転生主人公が非戦闘員なHUNTER×HUNTER   作:ネモ

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とんでもなく遅れて申し訳ありません。身内間で重大イベントが多発し、それどころではなくなってしまっていました。

久しぶりで申し訳ないのですが、基本は主人公視点で物語は進みます。あと主人公の名前が決まったのでどぞ。

追記
ゴンとキルアがオリ主の年齢について驚くセリフが作中設定とそぐわないものになっていたのを一部変更、加筆修正しました。

感想にて、筆者が気付かなった矛盾点をピックアップして教えて下さってありがとうございます。m(_ _)m


さらに追記

調べたところによると、ハンター試験そのものに年齢制限はないという情報があったのですが……。あまり文章を変更しすぎるのもな、と思ったので一部変更する程度にしました。


関係=人情

ハンター

それは怪物・財宝・賞金首・美食・遺跡・幻獣など、希少な物事を追求することに生涯を懸ける人々の総称である…らしい。

 

某一狩り行くの系ハンターと混同してしまいそうだが、それとはまた別として認識しよう。とりあえず、俺がゲームとして今まで誤認していたこの世界ではハンターと呼ばれる特殊な職業があるようだった。…ちなみに職業柄の関係で、副職的な感じのことを許されているらしい。

 

誰もがハンターになりたがるが為に、ハンターの資格を得られる試験に受かった者はハンターとして扱われるんだと。まあ結果的にみんながなりたいと思うからこそ、ハンターと呼ばれる人々の総合的な数は増加傾向にあるとかないとか…。

 

まあそんなことは一旦置いておいて、本題に話を戻そう。プロのハンターの資格を得るには、数百万分の一の難関とどうやら言われているらしいハンター試験を突破しなければならない。そんでもって、世間的にハンター試験と呼ばれている試験は表の試験。

 

そして、本当の意味でハンターとして認められるのは念能力を得てからの方だと言われた。…ひっじょーに個人的な意見で悪いんだけど、そういう裏試験とか考えたヤツ天才なんじゃないか?裏ボスとか裏ダンジョンみたいなノリで俺は好きだぞ。

 

ただまあ…好きかどうかを置いておいても、俺は少し考えた。…俺は一応念能力に関してはフォグから間接的に色々と教えられたし、何なら自他に対して空中浮遊を可能にするミニ念能力が使えるようになった。だが、そのアドバンテージは一言で無意味になった。

 

 

「うーん、お主……明らかに強化系なんじゃが………なぁーぜそんなに操作系やら放出系に割り振っとるんだ?」

 

 

ハンター協会とかいう、ハンターという職業を名乗っている人々をまとめ上げる協会の会長である、ネテロにそう言われてショックのあまりに寝込んだのは昨日のように思い出せる…。……あぁうん、ネテロ会長もそこまで俺が落ち込むって思ってなかったらしいんだよ。

 

何せ本来念能力っていうものは、(オーラ)を覚えてすらいない初心者が師匠を付けてまで教わるものなんだと。でも俺は何故か…この世界で流星街育ちとして人生を歩み出した時点で、どうやら俺の念能力は勝手に定まっていたんだとフォグが教えてくれた。

 

そういう転生だか何だか分からないチートとかいらんって。俺、最初にそういう主人公チートとかないヤツを選んだんだけど?つまんないじゃん、強すぎたってさ。…まあ、(オーラ)の基礎について流星街で身に付いているから省くとして、念能力には大きく分けて六つに分かれる。

 

えーまず強化系

物の持つ働きや力を強くすることが得意で肉体や武器の強化・治癒能力・運動維持が主な念能力になりやすい。正直、遠回しにバカって言われてるような気分になる。だが、念能力って結構イメージがものを言う所があるらしい。

 

まあ結果的にバカと天才は紙一重的な感じで、一番バランスが良いらしい。俺はそんな利点を知らんうちに失ってました。無知は罪って場合によっては言うけどさ、生まれた瞬間からとかマジあり得ないんだが?運も実力のうち?そんなもんとっくにガチャの中に入れたが?

