Re:ようこそ絶対選択肢に逆らえない教室へ   作:球磨川善吉

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一応あと一話分ストックあるけどキリ悪くなりそうなんでまだ蓄えます。


知らない天井

「知らない天井だ」

 

 目覚めると俺はベッドの上に居た。しかも女みたいな声になっている。妙に息苦しさを感じると思ったら、どうやら制服を着たまま眠っていたらしい。し・か・も・女物の。髪が腰まであるし、サラサラしてる。しかし下腹部を触ってみると立派な物がついている。余計謎は深まるばかり。これは今話題のLGBTQに配慮した物・・・なのか?パンツは・・・あっ。ふーん(察し)

 

 辺りを見回すとどうやらここはホテルの一室らしい。うん。なんで? いやいや、どう考えてもスポーン地点おかしいでしょ。しかもこの世界の記憶が全くない。普通こういうのって記憶引き継がれるよね? 杜撰(ずさん)すぎないか? 

 

 とりあえず動かないと何も始まんないよな。よしっ。デカい鏡もあるし、とりあえず身なりを整えないとな。

 

 ――――って。え?

 

 視界の端に捉えた異物を確認するために鏡に向かう。なんとそこには...

 

「誰・・・?」

 

 映し出されていたのは、翡翠色と茜色のオッドアイで瑠璃色の髪をした男の娘が居た。あらやだめっちゃ可愛い.../// まあ女物の制服を着てて声も女みたいだから、なんとなく感づいていたけども。

 

「これもしかしなくても・・・俺だよな?」

 

 前世の面影は何処へやら。絶対に現実では見かけないような配色に目が離せない。これ生まれつきか? ――――神様。これ転生じゃなくて憑依じゃね? ボブは訝しんだ。まあ顔がいいことに超したことはないからいいとして・・・お。窓際になんかのパンフレット? が置いてあるな。

 なになに・・・

 

 高度育成高等学校。東京の埋立地にある日本政府が作り上げた、未来を支える人材を育成する全国屈指の高校。3年間外部との連絡は断たれる上、学校の敷地内から出るのは禁止された寮生活になるが、希望する進学、就職先にほぼ100%応える学校で、60万平米を超える敷地内は小さな街になっており、何1つ不自由なく過ごす事のできる楽園のような学校、と。

 

 クソうさんくさい。絶対裏あるだろ。入学しただけで就職率100%ってこの国大丈夫か?

 

 ページをペラペラと捲ると手のひらサイズの紙と入学式の案内が挟まっていた。

  紙には『夏秋冬春夏』と書かれている。何これ? なんかの暗号か? これ俺の名前じゃないよな。もしそうならどこまでが苗字でどこまでが名前かすら分からないし、読み方も分かんない。春夏秋冬(しゅんかしゅうとう)から考えると夏秋冬春夏(かしゅうとうしゅんか)か? そもそも俺日本人なのか? なんかこの字の羅列見た感じ中国・・・うーん。ダメだ。分からん。名前は後でいいや。

 

 そしてもう片方の入学式の案内を手に取る。

 どうやら入学式は4月7日に行われるらしい。ほーん。で、今日の日付は・・・

 

 

 

 テーブルの上にある電波時計には4月8日07:00と表示されている。うん。うん?????? 

 

「え。うそうそ。ちょまって」

 

 これは女神の質の悪いドッキリか? 電波時計だったら、日付弄れないよな。この時計さては電波時計じゃないのか?

 

「そうだ! ニュース!!」

 

 テレビで適当なチャンネルをつける。・・・やっぱり今日4月8日じゃん。ちょ。不味いですよ!?

 

「――早く行かないと!」

 

 ‘ピロン!’

 

 突如脳内に響く甲高い音。それと同時に身体が金縛りのように動かなくなる。もしやこれは・・・

 

【押し入れを覗き部屋を出る】

【ベッドの下を覗き部屋を出る】

【カーテンの裏を覗き部屋を出る】

 

 これが絶対選択肢・・・! 音声でもなく文字でもないのに選択肢が浮かんでくる!! なんかすごい(小並感)。てか動けないのなんで? 普通に原作主人公は動いてたんだけど。時が止まってる間に色々しようと思ったのに・・・ 無念。

 

 さて。押し入れかベッドの下かカーテンの裏を見るか、か。正直どれでも良いんだけどなんか変わるんかな。いや変わるからこそ選択肢として出てるのか。押し入れ覗いて死○とか出てこないよね? ちょっと怖いな。でも鉄板なのはやはり・・・

 

【ベッドの下を覗き部屋を出る】

 

 さてさて。何があるかなー。

 

 「これは・・・」

 

 薄い本じゃないですか! ”弾道が上がった!”

