消失!タップダンスシチー海賊団   作:アテル

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前回のあらすじ

この不思議な空間の謎を追い求め彷徨う私たち。途方もないこの場所で、何を見るのか。あ、待ってよタップ~!!


Find out ~古の世界へ~

 あれから30分くらいが経った。ツインテのペースに合わせて休み休み進んでいると、何か違和感を感じ取った。

 

「なぁ、なんか狭く感じないか?」

「え?」

 

 ほんの僅か、僅かな違和感だ。しかしアタシの目はそれを確かに感じ取った。そう、この空間がどことなく狭く感じる…というか限界を感じたのだ。壁が見えた、の方がいいか?あ~その方がよさそうだ。

 さっきまで果てしなく続いていた、horizonが見えていたはずなのにそれが見えない。その違和感を感じとったんだ。

 

「Hey!大冒険の匂いだ!」

「ちょっ!待ってよタップ~!置いてかないで~!!!!」

 

 

______

 

 

 

 時刻は13時半。開始からかれこれ3時間は歩いている。途中で休憩なんかも取って来たが、こうも成果がないと疲れが嫌なくらい押し寄せてくる。

 

「ト~レ~ナ~さ~ん~!!いつまで歩くの~???」

 

 俺の方に寄りかかり、引きずられながら話すヘアバンドの戯言が耳に入る。やはり無理をさせてしまっただろうか。だが後悔してももう遅い。とにかく今は前進あるのみだ。そう己を奮い立たせ、ただ無言で足を進めた。

 そんなこんなでもう20分、ただひたすらに歩いた。道標を撒き、ヘアバンドを引きずりながらという重荷を背負いながら。

 

「ん?」

 

 そんな時、俺の視界に何かが映り込んだ。遠くにボヤっとした影が。

 ついさっきまで何もなかったこの場所で、一体何があるというのだ。

 疲れは吹き飛び、心は好奇心のみで埋め尽くされた。ヘアバンドを引きずる重い一歩一歩の足取りは一瞬で軽くなりスキップでもしそうな程軽快になった。

 

「ちょっ!トレーナーさん!何々!!??」

 

 突然早くなる足取りに困惑するヘアバンドも俺が目指す方向を見れば反応が変わった。彼女にも見えたのだ。その影が。ロマンが。

 

「うっし!ケッコー休んだし、ここからはあーしが頑張る番っしょ!」

「えっ!うわっ!」

 

 影を見つけた途端、俺に寄りかかっていたヘアバンドが急に立ち上がり、今度は俺をおぶって走り出した。

 おぶりながら速度は普段トレーニングで見る時よりも当然、遅かった。だが疲れ切った俺は世界で2番目に早いんじゃないか。そう錯覚するくらいには興奮しておぶられていた。

 

 

______

 

 

 

「HA!やっぱりそうじゃないかッ!」

「ぜぇ…ぜぇ…タップぅ…置いてかないでよぉ…」

 

 足取り軽く進んでいくこと10分弱。アタシらはようやく目的地に着いた。そこはこれまでただ面白げもなく広がっていた空間とは少しだけ違う。

 

「はぁ…はぁ……ん?タップ、これって…」

「ああそうだ。『壁』さ」

 

 目の前にあるのは壁。これまで歩いてきた雲みたいなのと同じ物でできた壁だった。pureな白さも、触るとフワフワしているのも変わらない。何もかも一緒だった。

 壁がある、つまりこの空間には限りがあったんだ。

 

「壁…。ってことは、ここは端っこ?」

「になるな」

 

 ここに果てがある。それだけで大きな収穫だ。だがもう一つ確かめたいことがアタシにはあった。アイツが語っていた、ここの可能性。それが本当なのか知りたかった。

 おもむろに鞄からある物を取り出す。銀色に鋭く輝くそれ。トレーナーに持たされた唯一の武器、アーミーナイフだった。

 

