…どのくらいの時間が経過しただろうか。正直、先に行っているゴンやキルアのように余裕さを保つことが既に厳しくなっている。あれだけ喋る余裕があったレオリオも汗だくになって、今にも足が止まってしまいそうだった。
黙々と走り続けていた金髪の人も、今は少しばかり疲れた表情を見せるようになっていた。……俺も今足を止めてないことが奇跡的なくらい、足は疲労を訴えている。そんな限界ギリギリをどうにか動かしている中、ふと少し前を歩いていた金髪の人が
…そこには普通の階段があった。いや、それ自体は大したことじゃない。…その階段があり得ない程の長さで続いていることを除けば。金髪の人とレオリオが進んで行く中、俺は階段の高さ分まで足を上げられないと気付いて立ち止まってしまった。
うん、控えめに言ってもデデドン!(絶望)って感じ。ウゾダドンドコドーン!とも言う。なんつーか、無限階段。あまりの絶望に俺の思考すらも現実逃避を始めてるぞハハッ。営業職は足で稼げとは聞いたことがあるけど、こういう稼ぎ方は遠慮したい。
まあ体力自体はちょっと休めばほぼ問題ないだろうが、…足は一旦休息を与えないと肉離れしそうな程の疲労感がある。いくらネテロ会長とその弟子であるビスケに多少鍛えられたといえど、俺が主に指導を受けていたのは体力面だけ。それも体力の回復が早いだけ。
フォグがハンターとして悪名高すぎる為、俺と一緒に行動していくとなると俺がフォグの弱点となってしまうんだと。だから、俺が妙に体力だけあるのはそういった輩から逃げる為の備えである。……だが、それはあくまでも時折の休憩ありきの想定で鍛えられたものだ。
現時点での俺の身体は母親(笑)から定期的に鞭打ちや食事を抜かれたりされた
骨折や出血、栄養失調などが
それに俺と一緒にいる間のフォグは、俺がいない期間のフォグを知っている人々からすればあり得ない程に落ち着いているらしい。まあ以前は野放しにされている獣と同じ状態になっていたが、俺というリード役がいることで暴走しないようになるのが理想的だと判断されたんだろう。
…一体、俺がいない間のフォグは何をしたんだか。俺がフォグ本人に聞いても、教えてくれないし…。やっぱフォグが操作系よりの特質系だからか…?いやそれも偏見すぎるか。見た目で判断するのも良くないし、
そんなことを考えながら、黒いレインコートの裾が長いことをいいことに足の休息として俺はこっそり浮遊して横着をしていた。フォグもここで休憩を取ることには同意見なのか、うまいことレインコートの裾を動かして階段を登っているように見せかけてくれた。
そうやって横着していると、不意にレオリオでも金髪の人でもない所から目線を感じて…目線が向けられた方を見た。
「……」
エェ…だ、誰…?
正直それくらいの感想が限界と言っていいくらいに、トランプ男以上に不気味な男がこちらを見ていた。首から頭頂部にかけて大量の針が一定間隔で刺さっているというとんでもない状態の男は、平然と階段を登りながら首だけこちらに向けるという妙に器用な状態だった。
…というか、明らかに耳の穴に針をブッ刺してるけど痛くないのか?あんなデカい針を耳に刺したら鼓膜破れるんじゃないか?…と俺を凝視してくる男に意識が向いていると、不意にフォグが前を見るように教えてくれる。すると、いつの間にか目の前は地下の薄暗い闇を抜けていた。
「ふぅ…ようやく薄暗い地下からおさらばだぜ」
「お~」
「うわ~」
何処か日本を感じさせる坊主頭の受験者が気持ちを切り替えるように先陣切って言うと、先に到着していたゴンとキルアが目と鼻の先に広がっている光景に
何故なら長すぎる階段を抜けた先に広がっていたのが、アマゾンかと勘違いしてしまってもおかしくない程の森と湿原だったからだ。ずっと地下を移動してきたこともあり、急激な湿地帯の光景に圧倒されて言葉が出てこない。今、俺達はどこに居るんだろう…。
「ヌメーレ湿原…通称、
試験官であるサトツが丁度そう言い終わると同時に、さっき潜り抜けてきたばかりの階段へと繋がるシャッターが閉じていく。出口前で倒れ込んでいた別の受験者がシャッターに対してか、それとも試験官であるサトツに対してかは分からないが…。