 

‘ピロン!’

 

【何かあるかもしれないから持って行く】

【何かあるかもしれないけど置いていく】

 

 結局何かあるんかい! じゃあ持ってきますか。

 

 【何かあるかもしれないから持って行く】

 

 

 

 


 

 

 

 「はあ。はあ。ふー・・・」

 

 今、俺が居るのは高度育成高等学校の校門を入ったところ。校舎デカすぎぃ! 正面の大時計を見ると今の時刻は8時過ぎ。なんでホテルから学校までこんなに遠いのか意味が分かんねぇ。道行く人に聞きながらなんとかここまで来たけど。

 

 そういえば俺の名前が判明した。ホテルの人が言うには俺は夏秋冬(はるなし)春夏(はるか)という名義で泊まっていたらしい。春があるのかないのかどっちだ。夏秋冬なんて苗字、前世では見たことも聞いたこともない。それに通行人の髪色も瞳の色も大分カラフルだったし、この世界は俺が知ってる様で知らない世界なのかもしれない。ちなみに薄い本は俺の胸板に忍ばせてる。これで銃で撃たれても助かる見込みが僅かに増えた・・・気がする。

 

 これからどうするかだな。普通に教室に行って良いのか? そもそも俺がどのクラスか分かんないや。うーん。職員室に寄ってから行くか。あ、そもそも職員室の場所も分からん。どうしよ。

 

‘ピロン!’

 

【校舎に入ってすぐの真正面の部屋に突撃する】

【2階の人が一番多い部屋に突撃する】

【3階の人が一番少ない部屋に突撃する】

【話しかけられるまで待つ】

 

 普通に職員室に行く選択肢はないのか・・・ 大体どの学校も一階に1年生の教室があって階数が上がるごとに学年も上がっていくよね? 職員室って普通一階にあるんだよな? 俺の前世の最高でロックな監獄みたいな学校は常勤の先生の職員室がなかった。この特殊な学校も、もしかしたら職員室の配置が普通とは異なっているのかも。

 

 ・・・・・・! 待て待て。この選択肢だと一発で職員室に行けるのは【校舎に入ってすぐの真正面の部屋に突撃する】しかないよな? 一番多い部屋は教室でほぼ確定で一番少ない部屋はまだ人が居ない音楽室とか空き教室だよな。そもそも真正面に部屋あるのか? なんとなくさ。違う部屋に入ったら絶対選択肢が暴走する未来が見えるんだけど。

 

 ここは待ってみよう。登校初日に変なことするくらいなら、遅刻した方がマシだ。・・・マシだ。

 

【話しかけられるまで待つ】

 

 

 

 


 

 

 

 

「お前。ここで何をしている?」

 

 俺が呆けていると、眼鏡を掛けたイケメンが話かけてきた。めっちゃイケボですやん。

 

‘ピロン!’

 

【『少しばかり光合成をしていました』】

【『少しばかり高校生でしていました』】

 

 んにゃぴ。何言ってるのか分からナイです。てかホテルの部屋で選択肢出たときは気づかなかったけど俺以外も時止まってるのか。確かに俺だけ動けなかったら相当なハンデだよな。

 

「少しばかり光合成をしていました」

「は? 何を言っているんだお前は」

 

 マジレスしないで。傷つく・・・

 

「すいません。忘れてください。時々発作でおかしなこと言っちゃうんです」

「それで本当は何をしていた?」

「えっと。俺、1年生で昨日体調崩して学校来れなくて。職員室に行くかそのまま教室に行くか迷ってて・・・どっちが良いんですかね?」

「まあどちらでも良いと言えば良いが。念のため職員室に寄ってから行くのが無難だろう。昨日渡せなかった配布物もあるやもしれん。俺が職員室までお前を案内するとしよう」

「ありがとうございます!」

 

――――――――――――――――――

 職員室の前に掛かっている時計を見ると時刻は8時20分。 いや~。一時は遅刻するかもと思ったけど助かったわー。

 

「そういえば先輩はさっき何してたんですか?」

「朝のパトロールといったところだ。申し遅れたが俺は堀北学。この学校の生徒会長を務めている」

「ファッ!?」

 

 あ。やべ。勢い余って淫夢語録出ちゃった・・・ 

 

 「それでお前の名は何という?」

 

 ‘ピロン!’

 

【『堀北鈴音。超高校級の妹です』】

【『綾小路清隆。超高校級の茶道部員です』】

 

 どっちも知らない名前なんだが。てか超高校級か。え。これ世界観混ざってる? そういうわけじゃないよね? 

