「こいつが昨日体調不良で来れなかった夏秋冬だ。夏秋冬、自己紹介を頼めるか?」
「はい!」
皆ジロジロ見てる。なんか恥ずかしいな。てか可愛い子多い。
‛ピロン!’
まともに自己紹介すらさせてくれないのか(怒)! さっきから綾小路だの鈴音だの特別試験だの未知の単語が出すぎて頭おかしくなる。きっとこれからも俺が知らない間に地雷踏み抜くんだろう(フラグ)。
【『ブラックルーム出身の夏秋冬春夏です』】
【『ホワイトルーム出身の夏秋冬春夏です』】
なんだこれ。早速クラスから浮きそうなんだけど・・・ ブラックルーム?とホワイトルーム?って中学校の名前か? 私立ブラックルーム中学校みたいな。違和感バリバリ。二つの勢力が敵対してるとかそんな感じなのかな。知らんけど。まあ、悪役の相場は黒だってはっきり分かんだね。
「ホワイトルーム出身の夏秋冬春夏です。好きな食べ物は・・・
‛ピロン!’
【『人の泣き顔です』】
【『牛の睾〇です』】
もう終わりだよこれぇぇぇぇぇぇ!! しかも選択肢の頻度おかしすぎだろ。俺が操り人形みたいじゃん。
どっちを選んでも人間性に問題あり。クズか変態か。二つに一つ。俺は今、究極の選択を迫られている。――――そういえば俺は変態だった。性自認が女でもないのに女装している変態なんだ。クズな変態になるか変態な変態になるか。俺はクズにはなりたくない!
「――――牛の〇丸です」
その瞬間、教室の温度が2、3度下がったような気がした。 女子は目を逸らし、男子は俺に奇異の目を向けている。あれ、おかしいな。一人くらい笑ってくれる
‛ピロン!’
――――それでも俺は止まることを許されない。
【『好きな女性のタイプは俺よりかわいい人です』】
【『好きな女性のタイプは茶柱先生よりかわいい人です』】
「好きな女性のタイプは俺よりかわいい人です。不束者ですが三年間よろしくお願いします」
まばらと起こる拍手。あれ、俺またなんかやっちゃいました? 絶対選択肢〇ね。
「・・・見ての通り夏秋冬は女子の制服を着ているが性別は男だ。そして性自認も男だ。そのため体育などでは男子という扱いになる。少し変わっているが昨日も言った通りいじめはするなよ? 学校側はいじめには敏感だからな。」
クラスメイトの目が点になっている。びっくりするよね。これで男って。てか茶柱先生に俺同情されてない? 扱いが特別学級の子とかそういう感じなんだけど。
「HRはこれで終わりだ。夏秋冬の席は・・・あの窓際の空いている席だ」
茶柱が退室し、俺も下を向いて歩きだす。皆の顔見れナイです。
「すまん。ちょっといいか?」
席に着いた瞬間に話しかけてきたのは茶髪の目に覇気のない青年。中々にイかした顔をしている。
‛ピロン!’
【『君は綾小路清隆だよね?』】
【『君は堀北鈴音だよね?』】
・・・見知った苗字だ。でも絶対下は違うな。この顔で鈴音なんて名前だったらギャップで萌える。そういえば生徒会長の苗字も堀北だったよな。もしかして兄妹なのか? あぶねー。選ばなくて良かった。初対面で妹の名を騙る男の娘。不審すぎる。
これで名前が綾小路清隆だったらどうする? 会ったこともないやつにフルネームで名前当てられたら怖いよな。てかそもそも自己紹介する前に名前決めつけるのがおかしいんだよなぁ。
うーん。鈴根は明らかに女の子の名前だし・・・ッ!
その時、俺の脳内に電流が走る!