 

次が放出系

オーラを飛ばすことが得意で念弾・憑念・瞬間移動が主な念能力になりやすい。まあもっと簡単に言うなら、某龍のボールを集める漫画に登場した技の大半が出来ると思ってくれたらいい。とりあえず、(オーラ)を自身の対外に何らかの形で放出することが得意なんだと。

 

あと良くも悪くもありきたりらしくて、個々人での強みを見つけるのが大変だとか。なんか、就職前の面接対策みたいなことをさせないで欲しい。その技は俺に効く…。就職という名の社畜契約が必要なのは分かってんだけどさ、そんな簡単に短所克服出来たら苦労してねえんだ。

 

三番目が操作系

物質や生物を操ることが得意で他人の操作・命令の強制・能力を付加が主な念能力になりやすい。一番多いのは何かを媒介にして操作するヤツらしい。あと、なんか、俺の個人的な見解で悪いんだけどさ…。すっごい薄い本とかに出てきそうな能力だな!?

 

ぜぇーったいこれで誰かしらを洗脳とかしてくるヤツいるって!!そういう一部の大きなお友達が喜びそうな能力があるのはやめろ!!最高に喜んじまうだろうが!!やめてくれそういう洗脳とかマジで!!それで寝取られ(NTR)とかはガチの地雷なんだよ!!

 

四番目は特質系

他に類の無い特殊な(オーラ)が特徴。……うん、これ以上もこれ以下もないぞ。何が言いたいかと言うなら、能力くれぇテメーで考えろやアホンダラ!!!ってことらしい。ちなみに特質系の念能力者へそれを言うとマジギレする人もいるので注意しよう!(一敗)

 

ある意味念能力の中でも一番フラットな状態にあることは事実なんだが、フラットであるからこそ一から全部を組み立てなきゃいけないという苦痛が待っていると言うか…。うん、あとは察しろ。何もかもが四角い某クリエイティブでハゲ村人が登場する世界みたいだな。

 

はい五番目は具現化系

(オーラ)を物質化することが得意で特殊な武器の創造・念獣・念空間が主な念能力になりやすい。例えが漫画で悪いが、某呪い廻る漫画での領域展開が出来るようになりそうだな。あとは式神とか、呪具とか沢山作れそうでなにより。

 

代わりにこの世界では特定の物質を具現化するには、その具現化させたい物質の幻覚を見るくらいのレベルで限界に追い込まれないといけないらしい。…うんまあ、それはもはや一種の脅迫概念による思い込みじゃね?と思ったが口にはしない俺は賢い。

 

最後は変化系

(オーラ)の性質を変えることが得意で炎や雷を(オーラ)で再現・形状変化が主な念能力になりやすい。ホイミとか出来るようにならないかなぁと思ったが、他人の怪我が治る構図が想像出来なくて俺は諦めた。そしてルーラは大気圏を超える可能性があったのでやめた。

 

とりあえず、某龍の名前を冠したクエストのゲームで使えるメラとかメラゾーマ的な感じでいいと思う。あと擬似的なポケットのモンスターの中で物真似が一番得意な、メタいスライムになれるかもしれない。技のエフェクトが雑に省略されたら本物だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

まあここまで長々と説明しておいて、結局俺が何がしたいかと言うと………フォグの助力なしでハンター試験を合格したいのだ。この表のハンター試験さえクリアしてしまえば、裏などちょちょいのちょいである。何せ俺は美少女だし、イケメンなフォグが合格したなら俺もいける筈だ。

 

また面倒なことに…俺を探すにあたってフォグは先に合格してしまっていて、試験のルール上で参加できない。悲しい現実を突き付けるのはやめなさい。これでもし俺が美少女じゃなくて失格だったら、ハンター試験合格条件(美形に限る)って言いふらしてやる。

 

あとはこのハンター試験に合格することで得られるのは、ハンターライセンスと呼ばれるプロハンターの証明である。割とこういうライセンスって面倒なイメージしかないんだけど…。これって俺だけ?著作権に関する話題でもちょくちょく出てくるから怖いんだよな…。

 

このライセンスを発行しているハンター協会は国家を大きく上回る規模と信頼性があるらしく、会員という形でそこに属しているプロハンターはライセンスによる絶対的特権も含めて、莫大な富と名声が得られるんだとか。別にいらないけど。某海賊王みたいな流れやめろや。

 

面倒なのは…一纏めにハンターと称しているとはいえど、ハンターそれぞれで専門としている分野が存在していることだ。実質的には冒険家であり専門家みたいな感じと言うか、何だろう……医師免許を取得したら麻酔科以外は勝手に得意な分野を名乗っていいみたいな?