 まあどっちの選択肢を選ぶかは明白だ。

 

「綾小路清隆。超高校級の茶道部員です」

「ほう。お前が綾小路清隆か」

 

 違います。

 

 ‘ピロン!’

 

【『そうだよ(便乗)』】

【『違います。堀北鈴音。超高校級の妹です』】

 

 何言ってるんですかねぇ。俺は夏秋冬春夏なんですが・・・

 

「そうだよ(便乗)」

「そういえば今年は面白い受験生がいたな。入学試験で全科目50点を取った奴が」

「・・・そんな人いるんですか。なんか凄いですね」

 

  これもしかしなくても綾小路清隆さんのことだよね? この学校って授業料無料だし国立だから倍率高そうなんだけどよくそんな成績で入れたな。頂点の中の底辺じゃん。それか問題難しくて平均点低かったのかな? 

 

 

 ‘ピロン!’

【『南雲っていう人より賢そうですね』】

【『堀北っていう人より賢そうですね』】

 

 また知らない名前出てきたし。これってなんかの暗号なのか? 下の選択肢は100%煽りだしなぁ。上しかないよな。

 

「南雲っていう人より賢そうですね」

「なんだと? お前南雲を――――」

 

 コンコン

 

「失礼します。一年の夏秋冬春夏(なつなしはるか)です。・・・用事があって来ました」

 

 なんか琴線に触れっちゃったぽいから無視しよう。単純にメンドクサイ。

 

「後で詳しく聞かせてもらうぞ」

 

 耳元でささやかないでください。孕みます(迫真)。

 

「では俺はこれで失礼する」

 

 

 


 

 

 

 その後、俺のクラスの担任である茶柱先生がやって来てこの学校の仕組みを説明したり、パンフレットや携帯端末を渡してきた(担当科目は日本史)。今は教室に向けて移動中。ちなみに俺はDクラスで昨日は体調不良ということになってた。

 

 先生の説明を要約すると

 ・この学校は商業施設を併設した監獄である

 ・pp(プライベートポイント)という独自の電子通貨が使われており1pp=1円。

 ・携帯端末ですべての施設の支払いが可能

 ・ポイントは毎月1日に振り込まれ、今月は10万振り込まれた。

 ・ガス代、光熱費は無料

 ・クラス替えがない

 

 うん。外に出られないことを除けば最高すぎる学園だ。

 

「てか、新入生全員に10万も振り込んで大丈夫なんですか?」

「ああ。お前らは、今は・・・下火だが先進国である日本の未来を背負う学生だ。それ相応の価値がある」

 

 ‘ピロン!’

 

【『女装癖の俺でも?』】

【『万引犯でも?』】

 

 ちょーっと人聞き悪いな。上はじじ・・・つじゃないし、下も俺がやったみたいになるじゃん。

 

「女装癖の俺でも?」

「無論そうだ。日本ではあまり認知されていないが欧米諸国ではLGBTQという性的多様性の政治的連帯を示す言葉が生まれている。これからは多様性の時代だ。大昔の日本では男色という男性同士の性愛も珍しくなかったしな」

 

 日本史の先生だから詳しいね。てことは俺が居た世界よりは若干そういう理解が進んでないのか。でも前の世界は進み過ぎた気もするけどね。

 

 ‘ピロン!’

 

【『俺が胸元にエ〇本を忍ばせているのも性的多様性ですか?』】

【『先生が胸元を大きく開けているのも性的多様性ですか?』】

 

 性的多様性=性癖ってはっきりわかんだね(白目)―――――なに言ってんだおまぇええええええええ!!!! どっちの選択肢もも頭お菓子なるで。いやでも会った時から気になってたんだよな。――――先生の胸肉。前世でも中々居なかったぞ。こんなにスーツをエッ...に着る人。

 

 はぁ―――。どっちだ。どっちが正解なんだ! 上を選んだら実物見せる選択肢出てきてもおかしくないしなぁ。上を選ぶ→初日に指導。最悪罰則。下を選ぶ→初日に指導。最悪罰則。ありゃ。もしかしたらどっち選んでも変わんないか? じゃあ気になるし・・・

 

「先生が胸元を大きく開けているのも性的多様性ですか?」

 

 オレハイッタイナニヲイッテルンダ。

 

 

「は? お前は誰に向かって口を聞いてるんだ? 今のご時世、セクハラだぞ。セクハラ」

 

 正論ヤメテ。指導されちゃう。でも諦めたくない(泣)。時計の針は元には戻らない、だが自らの力で進めることはできる!!!