・・・
「き、君は綾小路清隆だよね?」
「――――どうして俺の名前を知っているんだ?」
あっ、ふ~ん(察し)。選択肢外した。てかまだ頭痛い。
「えっ...そりゃあ同中だったでしょ? あれ違ったっけ?」
「俺はお前を見た記憶がないな」
「いや、ほら。君、結構有名だったでしょ? なんか絵画とか書道の賞、総なめしてなかったっけ?」
「――驚いたわ。綾小路君にそんな特技があったのね」
会話に参入してきたのは、綾小路の隣の席、つまり俺の右斜め後ろの黒髪美少女。手元には開かれた本があり、本を読みながら俺たちの会話を聞いていたらしい。
「君の名前はなんて言うの?」
「私がなぜ貴方に名前を教えなければならないのか分からないわ」
「えっ。でもさ。3年間クラス替えがないみたいだしそれだと色々不都合じゃない?」
「大丈夫よ。私はクラスメイトと仲良くするつもりはないから」
「昨日俺には名前を教えたのにな」
「綾小路君には教えたのに俺には教えてくれないんだ。もしかして恋s
「堀北。それで構わないかしら?」
不機嫌そうにこちらを見る堀北もとい黒髪美少女。ああ^~いいっすね~ てか堀北って生徒会長の名字じゃん。じゃあやっぱり兄妹なのか?
‛ピロン!’
【『堀北黒髪美少女さん(推定D)、と。把握』】
【『まあ、俺は名前知ってるしいいけど。』】
???? え。推定D? 嘘でしょ。これが? う、嘘だ! 俺は絶対に認めないぞ! 性少年の夢を壊すな!! ・・・()の部分は声に出るのかな?
「まあ、俺は名前知ってるしいいけど。」
「なぜ貴方が私の名前を知っているの?」
「・・・同中だったよね?」
「私は貴方を見たこともないし聞いたこともないわ。そもそも貴方の出身中学校はホワイトルーム? という場所じゃないの?」
「――――元々堀北さんと同じ中学校にいたけど転校してホワイトルームに行ったんだよ」
「確かに私たちの学校は生徒数がとても多かったし、私は交友関係が狭かったからあり得ない話ではないのだけれど・・・ 一方的に知られているのは少し気持ち悪いわね」
「俺も少し同意だ。堀北」
ファーストコンタクト間違えた・・・けどしゃあなくね? 何選んでもこの結果に帰結するよな。
「・・・それで、そのホワイトルームとはどういうところなの?」
‛ピロン!’
【『教員も職員も皆優しいアットホームな学校だよ!』】
【『暴力が全てを支配する。そんな学校だよ!』】
・・・いや知らんし。俺にどうしろと。どこだよホワイトルームって。アットホームっていう表現もなんか嫌だな。前にYoutubeで「アットホームを謳っている職場は大体ブラック」って見たし。そもそもこの表現が高校に入学したての二人に通じるかな? いやさすがに舐めすぎか。
下を選ぶと牛の睾〇が好きで暴力が蔓延る不良高校出身の女子制服装備の男の娘になるんだよなぁ。あまりにもキャラが渋滞してる。なんか人っていい記憶よりも悪い記憶の方が残りやすかった気がする。あんまり悪い印象は残したくないな。
「教員も職員も皆優しいアットホームな学校だよ!」
「そう」
そう言い終えるのと同時に読書に
「綾小路君。席が近いのも何かの縁だし連絡先交換しない?」
「――――いいのか?」
「勿論!」
‛綾小路の連絡先を手に入れた!’
「それと、俺は君をなんて呼べばいいんだ?」
「適当でいいよ」
「じゃあ、夏秋冬。改めてよろしく頼む」
「こちらこそ」
授業が始まるまであと少し時間あるな。教科書でもy
‛ピロン!’
【男の娘に話しかけに行く】
【女の子に話しかけに行く】
な、なんだと!? 俺以外にも男の娘がいるのか!? ん。待てよ。どこの場所の男の娘かは分からないよな。Cクラスとか
【男の娘に話しかけに行く】
体が勝手に動き席を立つ。行く先は・・・俺の前の席でした。嘘やん。全然気づかなかった。
「ちょっといい?」
「なっ、なに・・・かな?」
なんでこんなに怯えてるんや。たかが自己紹介で睾〇って言っただけダルルォ!?