 

だからか、ハンターライセンス自体に事細かな分別がある訳じゃない。医療機関にも耳鼻科だの歯科だのあるように、あくまでも全体的なものを医師という言葉に纏めて言われているのは同じだな。そういう分類区別ってどんな分野でも総じて面倒なんだよ。

 

そして俺は地味に前年度のハンター試験に油断しまくってチャレンジし、無事に会場へと辿り着くことも出来ずに失格となった。もちろんネテロ会長にはため息を吐かれたし、ことあるごとに様子を見に来ていたパリストンには失笑された。…あの野郎マジ許さんからな。

 

一応言っておくが…パリストンらに俺とフォグが回収された際、俺がうっかり承諾してしまった条件は『ハンターライセンスを取得すること』だった。…色々思うところがないと言ったら嘘になるが、うっかり承諾した俺も悪い。

 

…それで真面目にやろうと思った矢先で笑われたんだ。流石の俺もブッツーンとキレた。まあ、俺の身体は貧弱貧弱ゥ!!印付きの幼女ボディなのでもちろんマトモに言い合いは出来なかった。むしろ「そんなに怒ってたら、血圧が上がってお身体に悪いですよ」って言われた。

 

マジでアイツ、一回は痛い目見てくれ。

 

 

 

 

 

 

だって…十七回も死んだり転生したりしてたから、俺の意志で自由にシャバを移動できるのがどうしても嬉しかっただけなんだ…。生まれてすぐに殺されるってことは、何も知らずに死ぬんだぞおい。こちとらどれだけ…、どれだけ寂しかったと思ってんだ。

 

それに道中で困ってるおじじとおばばを見つけちまったもんだから、どうしても見捨てられなくておじじとおばばを助けたことは後悔してない。むしろ、それでいいことありますようにとかも思ってない…多分。困ってる人を見たらなんかこう、…気分が悪くなるんだよな。

 

だからそれをウガーって解消させたら、いつの間にかおじじとおばばを助けてたっていうか……ウン…。後悔はしてないけど、だからって事情も知らないで笑ったパリストンにキレるのはおかしくないと俺は思ってる。なにわろてんねん。

 

ハンター試験に挑む理由は半分くらいアイツへの反抗心、って言ったらフォグに呆れられたけどさ。俺は見返してやりたいんだよあの性格捻じ曲がり野郎を!!…仕方ないだろ、アイツ本体は口が達者だから何言ったって通じないんだから。

 

 

「……本当に大丈夫ですか?」

 

「…あ、大丈夫ですはい」

 

「番号札を忘れないようにしてくださいね」

 

 

……ネテロ会長からはめっちゃ呆れられた挙句に、第一関門が待ち受けている会場に辿り着くまでを特例で連れて行かれた。どうやらフォグと俺が行動するにあたって、俺がハンターライセンスを持っていないことがかなりマズいとか…。

 

まあそういう大人の事情があったから…実はハンター協会側からもそこまで露骨じゃないけど応援されてた筈なんだよ…。なのに去年、そもそもの会場に辿り着くことも出来ずに失格したっていうね!!!!ごめんなさいね初歩の初歩で躓いちゃってさ!!!

 

でもね俺だって失格したかった訳じゃないんだよ!!!意図的な間違いだったらとっくに改善してるわ馬鹿野郎!!!そんなことを思いながら、ほぼ不正に近い形で第一関門が待ち受けている会場に一人座り込んで蹲った。

 

もちろん、主催側からある程度補助された形で辿り着いたので番号札は1番。……いくら主催側から補助されようと、気が重いし不安なのは事実。それに昨年の時に関しては、同じハンター試験に行くと思わしき人ととも出会わなかったという……。

 

 

「………フォグ、沢山人が集まって来たら起こして」

 

「……」

 

 

非常に貧弱な俺が死んでしまわないか心底心配で…実はこっそり着いてきたフォグにだけ聞こえるように呟くと、それを了解したような返事が返ってきたのを確認してから俺は一旦リラックスする為にも眠りに落ちる。

