機動戦士ガンダムSEED 白夜の守護者   作:椎名伊織

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 砂漠編突入です。バルトフェルド隊長のルックスは負傷前の方が好きです。やっぱりあのシーンが印象的ですからね。あと、砂漠の軍服が格好良くて似合ってましたよね。エターナルの艦長時代の服は個人的にはあまりしっくりこないなと思ってます。


PHASE-10:燃える砂塵①

 

 アークエンジェルは地球へと降下した。当初の予定ではアラスカの地球連合軍本部に降りるはずが、ストライク回収の為に進路を変更し辿り着いたのはアフリカ北部だった。ザフトの勢力圏でアラスカは遥か遠い。

 夜の乾いた砂漠のど真ん中にポツンと白磁の大天使が腰を下ろしている。街までは遠く、また激戦の後だ。夜が明けるまでは下手に動いてザフトに察知される方が怖い。交代で休みを取りながら地球の環境に各機体の調整を行う必要がある。

 

 整備班が殆ど休みにつき、人気のなくなったデッキでムウとマードックとリカルドはスカイグラスパーを前に話し合っていた。

 

「マニュアルは夕べ見たけどなかなか楽しそうな機体だねぇ。……しかしまぁ、ストライカーパックも付けられますってのは、俺は宅配便かぁ?」

「ははは、大尉なら……じゃねぇや。少佐ならどんなとこにもお届け出来ますってねぇ」

「昇進、おめでとうございます。フラガ少佐」

 

 アークエンジェルの士官一同はこれまでの活躍を鑑み、ハルバートン提督の計らいで昇進したそうだ。マリュー・ラミアス少佐、ムウ・ラ・フラガ少佐、ナタル・バジル―ル中尉と主だったクルーはこんなところだ。

 

「ハルバートン提督の計らいとはいえ、この状況で昇進してもなぁ……。給料上がんのは嬉しいけどさぁ、いつ使えんの!」

「ガキどもは野戦任官ですかい。坊主は少尉ですってぇ? まぁパイロットですからね」

「ああ。その他もまとめて二等兵さ。やれやれ」

 

 ヘリオポリスから一緒だったキラ君たち学生一同はメネラオスのシャトルには乗らず、軍に志願したらしい。もっともあのシャトルに乗っていたら全員死んでいた。スンに志願して幸運だった……と、うら若き学生たちに告げるのも憚られる。が、命あっての物種だ。

 しかし、デュエルのシャトル撃墜は条約違反だ。通常の軍法では銃殺刑に値する重罪だ。ザフトは名目は義勇兵であり、正規の軍隊ではない。地球との圧倒的な人口差もあり学徒動員が行われていることもあり、その規律に疑問が生じる。

 ストライクへの深い恨みと激情がその引き金を引いたのかもしれない。

 

「ははっ、すぐに一人前になりますよ。……そういやぁ坊主の熱は?」

「朝には下がったってさ。ストライクが凄いんだか、あいつの身体が凄いんだか……。そういやさぁ! キラは何で時々あれのことガンダムって呼ぶんだ?」

「ああ、起動画面に出るんすよ。ゼネラル……ユニラテラル……ニューロリンク……なんたらかんたらってね。その頭文字を繋げて読んでるんでしょう。軍の方じゃ一番最初のGだけで……」

「ガンダム、ですか。なんだか力強い響きですね」

 

 ヘリオポリスで製造された五機のガンダム。そのうち四機を奪われ、残された一機とともにアフリカからアラスカまでの逃避行を続けることになる。ストライカーパックによってさまざまな戦況に対応でき、エネルギー切れの問題もパック付け替えである程度できるストライクが奪われなかったのは本当に幸運だった。更には、それを扱えるコーディネーターのキラ君があの場に居合わせたのはもはや運命だったと言えるかもしれない。

 

 

 

 

 

 砂漠の夜闇に紛れて大天使を獲物に捉えた虎の一団が狩りの準備を進めていた。集団のリーダーと思しき人物が整列する面々に対して演説を開始する。

 

「ではこれより地球軍新造艦アークエンジェルに対する作戦を開始する。目的は敵艦及び搭載MSの戦力評価である」

「倒してはいけないのでありますか?」

 

 パイロットスーツを着た男の一人がおどけたような質問をすると他の面々も嘲るように笑った。

 

「うーん……その時はその時だが、あれは遂にクルーゼ隊が仕留められず、ハルバートンの第八艦隊がその身を犠牲にしてまで地上に降ろした艦だぞ? それを忘れるな。一応な。では、諸君の無事と健闘を祈る!」

 

 指揮官の一言に部隊の面々は気を引き締めると敬礼した。先ほどのおどけた雰囲気は一瞬で消え去っている。統率の取れた動きだ。

 

「総員、搭乗!」

 

 副官らしき男の命令で部隊はMS・ヘリ・車両へ搭乗しエンジンを起動する。砂漠の夜が俄かに騒がしくなっていく。

 

「うーん、コーヒーが美味いと気分がいい。さぁ、戦争をしに行くぞ」

 

 ザフトの名将『砂漠の虎』アンドリュー・バルトフェルドが指揮する部隊が、アークエンジェルへと牙を向けた。




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