「君も俺と同じ男の娘属性でしょ? 仲良くしたくてね。俺は
「・・・男の娘って何?」
「女みたいな男」
「あ、そうなんだ。僕の名前は
‛ピロン!’
【これから「きすちゃん」と呼ぶ】
【これから「すけちゃん」と呼ぶ】
嘘やろ・・・ ネーミングセンスが小学生より酷いんだが。確かに名前に含んでるけどさぁ。
【これから「すけちゃん」と呼ぶ】
「よろしくね。す・・・すけちゃん」
「・・・すけ?」
「じゃあ手始めにれn
‛ピロン!’
【胸に忍ばせている恋心を明かす】
【胸に忍ばせている薄い本を渡す】
何かあるからエ〇本を持ってきたのにそれ自体が問題になってるんだが!? これやばくね。ホモか変態か。マジで学校生活終わるナリ。この学校監視カメラめちゃんこあるし。
ん? いつそれに気づいたのかって? 生徒会長に声かけられるまでその場から一歩も動けなかったから、その時にね。まじでやることが周りを舐めるように見ることしかなかった。
さて。どっちを選ぶかだな。ここで呪いのエ〇本を渡さないと、次に誰かと話してるときも選択肢に出る可能性がある。特に女子だったら冗談抜きに学校生活終わる。
【胸に忍ばせている薄い本を渡す】
唐突に制服を脱ぐ変態がそこにはいた。それは俺だった。
「これあげるよ」
「ちょっ! 何してるの!? てかこれってエ―――」
卑猥な言葉を言いかけた悪いお口を塞ぐ。
「んーーーー!」
「安心しろ。沖谷。俺がお前を漢にしてやる」
強引に沖谷の机の中にブツを潜り込ませる。ミッションコンプリート!!! 周りの何人かには見られたか。学校生活大丈夫かな。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
沖谷と連絡先を交換し、今は一時間目の授業。教科は数学。俺の前世は最高にロックな監獄学園だったから数学は大学程度まで足を突っ込んでる。ただ応用問題全然やってないから油断は禁物だ。俺の得意科目は現代文、数学、英語、歴史。苦手科目は化学と物理。なんと俺の学校は現代文は3年生しかやらない。結局、受けれなかったな( ;∀;)
国営の学校ということで、最初から三角関数でもやるのかと思ったけどそんなことはないらしい。あとすごく分かりやすい・・・と思う。推定なのは、俺が真面目に授業を受けてないからだ(迫真)。忘れてたところは所々あれど一回理解した内容だしな。単純に暇。じゃけん応用問題やりましょうね~。
「おや、夏秋冬君。指示していた問題と違うところを解いているようですが・・・ もう解き終わりましたか?」
いつの間にか隣に瞬間移動していた坂・・・坂・・・坂本?先生に話しかけられた。
やっべ。怒られる。
「ま、まあ。そんな感じですね」
「予習をしているのですか?」
「家で予習したところの復習・・・みたいな」
「どこまで進んでいますか?」
「微分方程式の手前までですかね」
「ほう。中々やりますねぇ」
ありがとナス!
「ちなみに内職って駄目ですよね・・・?」
「――――私に限らず、どの授業でも真面目に勉強していれば何も言われませんよ。教科は問いません」
どうやらこの学校は神らしい。
――――――――――――――――――――――
そんなこんなでもう昼休みだ。思いの外、短かった。前の学校は1授業90分とかいう頭の悪い時間割だった。やっぱ50分授業よ。
‛ピロン!’
