転生主人公が非戦闘員なHUNTER×HUNTER   作:ネモ

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まあ…あの、匿名ネームで何となく察せる人もいるとは思うんですが…。

筆者はヒソカを動かして場をしっちゃかめっちゃかにするのが好きです。一応ヒソカがやりそうな範疇では済ませてるんですが、それでも好きです。


波乱=合格+暗殺者

オレの家、ゾルディック家は誰かの命が失われることで成り立ってる。オレが生まれた頃からそれは当たり前のことであって、オレより先に生まれた兄二人もそれを受け入れてた。だからオレも、それを当たり前として見ようとしたんだ。…見ようとして、失敗した。

 

 

「…キルア坊ちゃん、貴方様はイルミ坊ちゃんのように…ならないで下さいませ」

 

 

ある日。名前も思い出せない使用人の一人が、オレにそんなことを言い残して姿を消した。オレよりも年上で、とっくにしわくちゃになった顔で朗らかに笑うヤツだった。その時は何を言われたのか理解できなくて、ただ翌日にその使用人がいなくなったことしか分からなかった。

 

誰に聞いても知らないと答えるばかりで、何も教えてくれなかった。オレはそれが許せなくて、ついにはミケにも聞いたくらいだった。そうしたらミケが勝手に動き出して、試しの門じゃない場所の入り口を見たんだ。釣られるようにそっちを見て、吐き気がしたのをまだ覚えてる。

 

 

「…キル?どうしたの、顔色が悪いね」

 

「……何でも、ないから」

 

 

オレは大して、その使用人と仲が良かったワケじゃなかった。だけど、血まみれになってミケの餌食になったであろう残り物を見た時は衝撃を受けた。まだ、その時のオレは身近な誰かが死ぬことへの衝撃を知らなかった。

 

涙は不思議と流れなかった。それでも、名前すら知らなかった使用人が言いたかったことは何となく理解できた。それでいて、その言いたかったことで生計を立てているこの家がどれだけ異常なのかも理解した。でも、それを知るには少し遅すぎたんだ。

 

その時にはもう、オレは仕事の一環として人の命を奪っていた。血飛沫に見慣れたオレも、人の心臓を掠め取ることに慣れてしまったオレも、年齢に対して合わない戦闘経験も。何もかもがオレにとっては当たり前になっていた。

 

だけど、それも時間と共に薄れて消えそうになっていくのが分かった。ありえないくらいに心が冷え切っていって、天空闘技場でしばらく鍛錬するように言われてた時、相手の命を奪っちゃいけないというルールにうんざりしたくらいだ。

 

天空闘技場で時間を潰している間は、何もかもが遠のいていた。その時には通りすがりでぶつかられただけでイラッとして、殺してしまうなんて良くあることだった。でも、外で殺すと周囲が騒ぐからグッと我慢するのだけが面倒でたまらなかったっけ。

 

そんな我慢も、天空闘技場で買って集まったお金で何もかもが消え去っていく。お菓子からゲームまで、家だとミルキにギャーギャー言われたりするものだって買えた。全部全部を独り占めして独占するのは楽しかった。だけど、何だか味気ないのだけが埋めれなかった。

 

あの使用人のことを忘れていくように、どんな命もあっさりと消えていくことのように、オレはいつも通りにそういうものだと納得しようとした。しかし、その中で何よりも納得できないことがあった。それは、他が殺し損ねた相手をオレが殺すことだった。

 

一度殺し損ねているだけあって、オレが行っても終わるまでの時間が余計に増えていて面倒でしかない。オレはそれがどうしても納得できなかったし、何度やったって慣れることはなかった。早く家に帰ってゲームしたいし、お菓子だって食べたいのに何で妨害されるんだよ。

 

あとは、オレが殺し屋以外になれないことも少し気に入らなかった。ゲームの中ではオレはどんな職業にもなれて、周囲から相変わらずチヤホヤされて生きている。それなのに、現実のオレはどうだろう。殺し屋っていう職業に縛られて、ずっと見慣れた家の中で暮らし続けるんだ。

 

ゾルディック家が嫌なワケじゃないけど、好きなようにできないのはだいぶ嫌だった。もっと外に関わって生きたい。好きなことをして、好きなものを食べて生きたい。ゲームの中だけじゃなくて、現実でもそうしたい。だけど、それは一族に生まれたからと許されなかった。

 

どうせ外に出たってオレより強いヤツなんて中々いないのに、何度言ってもそれだった。だから嫌になって、母さんとそのおまけでミルキを不意打ちで刺して家を飛び出した。どうせあの二人だから生きているだろうし、急所は外しているから問題はない。

 

帰る時にはミルキからしばらく面倒な絡み方をされるだろうけど、それくらいならもうへっちゃらだ。そんな軽い気持ちで飛び出した外は、拍子抜けする程に平和でつまらなかった。もちろんゲームもお菓子もそこにあるのに、何もかもが足りない。

 

お金が足りなくなれば暗殺業をちょっとばかしやって稼いだし、気に入らない張り合いをしてきたゲームマニアのおっさんはオレが積んだ大金(課金)に負けた。それなのに、何かが欠けていて足りない。それが何だか分からないまま、心の中に溜まった退屈を満たそうと出かけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ハンター試験に参加したのは、イルミに言った通りの気まぐれだった。本当に、こんな出会いをするなんて全く知らなかった。同時に、ずっと側に兄貴が潜んでたのも気付けなかった。てっきりもう逃げ切ったものなんだと、思い込んでいた。

