消失!タップダンスシチー海賊団   作:アテル

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前回のあらすじ

トレーナーさんったら勝手に船内に戻ってちゃったけどあーしはお宝発掘しちゃうもんね~。わ!?何このもくもく!


Wake up!~ロマンの世界へ~

 Duh,what happen?確かツインテを助けようとしてそれで……どうなったんだ?

 

「Ham…これは…」

 

 見渡すとそこはトレーナーの自宅に似た光景だった。フローリングの床に、キッチンダイニングリビングがつながった家。そういえば日本に来たばっかの頃、仲間の家に泊めてもらった時もこんな感じの家だったな。

 でもその2つよりもずっと広い。richな家だった。金銀財宝を模した装飾が各所にぶら下がっていて随分アタシ好みに仕上がっている。ソファも大きい。アタシの勝負服の色に似た赤色が使われて人が二人寝転がっても十分な広さだ。

 

「パパが来る!」

 

 幼い声が聞こえたと思うと慌ただしい足音が響いく。ソファの陰になって全身は見えないが、わずかに見えたウエーブがかったchestnutとウマ耳は、アタシやmamaのによく似ていた。誰だろうか。気になったアタシはつい彼女の後を追って玄関に向かう。

 6人くらいならすっぽり入りそうな玄関で、跳ねながら『パパ』を待つおちびを見つける。彼女を一目見た時心に響くものがあった。トレーナーと初めて会った時のあの感覚、それ以上の親近感を抱いた。親近感…それすら生ぬるいかもしれない。愛したい、大切にしたい、そんな暖かな気持ちが無限に湧き出てくる。

 やがて鍵を回す音がして玄関の扉が開かれる。そこから出てきたのはなんとトレーナーだった。幾分か年老いているが顔立ちが、ただいまと呼び掛けてくる声が、何より笑顔が、トレーナーと何も変わらない。どうしてトレーナーがここに…?混乱するアタシを他所におちびがトレーナーに抱き着いていく。

 

「パパ~」

「はいはいただいま~…よいしょっと」

 

 軽々と、自然に抱き上げる姿は毎日行っているような滑らかな動きだった。そして二人はアタシの方を不思議そうに見つめる。アタシを見つめる顔とだらんと空いたトレーナーの片腕が甘い誘いをする。こっちにおいで。そう言ってるような気がして…アタシは後ろ髪をひかれる感触を感じながらも、抱き着いた。

 

「ただいま、タップ」

 

 魅惑的で優しい囁きが脳に浸透していく。これでいい。ここでいい。このままがいい。ロマンじゃない衝動が湧き上がってくる。ロマンじゃない。頭でどんなに理解していても衝動に負けてしまう。蕩けるように、堕ちるようにアタシは…

 

「おかえり、darling♡」

 

 

______

 

 

 

 気絶する直前の記憶が若干曖昧だが…こんな所で気絶したわけじゃないのは確かだ。いつもの仕事着な服装、気絶時と一緒だ。トレーナーバッヂは変わらず輝いてる。でも…このエレベーターは…なんだ?シルバーに輝き余程丁寧に管理されているエレベーター。見覚えはない。どこか立派なビルにでも来ている気分だがにしては…壁に貼ってある子供向けスポーツクラブの張り紙が違和感を持たせる。

 さながらアパート…マンションの方が良いだろうか。マンションのような生活感を見せている。

 やがて最上階でエレベーターが止まる。息を飲み意を決してエレベーターから出ると白を基調とした廊下に出た。…タワマン最上階ってこんな感じなのかな。カーペットが敷かれいかにも豪華だ。

 

「…これ、ここが…」

 

 ポケットに入ってる鍵を取り出し対応した部屋に向かう。…最上階のど真ん中。少し他の部屋よりも派手な飾りつけの玄関の表札には俺の苗字。違和感と納得感が混じった奇妙な気持ちを抱きながらもドアを開ける。

 

「パパ~」

「うおっ!?」

 

 扉を開けて出てきたのはウマ娘の幼女。元気に跳ねまわりながら俺の胸に飛び込んできた。慌てて受け止め抱き上げる。パパといい頭を摺り寄せてくる姿に、困惑より先に愛おしさが沸いているのはどうしてだろか。自然と彼女の頭を撫でていた。