【綾小路清隆を昼食に誘う】
【沖谷京介を昼食に誘う】
【堀北鈴音を昼食に誘う】
【坂柳有栖を昼食に誘う】
この選択肢は結構大事だな。いつ絶対選択肢が暴走するか分からないから好感度は稼げるうちに稼いでおきたい。
まず、堀北を誘うのは論外だ。女子を誘うのはレベルが高い! 沖谷を誘うのもなぁ。どんな顔して会えばいいというか・・・ まあ、すぐ前にいるんだけどな。
一番下は知らない名前だ。あり、、、ゆう、、、ちょっと名前読めないな。生徒会長も南雲?みたいな名前の人に反応してたし、あんまり未知の世界に飛び込むべきじゃない。でも勇気出さないと友達も何も出来ないしなぁ。まあ明日やろう。
【綾小路清隆を昼食に誘う】
「綾小路君! 良かったら一緒に食堂に行かないか?」
「――――俺で良いのか?」
滅茶苦茶卑屈じゃん。可哀想に。きっと親からまともに褒められずにここまで生きてきたやな・・・ 知らんけど。
‛ピロン!’
【『お前のことが好きだったんだよ!!』】
【『8年と117日ぶりの再会を祝福しようや』】
綾小路って冗談通じるのか? まだあんまり話してないけど、なんか天然っぽいんだよね。上選ぶと追加で変な選択肢でたら嫌だ(切実)。
「8年と117日ぶりの再会を祝福しようや」
「・・・ああ。そうだな」
呆れてるやん。まあええわ。
――――――――――――――――――――――――――
「食堂でっかいね。」
「一学年が160人。全学年で480人だと考えると妥当な大きさかもな」
授業が終わってすぐ来たのに滅茶苦茶混んでるんだが。皆お腹減ってるのかな。
‛ピロン!’
【『暇なので綾小路に昔話をする』】
【『暇なので綾小路に伝説を話す』】
昔話か。・・・俺のじゃないよな。これ俺の意思と関係なしに口が動いて「神様に会って転生した」とか言った日には目も当てられない。せっかく連絡先を交換した友人なんだ。あんまりおかしなところは見せたくない。
【『暇なので綾小路に伝説を話す』】
「綾小路。暇だから俺が好きな伝説を聞かないか?」
まじか。オートじゃない。昔話でも良かったか。
「伝説?」
「――――獄中で生まれ、獄中で育った高田○志は牢より外の世界を知らなかった。ある日、彼に興味を持った学者が刑務所を訪れた。真っ暗な牢を前に学者は尋ねた。『空は何色だと思いますか?』少し考えて彼は答えた。『空ってなんですか』」学者は涙を流しながら、空の雄大さについて語った。」
「・・・高田○志って誰だ?」
「・・・架空の生き物だね」
「なるほど」
「どう? なんか心に残るっていうか・・・ 小話として完成してない?」
「まあ、確かに」
あんまりお気に召さなかったみたい。次は負けないぞ!!
雑談をしている内に、俺たちの順番がやってくる。
中々メニューが充実してるな。
ふぁっ!!? スペシャル定食3000円!? 頭お菓子なるで。それに山菜定食0円!? 中々にぶっ飛んでる。
‛ピロン!’
【1年間、山菜定食を食べ続ける】
【1年間、スペシャル定食を食べ続ける】
こんなの選択肢1つしか無いじゃん。下選んでもし土日もやってれば小遣い10万の内9万飛ぶんだけど。これ金なくなったらどうなるんだろ。俺がスペシャル定食を食べ続けるためにご都合主義的な展開になるのか俺が厨房に入ってでも喰おうとするのか。そんなことしたらさすがに退学だよな。背に腹は代えられない(´•̥ ω •̥` )
【1年間、山菜定食を食べ続ける】
「俺は山菜定食にするよ」
「0円のやつか。俺も気になるから食べてみるか」
~食事中~
「「ご馳走様でした」」
「なんかちょっと不味かったね」
「そうか? 俺は普通に食べれたけどな。まあ好き好んで頼もうとは思わないけどな」
綾小路と教室に戻っている途中、スピーカーから音が聞こえてきた。
「本日午後5時より,第一体育館の方にて、部活動の説明会を開催いたします。部活動に興味のある生徒は、第一体育館の方に集合してください。繰り返します。本日―」
部活動か。俺は中学まで陸上やってたんだよな。もうやりたくない(白目)。
俺は多分・・・主人公と本気の喧嘩で勝たなきゃいけない。本当ならレスリング部とか柔道部に入るべきだけど、ちょっと怖い。最低限運動部には入るつもりだけど。
「綾小路は行く?」
「一緒に行く人が居れば行くんだけどな(チラッ)」
「・・・じゃあ俺と一緒に行かない?」
「是非よろしく頼む」
やったぜ。
‛ピロン!’