 

だから目の前で音を立てて変形する兄貴を認識した時、あぁもう帰らなきゃいけないんだと思った。それ自体はまだいつも通りだったから良かったけど、今はそれがとても辛くてたまらなかった。何でだろうな。おかしいんだよ、今のオレって。

 

 

「やっちまえキルア!!どっちにしろ、お前もゴンも、レアンだって殺させはしねぇッ!!」

 

 

そのせいだって、思おうとした。

 

それなのに、かけられる言葉は酷いくらいにあったかいんだ。普通に友達が欲しかったオレはともかく、他の四人がそこまでオレに親身でいてくれる必要はないのに、どうしてだろう。何でだか、その言葉だけでここに立ってる意味がある気がした。

 

 

「ソイツは何があっても俺達が止める!!!お前のやりたいようにしろォ!!!」

 

 

その言葉を聞き取る度に、イルミに怯える身体とは別に心が満たされていく。気持ち悪いくらいに心と身体が反比例しているのに、今はもうすら心地いいと思ってる。ゴンやレアンよりもオレが評価されてないって怒りそうになったけど、今はもうどうでもいい。

 

イルミに言われた通りであるオレ自身が、何だか恐ろしくてたまらない。こんなこと今までにあったことなかったし、いつも通りだったらすぐに流せるのに、おかしいんだ。だから兄貴がいると認識してからは、帰りたいと帰りたくないが同居して気持ち悪い。

 

今すぐにでも降参してしまいたいのに、あの五人が狙われると聞いた時から口が上手く動かない。ゴンは試合中に無理して動けないし、レアンは試験終わりに油断してズッコケるくらいに弱い。だから、オレがどうにかしなくちゃいけない。

 

今までの試験の時みたいに、また馬鹿みたいなままでいたい。不思議と集まって、何となく話して。オレが今までなかった友達として、この先もずっといたいのに。だから死なないで欲しい、たったそれだけの為にオレは諦めることなんて、簡単な

 

 

「あのさ、キルア。今言いかけたことを一旦呑み込んで、聞いて欲しいことがあるんだ」

 

「レアン………?」

 

「そ、俺レアン」

 

 

クラピカに似てるけど、よく見るとちょっと違う金髪を持った赤い瞳がオレを見てにっこりと笑っている。最悪、レオリオと並ぶくらいに弱いレアンがどうして話しかけてくるんだと。話しかけてきたレアンを見て、思った感想はまずそれだった。

 

ゴンやオレよりも少し身長が低いその姿が、毎度同い年と思い出す度に驚かずにはいられない。男みたいに振る舞ってるつもりみたいだけど、トリックタワーの時にゴンのせいでとっくにレアン以外の連中はレアンの性別に気付いてる。

 

オレとはほぼ真逆と言ってもいい配色を持つレアンは、いつだってよく分からないものだ。それこそ、ゴンの行動原理を当てる辺りにびっくりしたりする。まあ、トリックタワーで飛び降りしたのにも驚いたけどさ。そして、レアンが今みたいな時に動くのと面倒なことが起きる。

 

 

「キルアはさ、もし目の前の相手を騙したいと思ったらどうする?」

 

「急に、何を…」

 

「いいからいいから。キルアなりに考えてみてよ」

 

 

ゴンとはまた別の意味で子供のように見えて、時々そういうのを教える悪魔でも飼ってるのかと思う程の洞察力と思考力は恐ろしくすら思えた。そのくせ、何かと優しい辺りに絆されたりして、どうしたらいいのか分からない。未確認生物そのものだ。

 

 

「…う、嘘を言う…とか?」

 

「そっか。じゃあ、次にその相手からキルアが言った嘘を信じて欲しいとしよう。キルアはどうする?」

 

「え…は???…嘘を信じさせるって…」

 

「俺はね、キルア。そういう時に、嘘と本当を混ぜて伝えるんだ」

 

「!!!」

 

 

何となく深く考えずに返した言葉が、レアンを通してより濃いものになって戻ってくる。一瞬だけ何言ってんだコイツと思ったが、オレと対峙している筈のイルミの反応から何かしらの関係があったことを悟った。そして、レアンは妖美さすら感じる怪しい笑みを浮かべた。

 

 

「そうだなあ…。"何故ならお前は友達なんかより、今この場でオレを倒せるか倒せないかの方が大事だから"…だっけ?あれってつまり」

 

「黙れ」

 

 

直後、イルミが低い声でレアンの声を遮った。止める暇もなく、イルミお得意の飛び道具がレアンに投げられた。マズいと思いはするが、身体は怯え切っていて動けない。動け!!動いてくれ!!!頼むから!!!!レアン、お前も何笑ってんだよ!!!!

