ヘスティア・ファミリアのエセシスター 作:カラスガラス
アマゾネス襲撃事件が終息し、朝日が昇り始めた頃にようやく私はホームへ戻る事が出来るようになった。
アマゾネスが受けた傷は私やアミッドの魔法でしか治せない強力な
「どこから……」
この感じ、人間ではない。
集中する。そして見つけた。
私の直感が指し示したのは、近くの建物の屋根の上。そこにはフクロウがいた。ただし、その目はただの目ではなかった。
「ッ……やられた……!」
黒鍵を複製し、投擲。フクロウの人工物である目を貫いた。
あの目は恐らく
『神秘』持ちでもなければ作れないが、私が把握しているオラリオの『神秘』持ちで私たちのホームを監視する必要がある者などいない。いるとすれば、迷宮モドキを作った者あるいはその者が残した遺産を持つ者。最も可能性が高いのは
「みんな! 起きて!」
早朝だが、構わずみんなの部屋を回る。
最悪の想定としては、
「こんな朝に、どうしたんだい……ユイ君……」
眠り眼を擦りながら起きてきたみんなを代表してヘスティア様が言った。
同じファミリアとはいえ、ベルたちを巻き込むつもりはなかった。下手に混乱を招くのは避けたいため、民衆にも知られないうちに終わらせるつもりだった。ベルたちも知らないまま終わればそれが良かったが、確定ではないとはいえ
「ごめん、みんな。聞いて。真剣な話」
広間に集めたみんなの顔を順に見渡す。ウィーネと名付けられたヴィーヴルもついて来たが、今は良い。
「えっと、ウィーネの話ですか……?」
「いや、その話じゃない。昨日私が言った事覚えてる? 大きい案件抱えてるって」
「はい」
ベルに答える。
そっちも大きい案件だが、こっちの方が直接の危険度は高い。
「本当は黙ってる予定だったんだけど、事情が変わったんだ。だからみんなに言っておくよ。単刀直入に聞くけど、
「
「うん。5年前ぐらいまで暴れてた犯罪集団なんだけど、それが最近また活動を始めた」
そこまで言ったところでバンッとテーブルを叩きながらリリが立ち上がった。
「そんな!
「ごめん。残党が残ってたみたい」
「では、まさか、また暗黒期のように……!?」
「そうさせないために私たちは動いてる。今はアジトを見つけてその調査もしてた」
リリはまだ理性的な方だ。私やアリーゼたちが正義として矢面に立って
「それでユイ君、どうしてそれを話す気になったんだい?」
「さっき帰ってきた時に、このホームが何者かに監視されてたからです」
「な、なんだって!?」
ざわりと動揺が広がった。
「と言っても、監視の目は鳥に仕込まれた
「待ってくれ。ならユイは俺たちが
「昨日までは、まだ大きな動きを見せるとは思ってなかった。でも、昨日。これは公式には発表されてないから、内密にしてほしいんだけど、昨日【イシュタル・ファミリア】のアマゾネスたちが
「そ、そんな……! アイシャさん……!」
「春姫殿!?」
「アイシャ・ベルカ……『
今回の襲撃で少なくない犠牲者が出た。私の力でも救えなかった人がいた。
いや、言い訳だ。私の【ラヴィ・ルミエール】第四詠唱式を使えばきっともっと救える人はいたはずだ。でも、私は使わなかった。まだ間に合ったはずの人を私は見捨てた。
死者の蘇生という奇跡だ。それが知られたら。そう考えると多くの目がある場所では使えなかった。
「ごめん、話を進めるよ。すぐには動かないだろうと思ってた
みんなが黙る。
当然といえば当然かもしれない。みんなからすれば、とばっちりも良いところだ。
「みんなの事はちゃんと守れるようにする。でも、この件は【ロキ・ファミリア】とか他のファミリアとも連携しないとだから。その子まで手を回せないっていうのはそういう話なの」
「ヘスティア様は、この事を知っていたのですか?」
