一夏達と別れて後…自室に戻った俺はドアの鍵を閉め、目を閉じて意識を集中させる
他人から見たら瞑想しているかのようにも見えるだろう…ぶっちゃけ、今しようとしているのは企業連との通達。これは体内のナノマシンを用いてネットワークを開き、回線を繋ぐという企業連の者だからこそできる芸当だ
『システム、通信モード…回線、開キマス』
システムボイスと共に目を閉じて暗かった景色が変わる
リンクスの指揮役であり、カラードNo.8の王小龍が目の前に居た
『中国の代表候補生と接触したか。』
『あぁ、それなりに鍛えられていると見える。』
『…その言動からして、まだ実力は見ていないようだな』
『まぁな。ところで、来週に行われるクラス対抗戦についてなんだが…』
『それには心配いらないよーー♪』
不意に場違いな声がした。言うまでもなく束さんだ
『束さん…来ていたんですね。』
『当ったり前じゃん!私は…いつもニコニコ、君たちの側に寄り添う兎の束さんだよ!!』
『止めてください、そのネタはとある混沌さんがやるから成り立っているのであって、あなたがやったら洒落にならない(色んな意味で)』
『…束博士、例の無人機は?』
『もう完成しているよ。いっくんを鍛えるにはこういう場面も必要だしね♪』
『ところで、当日俺はどうすればいいですか?』
『如月、お前はタイムリミットが超えてから動け。それまでは待機だ。』
『なるほど…』
王小龍の言葉に俺は何となく察した……つまり
『後片付けの役割に回れ…と、そういうことですね』
『言ってしまえばそうだ。』
『…束さんは?』
『特に言うことはないよ、ちゃんとシナリオ通りに動けたらそれで良いし。』
どうやら異論はなさそうだ
『では頼んだぞ、如月。』
『あいよ。んじゃ』
そして回線を切り、閉じていた目蓋を再び開けると…
「あー、やっと起きた!さっきから声掛けてるのに無反応だったからお姉さん悲しいわ。」
「…なぜ部屋にいる」
厄介な人物(更識楯無)が目の前にいた
「鍵は占めたはずだが?」
「お姉さんにとって鍵開けは十八番よ!」
「不法進入で突き出すぞ……まぁ、どうせ俺からカラードの情報を得ようとしたんだろうが」
「気づいていたのね…。」
「俺も伊達に傭兵をしてるわけじゃないからな、あんたの行動は大体予測できていたよ。」
最も、前世の世界で俺は彼女の性格を大体理解していたというのもあるが……ともあれ、とりあえず言っておくか
「更識楯無、俺が此処に派遣されたのは喧嘩をしに来たんじゃない……織斑一夏と篠ノ之箒の護衛だ。」
「偽りは…無さそうね。」
すると楯無は一度目を閉じる…そして次に開いたその目には先ほどまでの警戒心はなかった
「じゃね、話せて楽しかったわ」
それだけ言って楯無は部屋を後にした