【沖谷京介を誘う】
【一之瀬帆波を誘う】
【櫛田桔梗を誘う】
沖y、すけちゃん以外知らないんだが。ただ話しかけるだけなら、下の二人もありだったんだけどなぁ。エ〇本強引に渡して気まずいし。なんで話したこともないのに部活動紹介に誘うんや。いや、別におかしくはない?か。真ん中の人は女子でしょ。下の人は・・・ 桔ってどうやって読むんだ。梗はきょうでしょ?確か。漢検の勉強の時に出てきた気がする。女か?男か?
プレイボーイだったら新しい風を求めて選ぶんだろうけどね。残念ながら俺はちゃう。
【沖谷京介を誘う】
「綾小路。すけちゃんも誘って良いか?」
「沖谷のことだよな? 勿論良いぞ」
ん? 今思ったけど、なんで綾小路は分かるんだ? 俺言ってないぞ・・・
もしかしたら一連の流れを聞いていたのか。なんだよホモかよ(呆れ)。
教室に入り綾小路と共に真っ先に彼・・・彼女?の机に向かう。サンドイッチを両手で持ちチビチビと一人で食べている。なんだこの小動物。守らねば(使命)。
「すけちゃん。今日の部活動説明会、俺と・・・隣の綾小路と一緒に行かないか?」
「う、うん。僕は良いよ」
心なしか綾小路も喜んでいる気がする。
――――――――――――――――――――――――――
授業も終わり今は放課後。部活動説明会までは少し時間がある。なので今は綾小路とショッピングモールに来ている。すけちゃんも誘ったけど、『僕も男になるんだ!』とか言って断られた。何言ってるんだろうね。そういえば今日の数学の授業で先生に当てられて因数分解できない奴がいた。中学で習うよね? しかも授業初日で寝てる赤髪の奴いたし。割と学力は重視してなくて、コンクールの賞とか資格とかをメインにしてるのかも。
‛ピロン!’
【『ボイスレコーダーを買う』】
【『サバイバルブックを買う』】
【『コン〇ームを買う』】
!? 嘘だろ。絶対選択肢って買うものまで指定してくんのかよ。めんどくさ。まあ10万あるしいいけども。
値段順だとゴム→本→ボイスレコーダーだよな。うーん。ただなあ。ゴムも本もどうせ使わないしな(涙目)。唯一使い道があるかもしれないのはボイスレコーダーか。ワンチャン変なことし続けると俺をイジメてくる奴とかいるかもしれないし。
【『ボイスレコーダーを買う』】
「綾小路君。最初にボイスレコーダー買ってもいいかな?」
「俺は別にいいぞ。でもボイスレコーダーなんて何に使うんだ?」
「俺が変なことしてるとイジメられるかもしれないからね」
「自覚はしてるんだな」
ちょっ。チクチク言葉は良くない。
「綾小路はなんか買うものとかないの?」
「俺は・・・昨日粗方買ったしな」
「暇じゃね?」
「・・・・・・食材とか日用品とか買うと、かさばるかもしれないしな。夏秋冬は
「綾小路。お前はなんて良いやつなんだ!!」
ボイスレコーダーのコーナーは異様に品揃えがいい。茶柱先生もこの学校はいじめに厳しいって言ってたからその影響もあるのかな。価格帯は2千円台から2万円台までと、だいぶ幅がある。機能性はどうでもいいから安いやつ買うか。
「ちなみに綾小路はどれがいいと思う?」
「この2万円の奴だ。これはなんかこう・・・少年心をくすぐるデザインだからな」
「・・・なるほどなあ」
綾小路の宣伝を無視して、気持ち悪い笑みを浮かべたおじさんのレジまで持って行く。2万円はさすがに高い。どことなく綾小路はしょんぼりしている。
専用の機械に携帯端末をかざし、支払いが終了する。キャッシュレス最高!!