 

ダメだって頭はとっくに諦めてんのに、心だけが無駄だと分かっているのに一人で焦っている。嫌だ。それだけは、絶対に。せっかく、せっかくここまできて失うなんて嫌だ!!!!だけど、オレのその必死な願いに答えてくれたのは何故か援護したヒソカだった。

 

 

「…あれってつまりさ。キルアが俺達のことを友達だと思ってるからこそ、俺達のことが引き合いに出された時、勝てないと分かっていても倒せるか倒せないかを考えたってことだろ?」

 

「ねえ、黙れって言ってるのが聞こえないの?」

 

「いや聞こえてるけどさ、俺アンタの友達じゃねえし。正直アンタの指示に従う理由ないんだよね。それに友達が困ってんのに、そのままにしておくってのはどーも気に入らなくてさ」

 

 

あのイルミに対して強気に言い返すレアンを見て、オレはもう心の中がぐちゃぐちゃだった。どうしよう、オレは本当に人を殺すことなんて当たり前のようにやってきた。気に入らないと思ったら殺したりするし、関係ない相手を殺したりだってするのに。

 

 

「……ねえキルア、付き合ってく相手は考えた方がいいよ。特にコイツとかさ」

 

「ま、とにかく。俺からすればキルアはアンタに敵わないって頭で理解してんのに、試合が開始してから今までずっと"()()()()"って言ってないよな?」

 

「た、確かに…言っては…ねーけど……でも………」

 

「なぁ…逆に考えたら、キルアが俺達のことを友達だって思ってくれてるいいヤツってことなんだぞ?友達の為に怖いことに立ち向かって、友達が危険だったらそれをどうにかしたいって思える。それって案外、普通の人間でも難しいことだからな?」

 

 

何でそんなに肩入れしてくれるんだよ。だってオレ、沢山人殺してきたんだぜ?ちょっとした気持ちで誰かを殺すなんて、イルミが言った通りなのに、何でこんなに気にかけてくれるんだよ。オレはとっくに、そうなれないのにどうして照らしてくるんだ。

 

オレには到底できない眩しさが羨ましくてたまらない。ああ、そうだって言ってんだろ。オレはあの五人が眩しくて眩しくて、人を殺していた時のことなんて忘れそうになるあの空間が大好きなんだ。ちょっとだけ冒険に飛び出して、馬鹿にしあったりして笑うあの雰囲気が好きなんだ。

 

 

「ほれ見ろ、俺だってこんなに手が震えてんだ。だからキルアはすげーよ。自信持て」

 

「はは………ホントだ、そんな…そんな手が震えてたら…何もできねーじゃん」

 

 

その中でもゴンとレアンは群を抜いて馬鹿で、身の程知らずなんだ。ヒソカに襲われたクラピカとレオリオ、レアンを救おうとした。トリックタワーで、関係のない受験者が死にかけているのを飛び降りて助けた。それがより眩しくて、それなのにまだ

 

 

「でもキルアが頑張ってんのに、その友達として俺達が動かないのはなんか変だろ?…てかまあ、俺が動いた原因は今の状況をゴンが見てないってことなん」

 

「いい加減にしてくれる?」

 

 

途端、怒りの限界を超えたイルミにレアンは頭を強打されていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ふう。…うん、スッキリしたかな」

 

「……ぇ?」

 

 

すぐそこで、レアンが顔を歪めて崩れ落ちる。顔色が悪くて、膝からどんどんと床へとずり落ちていく。その目は腐る程に見たことがある(うつろ)な状態になっていて、死んだ魚と同じだ。オレだけが何もできないままで、レアンはクラピカとレオリオの呼びかけに答えない。

 

それなのに、ずっと口元だけが笑っていた。その笑みが妙に目線を引き寄せることも含めて、不気味に見えたのはどうしてだろう。だんだんと青ざめていくレアンが床に手を付くと、身体が少しだけ動かしやすくなった気がした。だけど、一歩踏み出そうとした足はすぐに止められた。

 

 

「だい、じょうぶ……だから………きたら、ダメだ…」

 

「だって殺したら失格になっちゃうし、手加減ってあんまりやらないから困ったなあ」

 

 

レアンが掠れた声で吐き出した言葉は、イルミによって拾い上げられた。…そうか、殺してはいないんだ。でも、あれがもし少しでも手加減されてなかったらどうなってたんだ。ゴンもハンゾーにやられてボロボロで動けないのに、レアンもやられたらオレは、オレは。

 

その想像をしただけで、背筋がゾッとして吐き気が込み上げる。今更、誰かが目の前で死んでいくのは慣れているのに、こういう時にだけ本領を発揮するのはズルい。もうこれ以上はいらないっつってんだろ。いいよもう。…もうそんなに、オレを照らさないでくれ。

 

 

「……()()()()。オレの、負けだ」

 

 

…でも、楽しかった。

 

これ以上がないんじゃないかって、勘違いしそうな程だった。だからか、前は心底嫌だったことも今なら飲み込んでしまえそうだった。それだけあの五人は眩しくて眩しくて、今までのオレがかき消されそうな程に綺麗だ。だから、壊さないでくれ。

 

 

「あー良かった。これで戦闘解除だね」

 

「………」

 

「はっはっは、嘘だよキル。ゴンを殺すなんて嘘さ。お前をちょっと試してみたんだよ。でもこれでハッキリした」

 

 

兄貴がそういう人だってのは、何度も味わってきた。あのミルキやカルトですらそんなことを言うし、使用人のみんなも揃って似たようなことを言う。イルミは母さんに一番似ているからこそ、母さんに似通った異常性がより濃く感じられる。

 

兄貴や母さんはこういう時、相手が踏まれたくないと思っている場所を容赦なく踏み付ける。母さんはもう諦めが付いてるし、兄貴よりはまだマシな範疇だからもういいんだけどさ。イルミの考え方にだけは、オレはどうしても頷けない。

 

 

「お前に友達を作る資格はない。必要もない。今まで通り、親父やオレの言うことを聞いて、ただ仕事をこなしていればそれでいい。ハンター試験も、必要な時期が来ればオレが指示する。今は必要ない」