 

フォグから返事があった安心感で、瞼が急激に重くなる。眠気に飲み込まれる直前に、そっと顔を黒いレインコートのフードで隠した。自ずと目立ってしまう金髪と赤い瞳が露見しないように、二度と悪魔呼ばわりされないように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ねぇ、大丈夫?こんな所で寝てたら風邪引いちゃうよ?」

 

 

ゆらゆら、と肩がそこまで大きくない手によって揺さぶられる感覚で意識が覚醒してくる。寝ている間はずっと体育座りをしていたせいか、尾てい骨あたりに痛みを感じる。いや、骨盤だっけか。そんな余計なことを考えながら、身体に満ちていた眠気が引いていくのを感じ取る。

 

どうやら、第一関門である試験が始まる前に起こしてくれた優しい誰かがいるようだ。マジでありがとう、俺ってこういうしょうもないことで失格するかもしれないヤツだからさ…。ケアレスミスにしても限度があるよな、うん。

 

 

「ゴン、そんなヤツに一々構ってたらお前まで脱落しちまうぞ…!?さっきだって変なの盛られかけただろ!?」

 

「…レオリオの言う通りだ。船の時も思っていたが、お人好しが過ぎるぞゴン」

 

「でも、まだここの試験が始まってないから…声くらいはかけてあげたくて」

 

 

ぐうの音も出ないような正論に、俺がダメージを受ける。いや本当にごめんなさい。そんなことを思いながらも身体は反射的にあくびをする。身じろぎをしながらも立ち上がると、会話していた三名から少しビックリされる。

 

俺に声をかけてくれた張本人であるらしい、俺よりも10cm程大きい緑色の服が特徴的な少年を自然と見上げる。何処かで見たことがあるように思える少年に対して内心で首を傾げながらも、口は勝手に開いて礼を言っていた。

 

 

「…えっと、起こしてくれてありがとう。でも一緒にいる人達の言う通りだから、この先は気を付けた方がいい……かなぁ…なんて」

 

「ほらコイツもそう言ってるだろ!」

 

 

そんなことを話していると、よく分からん何かの音が周囲に響き渡った。寝起きの頭にキーンと響き渡るその爆音に、思わず両耳を手で押さえて悶えた。これがハンター試験の合図だとしても、俺はこの爆音で目覚めなくてよかったと心底感じた。地下空間で爆音はいけないだろ…。

 

内心でハンター試験開始の爆音に文句を言っていると、同じく何処かで見たことがあるような人が沢山の受験者の前に立った。いかにも社会人です!と主張しているかのようなきっちりかっちりとしたスーツを身に纏った男性に、周囲は自然と気が引き締まったような気がした。

 

 

「只今をもって、受付時間を終了いたします。それではこれより、ハンター試験を始めます」

 

 

…試験官だと名乗る相手の背後へ目線を向けると、俺が来た場所から真反対に位置する壁がシャッターのように上昇していた。その更に奥の空間は暗く、先が見えない。明かりがないととてもじゃないと移動が厳しそうな場所に、緊張で少し身体がすくむ。

 

昨年は結局第一試験にすら参加出来なかったから試験内容を知らないが、せめて昨年よりは簡単でありますように!!神様とかいるか分からんけど、とりあえずおなしゃす!!!少しでも俺が合格できそうな試験内容でありますように!!!

 

 

「さて…一応確認致しますが、ハンター試験は大変厳しいものもあり、運が悪かったり、実力が乏しかったりすると怪我したり、死んだりします。さらには先程のように受験生同士の争いで再起不能になることも多々あります。それでも構わない……という方のみ付いてきてください」

 

「えっ………先程のようにって、どういう……」

 

「…ソコの男が別の受験者を攻撃したんだ」

 

 

そう言って、綺麗な金髪を持った少年だか少女だか分からない相手が、ある一人の受験者を目線のみで指し示す。教えてくれた目線の先を見ると、背が高く不思議な格好をした不気味な男が血が付いたトランプを持ってニヤけていた。

 