男は必死になって「待ってくれ」と手を伸ばすが、シャッターを抜けたこちらから見ても手を伸ばせば男と同じ道を辿ることになってしまうだろう。…それでも多少は気の毒で、背負っていたリュックから沢山持っていた水のペットボトルの一つをシャッター目前の段に置いた。
「…過度な親切心は身を滅ぼすぞ」
「ちょっと荷物が重く感じたから減らしただけ。だから親切心じゃない」
金髪の人は、シャッターが完全に閉じた直後にそう言ってきた。
"情けは人の為ならず"だと主張すると、何故か金髪の人ではなくトランプ男に鼻で笑われた。いや、お前関係ないだろ…。なんか文句でもあんのかオイ。
だが、試験官であるサトツは何も言わないし問題行動ではない。キルアやレオリオからは呆れたような目で見られるが、とぼけたようにリュックを背負い直すとため息を吐かれた。その一部始終を見守っていたサトツが、同じくため息を吐いてから口を開いた。
「…それでは参ります。騙されることのないように、しっかりと付いてきてください」
「はん!騙されるのが分かってて騙されるわけねぇだろ」
気のせいか、試験官であるサトツにも呆れられたような雰囲気を感じた。それでも今ここで言及するつもりはないのか、試験を再開するというように再度注意喚起するとレオリオはそれに強気な返事をした。お、疑心暗鬼か?俺はすぐに負けるぞ。
その直後のことだった。ついさっき閉まったばかりであるシャッターの陰から、ガサガサと音を立てて一人の男が姿を現した。そうして現れた男はボロボロの身なりをして何かを引き摺りながらもサトツを指差して、こう言った。
「嘘だ!そいつは嘘をついている!そいつは偽物だ!!試験官じゃない!俺が本物の試験官だ!」
「偽物!?どういうことだ!?」
「じゃあ、こいつは一体……!?」
そんな男の言葉に、現時点で残っている受験者達の大半は揃って困惑の表情を浮かべた。他の受験者が思っていることを代弁するように、レオリオと坊主頭の受験者が困惑を口にする。オイオイオイ、死ぬぞアイツ。早速始まったじゃねえか疑心暗鬼が。
自然と偽物だと言われたサトツと男を見比べる受験者が増える中、俺はどうしてサトツが疑われているのか分からなかった。
反対にサトツは男が偽物であっても大して得はないだろう。強いて言うならば、先に忠告をした上での沈黙を守っているだけ。受験生がどちらを信じようと、試験官であるサトツは先に忠告していたことから責められないだろう。
…まあ、最悪サトツが偽物だと言っている男からハンターライセンスを見せてもらえればいい話。ハンター試験でライセンスを奪われるような生半可なハンターが選ばれているとは思えないし、逆にライセンスを提示できない方が明確に偽物と言っても良いだろう。
でもこれも多分、試験みたいなものだろうしなぁ。ここで下手に俺が見破っちゃってもいいんだろうか…。だって俺は流星街やネテロ会長というアドバンテージがある状態で指摘するのに、大半の受験者はそう言ったアドバンテージも無しでこの試験に挑んでいる。
その分俺以上に試験で得られる経験があるのに、俺が進んで前に出たらその経験をまだ安全な今のうちに体験できないまま終わってしまう。これはゴンやキルア、レオリオにも言えること。キルアに関しては身のこなしが普通の子供のように見えないから、何かしら経験を積んではいるだろう。
それでもこの試験で何も得られないまま終わるってことはない筈だ。…何事も若いうちに体験して、後で後悔しないようにしておくに限る。俺は結局そう判断をして、黙り込んでおくことにした。それを見ていたのか、男は証拠を見せつけるように引き摺っていたものを前に出した。
「これを見ろ!こいつはヌメーレ湿原にいる人面猿!こいつは新鮮な人肉を好む…しかし、手足が細く非常に力が弱い。そこで自ら人に
そう言って男が受験者達に見せたのは、サトツにそっくりな顔をした細身の猿だった。……いや、ツッコミどころがかなりあるけど確かに顔は似てるな。そう思ってしまったのは他の受験者達も同様らしく、衝撃を受けたようにサトツを見た。
