機動戦士ガンダムSEED 白夜の守護者   作:椎名伊織

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 今日から日曜まで海外出張です。
 予約投稿しているので続きもお楽しみに!


PHASE-05:フェイズシフトダウン③

 巻きあがる爆炎にブリッジクルーはモニターに釘付けとなる。誰もが自身の責務を忘れて手を止めてしまう。呆然としたあるいは愕然とした声が上がる。

 

 換装は間に合わなかったのか……? ナタルの頭の中にそんな考えが浮かぶ。

 

 しかし、爆炎を突き破るように一条の閃光が走る。

 その暴力的な光はデュエルの右腕を抉り取り、消滅させた。

 吹き散らされた爆炎の中からストライクが姿を現した。

 ストライクは320mm超高インパルス砲、アグニを構えると四機のGへ向けて我武者羅な砲撃を繰り返す。錯乱したかのような無茶苦茶な乱射に見えるが、その破壊力の高さもあって敵は躱すのに必死で、アークエンジェルとストライクからどんどんと引き離されていく。

 その隙を突いてメビウス・ゼロも攻撃を加え、敵を後退させていく。

 

「敵MS、撤退しました!」

 

 通信士からの報告を聞いたラミアス艦長はほっと息をつくと腰を抜かしたように艦長席に座り、ナタルは呆けたように開いていた口を引き締めると各機に帰投指示を下した。

 

 ――どうにか切り抜けたか。

 緊迫した場面の連続に何度冷や汗をかいたことか。アルテミスに入港して休息が取れたらシャワーを浴びて、ぐっすり眠りたい。ナタルはそんなことを頭の片隅に思い浮かべながらアルテミスへの要請を打電した。

 

 

――――――――

 

 

「おーい! こら、坊主!」

「キラ君、聞こえているか?」

 

 激戦の後、リカルドはマードック軍曹とともに帰還したストライクのコックピットハッチの前に佇んでいた。MSハンガーに固定されたストライクからキラが出てこないのだ。負傷でもあったのだろうか、それとも……。

 そうこうしていると同じく帰還したフラガ大尉が様子を伺いに来た。

 

「どうした?」

「いやぁ、なかなか坊主が出てこねぇんで……」

「おやおや……」

 

 フラガ大尉はこちらに視線を寄越す。リカルドはその意図を察するとコクピットハッチを外部操作して開く。

 

「おーい、なにやってんだ。ほら! キラ・ヤマト……」

 

 コクピットを覗きやるとヘルメットを被ってシートには固定されたまま、手は操縦桿に掛けられたまま酷い顔色で息を乱すキラ・ヤマトの姿があった。

 

「もう、終わったんだ。ほら、とっとと出て来いよ。お前も俺も死ななかった! 船も無事だ。……上出来だったぜ」

 

 自身の死を垣間見るほどの激闘だったのだ。興奮と緊張、そして恐怖。それらが混ざり合ったとても複雑な心持ちなのだろう。

 

「キラ君、お疲れ様。みんなを守ってくれてありがとう。そして君も生き残ってくれて、本当に良かった」

 

 リカルドはキラを気遣うような声で語りかけるとキラへ手を差し出す。キラはその手をおずおずと取った。

 ――震えている。

 15歳の少年が経験するようなことじゃない。いくら能力の高いコーディネーターといえど、本質はただの子供だ。こんな子供に戦争の片棒を担がせて俺たちは、世界は何をやっているんだろう。

 リカルドはそんな思いを胸に抱きながらキラの肩を叩きゆっくり休むように伝えた。

 今後の為にもキラにOSのことを相談したいという考えは一度隅に置こう。アルテミスへも入港できるだろうし、すべては落ち着いてからだ。

 ――もっとも地球連合軍内の大西洋連邦とユーラシア連邦、アークエンジェルとアルテミス。異なる派閥に属する両者に余計な摩擦が生じなければの話だが。

 

「フラガ大尉、考えすぎかもしれませんが少し提案が……」

 

 懸念されるのは地球連合軍の識別コードを持たないアークエンジェル。そして、大西洋連邦の極秘計画で地球連合軍初のMSであるストライク。それを理由に対立派閥のユーラシア連邦が取りかねない行動を想定し、リカルドはストライクのOSをロックするように進言した。




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