…その姿に何処か既視感を覚えるものの、既視感を的確に言い当ててくれる言葉が出てこない。まるで喉に魚の骨が引っかかってしまったかのようなもどかしさに包まれていると、不意にその男と目が合った。思わず強烈なピエロメイクに顔が引き攣りそうになる。

 

トランプ男がこちらを見て何か仕草をする、というタイミングでフォグが少し声をかけて来た。自然とフォグの方が優先度が高くなり、トランプ男から目線を逸らして聞き耳を立てた。どうやら、ミニ浮遊以外は周囲の目がある場所で使わない方がいいらしい。

 

それと、さっき俺と目が合ったトランプ男は危険だから近寄らない方がいいと教えてくれた。…いや、そりゃそうですよね。いくら見た目で判断しちゃいけない風潮があったとしても、同じ試験の受験生を攻撃してたら流石に警戒するわ。

 

 

「承知しました。第一次試験404名、全員参加ですね。それでは参りましょう」

 

「良かったら一緒に行こうよ!一人で行くよりはいいと思うからさ!」

 

「へっ…!?ちょっと待っ…!!!」

 

 

試験官が身を翻して、その手足を大きく振り上げて歩き出す。もちろん、受験者達は試験官の背中を追う為に足を踏み出すのだが…。俺は試験官のロボットじみた歩行に少し怯んでしまった。…なんかこう、試運転中の歩行ロボットみたいな動きで怖い。

 

そんな初めの一歩をそれぞれ踏み出したと思った途端、非常に陽キャだと感じていた少年から思い切り引っ張られる。ある程度歩き出しで躓かないように配慮してくれているのか、少し強引に片腕を引っ張られたにしては良い歩き出しをすることができた。

 

 

「ゴン……!!」

 

「ごめん……」

 

 

結構強い力で引っ張られて歩き出すと、金髪の人が少年を咎めた。それを見て、何だか俺の手を取って歩き出してくれた少年に申し訳なくなった。だから少年の手を振り解こうと考えはしたものの、これが何と俺以上の握力によって引き剥がすことも出来ない。

 

フォグと再開した直後に引っ付かれた時も力が無くて抵抗出来なかったし、本格的に筋トレを視野に入れた方がいいのか…!?だけど俺のこの美少女ボディは、貧弱貧弱ゥ!印付きって言っても過言じゃないくらいに貧弱だからなあ…。

 

 

「…ま、当たり前だが誰も帰らねぇな。ちょっとだけ期待したんだけどな」

 

 

数秒の間、少年の手を腕から剥がせないか奮闘するも早々に断念する。ただ、腕を引かれて歩き出した以上ここで止まることも出来ず、その場の雰囲気に流される形で足を動かしていた。すると、不意に就職活動でもしそうな服装をしていた男性が口を開いた。

 

緊張を紛らわせるようなその言葉に、少年と金髪の人は苦笑したり呆れるように肩を竦めた。…初対面にしては連携がよく取れてるし、ここに来る前で何かあったのか?えっ、俺だけ知り合いの受験生が一人もいないって、コト…!?

 

…まあしかし、注意しなくてはいけないのはまだこれが序盤の序盤であることだ。試験官も言っていたが、あくまでもこれは第一試験への案内をしているだけのようなものだし…。これでへばったり、心が折れていればこの先を拝むことは難しいだろう。

 

だから絶対に何処かしらで、受験生への脅威…つまりは選別イベントのようなものがある筈だ。余計な受験生を篩い落とし、その中から有望な受験生を見出す為の数減らし。…こういう場面で落とされるのって、後になってめっちゃ精神的にダメージ来るんだよな。

 

 

「……これはまだ第一関門だから……最初の振り落としが何処かで来る筈」

 

「…もしかして、ハンター試験受けたことあるの?待ってる間も落ち着いて休憩してたし、なんかオレ達みたいに初めて来た人って感じがしなかったし…」

 

「あっ………呟いてたの、聞こえてた?」

 

「そりゃもう、結構ガッツリな」

 

 

それぞれ計三名から「聞こえていた」と回答を貰い、黒いレインコートで相手から顔が見えづらいとは分かっていても恥ずかしさで俯いた。思った以上に緊張して、落ち着けていないのかもしれない。そう感じて深呼吸する。

 