「タップ…それは?」

「しっかり踏ん張れよ。這いつくばっててでも!」

 

 knifeで壁を一突きする。すると確かな感触が手から伝わって来た。突き抜けたんだ。奥には何もない。

 覚悟を決めて突き刺したknifeを引き抜く。soupの入ったお椀を落としたような後悔が、手先を離れなかった。

 横数センチの僅かなな裂け目。突風が吹き荒れる。自由の海()目掛けて一斉に飛び出していく空気が、アタシの手無しに裂け目を大きくしていく。数センチだけだったそれはモノの1分足らずで外が覗けるくらいの大きな穴になっていた。

 

「AH~ウチの航海士はやっぱり最高だ。まさか本当に的中させちまうなんてな!」

「タップ?!何?!どういう事?!風ッ凄くて…何にも見えないんだけど…」

「トレーナーの言ってたことは正解だったってことだ。逃げるぞ」

「ちょっタップ!?うわぁあああ!!!」

 

 長い間ここに居たらアタシらも巻き込まれる。そう判断しツインテを抱えて走り出した。突風に抗いながらの全力疾走は流石のアタシもきつかったが、仲間の命を背負ってると思えばなんてことはない。自己ベストに近い速さを出し、その場から去っていく。

 走っている最中、あの時見た光景が頭を離れなかった。裂け目から見えた景色が。海よりも透き通った青い空、何にも染まっていない白い雲。その他一切がない空間。空だ。アタシたちはやっぱり、空の上に来ていたのだ。

 

「Lucky!航海士様に大きな手土産が出来た!」

 

 

______

 

 

 

 ヘアバンドにおぶられながら着いた場所。そこは何とも非常識な場所だった。先ほどまでの何もない空間とは打って変わり、バカでかいオブジェクトが2つ、堂々と鎮座している。

 

「飛行機と…」

「船…」

 

 1つは飛行機。それもただの飛行機ではない。少人数向けの小型機だ。現代の様なシャープさのあるフォルムではなく、愛嬌のある丸みを帯びたフォルム。どことなく、懐かしさを覚えさせるのは何故だろうか。

 もう1つは船。それもかなり大きい。恐らくは貨物船の類だろう。白とオレンジで彩られた船体はステレオタイプ貨物船そのものだ。もう何年も使われていないのだろうか、所々に赤さびが目立つ。

 

「よし…まずは…」

 

 飛行機だ。理由は単純、近くにあったから。

 近づいてそっと触る。一体何の用途だろうか。ジェットの様な重厚感を感じた。少し擦ると錆が取れ本来の状態が見える。紺色…だろうか。塗料はかなり剥げているが紺の塗装が施されていた。

 

「やけに古いな…」

「トレーナーさん!中!中凄いよ!!」

 

 外観を確認していた俺の耳にヘアバンドの声が届く。アイツ…もう中見てたのか。

 渋々今の位置を離れ、操縦席の方へ移動する。操縦席は少し高く、俺一人の力じゃ届かない。その為ヘアバンドの力を借り何とか上った。

 縦長のコックピット内部には3つの席があり、それぞれ…これは…操縦桿のある操縦席と…えっと…何だこれ。真ん中は何をするのだろうか…。かなり大きな機械を操作する役割の様だ。また座席の近くにはレバーが取り付けられており…ん?小型機の真ん中で何を操作するんだ?

 

「なんだこれ…」

「トレーナーさんも知らないか~。トレーナーさんなら知ってるって思ったのに…」

「俺だって知らないことくらい沢山あるさ」

 

 もう一個の席を確認して、その後に件のレバーを調べるとしよう。

 最後の席は他二つと違い完全に独立したスペースとして成り立っていた。丸い屋根に覆われたドーム内に席がありドームからは1本、何かが突出していた。席の中からはよく分からない。

 仕方がないので、他の場所を確認する。多種多様なボタンがあり、試しにいくつか押してみる。すると機体の下部で何かが開く音がした。中には何も入っていないようで落ちた音はしない。