それにしてもほんとにでけえな。モールの中にあるのに俺の町の一番デカいスーパーよりでかいかも。人もそれなりにいて、カップルもチラホラいる。ん? あれは・・・
「デカ」
「本当に広いよな」
心の声漏れてた。俺の前にいる女子3人組の一番左のピンク髪の子。めっちゃでかい。何がとは言わないが小玉のメロン位あるぞ。
‛ピロン!’
【百合に割り込む】
【百合のパンツが食い込む】
なんだこれ。ご褒美じゃねえか。・・・いや、ご褒美じゃねえ。最悪、誰が同性愛者か分かるっやん。はたして俺がそれを知ってもいいのか? 多分隠してるよね。
俺は百合が好きじゃない。もちろんホモも好きじゃない(迫真)。これはシュレーディンガーの百合だ。俺は百合を観測しないことで同性愛者でも異性愛者でも分け隔てなく、接することができる()。あと普通に連絡先知りたい。転生したなら、ね。やりたいことやったもん勝ちなんだよ(意味深)。
――――やれるのか? 俺に。いや、やるしかねえ!
【百合に割り込む】
ふぅー。凄くドキドキする。
「今日の夕飯何にしようかなー?」
「うーん。カレーとかいいんじゃない?」
違う違う! お豆腐ってどこにありますかって聞こうとしただけなのに会話に割り込みすぎてるんだけど!!!!!
「え? ちょっと貴方誰ですか?」
「1年Dクラスの夏秋冬春夏です」
「もしかして一之瀬さんの知り合い?」
「えっと。私は分からないかなぁ」
‛ピロン!’
【ストレートに言う】
【少しはぐらかして言う】
男ならど真ん中だ! 何を言うかは分からないけど。
【ストレートに言う】
「お前のことが好きだったんだよ!」
ちょっと!? 火の玉ストレートすぎだろ!
「はい? いきなり何言ってるんですか?」
どうやら薄緑色のショートカットちゃんは俺を不振に思っているらしい。正常だ。
「まあまあ。千尋ちゃんもそう言わずに、ね? 私は悪い人じゃないと思うんだけどな~」
「いきなり変なこと言ってごめんね。君たちが可愛かったから話掛けたくなったんだ」
ちょっと。俺はカロリーメイトってどこにあるんですか? って聞こうとしただけなんだけど。また改ざんされてるんだが!!
「か、可愛いからって。ナンパみたいじゃないですか?」
「そうd
「夏秋冬。俺を置いて行かないでくれ。・・・えっと俺は綾小路清隆です。そこの3人は夏秋冬の知り合いですか?」
「「「違います」」」
「え? じゃあお前は初対面の人に話しかけてたのか?」
「そうだよ(便乗)」
「夏秋冬ちゃんって男の子と一緒に来てたんだね! もしかして~。二人は付き合ったりとかしてるの?」
いたずらっ子っぽくしゃべるピンクの子。まだ名前は分からない。
「100%ないです。ただの友達ですよ」
俺はホモじゃない!!