流石に人から見られている状況で、手のひらに人の字を書いて飲む訳にもいかない。油断大敵とは言うが、適度に気を緩めて休めるのも大事だ。俺は思った以上に他者の目線に晒される状況で落ち着けないのかもしれない。…まあ、今回の生育環境を考えれば妥当な気もするか。

 

 

「……実は……その、一応前の年でほんの少し。でも、試験内容とかは分からないし…そもそも、試験会場に到着するまでで色々あって失格したんだ」

 

「だが、私達よりも前年度で経験を積んでいることは事実だ。言っていることも、ハンター試験であればあり得そうなことのように思える」

 

「でもよぉ、流石にここで振り落とすったって…選択肢が限られてるだろ」

 

「うーん……とりあえず、どこを見ても壁でどのくらい移動してるのか分かんないくらいしか…」

 

 

そんなことを話していると、俺達がいる位置よりも前を移動していた受験者達の雰囲気がふと騒がしくなる。一番最初に思い浮かんだのは受験者同士の騒動だが、遠目で観察している限りそういうようにも見えない。

 

…何だか嫌な予感がして、俺は落ち着けた筈の緊張感が先程よりも高まっていることを自覚する。心拍数が、脈拍が上がっているのを自覚する。息が上がりすぎないように、必死に調整する。先を移動している受験者はそう遠くない為、その嫌な予感は自ずとこちらにも訪れた。

 

 

「ん?」

 

「おかしいな」

 

「…おいおい、なんだ?やけに皆急いでねぇか?」

 

「ああ、だんだん速くなっている」

 

「前の方が走り出したんだ!」

 

「だからか……!!」

 

 

そう、嫌な予感の正体は一次試験での振り落としのこと。

最初はダラダラと歩いていても追いつける程度だった速度が、今は少し駆け足にならないと前を見失いかねない速度に上がっている。

 

それも最初だけ。そこまで間を開けず、完全に目の前の受験者達がジョギングからランニングペースに変わる。一応まだ頑張れば追い付けそうな場所で歩いている試験官を見ると、何と試験官はまだスキップする余裕があるではないか。

 

 

「申し遅れました。私、一次試験担当官のサトツと申します。これより皆様を二次試験会場にご案内します」

 

「…?二次……ってことは一次は?」

 

「もう始まっているのでございます。二次試験会場まで私に付いてくること。これが一次試験でございます」

 

「「「「!!」」」」

 

「場所や到着時間はお伝え出来ません。ただ私に付いてきていただきます」

 

 

まさに事前の知らせなどない、唐突な宣言に受験者はそれぞれの反応を示す。…でもハンター試験として、理由がちゃんとあることなんだろうな。ゲームで初見殺し*1があったとして、攻略本や先にその場面を通過しているプレイヤー以外にはそれを知る方法がない。

 

ゲームによってはそれで主人公があっさり死んでしまうなんて当たり前だし、現実の場合もそうだ。まあ知ってた所で対策が出来ないとか、避けられない場合もあるけどさ。負けイベ*2とか負けイベとか負けイベとかさ。もしくは死にゲー*3。みんなのトラウマ*4ですよねえ。

 

試験官が開始する前に言っていた言葉を思い出すならば、死亡するというリスクは一体何処で知ることが出来るだろうか。そんな問いが投げかけられたとして、答えはもちろん…走馬灯見てからや死ぬ直前になってからだ。

 

同様に見知らぬ相手から急に殴られることを、誰が予測出来るだろうか。未来を予知するとか、そういう能力があったなら話は別だが……。この表のハンター試験で集まるのは、(オーラ)という言葉も知らない初心者。俺だって初見さんだぞおいコラ!!