 ウェーブがかった栗毛を見ているとついタップを連想してしまう。単なる写し鏡ではないが、タップが見えてしまう。そんな幼女だった。

 

「おかえり、darling♡」

「た…タップ!?」

 

 そうこうしているとタップもこちらに抱き着いてキスをしてくる。俺の知る彼女より随分大人びて、色気も増した彼女が犬のように、今と変わらず甘えてくる。いや、下手したら今以上に甘えん坊かもしれない。幼女を押しのける勢いで俺の胸に顔をうずめてくるタップを撫でながら落ち着かせなんとか引き離す。幼女も下ろして、驚愕の大逃げにペースを乱されて大差をつけられていた困惑と疑問がようやくやってきた。

 

「んっ…えっと…なんでタップがウチにいるの?てか…この子は?」

「HA?honeyが家に居て何がおかしいんだい?それにアタシたちの可愛いbabyを忘れたって言うんじゃないだろうな」

「は、ハニー!?」

 

 驚く俺に怪訝な視線を一瞬向けるもすぐに手を取り家の奥へと引っ張っていく。引かれている左手の薬指には輝くシルバーリングが。…これ、結婚してるってことなのか?

 もちろんそんな覚えはないが…状況証拠が物語っている以上一旦受け入れなければならない。さて…こうも摩訶不思議が連発してくると流石に慣れがやってくる。俺の足に抱き着いてくる娘(推定)に、足ブランコをさせながらも思考を巡らした。

 船上で突然靄が発生して俺を飲み込んだ。飲み込まれた直後、異常なまでの眠気を感じしばし耐えていたがついに意識を手放し…目が覚めたらこうだ。考えられるパターンは2つ。夢か、異世界かだ。ま、異世界だなんて非現実の極みみたいなものなので今回は除外して考えよう。もし仮にそうだったら…適応すればいい。

 とはいえ夢と言われてもいささか信じきれない。さっきのキスだってしっかりと唇の感触はした。…数年ぶりのキスだった。ただ…キスって、こんな感じだったっけ。

 

「ほ~ら、早く席に着きな。折角のdinnerが冷めちまうだろ?」

「あ、あぁ……いただきます」

「わ~い!いただきまーす!」

 

 促されるままに席に着く。まさかタップが料理できるようになってるなんて…。いやマシュマロパイ焼けたりとしてたけどこんなちゃんとした料理できたっけ。運ばれてきたのは暖かそうな煮込みハンバーグ。拳くらいの大きさあるそれに彼女らしさをまた感じて笑みが零れる。この豪快さが心地いい。夢を預けたくなる。チラと指輪に目線を向けた。これも、人生を預けた証だ。そう思うと胸がほんのり熱くなる。

 そしてハンバーグを口に一口、また笑う。…俺の全く知らない味だ!ハンバーグとすら言い難い味に顔が歪む。肉でもない何か。ソースと言い難い何か。いくらタップでもここまで酷くはないだろう。考えられるは、この空間自体がおかしいということだ。

 

『チッ。せっかくトレーナーのクソボケが治ったって思ったのに』

 

 ふと言われたことが蘇る。…わかってるよ。本当は。夢だって。…心のどこかで、理由付けて、難癖付けてこの空間にいたかった。残ってたかった。でもあらゆる要素が俺を拒む。お前はここの存在じゃない、いちゃいけないって。

 

『…これだからクソボケは』

 

 なんでだろうね。それはきっと、この空気が暖かいから。愛おしいからなんだと思う。手放したくない、離れたくないって思うほど尊いものだからなんだろう。

 でも!夢にしてはリアルだけど、この胸の熱さに嘘はないけど、やっぱりこれは虚構なんだ。君が俺と一生を共にしてくれるって約束して、愛の結晶が生まれて…そんな奇跡まだ俺は知らない。でもこうして向き合って分かった。今まで無意識に逃げてた俺の気持ち、君の気持ち。もう逃げない。むしろ、君が大逃げしても追いかけてやる。この奇跡は自分の手で叶える。

 胸が晴れた気分だ。胸の奥に太陽がギラギラしてる。太陽が影を払って道を照らしてくれる。

 

「ごめんタップ、行かなきゃ」

「ん?どうしたんだい?…Wait!」

「パパ!?」

 

 立ち上がり窓に向かって走り出す。窓の外はぼやけている。窓を開け飛び出すも、夏の夜の涼しさも冬の夜の厳しさも何もない。夢だ夢だ夢だ!これは俺をこの家に閉じ込めるための夢だ。必要ないんだその外は。この幸せに閉じ込めるため、幸せに括り付けるための夢だ!

