「おっと、これは意外な邂逅だ」
「・・・君は、一体」
「成る程、やっぱりそういう反応になるのか」
黒い渦の向こうから現われた人物の姿を見て、ラビリスタが驚きで固まってしまう。その様子を見て、その人物は見立てが当ったと言ったように顎にてを当てて頷いて見せてた。
「そ、その顔!!」
「弟君!!?」
次いで声を上げるリノとシズルを見て、渦から現われた少年は少しバツの悪そうに頭を掻いて苦笑した。
「・・・久しぶりだね、リノちゃん、姉さん」
「えっ?」
「弟君、久しぶりってどういう?」
少年の言葉に困惑する二人から意識を逸らすように、少年はラビリスタに向き直って彼女に質問を始めた。
「頭の整理は付いたか?ラビリスタ、あなたに聞きたい事がある」
「えっ、あぁ~あんまり理解は追いついてないけど、とりあえず話は聞くよ」
少年から発せられた冷たい言葉を聞いて、気圧されつつもラビリスタはぎこちとなく頷いた。
「じゃあ遠慮なく、この世界で何か異変は起こっていないか?」
「異変か、最近正体不明の魔物がどこからか発生していることかな」
「それはいい、それ以外で何か異変はない?」
ラビリスタの言葉にすぐ首を振って、少年は違う情報を求める。その表情はどこか焦った様子で、どこか苛立ちのようなものが混じったような様子だった。
「他・・・申し訳ない、私が観測する限りは特にないかな」
「そうか・・・とするとこれからか」
「ねえ弟君、一体何があったの?」
その言葉を聞いた少年が顎に手を当ててそう呟く。いつもの弟とはかけ離れた様子に、困惑しながらシズルが尋ねた。
「・・・あぁ、どうやらこの世界に大きな変化が訪れそうなんだ」
シズルに尋ねられた少年は、深刻そうな表情をしてそう答えた。
「はぁぁっ!!」
「ふっ!」
杖から放たれたキャルの魔法を、ハイドは片手に持った剣で軽く切り裂いた。
余りにも簡単に攻撃を防がれ驚くキャルに距離を詰めたハイドは、手に持っていた剣を容赦なく彼女に向けて突き出した。
「くっ!おりゃぁっ!!」
「っと、意外に動んだな」
「こっちも色々乗り越えてきてんのよっ!!」
杖で攻撃を受け流したキャルを見て、少し驚いた表情を見せるハイドに反論すると、キャルは杖を使ってハイドの剣をはじいて突き飛ばすと、至近距離で魔法を彼に向けて放った。
「おっ」
ハイドの短く驚く声と共に、魔法が彼の体に直撃して爆発が起こり周囲が土煙に包まれ、静寂が訪れる。
「はぁ、はぁ」
その光景を、キャルは息を切らしながらじっと見守っていた。ハイドの強さは理解している。この程度でやられるような男ではないはずだ。
そう思いながら、キャルは土煙が治まりハイドのシルエットが見え始めたところで再び杖を構えて再び魔法を放とうとするが
「そこそこ、歯ごたえが出てきたな」
「っ!?きゃっ!!」
突如ハイドのいた方から放たれた黒いエネルギーの波動によって吹き飛ばされてしまう。
すぐに、立ち上がって再び攻撃が来たところに視線を戻すが、そこでキャルが見たのは信じられない光景だった。
「あんた、なによそれ」
「あぁ~これか、皇帝サマからのプレゼントって奴だ、悪くないだろ」
そう言いながらハイドは自信の左腕を自身の前に掲げて見せる。彼の左腕はこの一瞬で先程までの人間の腕とはまるで違うものになっていた。ま手は大きな爪が生えた猛獣のように変化しており、所々棘のようなものが突き出している。
彼の体から見ても不釣り合いな程大きく、とても不気味で禍々しい、それでいてかつてキャルが戦った皇帝のような威圧的なオーラを周囲に放っていた。
「あんた、あの人に人体実験されたの」
「は?お前何言ってんだ、そんなんお前だっ・・・いや、やっぱ何でもないわ」
キャルの言葉に驚きながらハイドが何かを言いかけるが、すぐに何かに気がついたように言葉を切って邪悪な笑みを浮かべた。
「・・・何よ」
「いや、気にすんな。どうせ消える奴に言ったってしょうが無いっ!!」
ハイドの不審な様子にキャルがそう尋ねるが、彼は答える代わりに声を荒げつつ異形の左腕を大きく振り、爪から黒い斬撃をキャルに向かって放った。
「くっ!!」
「無駄なんだよっ!!」
