推しの隣に並び立ったり、推しを超える活躍だなんてとんでもない! といったスタンスでやってます。
でもせっかくこの世界に入ってるんだからちょっとはアークエンジェルのみんなを助けられたらな、とそう思います。
ジンを退けた後、メビウス・ゼロの後退に妨害がないことを確認し、リカルドは前線へと意識を戻す。
ストライクとイージスが激しい白兵戦を繰り広げていた。絡み付くイージスに動きを封じられ、ストライクは旗艦モントゴメリの援護へ迎えない。
二機の背後で護衛艦バーナードが爆散する。残る先遣隊は旗艦のモントゴメリのみ。直衛のメビウスは残るジンに次々と落とされていく。モントゴメリへも、ナスカ級の砲撃やミサイルが立て続けに降り注いでいる。
懸命に回避を続けるモントゴメリの主砲が接近したジンのバズーカにより破壊される。もはや満身創痍だ。長くは持たないかもしれない。
リカルドはモントゴメリへ取り付こうとするジンを追い払うように掃射し援護を試みる。ストライクもまたイージスを追い払い、モントゴメリを守ろうと必死に戦っている。
しかし、奮闘虚しくヴェサリウスの主砲がモントゴメリの心臓部を貫いた。
数瞬の静寂。艦にポッカリと空いた穴から爆発が連鎖し、やがてそれがモントゴメリを包む大きな爆発へと変わった。
第八艦隊先遣隊は全滅した――。
大物を仕留めたザフト軍は次なる獲物を求めてアークエンジェルへ接近していく。そして、ストライクはイージスとの戦いから離れられない。
一瞬、呆然と動きを止めていたリカルドはアークエンジェルへ向かっていくジンを遅れて追っていく。
――このままでは、全滅だ。
リカルドは叫び出したい気持ちを押し込め、敵機に照準を合わせようとする。絶体絶命の危機に瀕した次の瞬間、アークエンジェルから全周波放送が発信された。
「ザフト軍に告ぐ! こちらは地球連合軍所属艦、アークエンジェル!」
バジルール少尉!? 何のつもりだ。
「当艦は現在、プラント最高評議会議長シーゲル・クラインの令嬢、ラクス・クラインを保護している!」
全周波放送とその映像により連合・ザフト共に動きを止めた。通信をするバジルール少尉の後ろにラクス・クラインの姿が映し出されていた。
「偶発的に救命ポッドを発見し、人道的な立場から保護したものであるが。以降、当艦へ攻撃が加えられた場合、それは貴艦のラクス・クライン嬢に対する責任放棄と判断し当方は自由意志でこの件を処理するつもりであることをお伝えする
」
バジルール少尉の発言、それはつまるところラクス・クラインを人質に取るということだ。民間人を人質にこちらを見逃せ、そう言っているのだ。
リカルドは歯噛みする。バジルール少尉を非難している訳では無い。むしろ、この場を生き延びるためにはそうするしかないとさえ思っている。
メビウス・ゼロが損傷し、ストライクはイージスに足止めされている。敵の予備部隊はまだおそらく存在し、かつ追加の増援が現れることさえあり得る。
エネルギーもおそらく心許ないストライクと、武装を消耗しているジンDP、連戦のダメージの癒えきらないアークエンジェルでこれを退けることは不可能だ。
だが、そんな事実と心の内は別だ。民間人を人質に取って逃げるなど恥ずべき行いだ。そして、そうせざるを得ない自分たちの無力さ、情けなさ。ラクス・クラインへ湧き上がる罪悪感、やるせない気持ちでいっぱいになる。
バジルール少尉は合理的に判断しただけだ。艦とストライクを守るために今出来る手段を冷静に、そして的確に判断したのだ。それをどうこう言う権利、そして力は俺達にはない。
ザフト軍はこちらからの通達の後、停戦し後退していった。人質作戦はザフト軍に有効に機能した。
両軍に飲み込みきれない苦い思いを残し、今回の戦闘の幕は閉じられた。
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