 

「とりあえず分かることがある」

「何!?何が分かったの!?」

「これはプライベートなものじゃない」

「マ!?そんなの分かんの!?」

 

 プライベート用…例えば家族旅行用などにしては機能が多彩かつ席が小さい。もっと組織的な理由で用いられていた飛行機だろう。そんな浅い結論を導き出した時、俺の脳内で一つ意見が湧いた。最悪で惨たらしい、そんな発想が。

 

「まさかっ!」

「ちょっ、トレーナーさん!」

 

 すぐに機体を降り、先の突出していた物を確認しに行く。機体後部に取り付けられていたそれ。長く、武骨で恐ろしい物だ。さび付き光るはずのないそれの中に、確かな()()を感じ、背筋に悪寒が走る。

 

「トレーナーさんどったの?」

「これ…戦闘機かもしれない」

「戦闘機?!軍隊が使うやつじゃん!!チョーカッコイイじゃん!」

「まぁ…ね」

 

 確かに戦闘機などのそういうのは格好いい。それは認める。俺とて、男の子だ。

 だが教育者の端くれとして、こうした兵器を素直に誉める気持ちが湧いてこないのだ。誰かを守る為、という建前は綺麗かもしれない。だが所詮、誰かを殺すための道具なのだ。

 

「…取り敢えずもう一回中を見よう。何か機体に関する情報があるかもしれない」

「おっけー!」

 

 あーやめやめ。今はそんな事を考えている場合じゃないのだ。

 気持ちを切り替え再び機体の観察に戻る。操縦者らの情報でもいい。機体自体の情報でも構わない。とにかく今欲しいのは1つでも多いこの空間に関する情報なのだ。

 操縦席は…数々のコンパスやメーターがある。それしか分からない。…いや、恐らくだがこの付近に製造に関する情報があるだろう。ステレオタイプな予想だが、それに賭けるしかない。

 

「えっと…」

「トレーナーさん、何探してんの?」

「いやさ、なんかシールみたいなのが貼ってないかなって」

「シール?」

 

 操縦席の1つ奥の席を漁っていたヘアバンドも、俺の言葉を受け同じものを探し出した。が、狭い席だ。1分足らずでシールがないことは分かってしまう。

 どうしようか。大きな手掛かりが何一つないことに焦りを覚えていたその時だった。

 

「トレーナーさん!これっ!これなんて読むの!?」

 

 ヘアバンドが何か見つけたようだ。すぐさま後ろの席へ顔を出し、彼女が発見したモノをチェックする。

 先程スルーした、操縦席後部に取り付けられた巨大な機械。その機械の下部に何やら刻印が刻まれていた。少しさび付いているが読めないという事はない。俺は文字を指でなぞりながら読み上げていく。

 

「えっと…『TBF Avenger』…。Avenger、復讐者か。中々物騒な名前だ」

 

 この機械の名前かとも思ったが、そんなことはなさそうだ。こんな物騒な名前だもん。絶対戦闘機の名前じゃん。

 

「あとは…『Produced 1941』。1941年製…まさしく戦時中だ」

 

 少し顔が引きつっているのを自覚する。嫌な想像が当たってしまったもどかしさが体の奥を突き刺してくる。まぁいい。とにかく情報は手に入った。少なくともこれは英語圏で製作された戦闘機。連合軍側の機体なのは確実だろう。

 …まぁ、高校までの歴史の授業から知識引っ張ってきてるだけであってだからどうとか無いんだけどさ。

 

「こういう飛行機がどれ位長く使われるか分かんないんだけど…まぁ、長く見積もっても使われなくなっても半世紀は立ってるよな。俺の仮定があってるとすればこの機体は飛行中ここに迷い込んできた。つまり…ここで50年は存在し続けてる訳か」

 

 無論、どこかで保管されていた物が俺たち同様の未解明謎手順で運ばれてきた可能性も大いにある。だが、それでも、他に建物片が見当たらない以上野晒しにされていた機体がここに来たことだろう。それも原形が十分に保たれた状態で。となれば使用されていた期間に発生した現象と考えるのが道理。

 今ここで俺たちは大きな情報を手にした。少なく見積もっても半世紀、助けを待つなんて受け身の状態ではいけないという事がハッキリと分かった。

 

「行こう。少しでも早く、多くの情報を持って帰るんだ」

 

 決意に背中を後押しされながら機体を降りる。

 絶対に、ここから抜け出してやる…!

