「はぁっ!!」
「せやっ!!」
ユウキの力で強化されたキャルの魔法で遠距離からハイドを攻撃し、その威力にたじろいだ隙に接近していたユウキが剣で異形化した彼の左腕を切りつける。
「ぐっ!ったく、ナイト君さぁ、なんでそんな奴に肩入れすんだよ」
「大切な仲間だからだッ!!」
再び繰り出されるユウキの攻撃を受け止め、ハイドが彼にそう尋ねる。
それに対してユウキは、一切の躊躇いなく自身の思いを叫び、体をずらしてキャルが攻撃する為の道を開けた。
「はぁぁぁ!!」
「ぐっ、ぐはっ!!」
ハイドが魔法の攻撃でたじろいだところに、すかさずユウキが剣撃を合せてハイドを切り飛ばす。
「今まで一緒に頑張ってきたから、どんな所も受け入れるし、これからどんなことがあっても一緒に乗り越えて行こうって思える。それが、今の僕とキャルちゃんだ」
地面に転がったハイドに向かってユウキがそう語る。それに対してハイドはうなだれながら起き上がると、ため息を吐いた。
「はぁ~コッテコテだなぁ~胃もたれするわ」
「それに、キャルちゃんの罪を裁く権利はあなたにはないはずだ」
うざったそうにそう呟くハイドに、ユウキは少し語気を強めてそう返した。
そう言われたハイドは「へっ!」と苛立ちをあらわにするようにそう叫ぶとガバッと顔を上げてユウキ達を睨み付けた。
「かぁぁ~やっぱ皇帝も警戒するナイト君は言うことがちげぇなぁ~。ありがたいお話を聞いてるだけで心底ムカついてくるよ」
とてつもない敵意をぶつけられたユウキが、少したじろぎつつ剣を構え直す。それに対してハイドは無駄だと言わんばかりにその様子を鼻で笑い、自身の右手の平を彼の方に向けた。すると、彼の掌の中心に何やら黒いエネルギーが集まり出す。
「なんだっ?」
「ハイド、あんたまさか人を捨てる気!?」
不信に思うユウキの後ろで、ハイドのやろうとしていることを理解したキャルが驚きながらそう尋ねた。
それに対して頷くように狂気的な笑みをを浮かべて掌に収縮したエネルギーを力一杯握りつぶした。
「決めた、キャルは二の次だ。先にお前をぶっ潰す!!」
「うわっ!!」「きゃっ!!」
ハイドがそう叫ぶと共に、周りに黒いエネルギーが衝撃波となって広がっていき、土煙を巻き上げてハイドの力を覆い隠すと共にユウキとキャルを吹き飛ばして彼らの後ろにあった岩壁に叩きつけた。
「くっ、なんなんだこれ!?」
「あいつは暗殺任務の為に陛下体を作り替えられていたの!!その力を限界を超えて解放したみたい!!!」
衝撃波に耐えながら立ち上がってそう呟いたユウキに、キャルが深刻そうな表情をしながらそう答える。
「限界を超えるだって!?」
「ええ、強大な力が手に入るけど、その代わりに人としての姿を失って完全な怪物になり果てる、あいつもそれは分かってるはずなのに・・・」
「ハァァァァァァ!!!!」
キャルが言葉を終える前に、叫び声と共にハイドが自身の姿を隠していた土煙を吹き飛ばした。
「なっ!」
土煙が払われ、あらわになったハイドの姿に、ユウキは絶句した。
人の頭を握りつぶせそうな程大きくトゲトゲとした両手、頭部から延びる一本の角、まるで重厚な鎧を着込んだかのような黒い巨体に青い炎のような禍々しい光が体の至る所で蠢く。
その体から放たれる威圧感はどこか、ユウキがいつか迷いこんだ別の世界で戦った魔物達ととてもよく似ていた。
「これが、ハイドの人を捨てた姿・・・くっ!!また、何なのよこれ」
同じくその姿を見て唖然とするキャルだが、突如再び激しい胸の動悸に襲われ地面に膝を突いてしまう。
脳裏にはまたかつて仕えていた主の姿が浮かび、今度は破壊衝動のようなものが湧き上がってくる。
「はぁ、はぁ」
「キャルちゃん、大丈夫!?」
「えぇ、それよりあいつを何とかしないと」
駆け寄ってきてくれたユウキにそう頷きながら、キャルは完全に怪人と化してハイドを見つめ直す。
「クッハッハ!!ヒャヒャヒャッ!!良い気分だぁ、諸々まとめて全て消えろぉ!!」
狂ったように笑い出したハイドは、その太い足を振り上げて地面に叩きつける。