 

 

「なるほどな……」

 

「変なテストだね」

 

「そ、そう…?」

 

 

うーん…そう考えれば、実に理にかなった内容じゃないか?これ。初っ端の一次試験としては難し過ぎることをさせられないし、だからと言って初見に余裕で飛び越えられるハードルにしてもいけない。試験内容に対して、絶妙な塩梅が必要になる。

 

その上でセレクトされたのが、体力テストや持久力テストだと考えれば試験官が比較的マトモな人なのだと実感できる。俺のこの貧弱貧弱ゥ!印付きのボディを鍛えてくれた、ネテロ(ジジイ)会長とビスケっつー強烈な見た目詐欺の二人に比べたら天使みたいなものだろあの人。

 

 

「さしずめ持久力試験ってことか…望むところだぜ!どこまでも付いて行ってやる!」

 

「念の為…ローペースで行った方がいいと思うな、目に見えたゴールもないし……」

 

「ああ、どこまで走ればいいのか分からないのはかなりの精神的負荷となる。精神力も試されているな」

 

 

金髪の人が半分くらい言ってくれたが、基本的に体力テストや持久力テストと言われてパッと連想されやすいのはシャトルランだろうか。最初こそ油断やら怠慢で余分に体力を消耗し、時間が経つにつれてヘロヘロになってでも時間以内に対岸へと辿り着かなくてはいけなくなる。

 

加えて自身よりも先に脱落している生徒がいれば、さらに絶望感は凄まじい。まだ競う相手がいれば内心で負けてられるか、と思っていられるが…。競う相手もいなくなってくると、設けられた制限時間以内に辿り着かなくてはいけない必要性すらもどうでもよくなってくる。

 

何せ自身以外が全員脱落していれば、そこまで差を空けなくとも一人走っている自身が一番に輝くのだ。その確信が得られていてなお、疲れると分かっている上で無理をしてまで走る人は少ないだろう。いたとしたら、余程自身に厳しいのかもしれない。

 

スーツの男性は金髪の人の意見に多少は動揺したのか、まだ少なかったであろう緊張感を取り戻してしまっていた。…それが悪い訳ではないんだが、これで下手に焦ってペース配分を間違えてしまうのが一番最悪だ。

 

危機感を覚えて周囲の状況をいかに素早く判断し、その上で意思決定を一人で行うのは大人でも間違えてしまうことだってある。…というか、それで必ず正解に近い選択ばかり選び取れている人の方が恐ろしいっての。

 

……まあ最悪、このスーツ男性がペース配分を間違えたら俺が背中押してでも先に進ませるか。別に試験官は付いて来れればいいって言ってたし、別の受験者を助けるくらいの余裕があればやった所で文句も注意もされないだろう。

 

間接的ではあるものの、この一次試験を万全な状態で挑めるのは彼らのおかげでもあるし。”情けは人のためならず”って言うしな。そんなことを考えていると、不意に別の少年がスケボーに乗って俺達を追い越していく。

 

 

「おい、ガキ!汚ねぇぞ!そりゃ反則じゃねぇか!」

 

「なんで?」

 

「なんでって、こりゃ持久力のテストなんだぞ!?」

 

「違うよ。試験官はついて来いって言っただけだもんね」

 

「ゴン!!てめぇ、どっちの味方だ!?」

 

「怒鳴るな、体力を消耗するぞ。それにうるさい。テストは原則持ち込み自由なのだよ」

 

「~~!!」

 

 

スーツの男性は一斉に味方を失ったことで、スケボーに乗って現れた銀髪の少年に言い返せなくなって悔しそうに歯軋りをする。集中砲火で草。流石にそれは酷えよ。…多分、銀髪少年以外は見える変化が少ないだけで地味に焦ったりしているのかもしれない。

 

どんな場面であれ、人間は想定外の事態が起きると日頃隠している本性が少なからず露見する。それが悪い場合もあれば良い場合もあるが、お互いに危機感を持っていることは確実だろう。それでも急に孤立させられたスーツの男性が気がかりで、思わず声をかけた。

 

俺もそこまで余裕ないが、さっきの光景があまりに可哀想で声をかけてしまった。唐突な手のひら返しが全方位から飛んできたらそりゃそうなるわ。頑張れスーツのおっさん、俺はアンタを応援するぞ…。ちなみのそのメガネは本体なのか?