 

 

ごめん、ゴン。

 

ごめん、レアン。

 

ごめん、レオリオ。

 

ごめん、クラピカ。

 

オレみたいな殺し屋のこと、友達って言ってくれてマジで嬉しかった。

 

だけどさ。

…だからこそ、オレみたいな殺し屋は一緒に行けないよ。

 

 

「な…っ…キルア、テメェ何で……!?」

 

 

レオリオが、ボドロとかいう男越しに驚愕しているのがよく見える。…これで失望されただろ、流石に。ボドロとかいう受験者に関しては、レアンに対して合格を譲ったヤツ程度にしか認識がない。別に殺すのにも躊躇しなかった。それこそ、ほんの少しもね。

 

 

「……これでオレは失格になるよね、ジイさん」

 

「うむ…そうじゃのう」

 

 

オレはこういう人間なんだ。思い入れのない相手に対しては、通りすがりで命を奪うことだってできるんだ。でも、応援してるよ五人のこと。ゴンが親父と会えるといいな。クラピカも復讐が果たされるといいな。レオリオの夢が叶うといいな。…あれ、レアンは何をしにきたんだっけ。

 

まあいいや、レアンにもレアンなりにやりたいことがあるでしょ。

 

 

 

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

 

 

 

 

ぐわんぐわんと、頭に鈍痛が走る。

 

そうだ、俺は確かキルア兄に頭を殴られて気絶したんだ。…ここは何処だ?今、試験はどうなってる?ゴンは無事なのか?キルアは、どうしたんだ…?そんなことを思いながら、掠れかけの意識でどうにか状況を把握しようとした。すると、声が聞こえた。

 

 

「まさかなぁ…ワシはてっきり、レアンが倒れたあの時はお前さんがこれでもかと怒って出てくると思ったんじゃが…」

 

「……」

 

「…なるほどのぅ。前々から思っとったが、お前さんは出身に関係なく良い相棒と巡り会ったんじゃな。否、この場合は作り手か?…まあ、そこらはお前さんらが決める領分じゃろう。ワシが土足で踏み入っていい範囲ではないのぅ」

 

「……」

 

「はっはっは、"何度も消し飛ばしてきた癖に"とな。そりゃこっちが言うセリフだろうが」

 

 

手探りで横になっている場所が何なのか探りながらも、聞き耳を立てる。…声的には片方がネテロ(ジジイ)なのは分かったが、もう一人は誰だ?声が聞こえないとかのレベルじゃなくて、もはや念話レベルじゃ……ってもしかしてフォグか?そうじゃないと話の辻褄も合わないよな…。

 

つーかあのネテロ(ジジイ)…フォグと知り合いっぽかったからなんかあるとは思ってたが、そういうことかよおい。じゃあつまり、フォグが暗黒大陸出身だってのはバレてると見ていいか…。まあ、バレても何ら問題はないから良いんだけどさ。

 

ってことは、パリストンがあれだけ絡んできたのはそういうことかよ…。ビスケのヤツもそうだが、フォグと再会してしばらくハンター協会の連中に囲まれたのは警戒されてたからか…。いやさ、妥当だけど俺のやりたいことはもうとっくに終わってんだよな。

 

 

「俺ァこちとらこれでも長生きしとるが、お前さんのように()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とはそうそう出会いたくねーぜ?」

 

 

………え?

 

 

「……」

 

「"あれが相撲か"って、あんなんが"スモウ"とやらだったらとっくに世界終わっとるわ。冗談はそれくらいにしておけ。…てか地味にワシの念能力を既存のなんかと比べんでくれんか?」

 

「……」

 

「いや、確かにあれは張り手だけども、のぅ……。フツーに傷付くんじゃが??」

 

 

……え、フォグってそんな強いのかよ!!??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

割と聞き捨てならない会話がされていた後、俺は普通に起きていることがフォグにバレた。一応狸寝入りしていたのはどっちにもバレてなかったので、そのまま最終試験の状況を聞く羽目になった。そして、そこで最終試験でキルアが失格になったことを知った。

 

どうも俺に勝ちを譲ってくれた、191番のボドロっつーおっさんを背後から一撃で殺害してその場から去ったらしい。ちょうどレオリオとの試合開始と同時のことだったからか、死亡したボドロのおっさんと殺害した本人であるキルア以外は自動的に合格扱いになったんだとか。

 

そして俺が目を覚ましたのはその翌日のことで、今日は可能ならゴンが目覚め次第にハンターライセンスの講義を行うらしい。…余談だが、191番のおっさんの名前を覚えてないことがバレた時のネテロ(ジジイ)の呆れようは露骨だった。仕方ねえだろ覚えてなかったんだから。

 

 

「…あ、そういえばさ。フォグのことってハンターライセンスの話が終わったら、あの五人に言ってもいいよな?試験自体は終わったんだし、同行しても良いようにしておきたいんだ」

 

「……うーむ……紹介するのは構わんが、レアンもフォグも情報の開示を行う際は細心の注意を払ってくれんか?お前さんらの情報が世間に出回ると相当厄介じゃからのぅ」

 

「まあ、だよな」

 

「あぁそれと、お前さんらは状況が状況じゃからな。ハンター協会が定めたルールその1は免除されることになっておるから、手当たり次第に荒らしたりせんでくれよ?」

 

「分かってる、分かってるって」

 

「…信用ならんのぅ」

 