すると、足で踏みつけた箇所から青黒いエネルギーが地面を稲妻のような形で伝わっていき、各地で吹き出して爆発を起こした。
「きゃぁぁ!!!」「うわぁぁぁ!!!」
爆発に巻き込まれたユウキとキャルがそれぞれ別の方向に吹き飛ばされる。
「サァ、サァ、思う存分ぶっ潰してヤルヨォォ!!」
そう言いながらハイドは巨体に似合わぬスピードでユウキの方に近づいき、ハンマーのように太い腕をその勢いに乗せてユウキに向かって振り下ろした。
「っ!?くっ、ぐはっ!!」
何とか立ち上がったユウキが咄嗟にハイドの攻撃を躱し、振り返りざまに彼の体を切りつけるが、ハイドの体の硬度は凄まじく、キンッ!という音と共に剣がはじかれてしまう。
そして、剣がはじかれ体勢を崩したところにハイドが振り向きざまに自身の腕をユウキの体に叩きつけた。
「ハッ、ハッ、ハッ!!ほらほら、モタモタしてっとすぐにくたばっちまうぞ!!」
強烈な一撃を食らい苦しむユウキをそう煽りながら、ハイドは彼の頭を鷲づかみして無理矢理持ち上げる。
「うわっ、くっ、どうしてそんな姿に」
「アァッ!?決まってんだろ、楽しいからだ!!人の命を奪うのも、誰かの大切なものを壊すのも、優越感が癖になる、わかんねぇかなぁ?」
心の底から楽しそうな声でそう答えるハイドの様子を見て、ユウキは彼とわかり合うことが不可能であること、そして彼をここで倒さなければならないと直感的に確信した。
「そんなことっ!分かるわけないっ!!」
珍しくそう怒鳴りながら、ユウキはハイドの腕の関節部分を切りつけてダメージを与え、ハイドの拘束を振りほどいて距離を取る。
それに対して、激昂したハイドは両手を前につきだしその間にエネルギーを溜めると球体状にしてユウキに向かってはなった。
「グハッ!!ってぇなぁ!!」
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
直撃はしなかったものの、エネルギー弾が地面に激突した際の爆発に巻き込まれ、ユウキが叫び声を上げると共に姿が土煙の中に消えていく。
「ユウキッ!!うぐっ!!はぁ、はぁ、どうしちゃったのよ、私の体」
ユウキを助ける為、魔法を放とうとするキャルだが胸の鼓動はどんどん強くなっていき、ついには立ち上がる事すら出来なくなってしまう。
脳裏に映る皇帝の姿、思考を蝕んでいく破壊衝動、その両方に苦しみながらキャルは頭を抑えて顔を歪めて、ユウキが痛めつけられる様を何も出来ずに見ているしかなかった。
同時刻ランドソル郊外、突如ゲートの向こう側から現われた少年と会話をしていたラビリスタは、ユウキの危機を察知して唐突に呟いた。
「不味い、少年がピンチみたいだ」
「弟君が!?」
ラビリスタの言葉にシズルがいち早く反応する。その横で、ゲートから現われたユウキに瓜二つの少年は少し苦しそうに表情を歪めた。
「あの、大丈夫ですか?」
「あぁ、だが状況は良くないみたいだ」
険しい表情の少年に怖ず怖ずと尋ねるリノに、少年はそう答えながら傷ついた左目を押さえる。
「っ?君もこっちの少年の異変を感知できるのかい?」
「いえ、僕のはそう言うものじゃない。ただ、僕が探していたものは偶然感じ取れたみたいだ。成る程、最近このゲートが頻繁に開く原因が分かりましたよ」
一人で色々と納得する少年に戸惑いつつラビリスタは尋ねる。それに対して少年は、そこし躊躇った後に、しっかりと彼女を見据えて口を開いた。
「原因が分かったって・・・一体どういうことなんだ?」
「この世界とゲートを介した僕の住む世界の出来事は密接に関係している。つまり、ゲートが頻繁に開いている原因はこの世界で起こる大きな出来事に関係しているんです、そして、今その出来事がなんなのかが分かりました」
「・・・皇帝マナの力を受け継ぐもの、世界を破滅へ導く存在が誕生します」
明日の投稿は本日17時を予定しています
それではまた明日!!
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