プリンセスコネクト:Daybreak   作:五十嵐レイト

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そろそろここに書くことと書き溜がなくなってきた・・・
まあ、それはそれとして張り切っていきましょう!!!


ep:3 贖罪の決意

「キャルちゃん、これ飲んで」

 

「・・・ありがとう」

 

キャルが座り込んでしまったところから少し離れたベンチ、ユウキに手渡された水を少しばつの悪そうにキャルは受け取った。

 

「ぅん、ふぅ~」

 

「落ち着いた?」

 

「ええ、なんとかね。それじゃあ」

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!」

 

水を少し口に含んで早々に立ち去ろうとするキャルをユウキは慌てて引き留めた。

 

「何かあったんでしょ?僕にも聞かせてよ」

 

「・・・これは私の問題なの、あんたには関係ないわ」

 

「関係なくないよ」

 

「っさいわね、ていうかあんた仕事はどうしたのよ?」

 

「キャルちゃん様子が心配で、お願いして早めに抜けてきたんだ」

 

その言葉を聞いて、キャルは口ごもりながら彼から目を逸らす。

そして小声で「余計な事を」と呟く。

事実、来てくれた事は嬉しかった。もし来なかったら自分は精神的に参ってしまっていただろう。しかし、今のキャルにとって彼の存在は少し煩わしくもあった。

 

「これは、過去の私が招いたことなの、だから私一人で決着を付けないと」

 

「けど、震えてるじゃないか、まずは落ち着いて」

 

「・・・うるさい」

 

「まずは休まないと、とりあえず座ろうよ」

 

「うっさいわね、離して!!」

 

ハイドに出会った恐怖と、もしユウキと一緒にいる事がばれてしまえば彼は周りにいる他の仲間に迷惑がかかってしまうと言う焦りから、彼女は語気を強めて突き飛ばしてしまう。

 

「ぁ、ごめん・・・」

 

「・・・わかった、もう何も聞かないよ」

 

「ぇっ?」

 

突き飛ばされ尻餅をついたユウキはうつむきながらそう呟くと、立ち上がってキャルから離れて言ってしまった。

 

 

「・・・はは、まあ因果応報か」

 

ユウキの姿が見えなくなったところで、キャルは乾いた笑い声と共にそう呟いた。

ハイドに脅されていたとはいえ、せっかく自分を助けてくれようとしたのにそれを自身の腕で振り払ってしまった。

本来、誰かに助けを請えるような存在ではなかったはずなのに、そんな事も忘れて奢った結果、大切な仲間にすら見放されてしまう。

元々何もなかった空っぽの自分にはおあつらえ向けの末路じゃないか・・・。

そう思いながら空を見上げたキャルは、ポケットにしまっていたハイドから貰っていた紙をグシャリと握りつぶした。

 

「後は・・・決着付けるだけね」

 

 

 

 

 

 

「ふ~ん、これが最近各地で目撃されている穴かぁ~どこに繋がってるんだろう?」

 

空間に現われた黒い渦をのぞき込みながらラビリスタ面白そうに唸っていた。

「ふっ、やぁっ!!ちょっとマスター、暢気に見てないでこっち手伝ってよ!!」

「うわぁぁぁ!!お姉ちゃん、こっちも来てます来てます!!!」

ランドソル郊外、突如開いたゲートの周りで秘密結社ラビリンスのメンバー・・・と言うよりシズルとリノは群がる魔物達と戦闘を続けていた。

 

「ごめん、ちょっとこれ解析したいからもう少し持ちこたえといて」

 

「なっ!ちょっと!?」

 

「無茶ですよ!!!」

 

ラビリスタの返事に文句を言いながら、シズルとリノは襲い来る魔物を手慣れた動きで処理していく。

 

「・・・ふむふむ、これは!?けど、消えたはずじゃ・・・けどまさか」

 

二人が魔物の相手をしている間、ラビリスタはゲートを観察しながら様々なデータを採取していた。

データを照らし合わせ、ある事実にたどり着いたラビリスタが声を出して狼狽する。

 

「セイクリッドバニッシュ!!」「コロナレイン!!」

その後ろで、シズルとリノはそれぞれの必殺技で残っていた魔物達を一掃した。

 

「ふぅ~終わりましたぁ・・・にしても、何なんですかねこいつら」

 

「うん、倒したらシャドウみたいに消えちゃうし」

 

光の粒子となって消えていく魔物達を見下ろしながらシズル達が首を傾げる。

ラビリンスは以前からゲートから現われた魔物とは数回交戦していた。

そのたびに得られた数少ないデータから分かった事は2つ、まず一つはシャドウに近い特徴を持っていること、だがこの世界に存在しているどんな魔物とも違った存在である、ということだ。