 

そんなことを言ってネテロ(ジジイ)とはそこで別行動になり、俺はフォグと一緒に廊下を歩いていた。今回のハンター試験で合格した受験者達が待機している講堂へ向かう道中だったのだが、ふとあることが頭をよぎった。そう、俺とフォグが並ぶと犯罪臭がすごいってことだ。

 

フォグが肌以外が全部真っ黒ってのもあって、完全に黒ずくめ◯組織的な人が幼女を誘拐している構図にしか見えない。しかも、俺って赤い眼だから笑い事じゃないのもそう。相手がフォグだからまだ大丈夫だが、クラピカ辺りが勘違いすると面倒なことになりそうである。

 

 

「なあ、フォグってその姿をこう…子供っぽくできたりしないか?流石に絵面が……」

 

 

俺の提案を聞いたフォグが少し考えるような仕草をすると、やってみるとだけ呟いて黒い霧かモヤのようなものだけ残して姿を消してしまった。そして数秒後に俺の影から飛び出してきたのは、多分160cm前後*1はあるであろう十代前半の少年に姿を変えたフォグだった。

 

 

「…おぉ、それくらいなら問題ないか」

 

 

俺がそんなことを呟くと、フォグは何も言わずに手を差し出してきた。…一瞬何の意図か理解できなかったが、一拍置いてそれが手を繋ぐサインだということに気付いた。仕方ないなあと思いつつ、ため息を吐いてその手を握って歩き出した。

 

 

「とりあえず。ハンターライセンスに関する講義が終わったら紹介するからさ、それまではまた影に潜って待っててくれ」

 

 

若干返事に間があったが、フォグはそれに頷いた。それでもすぐに手を離すのは嫌だ、という文句を言われたので部屋の前までは手を繋いで喋り続けた。フォグと再会してからまだそんなに時間はないが、少しだけフォグも感情豊かになってきているような気がして俺も嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、フォグと喋りながら歩くこと数分間。ネテロ(ジジイ)から言われていた講堂の入り口が見えたので、フォグに影へ潜っていてもらう。フォグが影に潜って一人になった俺は、講堂の扉に手をかけてそっとその扉を動かした。

 

重みを感じる講堂の扉を潜ると、そこにはボドロ・キルア・ゴン以外で最後まで残った受験者達が全員集まっていた。…もちろん、キルア兄もそこにいた。そして、クラピカとレオリオに関しては俺を見て、その顔をギョッとさせて駆け寄ってきた。

 

 

「お、おいレアン!!お前、起きてきて大丈夫なのかよ!?」

 

「え?…あぁ、うん。半分以上が、ただの疲労だって言われたから大丈夫」

 

「…ゴンとは、会っていないのか?」

 

「まだかな。数時間前に起きたばっかりだし、無事だっていうのは聞いてるから…そのうち来ると思うけど?」

 

 

ゴンとキルアこそ不在だったが、何気ない話をしながら時間を三人で時間を潰す。そんな中で適当に席を選んで座っていると、ネテロ(ジジイ)を筆頭とした試験官達が講堂に入ってきた。自然と静かになる部屋を見渡して、ネテロ(ジジイ)はわざとらしい咳をした。

 

 

「おはようじゃ、諸君。良き朝を迎えられたかの?」

 

 

俺はその問いに対して、完全な同意はできなかった。現にゴンは負傷してまだ目覚めていないようだったし、キルアに関しては勝手に自宅へ帰還してしまった。俺はその途中で気絶したからまだ納得できる範囲だが、一部始終を見ていたレオリオとクラピカは納得できていないだろう。

 

 

「では、これよりハンターライセンスなどについて改めて説明を行う」

 

「それでは不肖(ふしょう)ながら(わたくし)、ビーンズが説明させていただきます」

 

 

そうして何度か試験中にも顔を見た職員が名乗りをあげて説明が始まると思った時、講堂にある後ろ側の扉が勢いよく開かれた。その音に自ずと全員が目線を向けると、そこには片腕を包帯でぐるぐる巻きのギプスにされたゴンだった。

 

ゴンはとても真剣な顔で、部屋の全員から注目されていることなど心底どうでも良さそうに歩いた。そしてその足が止まり、目線は少しばかり上を向く。その時のゴンが視界に映していたのは、キルアの兄を名乗った長い黒髪の青年だった。

 

道中でレオリオがゴンの名前を呼んで声をかけていたが、ゴンはそれを華麗にスルーしてその青年の横で仁王立ちしていた。そして、いつもであれば純粋さを宿している瞳で鋭くキルア兄を睨み付ける。病み上がりだというのに、一切その辺りを配慮せずにこう言い放った。

 

 

「キルアに謝れ」

 

 

講堂に投じられた一石の言葉に、周囲は黙り込むことしかできない。同じく講堂の一席に腰掛けているキルア兄はゴンの言葉に対して、少し考えるような仕草をした。そして自身に投げかけられたゴンの言葉をよく咀嚼してから、こうゴンに返した。

 

 

「謝る?何を?」

 

「……そんなことも分からないの?」

 

「うん」

 

「お前に兄貴の資格はないよ」

 

「?…兄弟に資格がいるのかな?」

 

 

恐らくはゴンなりに皮肉を言ってみせたのだろうが、その皮肉は綺麗に切り返されてゴンの元へ戻ってきてしまっていた。だが、ゴンがキルアの試合のことをいつ知ったのかは分からないが…。ゴンからすれば、それはキルアに対して言っていた言葉とは大違いの切り返しだった。