反対に、サトツはそれがどうしたとばかりに涼しい顔をして何も問題ないように立っていた。うん、やっぱりサトツは本物の試験官だな。仮にこれで間違ってたら、俺はもう笑うしかないな。流石にこの場面で間違えたら誰かを責めたり、俺自身を責める状況になれる程の余裕はないだろう。
「……にしてもよく似てるなぁ」
「レアンは本物がどっちか分かった?」
「えっ……まあ…そんなに難しい訳じゃないから」
「なら、どっちが本物か教えてよ」
いつの間に隣で立っていたゴンからそう尋ねられて、俺はその質問に肯定した。すかさずキルアが追従してくると、自然と他の受験者からも目線を向けられ注目されてしまった。他の受験者ということは、例の針男とトランプ男からも見られているということで…。
…うげ、案の定見られてんじゃん。だが、これはうっかり独り言として呟いた俺が悪いな。そう思って、十中八九悪気がないであろうゴンとキルアの目を見た。それでもやっぱりある二名からの目線が少しプレッシャーになりながらも、俺はキルアの質問に対して答えを口にした。
「サトツさんが本物だよ。思い返せばちゃんと分かった」
「ふぅん…?それって理由はあるんだよね♦︎」
「あ、あるけど……」
キルアに返答した筈が、何故かトランプ男から理由を求められて少し動揺する。俺はそこまでピエロが得意なタイプでもないので、思わずそのピエロメイクと愉快そうに細められた目に警戒して後退りした。驚きと警戒心から、頬か自然と引き攣った。
他の受験者からしてもトランプ男が警戒対象なのは同じらしく、多少俺に向けられた目線が同情的なものに変わる。なんとなく雰囲気が嫌で、レインコートのフードをより深く被った。そんな目で俺を見るな!!おい、やめろ!!俺のそばに近寄るなああーッ!!!
「…”他の生き物と連携して獲物を生け捕りにする”ってことだけど、…サトツさんはここまでずっと一人だった」
「うん、ずっと一人だったよ」
「”言葉巧み”っていう点も、サトツさんは基本必要最低限しか喋ってない。あっても、試験官として説明義務があるところだけかな」
「……確かに、私語とか使ってねぇな」
「”自ら人に扮し”…は流石に分からない。でもあの人が本物だとより主張したいなら、ハンターライセンスを見せればいいのに」
「と、取られたんだよそいつに!!取り返そうと思ったらこのザマだったんだ!!」
「……ハンターライセンスが取られるなど、ハンター協会から試験官として選ばれる筈がないな」
「あとは、…”自ら人に扮し、言葉巧みに人間を湿原に連れ込み、他の生き物と連携して獲物を生け捕りにする”ってあの人自身もやってることだからね。…あの人が単独じゃない以上、自白したように聞こえるけど」
そんなことをつい呟くと、トランプ男は俺の答えに何かしら満足したのかニヤリと笑う。気まぐれな猫のように目を細めたかと思えば、こちらが話をしている間でずっとシャッフルしていたトランプを素早い手際で数枚にする。
自然とそのトランプを目で追っていると、突如そのトランプは容易く空気を切るように手から放たれる。どうやら市販のトランプではないようだった。別々の方向にトランプが数枚放たれ、それはサトツと自身を試験官だと自称する男へと飛んだ。
サトツは自身へと投げられたトランプをいつの間にか両手の指で止めているが、試験官を自称していた男は呆気なくその額に数枚のトランプが突き刺さっていた。十中八九即死したであろう男はそのまま目を見開いて、仰向けに倒れ込んでしまった。
男に引き摺られていた人面猿とやらは死んだフリをしていたらしく、素早く起き上がってから自らを引き摺っていた男の手から離れて逃げて行った。…わお、グルだったのか。自然界って怖えな。確かに致命傷っぽいのはなかったし、死んでる保証もなかったもんな。
「くっく…なるほどなるほど♣︎よく
他の受験者達がサトツの言っていたことを思い出して、各々で青ざめる中でトランプ男は目に見えて上機嫌だった。サクッと人間ではない命を殺めておきながら、酷く愉快そうに笑うトランプ男が俺を見る。
