明日、3話投稿します。ある程度流れに乗るまでは更新頻度高めで行きたいと思います。
――リカルド・ヨハンソン少尉。君にはオーブ連合首長国のモルゲンレーテ社へ出向してもらう。連合とプラントの対立は深くなる一方で、我々にもその戦禍が及ぶかもしれない。
だから、ただ指を咥えて見ているわけにはいかないのだ。
近々、地球連合がオーブの協力のもと極秘のMS開発計画を行う。そこで君はモルゲンレーテのスタッフとして開発に携わり情報を手にしてきてほしい。
なに、心配はいらない。オーブのサハク家とは話は付いている。かなりの見返りを要求されたがな……。まぁお互いに備えねばならない立場だ、致し方ない。
ともかく、頼んだぞ。
−−−−−−−−−−
「う……」
頭の奥が鈍く痛む。鼻につく血と硝煙の香り。
俺は、何を……。
辺りを見渡す。地面に横たわる数多くの地球軍の兵士とモルゲンレーテのスタッフ。血溜まりの中に倒れているザフト兵。スクラップと化したトレーラーや装甲車。
「そうだ、ザフトの襲撃……。Gは!?」
地球軍の試作MS、先発隊で搬送されていたデュエル・バスター・ブリッツは消えていた。ザフトに強奪されたのだ。
「ザフトに対抗するための最新兵器を奪われるとは。データもまだ完全に揃えたわけではないというのに。――いや、フレームや駆動系などのデータは既に送っているんだ。足りないのはOSだけ。それはこちらでも未完成なのだから充分任務は果たした方だ」
MSのOS開発こそがもっとも難航している箇所であり、地球軍製MSの兵器化の肝だ。鹵獲されたジンのOSなどを解析しているが、ナチュラルが扱うにはあまりにも複雑すぎるのだ。
四肢を持った機体の操縦やスラスターの操作と火器管制システムそれらを同時に行うなどコーディネーターでなければ兵器としての水準で操作することなどほぼ不可能と言っていい。
コーディネーター製のOSはコーディネーターのパイロット自身のスペックがあってのもので、特別な才能がなければ操縦どころかまともに動かすのも難しい兵器など、兵器とは言えない。
リカルド始め数々のエンジニアがOS開発に勤しんでいるものの、戦場へ投入の見通しなどまるで立っていないのが実情だ。
「生存者は――いない、か。これからどうする。シェルターへ避難、はレベル8の避難勧告が出ている今更間に合うまい」
とにかく足が必要だ。生きているトレーラーは――あった。デュエルの予備パーツコンテナを積んだトレーラーだ。ドッグ方面の道路は破壊されている以上、一度モルゲンレーテ工場区方面へ引き返すしかない。
「イージスとストライクは……。Gは全て奪取されてしまったのか?」
モルゲンレーテ方面は至る所から黒煙が上がっている。工場区もおそらく大破しているだろう。大きく迂回して宇宙港へ向かい、シャトルか艦艇を探すしかないだろう。もっともザフトの襲撃の後にまだ生きているモノがあればの話だが。
生き残るために必死で頭を働かせるリカルド。厳しい状況に頭を悩ませる中、工場区の外縁部に差し掛かった辺りで灰色の巨大な人影を視界の端に捉えた。
「あれはストライク!?」
最後に残されたG兵器ストライクの姿を認めた瞬間、コロニーを支えるシャフトから爆炎が上がり、その中からザフトのMSシグーと地球軍のMAメビウス・ゼロが現れた。
シグーはその無機質な瞳でストライクの姿を認めると射程に収めようと接近する。しかし、その横合いをメビウス・ゼロが突き、二機は激しいドッグファイトを始める。
コロニーの空での熾烈な争いの末、シグーはメビウス・ゼロのリニアガンを重斬刀で切り裂くとストライクを破壊しようと動き出す。
それに呼応するようにストライクはフェイズシフト装甲を展開し、二機の避けられぬ戦いの火蓋が落とされようとした瞬間。
コロニーを揺るがす大きな爆発を抜け、大天使が空を舞った。