「その言い方はちょっと綾小路君がかわいそうじゃない?」
「・・・俺こう見えて男なんですよ」
「「「え!?」」」
「そうなの!? 私てっきりスカートも履いてるし顔も可愛いから女の子かと思ってた」
「私も」
「びっくりです」
「じゃあ何で女子の制服着てるの?」
「それは―――自分が女装癖だからです」
「あっ。ふ~ん。そうなんだ。でも結構似合ってるし、何なら男子の制服よりも似合ってるかも」
こんな多様性の「た」の字もない時代に・・・ なんていい子なんだ。
「ありがとうございます」
「それで、その・・・俺と連絡先を交換してほしいんですけどダメですかね?」
「私は別にいいけど。千尋ちゃんたちはどう?」
「一之瀬さんがするなら私もしてもいいけど」
「私もー」
どうやらピンクメロンちゃんは一之瀬というらしい。その子が俺と連絡先を交換するならしてもいいってどういうことだ? 地獄に落ちるなら皆で落ちようとかそんな感じですか?
「綾小路君もする?」
「是非お願いします!」
どうやらメロンちゃんは一之瀬穂波《いちのせほなみ》 というらしい。他2人は・・・
「良かったら私たちと一緒に買い物してく?」
‛ピロン!’
【会計間際にコン〇ームをみんなのかごにテレポーテーションさせる】
【断る】
ふざけるなあああああああ!!!! せっかく女子から誘われたのに、何を四天王!?
マジで迷う。だって100%、誰も俺の罪を証明できないんだよ? しかも反応も見える。 でも倫理的に許されるのか・・・? ただのセクハラだよな。。。 悔しい。でもいつかの彼女の為にこれはとっておこう。俺は変態紳士だし(血の涙)
「・・・だが断る!」
「自分から話しかけてきて、しかも一之瀬さんの誘いを断るんですか!?」
「千尋ちゃん。夏秋冬君たちは、これから用事があるんじゃない?」
「これから部活動説明会に行くからね」
「夏秋冬。あと1時間くらいあるぞ。ここから寮まで10分もかからないし、いいんじゃないのか?」
「服も買わないといけないし・・・」
「・・・『買わないといけない』? 寮の部屋には前もって送った荷物があるはずだ」
「そうだったな。・・・ワスレテタ」
初めて知ったんだが。確かに全寮制だから荷物持ってきてるか。
俺のもあるのかな。だがな綾小路。俺は【断る】の選択肢を選んだ時点で絶対断らないとダメなんだよ。下手に動くと体が乗っ取られてオート操作になる。そして行きつく先は・・・まだわかんないけど。
「私たちも説明会に行くし、それまで一緒に行動してもいいんじゃないかな?」
ピンクメロンちゃんの純粋な瞳が俺を穿つ・・・
こんなに食い下がるんだったら心を鬼にしてコン〇ームをテレポーテーションさせるべきだったな。これは大義だ!
「気持ちはうれしいけど、それはできないかな」
メロンちゃん以外の(嘘だろ、お前・・・)みたいな視線やめてや。心はガラスだぞ。
「まあ、しょうがないかー。もしかして夏秋冬君って私の事、少し苦手?」
「いや、そんなことないよ。むしろ好ましい」
「じゃあ一緒にいたら「私たちの邪魔になる」とか思ってたり?」
「そんなこともない」
「これ以上いるとさ。――――――――――心まで奪われちゃいそうだからさ。正直、君の顔も直視できない」
こんな少女漫画みたいにキザなセリフ吐きたくないんだけどさ。こうでも言わないと振り切れないな。吐きたくなるほど気持ち悪い(激寒ギャグ) でも顔も直視できないのは本当。視線が圧倒的な質量を持つ2つの物体に重力で引き寄せられるし。
「・・・」
なんか黙ってるんだが。さすがにキモすぎたか。今の内にダッシュや!!!
「本当に断って良かったのか?」
「ちょっとハードル高いっていうか。綾小路は行きたかった?」
「俺は人生で初めて女子に誘いを受けたから行きたかったけどな」
「!!? 綾小路って・・・性欲あるの?」
「性欲・・・というより単純な興味だな」
「それは悪い事しちゃったか」
「チャンスはまた来る・・・と信じたいけどな」