機動戦士ガンダムSEED 白夜の守護者   作:椎名伊織

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PHASE-10:燃える砂塵③

 

 出撃したストライクは砂に足を取られ身動きが取れずにいた。敵戦闘ヘリがストライクを照準する。

 

「やらせるか!」

 

 ジンDPは牽制射撃を行うが、距離が離れているため軽くかわされてしまう。

 ヘリの爆撃がストライクを襲う。直撃こそ逃れたものの状況は良くない。

 ストライクがアグニを使って反撃しようとするが、ヘリは砂丘の陰に身を隠して射線を切った。

 

 ストライクは射線を通そうと位置を変えるも、着地と同時に砂が崩れ上手く立つことが出来ない。その隙を突いて砂丘の影から三機の獣が飛び出してきた。

 ストライクは突進を躱そうと身を捻り尻餅をついてこけてしまう。

 四つ足の獣たちは砂漠を縦横無尽に駆け巡り、背中のミサイルポッドからミサイルによる飽和攻撃を行う。

 

「あれは!?」

「TMF/A-802ザフト軍MS、バクゥと確認!」

 

 ザフトの陸専用四足MSバクゥ。四脚歩行と無限軌道を使い分けることで高い走破性を持ち、機動性を活かした一撃離脱戦法を得意としている機体だ。

 

「この距離では!」

 

 弾幕とミサイルでストライクの援護を試みるも、バクゥは容易く躱しストライクへの包囲を狭める。アークエンジェルから援護しようにも、こうも取りつかれては……。

 一瞬の逡巡の最中、アークエンジェルから援護のミサイルが発射される。

 

「馬鹿な! ストライクに当たるぞ!?」

 

 アークエンジェルから放たれたミサイルをバクゥは即座に走り去って回避する。目標を見失ったミサイルがストライクの周囲の地面にぶつかり爆発する。そのうちの一発がストライクに直撃してしまう。

 

「言わんこっちゃない!」

 

 ストライクはバクゥに狙いを定めるも素早い動きでロックオンすることが出来ない。スラスターを吹かして飛び上がり、空中から射撃を試みるもそう簡単に当てることが出来ず、再び地上に降りった際に待っているのは蟻地獄のような砂地に足を取られることだ。その隙を突いてバクゥは攻撃を加える。

 苦しいが地上でうまく戦えないストライクは何度もジャンプしては空中から砲撃する。命中が難しくとも今はそれしか手がない。

 砂漠戦に最適化されているバクゥとついこの間まで宇宙で戦っていたストライクではこうも分が悪いとは……。

 

 ストライクを援護しなくては。まだ調整が終わっていないが、リカルドは背中にマウントされて長砲身のライフルを取り出す。長距離偵察型ジンの使う大口径のスナイパーライフルだ。宇宙用で使われている装備の為、地上の弾道計算はまだ完璧ではないが……。

 

「躊躇っている暇はない――当たれ!」

 

 スナイパーライフルから放たれた弾丸はバクゥの手前に着弾する。重力に引かれた結果だ。それでも、後方からの狙撃を警戒したバクゥの動きを阻害することは出来る。

 リカルドはストライクの着地の隙をカバーするようにタイミングを図って援護射撃を続ける。だが、これではジリ貧だ。

 ストライクは被弾を重ねパワーをすり減らしていく。

 このままでは不味い。

 リカルドはそう考えて無茶でも前線に出てストライクの援護を、と考えた瞬間の出来事だった。

 

 何度目かの着地、崩され流れていく砂にストライクが呑まれる――と思われたが、ストライクは足を踏ん張って堪えたように見えた。着地の隙にバクゥがストライクへと飛び掛かる。

 しかし、砂地を強く踏みしめたストライクはバクゥに倒されるどころか、逆に飛び掛かってきたバクゥに膝蹴りをお見舞いした。続いて背後から迫るもう一機のバクゥをアグニの底部で突いて弾き返した。

 仰向けになって倒れるバクゥを片足で踏みつけると、アグニの一撃で木っ端微塵に破壊した。

 

「あの一瞬で運動プログラムを砂地に対応させたのか!?」

 

 信じられない、彼は化物か!? 思わず操縦桿から手を離し、呆然としてしまう。

 何時間も掛けて行う調整を空中で飛び上がった僅か十秒ほどで!?

 彼は普通のコーディネーターではない。明らかに異常だ。

 

「彼はいったい何者なんだ……」

 

 激戦の中、開花するキラ・ヤマトの力。リカルドはそれに戦慄する。戦いの趨勢を徐々に巻き返しつつあったにも拘らず、リカルドの表情は晴れることがなかった。




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