一体いつから存在しており、どのような条件で現われるのかは一切不明で生態は謎に包まれていた。

 

「全く、何なんだろうねマスター・・・マスター?」

 

ラビリスタに問いかけるが、返事が返ってこず不審に思って振り返ると彼女は険しい表情をしながらゲートの前で固まっていた。

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

「えっ、あぁ~大丈夫、大丈夫、それより二人ともお疲れ様」

 

怖ず怖ずとリノから話しかけられ彼女達に気がついたラビリスタが、すぐいつもの軽い調子に戻ってそう返す。

 

「何か分かったの?」

 

「あぁ、ちょっと っ!?」

 

シズルに問いかけられ口を開こうとするラビリスタだったが、その途中でゲートの向こうから魔物のうなり声が聞こえ始める。

 

「ギガァァァ」

 

 

「二人とも離れて!」

 

ラビリスタが後ろにいた二人と共にその場から離れると共に、ゲートから魔物の手が伸びる。

だが

 

「せやぁっ!!」

 

突如ゲートの向こう側から勇ましい声が聞こえてきたと思うとこちらに身を乗り出してきていた魔物の体が真っ二つになって消滅した。

 

「っ!?」

 

「お姉ちゃん今の声!!」

 

「うん、もしかして!」

 

驚きつつ警戒するラビリスタと聞こえてきた声で何かに気がついたシズルとリノ、そんな彼女達の前に、先程魔物を切り裂いた声の主は「ふっ」というかけ声と共にゲートから飛び出した。

 

「おぉっと、これは意外な邂逅だ」

 

「・・・君は、一体」

 

ランドソルから少し離れた谷底

 

「おっ、意外に早く来たな」

 

「別に長引かせるもんでもないでしょ」

 

退屈そうなハイドと険しい顔のキャルが向かい合っていた。

 

「怯えてウジウジしてるもんだと思ったんだが」

 

「当てが外れたわね」

 

「ああ、お前が今日来なければ、お前のお仲間さんと遊べてんだがな」

 

つまらなそうにいうハイドの言葉を聞いて、キャルは持っていた杖を握りしめた。

 

「まあ、それはお前を始末した後にやれば良いか」

 

「あんた、そんな事して何になるって言うの」

 

「別に・・・何も」

 

怒りを抑えながらそう問いかけるキャルに、ハイドはなんともないといった様子でそう答える。

 

「生憎、今の俺には職も目標もないんでね。行き着くところがどうせ破滅なら、今楽しんだ方が良いと思ってな」

 

「そんな理由で人をっ」

 

「今更いい子ぶんなって!!!」

 

「っ!!」

 

ハイドの言葉に怒りを滲ませながらそう呟くキャルに、ハイドは顔を歪めながら怒鳴り返した。

 

「自分のやってきた事忘れたのか?皇帝サマに使われて、俺の事を黙認してた時点でお前も同罪なんだよ、

 

「それは・・・」

その言葉を聞いて言い淀むキャルに、ハイドは畳みかける。

 

「姫様に寄生してどれだけ清廉潔白ぶっても根っこのところは俺と同じ、薄汚い社会のゴミだ。どれだけ足掻こうが行き着く先は破滅だけ、お前も分かってんだろ?」

 

ハイドにそう詰め寄られ、キャルはうつむいて黙ってしまう。

 

「ふっ、ほらな。まあ、元同僚のよしみだ、俺が責任を持ってお前を先に送ってやる。その後は」

 

「確かにそうね、けど・・・」

 

何も言い返してこないキャルを見て勝ち誇った様子のハイドがそう語るのを、うつむいたキャルがそう呟いて止める。

 

「あ?」

 

「例え私の結末が破滅でも、彼奴らは・・・大切な仲間だけは巻き込ませない!!」

 

そう叫ぶと共に涙ぐんだ顔を上げて持っていた杖をハイドに向けた。

 

「・・・あぁ~そういう感じかぁ~めんどくせぇ奴になったなお前、今まで俺の仕事見てきただろ、勝てると思ってんのか?」

 

「例え差し違えてでも、止める!!」

 

「あぁ~わぁった、わぁった。まぁ食らいついてくれるなら楽しめなくはないか」

 

震えながら杖を向けてくるキャルを見て、つまらなそうに頷いたハイドは腰に携えていた剣を引き抜いて構えた。

 

「来いよ、そのコッテコテな絆ごと切り刻んでやる」

 

「・・・はぁぁぁぁぁ!!!」

 

剣を持った手をだらしなくぶら下げてそう煽るハイドに、キャルは叫びながら魔法を放った。

 




次回の投稿は明日の23です、それではまた!!

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