作者は大変チョロいので、日に何度も確認しては小躍りしています。
申請者 : 西島 秀明
申請内容 : 冷◾️◾️◾️の保有SPEC『◾️来◾️知』による今回の事件に関するホルダーの出現予測
許諾 : 警◾️庁 警◾️◾️ ◾️◾️◾️◾️課 特殊能力者対策室 津田助広
同上 : 野々村 光太郎
尚、本書は確認後完全に抹消されるものとする。
※以下の文書は最重要機密であるため、閲覧には制限が掛かっています。
SPEC
強い想いやショックなどが起因となって極稀に発生する特殊能力の総称。
発現する能力は個々人によって様々であり、人智を遥かに超えた物から現代の技術で応用可能なものまで多岐に渡る。
研究の結果では脳の眠っているとされる90%が覚醒したことによる能力の獲得、が最有力視されている。
SPECに覚醒した者らをスペックホルダーと呼称。
現在確認されているホルダー
冷◾️◾️◾️、◾️◾️◾️◾️、◾️◾️◾️◾️、◾️◾️◾️、◾️◾️◾️…
〈side 江戸川コナン〉
俺の名前は江戸川コナン。
帝丹小学校に通う、小学一年生だ。
いま俺は小五郎のおっちゃんが招待された政治家、山本氏の当選記念パーティーに出席する為に会場の米花シティホールへ来た。ところが会場の前にはパトカーに刑事、ピンと来た。
これは事件のニオイだ!!
探偵の本能が事件を嗅ぎ分け、興奮に身体が震える。
「おじさん!あそこ事件みたいだよ!行ってみようよ〜」
「んぁ?確かに事件みてえだな。ったくパーティー前だってのに一体何だってんだ。上手い酒が沢山あるっつうから来たってのによお」
(…おいおい、探偵だってのに事件に惹かれねえのかよ)
本当に興味の無さそうに欠伸をしているおっちゃんに少し落胆の感情を覚えてしまう。
「あのなあ…いいか?坊主。俺たちはただの招待客、それに現場はもう警察も来てるじゃねえか。探偵はお呼ばれじゃないのさ」
「そ、そんなこと言わずにさ!ほら!あそこ!高木刑事いるよ?」
「確かに、高木だな。ってことは目暮警部も居るのか…」
現場に興味を持ち始めた事に思わずヨシッ!と声を漏らす。ふと見ればおっちゃんが俺をじーーっと凝視していた。
(やべっ!さすがに不自然過ぎたか?)
張り詰めるような緊張に唾を呑み込んだ瞬間、視線が外される。
「……まぁ挨拶ついでに顔出すくらいなら、いいか。だけどなぁ坊主!勝手に動くんじゃねえぞ!下手に動いて捜査の邪魔してみろ、監督責任負うの俺なんだからな!」
(ハァ…急に見てきたから焦ったな。当然だろ?探偵の俺がそんな初歩的なミスするわけないさ)
そう心の中で呟き現場へ足を進めた。
(あれ?知らない刑事だ…男女ペア。高木刑事と佐藤刑事みたいなものかな)
「こんばんは、高木刑事!」
「コ、コナン君!また来たのかい?」
「おう、高木。目暮警部は来てるのか?」
「あっ毛利さん、はい。今は現場確認してらっしゃると思います」
「そうか!じゃあちょっとばかし、ご挨拶をば」
(毛利さんにコナン君、事件解決に協力してくれるから強く言えないけど、一般市民のお二人通すと後々面倒なんだけどなぁ…)
「なにしてんだ高木、案内してくれ」
「高木刑事?」
「アハハハ、なんでもないです」ハァ…
肩を落として歩く高木刑事の後ろをついて行く。程なくして、被害者が居るらしき場所が見えてきたがその先には渋い顔をした目暮警部。コナンにとっては探偵に親身になってくれる間接的な素晴らしい協力者の一人。小五郎にとっては、以前からお世話になっている頭の上がらない元上司。直属の部下である高木渉にとっては最近良く見かける顔した上司だ。
すなわち。
「また、君かね…毛利君」
「私でございます。目暮警部!」
『探偵』この日本において凄まじい勢いで事件を解決し大きな影響力と名声を手にし始めた彼らはそう呼ばれている。法治国家である日本からすれば完全に違法捜査であり、本来取締の範疇なのだが事件解決の一助になっているのも確か。
それゆえ極めてクロに近いグレーゾーンとして放置。
これが現場にいる警察官らの『暗黙の了解』として広がっていったのだ。
事実として目暮班にとっても筆舌に尽くし難い推理力は非常に有益であり、情報提供なども行うレベルで信頼している。
「それで?なんでまた現場にいるのかね君は」
「はっ!この毛利小五郎、本日は山本伸弘氏の当選記念パーティーに招待されておりまして。こうして着飾ってきたところ現場を発見し少しでもお力になれれば、と馳せ参じたワケです」
(ハハハ…調子良いこと言ってやんの)
小五郎の身の変わりように乾いた笑いをこぼした。
とはいえ現場に侵入できた事によってコナンは事件を解かんと行動を始める。
先ほど言われた忠告など既に頭から抜け落ちているかのように。
(ブルーシートの区切り、あそこが遺体のある場所か。なんとか中を確認したいな)
こっそりと覗くにしては鑑識官が邪魔、そこまで考えてコナンは開き直った。
7歳の子供がみずから遺体を確認しに来るなど、常識的に考えてあり得ない事なのだから。
おおよそ間違えて入ってしまった。とでも言えば軽い注意のみで済む。
「あーーー!間違えて入っちゃった…っ?」
自殺か、他殺か、刺殺か、撲殺か、絞殺か。想像を膨らませながら全身を現場に滑り込ませたコナンは異様な光景に数瞬、瞬きを忘れた。
そこに居たのは只の『見慣れた死体』ではなくどう見ても『ミイラ化した死体』だったのだ。
「ミッ…!?」(ミイラだと!?)
