本当に最高の映画ですよね。完結まで書き続けられるか不安ですが、お付き合い頂ければ嬉しいです。
C.E.70。
『血のバレンタイン』の悲劇によって地球・プラント間の緊張は一気に本格的武力衝突へと発展した。
誰もが疑わなかった数で勝る地球軍の勝利。
が、当初の予測は大きく裏切られ、戦局は疲弊したまま既に11ヶ月が過ぎようとしていた……。
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「アークエンジェルへ!急いで!」
地球連合軍の士官、マリュー・ラミアス大尉の指示によりG兵器の搬送が慌ただしく開始される。ヘリオポリスでの極秘計画であった地球軍のMS開発計画がザフトに露見し、襲撃の報を受けてのスクランブルであった。
「ザフトの襲撃だって!? 本当なのかよ!」
「中立のコロニーだぞ! 正気なのかコーディネーター共は!?」
「ストライクとイージスの調整はまだだ! 先行してデュエル・バスター・ブリッツの搬送を開始しろ!」
「護衛車両に先導させるんだ! 衝突は避けられない。各員武装せよ!」
ザフト軍の急襲による混乱の最中、地球軍の最新鋭の戦艦アークエンジェルへの搬送の第一陣が出発する。この極秘計画に関わる地球軍の軍人、そして共同で開発を行っていたオーブ連合首長国の国策軍事企業モルゲンレーテ社のスタッフがその任に就いていた。
「先発隊に回ります、ラミアス大尉!」
「ヨハンソン主任! 任せます!」
モルゲンレーテ社スタッフ、リカルド・ヨハンソン主任はラミアス大尉はトレーラーへと乗り込むと、眉間に深いシワを寄せ出発の指示を出す。
――ザフトに情報が漏れていたのか。しかし、ここまで強引に事を進めるとは!
リカルドはプラントもなりふり構わなくなってきたな、と世界を取り巻く状況に歯噛みする。
とは言っても彼の立場で非難できることではない。
地球連合とプラントの武力衝突に際し、地球の一国家であるオーブ連合首長国は世界的に中立を表明していた。しかし、その一方でオーブの五大氏族の一つサハク家の独断によりオーブの首相ウズミ・ナラ・アスハの意向に反して地球連合への開発協力がこのヘリオポリスにて行われていたのだ。
その目的は小型で高出力のビーム兵器やMSのフレーム構造を始めとした最新技術の入手にある。そのスタッフであり、開発の中心メンバーの一人であるリカルド・ヨハンソン主任はOS開発の分野に優れた人物でもあった。
更に彼はオーブと同じく中立を表明するスカンジナビア王国よりオーブ連合首長国へ技術協力の為に出向した半ばスパイのような存在であるならば、尚更……。
自分の存在を考えればヘリオポリス内、コーディネーターも受け入れているオーブのモルゲンレーテ社にプラントのスパイがいてもおかしくないのが道理だろう。
「ドッグへ急げ! ザフトはMSも発進させているはずだ!」
搬送トレーラーに装甲車、随伴歩兵の銃火器ではザフトの機動兵器MS相手では何の役にも立ちやしない。蟻と象の戦いのようなものだ。あっという間に踏み潰されるのがオチだ100億の人口からなる地球軍の物量に対し、その何十分の一のザフト軍に圧倒されているからこそMSの開発計画なのだから。
焦りと緊張で額に汗を浮かべる中、車両は高速道路に差し掛かった。ここを一直線に進めば宇宙港へはそう掛からない。
間に合うか……!? そう思った瞬間、コロニー全体を巻き込む大きな揺れと轟音が彼を襲った。シートから振り落とされそうなほどの揺れにすべての車両が足を止めてしまう。
「爆発!? まさかコロニーを攻撃しているのか!?」
「ここには民間人が大勢いるんだぞ!」
衝撃と混乱が渦巻き、作業は遅滞していく。ここにいるのは軍人だけではないのだ。いくら軍事的技術協力に当たっているとはいえモルゲンレーテ社のスタッフはオーブ籍の民間人なのだ。
「搬送を再開せよ! 先頭車両は何をやっている!?」
地球軍の士官が命令を下す。地球軍は直ちに動き出し、モルゲンレーテ社のスタッフも慌ててそれに続こうとする。
しかし、再度大きな揺れが起こる。同時に爆音もこちらへ届く。そう遠くはない……コロニーの中から聞こえた。工場区の辺りだ。
「敵襲! ザフトのジ」
誰かが発した警告が届く前に重厚な射撃音が鳴り響く。撃ち抜かれていく後発のトレーラーや護衛車両。その破壊を巻き起こしたのはザフト軍の機動兵器ジン。コーディネーターの作り出した鉄の巨人だ。
先制攻撃を加えたジンは道路上に降り立つと、先頭車両のその先を重突撃銃で破壊道路を崩落させる。
「各自迎撃しろォ!」
「ミサイル発射!」
「上空から敵歩兵部隊が来るぞ!」
「むざむざに敵に明け渡せるか!」
怒号と銃声が鳴り響き、状況は悪化していく。MSが二機もいる、道路も破壊され突破は不可能だ……。
「自爆装置を作動させろ! せめて敵の手に渡すな!」
運良く襲撃の被害を逃れたリカルドはスタッフに指示を下しながら小銃を持ってザフトの歩兵に応戦する。
緑のパイロットスーツと赤いパイロットスーツを着たザフト兵がどんどん周囲の人間を排除していく。同じ人間とは思えない身体能力や反射速度、そして正確な射撃だ。
「くそぉぉぉぉ!」
半ばヤケクソになりながら銃を乱射する。ザフト兵を一人撃ち倒すが、それに気付いた赤いパイロットスーツのザフト兵が手榴弾をこちらに投げ込んで……。
巻き起こる爆風と衝撃でリカルドの意識は途絶した。
リカルド・ヨハンソン
AGE:22 身長180cm
やや癖毛の金髪に切れ長の青い瞳の青年。軍属の為、意外とがっしりした体格だが目の鋭さや雰囲気を和らげるためにメガネを掛けている。
スカンジナビア王国出身で王国軍少尉。士官学校を上位の成績で卒業したエリートで、OS開発や情報処理能力に優れる。テストパイロットとしての適性も高い。
オーブのモルゲンレーテ社に出向し、ナチュラル用OSの開発に就いていた。
スカンジナビア王国からの技術特派員かつスパイであり特殊工作員。