 

だからだろうか、怒りでカッとなったらしいゴンはキルア兄の右腕を自身の右手で掴んだ。そしてそのまま、片腕で掴んでいたキルア兄を振り上げたのだった。あまりの光景に俺もギョッとした。明らかに二人は体格差があるというのに、ゴンはキルア兄を振り上げてみせたのだから。

 

キルア兄よりも後方に座っていたヒソカですらその目を見開かせて、その上で面白そうに笑っていた。また、振り上げられた当人であるキルア兄は緩やかに着地してみせていたが、それでもその顔には微かな驚きが宿っていた。当然だが、振り上げられるなんて予想できなかったんだろう。

 

 

「友達になるのにだって資格なんていらない!!」

 

 

そしてキルア兄を振り上げた本人であるゴンは、キルア兄が着地するまでを見計らってからそう言い放った。まだ、その片腕はキルア兄の腕を握り締めていた。そこで、前触れもなくゴンが自身の入ってきた講堂の後ろ側の扉へ顔を向けた。

 

 

「キルアの元へ行くんだ。もう謝らなくたっていいよ。案内だけしてくれればいい」

 

 

…どうやら、キルア兄を振り上げたことでゴンの中で何かしらの納得ができたらしい。何だそりゃと思うかもしれないが、一度その頑固さを目の前にしていたハンゾーだけが苦い顔をしていた。多分だが、ゴン的にはキルア兄の少しでも驚いた顔を見て満足したのかもしれない。

 

 

「そして、どうする?」

 

「決まってんじゃん。キルアを連れ戻す」

 

 

……あー、えっと。なるほど。ゴンは今から"突撃!友達ん家"って訳か。連れ戻すって言ってる辺り、キルアの立ち位置が友達ではなく誘拐された姫か何かのようにも思えてくる。っていうか、仮にも殺し屋云々言い合ってた家に行くのは大丈夫なのか?

 

 

「まるで誘拐されたような口ぶりだね」

 

「俺の命を人質にされて無理矢理従わされたんだから、誘拐されたも同然だ!」

 

 

そこで、今度こそというようにゴンは怒りを露わにして言葉を口にした。一体何処の誰からキルアの試合について聞いたのかは分からないが、どうにもおせっかいな誰かがゴンに知らせでもしたんだろう。この感じだと、本当にキルアの家に行かないと止まらないだろう。

 

 

「もしも今まで望んでないキルアに、無理矢理人殺しをさせていたのなら、お前を許さない」

 

 

…うーん、それは正直どっちか分からない。望んでいなかったのかも、望んでいたのかも分からない。ただ一つ言えることは、その答えを知られるっていうのをキルアが望まなさそうってだけだ。割とキルアはゴン程に素直にはなれない分、隠したがるかもしれない。

 

ってか、殺し屋とか言われてたキルアに人殺しを望む望まないの選択肢ってあったのか?会話の感じ的に家系的な家業っていう感じに聞こえたし、多分生まれた時点で逃げられるものじゃなかったんじゃ…?まあ、俺は実際にキルアが人を殺してんのは見たことがないけどな。

 

 

「……許さないか。で、どうする?」

 

「どうもしない。お前達からキルアを連れ戻して、もう会わせないようにするだけだ」

 

 

それって実質絶縁みたいなものなんじゃ…と思ったりしていると、ここでキルア兄が動いた。その左手を何故かゴンに向けた。そして、キルア兄の身体に巡っている(オーラ)がほんの少し強まった途端、ゴンはキルア兄の腕を離して距離を取った。

 

 

「……!!」

 

 

かろうじて言葉を飲み込んで言いはしなかったが、俺はゴンが行ったその一瞬の動作に感心していた。まだゴンは(オーラ)に関して何も教わっていない。だというのに、ゴンは何らかの要因からキルア兄から発された(オーラ)を感じ取って回避した。

 

(オーラ)には個人差があるが、キルア兄の(オーラ)は禍々しいタイプのようだった。個人的な見解としては、そこに殺気やら敵意やらを乗っけるだけで一般人にもバレることがある。だが、今回に限ってはその意識すら載せていないのにゴンは勘付いていた。

 

このハンター試験を通してなのか、それともゴン自体が感知力に長けているのか分からない。分からないが、ハンゾーとの試合を超えた今はそれがより分かりやすく表に出ているような気がする。もしかしたら野生の勘というヤツかもしれないな。

 

 

「さて諸君、よろしいかな?」

 

 

そんな中で、ずっとその状況を黙って見守っていたネテロ(ジジイ)が口を開いた。確かにこのままゴンとキルア兄がピリピリしていたら、ハンターライセンスの講義がいつまでも始まらない。…とりあえず、一旦中断しろっていうことなんだろうな。

 

 

「とりあえず、キルアの所に行くにしても、まずは説明をしっかりと聞いた方が良いぞ」

 

 

うーん、正論パンチ。

 

流石にネテロ(ジジイ)から盛大な正論パンチを受けると、二人は一瞬お互いの姿を見て読み合いをするが…。それもネテロ(ジジイ)の言葉を聞いて苦い顔をしたゴンが、大人しく席に座ることで崩れた。キルア兄もゴンが敵意を向けなくなったので、大人しく席に座り直した。

 

 

「それでは改めて。昨日、皆さんにお渡ししたカードがハンターライセンスです」

 

 