思わず口をついて出そうになった息を慌てて殺し、身を翻す。
コナンの頭脳はあまりに異端の事件だとすぐに察した。
通常、殺人事件というのは突発的な殺意。もしくは長く計画的に仕組んだうえで絶対的な殺意のもとに行われるものだ。それが今回はミイラ状態の死体の遺棄。
つまり犯人は被害者を殺害したのち、死体をミイラ状に加工、そのうえで現場へ死体を持ち運び、遺棄。
(…考えれば考えるほどに必要の無い行動が挟まれている)
常識的に考えれば、それはただ無意味な行動でしか無いが。
探偵としての本能がそれを否定している。
『必要の無い行動こそが最も重要なものである』
自身の敬愛するシャーロック・ホームズの珠玉の名言に似ている、いつか何処かで聞いた言葉。
それが頭を離れない。
コナンは縋りついた時に小五郎の上着へ取り付けた盗聴器から聞こえてきた声に耳をすませる。
詳細な情報を盗み聞いたコナンの額は冷や汗でグッショリと濡れ、頭はたった一言で埋め尽くされていた。
『あり得ない』
幼い頃から探偵になる為、父と共に様々な分野の知識を読み漁り、トリックや殺害方法など多岐に渡る知識を持つ頭脳を持ってしても。
『完全な不可能犯罪である』
以外の答えに辿り着けなかったのだ。
(最初に考えたのは絞殺、及び溺死させたうえで天日干しだけど。遺体の背中には死斑はなかった、つまり干すなら血抜きをしたうえで何かに吊るして高温で水分を飛ばすしかないが、血抜きされているような肉体的損傷部分は存在しなかった。それが出来たとしても高温多湿の日本だぞ?まず2日で乾燥は無理だ)
「どういうことだ?最後の目撃情報は一昨日。昨晩の時点では遺体は存在していなかったとの証言も取れている…」
(クソ!どうやったって二日でミイラ化なんて無理だ!いや?最後の目撃情報が本当に本人である可能性はどのくらいなんだ?
犯人がなりすましてる可能性だってあるじゃないか!科学なら灰原や博士に何か思いつかないか聞くしかねえ)
「もしもし、博士!」
「おお!どうしたんじゃ新一。今晩はパーティーに招待されとったんじゃないのか?」
「それなら会場の真横で遺体が見つかって中止さ。そんなことより灰原いるか!?」
「…いるわよ、何よそんなに急いで」
「ミイラを二日で作ることってできるか!?」
「………」
なんの音もしなくなった携帯に焦れて目をやった瞬間、叫び声が耳を貫いた。
「今こっち食事中なのよ!!なんの説明もなく食欲の失せる話しないで!!!」
こっちは事件の調査中なんだぞ?一刻を争うんだ。それくらい許して欲しいものだ。
「…悪かった。それでどうだ?実現できるものなのか」
「あなたはそうやって、いつもいつも…!」
「ま、まあまあ哀くん」
「二日でミイラができるか、ですって?」
「理論上は可能よ。ミイラと言えば、死海と同じようなものよね」
コナンは『死海』その言葉を聞いた瞬間、灰原の言いたい事を寸分違わず理解した。
(死海…そうか!浸透圧による体内の水分の強制排出!それならこれといった外傷もなくミイラに加工できる!)
「けどそれは当時のエジプトで行われていたミイラ加工と同じだろ?前に見たテレビだと2ヶ月くらい掛かるって見たぞ?」
「あれは儀式や形式的な物を重要視した上での加工だからよ。それを省いて現代の科学技術を活用すれば、あくまでも理論上だけど出来なくは無いわ」
「助かった!万が一の為に他の手段も考えてみてくれ!また連絡する」
「あ、ちょっとくど…」ブツッ
必要なことは聞けたとばかりに電話を切り、新たな情報を元に推理を固める。
(裏付けも必要だけど俺の予想が正しければ…そうと分かれば後は犯人を見つけるだけ!待ってろ、必ず捕まえてやる!)
遅くなりました。書く書かないものの取捨選択が難しく、なかなか纏まりませんでした。
遅筆になるやもしれませんが、今後も暖かく見守っていただけると幸いです。