フェイズシフトダウン②

 戦局が傾きかけた瞬間、フラガ大尉の奇襲成功の報にブリッジは沸き立ちナタルも思わず安堵する。

 流石は音に聞こえしエンデュミオンの鷹だ。気さくでやや破天荒な方だが、やはり頼りになる。これで天秤はこちらに傾いた。後はメビウス・ゼロが帰投すればナスカ級を抜き、後方のローラシア級とGを振り切ればいい。

 

「機を逃さず、前方ナスカ級を討ちます!」

「ローエングリン1番2番、斉射用意!」

「フラガ大尉に空域離脱を打電! ストライクにも射線上から離れるように言って!」

 

 ローエングリンを斉射。エンジン部を損失した敵ナスカ級への直撃コースだ。

 

 やったか。

 

 ブリッジの誰もがそう思った。が、ナスカ級は右舷スラスターを全開にして直撃を避けた。しかし、掠めたローエングリンの威力は敵艦左舷に重大なダメージを与える。

 

「ナスカ級、本艦進路上より離脱!」

「ストライクへ帰還信号! アークエンジェルはこのまま最大船速でアルテミスへ向かいます!」

 

 帰還信号を上げるがストライクはG4機に囲まれていて離脱できない。同じコーディネーターかつ同水準の性能の相手だ。振り切るほうが難しい。

 混戦でアークエンジェルからの援護も難しい。下手すれば却ってストライクを追い詰めることになる。

 フラガ大尉に援護を要請するがまだまだ距離が離れている。果たして間に合うか・・・。

 そうしている間にも敵の攻勢は激しさを増していく。追い込められていくストライク。ついにストライクのエネルギーが危険域へと入り、フェイズシフト装甲がダウン。力を失うようにトリコロールカラーの装甲が抜け落ちていく。

 そして、トドメを刺そうと追いすがるデュエルから必死で離れようとするストライクを、横合いから変形したイージスが組み付き捕獲した。

 

「捕獲された……。ストライク! イージスに捕獲されました! フェイズシフト、ダウン!」

 

 ストライクを捕らえたイージスは空域を離脱していく。残りのG3機もそれを追うようにアークエンジェルから遠ざかっていく。

 

「ローラシア級280に接近!」

「艦長!!」

「キラ! キラ! 応答して!」

「フラガ大尉より入電!」

「ランチャーストライカーをカタパルト射出。準備せよ」

「なに!?」

 

 ストライカーパックには予備バッテリーが付いている。理論上は戦闘中であろうと、ストライカーパックを換装すればエネルギーは全快し、フェイズシフト装甲も復活しビーム兵器も使用可能となる。

 しかし、それをGとの戦闘中に……ましてや宇宙で換装しろというのか……!

 

「無茶でもなんでも、ともかくやるしかないわね」

「マードック軍曹! ランチャーストライカーをカタパルトへ設置しろ! ミサイル、バリアントでストライクを援護できるよう準備!」

 

 命令する自分でもどうかしてると思えるが、もはやこれしか手はない。ここでGを奪われたらおしまいだ。

 

「フラガ大尉、イージスに接敵します!」

 

 メビウス・ゼロはガンバレルを全機展開しリニアガンと合わせて一斉射。ストライクをがっちり挟み込んだイージスへ激しい砲火を浴びせた。

 ストライクという重石を抱えたイージスの推力では避けることなど叶わず、被弾を重ねていく。すると堪らずイージスはストライクをパージし回避行動を取る。

 メビウス・ゼロはそのままイージスを引き付け、ストライクが離脱する隙を作る。ストライクは数旬の逡巡ののちアークエンジェルへと向けて全速離脱した。その後ろをデュエルとバスターが追ってくる。

 

「ストライクに近付けさせるな!」

 

 デュエルとバスターの進路を妨害するようにアークエンジェルの弾幕を貼る。いよいよやるしかない。

 

「マードック軍曹! 準備は!?」

「いつでも! しかし、無茶ですぜこんなのは!  途中で落とされちまったら……!」

「無茶は承知よ! やるしかないの! バジルール少尉、タイミングは任せます」

「了解! 艦のコントロール、こちらへ。レーザーデジネーター、オンライン。ストライクとの相対速度合わせ。カタパルトの射出モーメント制御をランチャーストライカーのコンピュータに渡せ」

 

 敵機の足止めをおこないつつ、ストライクがカタパルトの軸線上に来るのを待つ。これが成功しなければ・・・。ナタルの手のひらに汗が滲む。責任は重大だ。しかし、やってみせねばならない。

 

「ストライク軸線に乗りました!」

「カタパルト射出!」

 

 ランチャーストライカーがカタパルトより射出される。ストライクはエールストライカーをパージすると姿勢を合わせランチャーストライカーの換装体勢を取る。

 ナタルはコンピュータで微調整を行いながらストライクの宙空換装を見守る。

 しかし、そんな無防備な姿を見逃す敵ではない。デュエルはストライクをロックするとグレネードランチャーを発射する。フェイズシフトがダウンしたストライクでは直撃すれば無惨に吹き飛んでしまうだろう。

 絶体絶命の危機にブリッジクルーは息をするのも忘れてしまう。悲鳴に近い声も上がる。

 グレネードランチャーはストライクに直撃すると巨大な爆発を巻き起こしたのだった。




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