 行かなきゃいけない。俺は…俺はトレーナーだ。大人としてみんなを守りに行かなきゃならない。俺はトレーナーだ。みんなの夢を、俺の夢を叶えに行かなきゃならない。俺はタップのトレーナーだ!あの子に、会いに行きたい!!

 

 

______

 

 

 

 暖かな匂いが広がる。キッチンから立ち込める柔らかな煙の真上に陣取りレードルを動かす。目の前には具材がゴロゴロ浮かんでるビーフシチュー。初めてトレーナーの家に泊めてもらった時作ってもらった料理を、いつの間にか作っていた。

 テーブルではdarling(トレーナー)と愛娘(らしい)がこちらを笑顔で見つめる。眩しい笑顔につられてアタシも笑顔になる。これが家族の暖かさなんだ。心地よさに酔いしれながらシチューを皿に盛っていく。肉とソースの良いにおいをキッチンダイニングに充満させながら家族のところに持っていく。

 

「ほらよ♪シチューができたよ」

 

 目を輝かせてシチューを口に運んでく家族たちに頬が緩む。特にトレーナーは次々と口に運んでいきペースが全く落ちない。そんなんじゃすぐ空っぽになっちまうぞ。

 

「ん~美味しい~!やっぱタップのビーフシチューが一番だよ!」

 

 皿の底が見えるまでがっついてから言う。…無邪気に、子供みたいに、今あるものに全霊を注いで。…。

 

「タップはホント料理美味くなったよね~」

「そうなの?」

「うん。ママ、昔は料理全然できなかったんだよ?」

 

 アタシの靄つきを他所に会話は進む。確かにアタシはまだ料理ができない。どうしてこんな美味しそうな料理ができてるかも知らない。…知らない。知らない!知らない!!!!

 何もアタシは知らない!どうしてアンタはここにいる?!このladyはなんなんだ?!ここはどこなんだ?!アタシたちは何があって結婚してるんだ?!どうやってプロポーズしたんだ?!どうやってcookingが上手くなれたんだ?!アンタはどんな風に誉めてくれたんだ?!dateはどこに行ったんだ?!

 知らないことが無限に湧き上がってくる。航路全部がすっ飛ばされてお宝を突き付けられた現状に、ようやく苛立ちを覚えた。こんなに味気ないロマンは初めてだ。

 そして何より!アタシのトレーナーはあんなに子供っぽくない!!口説き文句は悪くないが態度がぜんっぜん違う!!アタシの好きな男はこんな器じゃない!!!

 

「ん?タップ、どうしたの?」

 

 アタシの不機嫌を感じ取り撫でるような声で尋ねる。でもそれすら今のアタシは苛立たせる。ここじゃだめだ。本当にアタシが欲しいものはここじゃ得られない。取りこぼした思い出があるなんて、アタシは絶対に許さない。それを許したまま生きるなんて認めない。

 

「アタシの楽しみ、勝手に奪うな!!!」

 

 

______

 

 

 

 ……!?

 

「…帰ってきた…のか?」

 

 胸にするりと入り込む冷たい空気の感触で目が覚めた。慌てて左手を確認し何もつけてない手を確認する。やはり夢だったようだ。

 

「…絶対返してやるからな」

 

 夢を見る直前に確認していた2つのガスマスクを一つは装着、もう一つはヘアバンドに届けるために拾い上げ甲板へ走り出す。




抱き着きながらおかえりって言ってくるタップ大分えっちでは?(かかり)

書けば書くほどタップが分かって分からなくなる…(矛盾)キャラ理解は二次創作永遠の課題ですぅ…

今回もご拝読ありがとうございます!コメントお気に入りしていただけると作者が飛び跳ねます

2025年もよろしくお願いします
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