プリンセスコネクト:Daybreak   作:五十嵐レイト

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ep:1 イレギュラーとの邂逅

 

前回までのあらすじ

平和になった世界、美食殿の皆と一緒に食事を楽しんでいた僕の前に突如謎の黒い渦と謎の魔物が現われた!!

僕たちに襲い掛かってくる魔物を皆の力を使って退けた、と思ったんだけどその魔物が何故か再生!?

しかも、僕は魔物に捕まって黒い渦の向こう側の世界に連れ去れてしまった!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!いてっ!・・・ここは?」

 

暗闇の中、唐突に手を離されたユウキはジャリジャリとした地面に叩きつけられた。

背中をさすりながら辺りを見回すと、目の前には瓦礫がそこら中に散らばっている廃墟が広がっていた。

空は君の悪い暗雲に包まれており、時折雷も鳴り響いている。しかしどこか見覚えもあるような不気味な場所に困惑しながらユウキが辺りを見回していると、どこからかうなり声が聞こえてきた。

 

「グラァァァ!!」

 

「まさか、再生!?」

 

ユウキがそちらの方を振り向くと、そこにいたのは先程ユウキを連れ去ったのと同じ大きな腕を持った巨大な魔物が、吹き飛ばされた上半身を完全に再生させた姿だった。

 

「ギギャァァ!!!!」

 

「っ!!」

 

魔物が地面を揺らしながらユウキの方に向かってくる。ユウキは慌てながら剣をかまえて応戦しようとするが、巨大な腕を使った攻撃になすすべなく吹き飛ばされてしまった。

 

「あぁぁぁぁぁ、ごぶっ!!」

 

「ゴガァァァァァ!!!」

 

情けない声と共に上空で放られ、地面に落下し呻き声をあげるユウキ。傷ついた体にムチを打ってなんとか立ち上がろうとするが、そうしている間に魔物に距離を詰められてしまった。

 

「グラァ!!」

 

「うわっ!!」

 

大きく振り上げられた魔物の右腕を勢いよく振り下ろされるのを見て、ユウキは目を背ける。何とか頭は守ろうと両手で頭部を覆って身をかがめる。

 

 

しかし

 

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

「ギィィィ!!!!」

 

痛みを覚悟していたのも束の間、どこかで聞いてような雄叫びが聞こえてきたかと思うと、次いで魔物が悲鳴を上げた。

 

「やぁ、災難だったね」

 

「・・・誰?」

 

恐る恐る視線を戻すと、そこにはボロボロのコートを纏い古びたゴーグルを付けた少年が剣を携えこちらに笑顔を向けていた。

 

「自己紹介は後だ、離れててくれ」

 

「う、うん」

 

半ば放心状態のユウキは、少年の言葉に素直に従い立ち上がるとその場から離れる。

それを確認した少年は満足したように頷くと、剣をしっかりと握って魔物の方に向き直った。

 

「ゴギャァァ!!」

 

「おっと、残念、せやっ!!」

 

 

「ギャァァァ!!」

その様子を見ていたユウキは、彼に加勢することも忘れてその動きに見入っていた。

 

「凄いっ」

 

思わず口からそう声が出る。叫び声を上げながら少年に向かって繰り出される魔物の攻撃を、少年は手慣れた動きで躱し、いなし、そして隙が出来たところで的確な反撃を加えていた。

同じ剣を使う者として、ユウキには彼の動きが洗練され、美しく見えたのだ。

それに加えて、ユウキには気になっていることがあった。

 

「あの肩当てと剣、似てる・・・」

 

彼が装備している肩当て、汚れらしきものでくすんでしまっているがペコリーヌが装備していたものにとてもよく似ていた。それに加え、彼が使っている剣は今自分が持っているものと全く瓜二つだ。

どちらもそこら辺で手に入るようなものではない、とても貴重のものだ。それと似ているものは何故彼が所持しているのだろう。

ユウキがその疑問に頭を悩ませている中、魔物の攻撃を身をかがめて冷静に躱した少年は魔物の足下に素早く入り込み、足を切りつけた膝を付かせる。

 

「グラァァ!!!」

 

「ふっ!終わりだっ!」

 

悲鳴を上げながらも反撃をする魔獣だが、少年は剣で難なく攻撃を跳ね返し、体勢が崩れた魔物に向かってジャンプすると剣にエネルギーを纏わせて胴体を切りつけた。

 

「ヴァリアブルブレイク!!!」

 

「グッ、ゴガァァァ」

 

強大な半透明の刃によって魔物の上半身と下半身は一刀両断され、断末魔と共に消滅した。

 

「ふぅ~、あっそうだった。大丈夫?」

 

やりきったと言った表情でため息をついていた少年だが、ユウキの事を思い出し、剣を腰に付けられた鞘に納刀しながら駆け寄ってくる。

 