…そうして笑っている筈の顔が、どうしても冷や汗を流すような警戒心を抱いてしまうのはどうしてなんだろう。やっぱ単純に俺がピエロ苦手だからか?試験が開始する時に感じていた既視感が、また強くなるがいつまでも引っかかっていて出てこない。
「君のおかげで助かったよ♪そっちが本物だ♥︎」
「…そ、そう」
「…なぁ、なんでいつの間に気に入られてんの?」
「俺だって分かんないって…!!」
ただトランプ男が意図的に言った言葉に、俺はトランプ男が念能力者だということを確信する。多分、俺が
トランプ男はほぼ確定でハンターライセンスが目的だというのは分かったが…。それを言うなら、一番不明なのは針男だ。一体誰から掛けられたのか分からないが、針男に刺さっている針には微弱だけど
カタカタとしか喋れないのか、それとも針が刺さっている
…というか、見ていて非常に痛々しいからやめて欲しいが本音だけどさ。そんな中、わざわざトランプ男が俺に対して感謝するものだから、どうやら俺よりも先にトランプ男を警戒していたらしいキルアに小声で怪しまれた。
同じハンター試験を受けてるからって、俺そこまで強くもない念能力者なんで別に気にしないでくれた方が助かるんですけど!?行動の意味が分からず、出来るだけトランプ男に見られないようにとレインコートのフードを深く被り直した。
「…このように、これから通る場所には更に
「なるほど……」
レオリオが緊張からか、ゴクリと唾を呑む。まあ、あんなの見たら流石に誰しも緊張感を持たずにいられないだろうな。俺が一番気になってるのは、どうしてあの人面猿があそこまでサトツに似ているのかなんだが…。
いやでもなぁ…ハンター試験の試験官って毎回同じ試験官っていう訳じゃないらしいし、偶然だとしたらとんでもないな…。でもこの湿地帯の性質のことを考慮すると、意図的にサトツの顔へと寄せた可能性もあるな…。それはそれで怖。
「そして、もう一つ。次からはいかなる理由でも私への攻撃は試験官への反逆とみなし、即失格とします。…よろしいですね?」
「はいはい♦︎」
「それでは参りましょうか。二次試験会場へ」
その直後で、サトツは自身への攻撃を行ったトランプ男に対して注意をする。トランプ男は反省の色が見えないながらも、肩を
どうしてもそう思ってしまうが、サトツはトランプ男の言葉に小さく頷いて綺麗にその場で反転してから、まるで歩むように湿原を走り出した。さっきの困惑を拭ったらしい受験者達も、その表情を引き締めて移動し始めた時だった。
「ちっ!またマラソンの始まりかよ!」
「くっ…!下がかなりぬかるんでやがる!」
湿原と呼ばれているだけあってか、その地面はどこもかしこもぬかるんでいて走るというよりは歩くような状態を強制される。流石に階段を登ってきてから少しだけ時間が空いていたとはいえ、全く疲労感を感じないという受験者はいない。
それゆえに、沢山の受験者が疲労した足をぬかるみから引き抜けずに時間を食う。…俺は横着して、レオリオと金髪の人に並走しているように見せかけていた。だって多分、今の俺がこのぬかるみに足入れたら絶対コケるし。
「さっきの階段がどれだけ安定してたのか実感する…」
「そうだな」
「この足場だけでも厄介なのに、これで騙されないように備えろとか無茶にも程があるぜ!」
俺の言葉に金髪の人も思わず頷き、レオリオは愚痴りながらも必死に足を動かして前に進んでいた。そんな中、ふとフォグが俺に対して危険を知らせてくる。…もう少し後続の集団に隠れて、殺気のような何かがゆっくりと広がっていることを。
まるで綺麗な水の中に、殺気という墨を垂らしているような…。まだ音もなく広がるそれは、もう俺達が走っている集団の所まで迫っていた。あまりの速度に俺がレオリオや金髪の人に伝えるよりも先に、その雰囲気が広がる。ゾワリ、と鳥肌が立った。
「…二人共、今って頑張ったら少しでも前に出れる?」
「はぁ!?こっちはもう十分頑張ってんだ!!」
「うんまあ、そうだよね……」