そう言って、恐らく見本だと思われるカードを持って周囲に見せるように持ち上げた。そこには説明している本人の顔写真と、日本で言うところの運転免許証的な感じの情報が記載されていた。パスポート的な扱いもできる辺りは非常に優秀である。

 

 

「カード自体は見た目は地味ですが…偽造防止の為、あらゆる最高技術が施されている以外は他のものと変わりません」

 

 

そこら辺は、この世界で金銭に施されている偽造防止の技術と似たような対策が立てられているようだ。まあハンターライセンスと比べたら金銭の方が防犯面では性能が低いだろうが、それでもあるかないかで言えば絶対にあった方がいいだろう。

 

 

「ただし、効力は絶大!」

 

 

ビーンズと名乗っていた職員がそう宣言すると、講堂に設置されていたスクリーンに世界地図が映された。そしてその世界地図はパッと見でも分かる程にカラー別で分けられていて、特定の色がついている範囲がどうも立ち入り禁止区域だったりするようだ。

 

同じように別の色で入国禁止の国が世界地図に表記されると、その大半の国が別の色に変わった。そして連鎖するように現れたのは、先程見せびらかされていたハンターライセンスである。明らかにビーンズがこの為だけに用意したっぽいカードなので、実際には使えないだろうが…。

 

 

「まず、このカードで民間人が入国禁止の国の約90%と立ち入り禁止区域の75%まで入ることが出来ます」

 

 

たった一枚、されど一枚。ハンターライセンスがあるだけで、この世界からの評価は一変する。具体的に言うならば、ハンターライセンスを通して簡易的な身分証明にもなり、それでいてライセンスを取得できるだけの実力等があるという確証になる訳だ。

 

 

「公的施設は95%が無料。銀行からの融資も一流企業並みに受けられます」

 

 

実質四捨五入すればほぼ100%が無料になるとか、本当にチートすぎるカードである。それだけハンター協会が信頼を得ている証でもあるし、それだけ社会的にも世間的にもハンターという職業が求められている証でもある。ま、それ相応に狭き門ではあったし…。

 

 

「売れば人生7回くらい遊んで過ごせますし、持ってるだけでも一生何不自由なく生きていくことが出来ます」

 

 

…随分と前に、パリストンから一言一句同じ言葉を聞いたことがある。俺がまずそれを聞いて初めに思ったのは、随分と具体的な例を挙げるなということだった。まるで、それを何度も何度も誰かがなぞっては繰り返しているかのような言い方をしていた。

 

 

「それだけに紛失・盗難には気を付けてください。再発行は致しません。我々の統計ではハンターに合格した者の5人に1人が1年以内に何らかの形でカードを失っております」

 

 

その年に五人の合格者が現れたとした前提の上で、一年以内に五人中一人がカードを紛失しているとか…。もしそれが翌年も続いたら、五年後には全員がカードを失ってる算段になりかねないくらいだ。まあ、ないとは思いたいが…。

 

 

「プロになられたあなた方の最初の試練は()()()()()()()()と言っていいでしょう!」

 

 

まあ、それと同時進行で(オーラ)に関する師匠探しと習得が行われているとか…割とシビアである。多分、紛失する第一の理由に単なる油断もあるとは思う。だが、ダントツで現れそうなのは(オーラ)に関する習得と同時進行できない問題ではないだろうか。

 

(オーラ)に関して修行が行われる際、まず第一の関門としては良い師匠と出会うことだ。相性もそうだが、できるだけ波長が合っていて真摯に向き合ってくれる師匠を探すことが望ましい。また、中には悪い師匠というものも存在するらしく…系統に合わない念能力を覚えさせたりもするらしい。

 

俺別に(オーラ)自体はともかく、念能力に関しては誰にも関与されてないし、誰にも提案とかアイディアもらったりも何もしてませんけど何か!!??

 

誰だよマジで強化系の俺に操作系とか放出系の念能力習得させたりとか、明らかに念能力の容量食ってる何かしらを覚えさせたのはさぁ!!!!

 

いやさ、百歩譲って今俺が持ってる念能力が俺の願望によるものだったしてもだ。それとは別で念能力の容量食ってるのはおかしいだろ!!??つーかその念能力が何なのか俺すら分かんねえし、俺はただのリソースパックかなんかかよ!?

 

クッソ…はあぁ、話を戻すが…。

 

何が言いたいかって言うと、プロになったばっかりのハンターってのは(オーラ)の師匠を見つけ出して基礎的な体系を習得し、(はつ)…つまり自分なりの念能力を編み出すと同時で、タワーディフェンス*2ばりのライセンス強奪連中からの襲撃に備えなくてはいけないってことだ。

 

要するに、馬鹿みたいに忙しい。ただでさえ、(オーラ)ってのは生命力が可視化したエネルギーだ。命が関わってくる修行の間やらに襲撃があって、そこでハンターライセンスを奪われたら一人のハンターとしての生命は終わり。無念すぎるゲームオーバーだ。

 

 

「次に協会の規約についてですが、十か条というものが定められています」

 

 

【その1】

ハンターたるもの何かを狩らなければいけない。

 

ここに来る前でネテロ(ジジイ)から指摘されていたが、この十か条の一番最初であるこの条件に関しては俺とフォグは免除されているらしい。…まあ、フォグが暴走しないようにって俺がハンターライセンスを取得したのに、狩るべきものがなくて剥奪とか意味ないもんな。

 