 

 

「…水ならあげられるから、自分のペースを優先しよう。スケボーが大丈夫なら、助け合うのも問題ないと思うしさ」

 

「……そう言うアンタは、随分と涼しい顔してるじゃん」

 

「まだ体力が問題ないだけで、多分いつもなら立ち止まってる。…足痛いし」

 

「じゃあなんで走ってんの?いつも通りで止まればいいのに」

 

「イヤだ。後で思い返して、また悔しいままはイヤなんだ……。諦めたら、もう取り返せなくなるし……」

 

 

少しずつ体力が削れていく感覚に焦りつつも、か細い声で前年度にて後悔しかけたことを思い出す。もう一度言うが、おじじとおばばを助けたのは後悔してない。ただ、一番後悔しているのはそういった予想外のリスクを考えて動けなかったことだ。

 

ハンターとか関係なく、非常に基礎的な側面で躓いたのが一番辛かったんだ。それに、若い頃に経験できることは沢山経験しておきたいんだよな…。後で取り戻せないし。安◯先生も「諦めたら、そこで試合終了ですよ」って言ってるしな!

 

 

「…ねぇ、君いくつ?」

 

「オレ?もうすぐ十二歳!」

 

「ふ~ん……やっぱオレも走ろ!」

 

 

ふと銀髪少年が沈黙を破り、黒髪少年の年齢を聞く。

すると何を判断材料にしたのか知らないが、今までずっと乗っていたであろうスケボーをテクニカルに蹴り上げて傍に抱える。

 

そしてそのまま、黒髪少年の隣を平然と走り出すではないか。…クッソォ、これでも俺も焦ってんのに余裕そうに走りやがって。筋トレコースが確定したじゃねぇか…!!走るのだけはこの身体に一番ダメージが入るんだよな…。一回足の骨を折られたのが致命的だったな…。

 

 

「オレ、キルア」

 

「オレはゴン!」

 

「アンタは?」

 

「…俺は、レアン」

 

「ゴンにレアンね。で、()()()()は?」

 

()()()()じゃねぇレオリオだ!あと俺は()()十代だ!!」

 

「「ウソォ!?」」

 

 

ゴンとキルアが目を見開いて驚く。何だったらこれ試験じゃなかったら、その場で飛び跳ねているくらいには驚きの声があがった。ト◯とジェ◯ーみたいだな…。金髪の人も声こそあげないだけで、目を見開いて十分驚いていた。

 

…いや、スーツ着てて渋い顔だからてっきり大人だと思ってたわ。老け顔っつーか、それともスーツ着てきっちりかっしりしてるからか…?すまん、ガッツリ三十路の大人かと思ってたぜ…。いや、サラリーマンみたいな格好してるし…。

 

 

「ご、ごめん………普通に大人かと思ってた」

 

「そう言うレアンは何歳なんだよ!!」

 

「ゴンとキルアと同じ…」

 

「え!?そうなの!?」

 

「は?年上じゃねぇの!?流石に嘘だろ!?」

 

「どうなってんだ最近の十二歳は…!!」

 

 

レオリオに言及されて俺も年齢を明かすと、またも揃ってゴンとキルアが驚きを露わにする。レオリオも同じく驚きを表すが、……多分そう言う一言が年上に見える原因なんじゃないか?何だろうな"どうなってんだ最近の若者は…!!"みたいなさ。

 

だって、凄い年嵩(としかさ)がないと言えないタイプのセリフだろそれ。レオリオに続いて、俺の年齢にも驚いたらしい金髪の人は目をまんまるくして黙り込んでいた。悪かったな俺の身体がゴンやキルアよりもちびっこでな!!

*1
予備知識なしでは回避できない攻撃や罠、または解き方を事前に知っていないと解けない問題などを指す俗語。

*2
主にテレビゲームなどで、演出上あるいはシナリオの進行の都合上、敵キャラクターに敗北することが前提となっている戦闘イベントを意味して用いられている語。

*3
「死に覚えゲーム」の略称であり,その名の通りこちらが敵と戦っては繰り返し「死に」続け,そして敵の動きのパターン等を「覚え」ながら攻略し,進んでいくゲームであり,他のゲームと比べても圧倒的に難易度が高くゲームクリアが難しいことが特徴となっている。

*4
多くの人の間に共有されている心的外傷(トラウマ)経験のこと。今回の場合はゲームの展開などのこと。




まあ、金髪赤眼の東方Projectキャラって言ったら大体は皆さんお察しの方しかいないんですけどね。そのお察しの方々の名前を合わせて、「レアン」という名前にさせて頂きました。


ちなみに採用しているのは東方紅魔郷のキャラの範疇でです。
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