レオリオがほぼ怒鳴るように返答してきて、俺も返す言葉がなくなる。…でも、レオリオと金髪の人だけならどうにかしてあげられそうだ。今に至るまでの時点で俺と多少接点があるのは、この集団の中でこの二人だけ。
だからと言って、他の受験者に対して俺が念能力を使って助けてもいいのだろうか…?それに、この二人は俺の感じ取っている危機感を信じてくれるだろうか…?そう悩んでから、結局俺は二人に小声で背後の状況を伝えた。
「…ここだけの話なんだけど、今背後であのトランプ持ってた人が暴れてるんだと思う」
「トランプって…あぁアイツか!!」
「俺達の後続だった受験者達に対して、殺気を向けてるからいずれこっちに来る」
「…マズいな、それは」
「あと、今俺達が混じってる集団…道間違えてるからもっと危ない」
俺がそう言うと、レオリオが怒り混じりに叫ぼうとしたので
確認する度に悪化しているようだった。…はぁ、控えめに言って最悪だ。そうため息を吐いたのも仕方ない。それくらいには、ほぼ確定であのトランプ使いには勝てない。俺が挑んでも、それこそレオリオと金髪の人が挑んでもだ。
「じゃあどうすんだ!!つーか道間違えてるって分かんなら、お前が正解の道に案内しろよ!!」
「本当!?流石、話が早くて助かる!!」
「……おい、信じるのか?」
「どの道、後ろからあのピエロ野郎が来てんなら多少可能性がある方を選ぶしかねぇだろ…!!」
「…えっと、信じられないならいいんだ。でも俺と一緒にいた二人に何も言わないのはどうかと思っ」
「レオリオー!クラピカー!キルアが前に来た方がいいってさー!!」
先程まで混じっていた集団から離れ、小声でそんなことを話し合っているとゴンの大声が届いた。…と言うか、金髪の人ってクラピカって言うんだ。クラピカという名前にトランプ男と同じように既視感が脳裏をよぎるが、今はそんなことを考えている場合ではないと頭を振って掻き消す。
するとレオリオがゴンの声に対して、同じく大声で返答する。…思わずクラピカと揃って耳を抑えてしまった。
「ドアホー!行けるならとっくに行っとるわい!!」
「そこをなんとかー!!」
「ムリだっちゅうのー!!」
「……とりあえず、前に置いて行かれない程度に進路変更して正しい道に戻ろう」
レオリオの大声に耳がキーンとしながらもそう言うと、二人はゴンの大声もあって俺の言葉を信じてくれた。それを補助しているのか分からないが、進路変更してしばらくすると周囲を最初よりも濃い霧が包んでくる。
3m以上先が目視できなくなる程の濃厚な霧に注意しながら、俺はレオリオとクラピカが逸れていないか何度も確認しつつ…ゴンとキルアの微かな
「ってぇーーー!!」
不意にレオリオが痛みを
即座にレオリオを庇うように前へ出てトランプが飛んできた方角を睨むと、くつくつと喉を鳴らして笑う声が濃い霧の向こうから近付いて来た。…"やあ、ジョージィ!"ってか?
「ダーメ♠︎せっかくのキャストが逃げるだなんて、許さないよ♥︎」
「…レオリオ、動ける?」
「あぁ……一応はな」
思った以上に早く遭遇してしまったトランプ男と
俺は
…トランプ男の雰囲気を見ている限り、念能力に詳しくないとは思えない身のこなしをしてるしなぁ。どれだけ楽観的に見ても、状況はこちらの圧倒的不利。仮に覆るとしても、フォグが出てくるレベルの事態にならないと無理だろう。
「……やっぱり、君はここで
「?…何のこと」
「いいや、こっちの話さ♪」
こちらは警戒心バチバチにして様子を
ヤバいと思って俺が
「かは……っ!!??」
「それでもまだ、ボクが狩るには青すぎる♠︎」
体内にあった空気が逆流し、少し酸っぱい匂いがする息が口から吐き出された。あまりの衝撃にその場で
それでも多分、踏まれている背中へは思った以上に体重がかけられていない。だが、鳩尾を
「ボクに気付いたのは良かったけど、
「レアン!!」
少しくぐもった視界と音の中で、クラピカが俺の名前を呼んでいた。
にわかと自称しただけあって、東方Projectキャラで金髪赤眼が割といることを知りました。