「うん、ボクはユイ君から聞いていた」
ヘスティア様には暗黒期から一緒に戦っていたのもあって、あらかじめ概要は話していた。ただ、ベルたちに関しては、昨日までの段階では
秘密裏に処理して、知らないままに平和に過ごしてくれるのが一番良かった。
「ボクも無闇に話さない方が良いって事に賛成していたんだ。だから、ごめんよ。黙ってて」
「とりあえずは【アストレア・ファミリア】に保護してもらえるように言ってみる。
「うん。でも、そうなると……」
ヘスティア様が目線をウィーネへ向けた。
そう。ベルたちを【アストレア・ファミリア】に保護してもらうとすると、また1つ問題が出てくる。
「やっぱりすぐにでもダンジョンに……」
私がそう言った瞬間、玄関のチャイムが鳴った。
「あ、僕が出てきます!」
嫌な予感がした。
訪れたのは、一見モンスターのスパルトイに見違えるような人物だった。フェルズと名乗り、元人間だというその人物が語ったのは、喋るモンスターの事だった。
人間と同じように言葉を話すモンスターは
そして、その
「ヘスティア様」
「嘘をついている様子はないよ」
「…………」
そんな話を聞かされてどうしろと。
現実的に考えて、いくら人間と同じように話せるだけの知能があったとしてもモンスターが地上で暮らすのは不可能だ。そんな事をいざというときに身を守る手段がない民衆が受け入れられるわけがないし、自衛手段があったとしても普段モンスターと戦っている分冒険者はそれが敵だと強く理解している。よほどの酔狂でなければ到底受け入れられないだろう。
『それと、すまない。
「そうですか」
これは朗報ではある。危険がないとは言えないが、
「それで、ここに来た目的は?」
『その子……ウィーネを
「……分かりました。階層と場所を教えて下さい。私がすぐに届けてきます」
『待ってくれ。君だけではなくベル・クラネルたちも共に行ってほしい』
「却下です。ベルたちの歩幅に合わせてゆっくり行けるほど暇じゃない」
『どうしても、だろうか』
「貴方がギルドの人間なら共有しておきますが、今は
『それでは意味がない。我々は彼らへの架け橋となる者を探している。ベル・クラネルと、君を含めたこの場の仲間たちはそうなり得る。その子を保護して送り届けるという彼らにとっても受け入れやすいこの機会を逃したくない』
「であれば一旦ウィーネを預かってください。べつにそれが嫌だと言っているわけではありません。タイミングが悪いだけです。最近の
『……分かった。ウラノスに相談してみよう』
そう言ってフェルズと名乗った者はホームを去った。
そしてそれから少し。ウィーネがいる以上、下手に動く事も出来ずホームで待っていると、ギルドからの遣いが訪れた。持ってこられたのは、ギルドからの
その内容は、【ヘスティア・ファミリア】全員でウィーネを指定の場所まで届けるというもの。
「うーわ……最悪」
ウラノス様の判断だとは思うが、なぜこうなったのか。後でやると言ったのに。
ともかく、せめて簡易な封筒で済ますのではなく意思疎通をしようとする姿勢だけでも見せろと思った。
とはいえ、爆弾を早々に処理出来ると考えれば悪い事ばかりではない。あっちが
○主人公
・ベルたちと共に原作通り
・試すために襲い掛かられたが、軽くいなした
○ウラノス
・
・【ヘスティア・ファミリア】に対して
・強引ではあったが、その他【ヘスティア・ファミリア】団員はともかく、主人公を失うのはオラリオにとっても損失が大きいため、万が一【ヘスティア・ファミリア】が孤立しそうな場面になれば全力でなんとかするつもりである(仮に主人公がオラリオを離れるような事態になれば【アストレア・ファミリア】もどうなるか分からない。特にアリーゼ)