 

 

______

 

 

 

 戦闘機の探索を終えた後、俺たちはもう一つの残留物、巨大貨物船の探索を開始していた。一通りの探索を終えたが特段目立つところはない。いたって普通の貨物輸送船でしかなかった。

 不思議だった。片や戦時中の、争いの痕跡。もう片方は平和な日常の証。その2つが同席している、そんなこの空間が奇妙で仕方がなかった。

 

「最後は…ここか」

 

 内部の探索を終え、最後の調査を行い場所についた。これがどういう船なのか、それをマジマジと見せつけるこの場所…船の甲板にして荷台。乱雑に崩れたコンテナが並ぶ船上だ。

 

「グッチャグチャだねぇ…」

「ああ。こりゃ酷い…」

 

 我々が想像する、テトリスの様に綺麗に敷き詰められたコンテナのイメージとは一転、まるで引っ繰り返したかのような綺麗さの欠片もない状況だった。ボコボコに歪んだ船体、異常なまでに少ないコンテナの数、開きっぱなしのコンテナ。荒れていた。

 

「なんか似てるよね~。あーしたちがここ来た時と」

「確かに。棚とか倒れまくったもんな~…!?」

 

 確かにヘアバンドの言う通りだった。前後左右も滅茶苦茶、これを狙って人間がやるのはほぼ不可能。そう、そうなのだ。俺たちと全く同じなのだ。こうしてグチャグチャになってしまったこれはまさしく、俺たちと同じなのだ。

 

「海の上でアレに巻き込まれちゃったら……だよね」

 

 嫌な想像をしてしまったのだろう。ヘアバンドは手を合わせた。俺もそこに続いて手を合わせよう。そう思った瞬間だった。

 

「…ごめん!俺、もう一回船内行ってくる!」

「えっ!ちょっトレーナーさん?!」

「おかしいんだよ。俺たちと一緒なら、中も多少は荒れているはずなんだ。でもさっきのは荒れてない。人がいたはずなんだ!」

 

 先程船内を見た時、その中は整頓されていた。本棚の中まで。

 固定された形跡はない。コンテナが倒れるほどの揺れで、本棚から本が落ちないはずがない。ここに着いた後、何者かが整理したと考える方が自然なのだ。

 

「あっ、あーしもっ!」

「ダメだ。君はコンテナの調査をしなきゃならない」

 

 時間が惜しい。分かれて行う方が効率的だ。

 

「これ使って」

 

 ポケットからある物を投げ渡す。興味とロマン…それとほんの少しの備えの意識で買ったが、まさか本当に使う日が来ると思っていなかった代物、万能ナイフだ。

 そのまま俺は船内に駆けていった。すぐそこに、大きな危険が迫っているとも知らずに。




物語が動くとセリフで回した方が楽になるからって状況描写雑になる癖は直すべき

タプトレが持ってるロマンの美学って多分、ただ競い合って頂点を目指す純粋なモノなんですよね。誰かを殺して蹴落とすタイプの最強を求める男じゃない。ゲーム内でも『最強』にこだわってる節ありまし、真の対戦相手は自分的な認識が根強いんだと思っています

断っておきますが私自身の思想は何一つ反映させている意図はございません。物語上必要だから戦闘機を出したし、この状況を前にどういう反応をするか詰めていったからああいう動きとワードが出てきただけです。私自身は心の底から平和を願っております
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