咄嗟にバリアを張って防ぐキャルだが、ハイドの凄まじいスピードで距離を詰められ、左腕での直接攻撃でバリアを簡単に砕かれてしまう。
そのままハイドはすぐさま剣で攻撃するが、キャルが再び杖を使って防御する。
「っ!?ふっ!!」
「甘いんだよっ!!」
先程と同じように押し返した反撃をしようとするキャルだが、それを読んでいたハイドが勢いの良い足払いで彼女を中に浮かせ、左腕の攻撃で少し離れた岩壁に叩きつけた。
キャルが岩壁に叩きつけられると共に岩が少し凹み、彼女が地面に落ちるの同時にひびが入る。
「ごばっ!!がはっ!!」
「そう何度も同じ手を喰うかよ」
岩壁に叩きつけられ、地面に激突した衝撃でキャルの全身に強烈な痛みが走り、肺から空気が残らず吐き出される。
そんな彼女の様子を見下ろしながら、ハイドは煽るようにちっちっと舌を鳴らしながら指を振った。
「言ったろ、お前が俺に勝てるわけねぇって、それじゃあ早いけどそろそろ」
「止めろっ!!」
キャルに向かって見下したようにそう言いながらトドメを指そうとハイドを左腕を振り上げるが、そこになんとユウキが割り込んできた。
「あぁ?なんだお前?」
「くっ、せやっ!!」
困惑しながらも振り下ろされるハイドの異形化した左手を自身の剣で受け止めてはじき返し、隙が出来たハイドの溝落ちに向かって剣に柄を深く突き出した。
「ごふっ!」
突如現われた人物の予想外の反撃にダメージを受けて大きく後退するハイド、それを見たユウキはすぐにその場から離れてキャルに駆け寄った。
「ごめんキャルちゃん、遅くなって」
「ゆ、ユウキ!?あんたどうして!?」
予想外の乱入者に驚いて尋ねるキャルに、ユウキは少し得意げな表情で答える。
「実は、あの後こっそりキャルちゃんについてってたんだ。あの時広場でキャルちゃんに強く言われて、これは何を言っても話して貰えないなって思って、けど何があったのかは知りたかったから、本当はいけない事だって思ったんだけど・・・」
「そう、そうだったんだ」
キャルを抱え起こしながら申し訳なさそうにそう説明するユウキ、その言葉を聞きながら彼女は喜びを噛みしめるようにしながら頷いた。
「見捨てられてなかったんだ・・・私」
「見捨てたり何てしないよ、ただ~もう少し素直になってくれると助かるかな」
「んなっ!?うっさいわね!!ていうかあんた、助けに入るならもうちょっと早く来なさいよ!!」
安心して思わず呟くキャルに、それを聞いたユウキは暖かな言葉をかけながら少し小言を挟む。
それに対してキャルは、ユウキに色々と見透かされていた動揺と気恥ずかしさで再び強気に言い返した。
「ご、ごめん 実は途中で見失っちゃってさ、さっきようやく見つけられたんだ」
「はぁ、少し大人になったと思ったけど、そういうところは相変わらずね」
「あははっ」
「ねぇ・・・ありがとう」
ユウキの言葉を聞いて思わずため息を吐くキャルだが、苦笑いをするユウキに呼びかけ、顔を見て素直に心ならの感謝の言葉を彼に贈った。
「うん、どういたしまして」
「ってぇ~やってくれたなプリンセスナイトさんよぉ!!」
「っ!?」
キャルに笑顔を向けてそう返すハイドだが、突如叫びだしたハイドの方を見て剣を構え直して警戒態勢を取る。
「流石に油断しすぎた、仕切り直しだ。二人まとめて相手してやる」
「キャルちゃん、大丈夫なの」
「さぁ、危なかったらカバーしてよね」
煽ってくるハイドを無視してダメージを受けたキャルを気遣うユウキに、キャルはどこかいたずらっぽくそう答える。
「っ?・・・オッケイ!じゃあ行くよ!」
「ええっ!!」
それに対してユウキは一瞬驚くがすぐに頷いて力を解放してキャルを強化する。
そして、ユウキと並び立ったキャルは彼の号令に力強く頷いた。
最近からだが疲れている気がする・・・
新学期も始めるし新しい小説も進めたいしで色々てんやわんやですが、これからも自分のペースで頑張っていこうと思います!!
とりあえず明日の投稿は23時の予定です、それではまた!!
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