【その2】

ハンターたるもの最低限の武の心得が必要である。

 

俺だけだとこれは達成できないが、フォグが居ればこの条件をカバーすることができる。てか、最低限の線引きによっては念能力を覚えている俺もどうにかセーフかもしれない。怪我しやすくて、死にやすいってこと除けばだけどな。

 

【その3】

一度ハンターの証を得た者はどのような事情があろうと取り消されることはない。ただし、再発行はどのような事情があろうとも行われない。

 

この講義中にも何度か繰り返して言われていることだな。基本的にハンターライセンス自体は自己責任で管理していくものみたいだし、逆にそんなこともできないハンターはプロとは言えないっていうことだろうな。割と容赦ないが、そうでもしないと紛失者が多そうだし仕方ない。

 

【その4】

ハンターたるもの同胞を標的にしてはならない。ただし、甚だ悪質な犯罪行為に及んだ者に対してはその限りではない。

 

…それって、ヒソカとかあのキルア兄辺りに該当するのか?悪質の範疇もよく分からないし、とりあえずはハンターライセンスを持ってる同士で戦うなってことでいいよな?っていうかそういう辺りの区別とか判断ってどこでやってんだか。

 

【その5】

特定の分野に於いて華々しい業績を残した者には星が1つ与えられる。

 

多分メンチとかのハンターってことだろ。この世界にある沢山の分野の中から、注目されるような成果を残せばもらえるっていう認識でいいよな?…暗黒大陸についてまとめた本とか出したら星貰えないかなあ。いや、でも……規制されたりすると困るんだよな。

 

【その6】

5を満たし、かつ上官職に就き育成に携わった後輩ハンターが星を1つ得たとき、その先輩ハンターには星が2つ与えられる。

 

ま、これに関しては(オーラ)を教えた師匠役も該当するだろう。言わばWin-Winの関係って訳だ。後輩は(オーラ)や念能力の指導をしてもらえるし、先輩は先輩で協会からの評価が上がるっていうな。上手く考えてるもんだなあ。確かにここまでしないと教える理由もないしな。

 

【その7】

6を満たし、かつ複数の分野に於いて華々しい業績を残したハンターには星が3つ与えられる。

 

ここまでの条件って星に関するものばっかだけども…。結局星って幾つまで持ってることができるんだろうな?何だろうな…こう、FPSゲーム*3にありがちなシーズンが切り替わる度にランクが下がってくみたいな感じなのかね?それとも賞味期限的な感じで有効期限があるのか?

 

【その8】

ハンターの最高責任者たるもの最低限の信任がなければ、その資格を有することができない。最低限とは全同胞の過半数である。会長の座が空白になったとき、直ちに次期会長の選出を行い、決定するまでの会長代行は副たる者に与えられる。

 

ここら辺になると、会長どころか単なるプロハンターの一人になったばっかりの俺達には関係ない話だよな。つーか、ネテロ(ジジイ)以前にも何度かは会長の選挙があったらしいし…。もし仮にネテロ(ジジイ)が退く羽目になったのなら、それは死ぬ以外にない気がするな…。殺しても死ななそうだし。

 

【その9】

新たに加入する同胞を選抜する方法の決定権は会長にある。ただし、従来の方法を大幅に変更する場合は、全同胞の過半数の信任が必要である。

 

つまり…新任であろうがなかろうが、ハンター採用試験の内容変更は随時選挙で合否を求めなくてはいけないってことらしい。…いや、俺ってマジで選挙権得てすぐは政治に興味なかった人間だから選挙って言われても、あんまり重要なものに見えないんだよな。

 

【その10】

ここにない事柄の一切は会長とその副たる者参謀諸氏とでの閣議で決定する。副たる者と参謀諸氏を選出する権利は会長が持つ。

 

要約すると、副会長と会長の参謀役は会長が決めることって訳だな。今の副会長って誰だか覚えてないが、何となくパリストン辺りの連中じゃね?アイツ分かりやすくネテロ(ジジイ)に執着してるし、周り囲っててもおかしくねえもん。怖いし。

 

 

「さて、以上で説明を終わります。後はあなた方次第です。試練を乗り越えた自身の力を信じて、夢に向かって前進してください」

 

 

そう言って説明を続けていたビーンズが上手く話を纏めると、スクリーンに映し出されていた映像や画像が閉じた。同じく、見本用として出していたであろう仮のライセンスカードを懐にしまうと、この講堂まで残り続けた受験者達全員を見回してこう言った。

 

 

「ここにいる9名を新しく()()()()と認定致します!!」

*1
ちなみにゴンが154cm、キルアが158cm。レアンは上記二名よりも少し低めの150cm辺りを想定。余談だがクラピカは171cm、レオリオは193cm。

*2
コンピューターゲームのジャンルの1つで、敵の侵入を阻むために、拠点を守るための防御施設やユニットを配置して、自動で敵を攻撃するリアルタイムストラテジーゲームです。

*3
FPSとは、ゲームジャンルの一つで、「ファーストパーソン・シューティングゲーム」の略です。プレイヤーがゲーム内のキャラクターの視点(一人称視点)でプレイするシューティングゲームを指します。代表例→Apex Legends(エーペックス レジェンズ)、VALORANT(ヴァロラント)、ガンダムシリーズ、バイオハザードシリーズ。




キルアのことを殺し屋表記でサブタイにすると、今までのサブタイと揃わないので暗殺者って表記させてもらいました。
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