「うん、ありがとう」

 

彼の顔を見てお礼を言うユウキ、ゴーグルのせいで顔はよく見えないが左目に大きな古傷があるのが見えた。

 

「それは良かった。僕の名前は・・・あ~」

 

「?」

 

自己紹介を仕掛けて、少年が何故か言い淀む。何だろう、まさか自分の名前を忘れてしまったのだろうか、そう考えているユウキがキョトンとした表情を見て少年は苦笑をすると

 

「ごめんごめん、ちょっと寝起きで頭がボーッとしててさ。ユースだ、よろしく」

 

「僕はユウキ、さっきはありがとう。ところでここはどこなの?」

 

「う~ん、説明が難しいんだけど・・・」

 

ユースと名乗った少年はユウキに問いかけられ少し考えた後に、少し複雑そうな表情をしながら

 

 

「数えきれぬ繰り返しの最中、その中からはじき出され

た狭間の世界・・・ってところかな」

 

と語った。

 

「??」

 

ユースの抽象的な説明が理解出来ずに首を傾げるユウキ、その様子を見てユースは苦笑しながら手を横に振った。

 

「ごめんごめん、とりあえず君が来た場所とは違う世界って事だ。とりあえずここは危険だから僕の拠点に行こう」

 

ユースと名乗った少年は、そう言いながら歩き出した。

 

 

 

 

「ここ?」

 

「そう、ここ。まぁぱっと見拠点には見えないよね」

 

苦笑しながらユースがかろうじて形を保っている廃墟の中に入る。彼を追って中に入ると、予想どおり中は外と同じように瓦礫まみれで、至る所にホコリが積もっていた。

 

「汚いところだけど、まあ座ってよ」

 

「あ、ありがとう」

 

ユースがそう言いながら少しほこりっぽいソファに座るようユウキに促した。瓦礫だらけの中足場を探しながら、ユウキはソファにたどり着く腰を下ろす。

 

「ふぅ~」

 

腰を下ろしたユウキはため息をつくとユースの拠点を見回した。

正直に言ってしまえば汚い、足場確保の為に瓦礫を押しのけてそれなりにスペースは確保しているが、それでも掃除する前のギルドハウスを思い出す空間だった。

 

「酷いもんだろ」

 

「外もこんな感じだった」

 

「あぁ、昔・・・とんでもない魔物が暴れたせいでここら一帯は壊滅状態だ。もうこの辺りには僕しか住んでないよ」

 

「そうなんだ・・・けどここ、さっき頭の中で見たような」

 

ここに引きずり込まれる前の事を思い出し、ユウキがそう呟くとユースはピクリと肩をふるわせて何やらボソボソと呟き始めた。

 

「なるほど、ゲートの近くにいたから僕と同期したのか・・・」

 

「どうかした?」

 

「ん?いやなんでも・・・そんな偶然あるんだんぁ~と思ってさ」

 

どこか遠い目をしながらユースがそう語る。その表情には、どこか悲しいような虚しいような表情が滲んでいるようだとユウキは感じた。

 

「・・・えっと」

 

「さてっ!早く君を元の場所に戻さないとね」

 

「っ!うん、どうやったら戻れるの?」

 

どうにか彼を励まそうと声をかけようとしたユウキだったが、その前にユースが手を叩くと共に彼に向かってそう提案してきた。

その切り替わりように少し戸惑いつつユウキは尋ねる。それに対してユーリは得意げに笑うと自分の頭を指でトントンと叩いた。

 

「僕にはさっき君をこっちに連れてきたゲートがどこに開いたか感知する能力があるんだ。だからまた入ったところと近い場所にゲートが開いたら、そこを通って元の場所の近くに戻れるはずさ」

 

「ほんと!?ありがとう!!」

 

「まあいつ開くかはわからないけどね」

 

笑顔でお礼を言うユウキに対して、苦笑しながらユースは言った。

 

「帰れる方法があるだけでもありがたいよ、そうだっ!何かお礼しないと」

 

「えぇ!?いいよ。君は巻き込まれた被害者なんだから、ゆっくりしててよ」

 

「けど、ここまでして貰って何もしないのはいけないと思う」

 

「そう?じゃあ・・・掃除でも手伝って貰おうかな」

 

お礼をしたいと懇願するユウキ、始めは断っていたユースだが彼の熱意に押されてそう案をした。

 

「・・・まぁ、君ならそうするよね」

 

「何か言った?」

 

「ううん、じゃあ少し休憩したら始めようか」

 

「うん!!」

 

ボソッと小声で呟くユース、ユウキに問いかけられるが適当にはぐらかして少し嬉しそうに微笑んだ。

 

 




次話の投稿は明日の朝8時を予定しています、それではまた!!

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