 自分を押し上げることが出来ないなら相手を同じ土俵に立たせるしかないよなぁ?

 

 

 

 

「――――先生が肌を必要以上に露出しているのはセクハラじゃないんですか?」

「それは――」

 

「あれー? サエちゃん何してるの~?」

 

 突然やってきたセミロングの女性に顔をしかめる茶柱先生。クリップボード持ってるから教師かな?

 

「どうした星之宮? もう少しでHRが始まるんじゃないか?」

「それはサエちゃんもだよね~? てか隣の子すーごく可愛くない? Dクラスの子?」

「そうだ」

 

「名前はなんて言うの?」

「綾野k・・・じゃなくて夏秋冬(はるなし)春夏(はるか)です」

「あっ。ふ~ん」

 

 やっべ。素で名前間違えた。なんか星之宮先生? が滅茶苦茶気まずそうな顔してるんだけど。自分の苗字を言い間違える=親が離婚して苗字が変わったって察したのかな。なんかすいません。。。

 

「私は1年Bクラス担任の星之宮知恵。よろしくね~。―――――それでそれで!サエちゃんたちはなに話してたの?」

「別にどんな話をしていようがお前には関係ないだろう」

「え~? サエちゃんひどーい!」

 

 ‘ピロン!’

 

【『茶柱先生と胸が熱くなる話をしていました』】

【『クラス移動について話していました』】

【『特別試験について話していました』】

 

 一見まともそうに見える下の選択肢二つ。でも地雷臭がするんだけど。どっちも茶柱先生の説明にはなかったし。そもそもクラス移動って出来るのか? なんかミッション選ぶときにあったよな。3年でA~Dまでの全部のクラス制覇するとか。思ってた以上に簡単なミッションだったのかも。いと悲し。

 

 それに特別試験って何だ? 10万毎月貰える代わりに月ごとにそれをクリアしないと退学する的なやつなのか? 俺にとって退学=死なんだよな。これがただのラブコメだったら、退学したときのペナルティを女神が話す訳ないんだよな。うーん。うーーーん。

 

「クラス移動について話していました」

「「え?」」

 

「――――う、嘘でしょ? サエちゃん。この子すごくない!? 入学2日目でそこまで見抜くとはねぇ。もしかしてサエちゃんが贔屓して教えたの!?」

「・・・そんなことするはずがないだろう」

「ふふっ、確かに。そんなのサエちゃんらしくないもんね~」

 

 何言ってんだこいつら。勝手に話進んでるんだけど理解が追いつかないです。日本語をしゃべろ。日本語を。

 

「春夏ちゃんは今移動するならどのクラスが良い? やっぱりAクラス? それとも今後の可能性に賭けてBクラス? Cクラスは・・・さすがにないと思うけど」

 

 なんでCだけハブられてんだ。カワイソス。

 

「おい、星之宮。喋りすぎだ。これ以上話すようであれば上に報告するぞ」

「いや~ん。サエちゃんこわーい。もう気づいてるんでしょ? だったら私はいいと思うけどなー」

 

 この星之宮とかいう人、五月蠅いしブリブリ(ぶりっこ)してるし無駄にプライド高そうだし苦手なタイプや。廊下で会っても挨拶したくない(切実)。

 

「君がもしクラス移動を考えているなら、Bクラスがおすすめだよ! なんて言ったってこんなにかわいい担任の先生がいるんだもん」

 

 ‘ピロン!’

 

 アカン。悪寒がする。

 

【『私よりはw可愛くないですけどねw』】

【『茶柱先生よりはw可愛くないですけどねw』】

 

 あー。一つ気づいちゃった。コレ選択肢がナイ! なんでわざわざ人を怒らせるようなことするんですか(正論)。もうこれどっちでもいいや。なんかもう疲れた。驚くことにまだ教室入ってないんだが。

 

「茶柱先生よりはw可愛くないですけどねw」

「あ゙?」

 

 ひぇぇ。

 

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 恐らくHRの開始を告げるチャイムだ。まるで救いの鐘だ。

 

「ちょっと聞こえなかったから後でじ っ く り聞かせてもらうからね」

 

 最後に呪怨を残して去っていく星之宮さん。バッチェ冷えてますよ~(背中)女怖い。

 

「夏秋冬。ああいう奴にはかかわらない方が賢明だぞ」

「・・・はい」

 

「――――それにしても驚いた。お前は期待以上の生徒だよ」

「あざす」

 

 教室の扉を開け教壇の上に立つ茶柱。俺に手招きをしている。

――――ついに始まるんだ。俺の2度目の高校ライフが! 




実は、ヒロインはもう決めてます・・・
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