プリンセスコネクト:Daybreak   作:五十嵐レイト

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これからも皆さんに楽しんで頂けるようなお話を投稿出来ればと思っていますのでよろしくお願い致します!


ep:2 アナザーワールドの影

前回のあらすじ  

未知の魔物によって、別の世界に飛ばされてしまった僕 ユウキ

荒廃した世界で魔物に襲われて大ピンチの僕の前に、謎の少年 ユースが現われる。

魔物を感嘆に蹴散らしたユースは、僕を心配して自身の拠点まで案内してくれた!

彼に助けられ何かお礼がしたいと思った僕は、彼の拠点の掃除を手伝うことになって・・・

 

 

 

 

「よし、始めよう」

 

「ああ、あまり無理はしなくて良いからね」

 

ユウキの号令と共に、彼らは拠点の清掃を始めた。掃除に関してはギルドハウスを掃除したこともあるし、キャルやコッコロに色々と教えて貰っている。

 

「これ雑巾、箒も~どっかに落ちてると思う」

 

「分かった、とりあえず瓦礫を外に出そう」

 

まずは部屋中に散らばった瓦礫を建物から外に出していく。小さなものは後でまとめて出せば良いが大きなものはそうはいかない。一個ずつ地道にやるしかない、気の遠くなるような作業だが、ユウキは特に気にする様子もなく着々と作業を行っていた。

 

「そういえば、君の事を聞いていなかったな。ユウキは普段何をしてるの」

 

「皆とクエストしたり美味しいものを食べてしてるよ!」

 

「へぇ~皆ってどんな人たちなんだい?」

 

暫く作業を進めていると、ユースがユウキに向かって話しかけてくる。どうやらユウキの仲間の事が気になっている様子だった。

 

「う~んと、コッコロちゃんはしっかりしてじゅうしゃ?で良い子で、キャルちゃんは優しくてやくにん?で良い子で、ペコさんは元気でお姫様で良い人!!」

 

「っ!!お姫様ってのはどういう・・・」

 

「ペコさんは、ランドソルのお姫様なんだよ」

 

突如目を見開いて尋ねるユースに、ユウキは屈託のない笑顔で答える。それは聞いてユースは「そうか・・・」と言って少しの間うつむいた。

 

「ユース?大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫、ユウキの周りにはいい人がいっぱいいるんだな」

 

ユウキが心配そうに顔をのぞき込もうとするが、ユースはすぐに顔を背けて明るい声でそう言った。

 

「うん、皆良い子!!」

 

「そっか、じゃあ早く皆のところに帰らないとな」

 

「うん!!ユースも一緒に行こう!」

 

笑顔でそう提案するユウキだが、ユースはため息を付いて首を横に振った。

 

「ごめん、僕はここにいなきゃいけないんだ」

 

「どうして?」

 

「やらなきゃいけない事があるからね」

 

「・・・そっかぁ」

 

理由を問いかけるユウキだが、ユースの優しいが有無を言わせない様子に引き下がるしかなかった。

 

「ささっ!とっとと済ませちゃおう」

 

「う、うん」

 

 

 

 

 

「ふぅ~意外に早く済んだな」

 

「綺麗になった!!」

 

見違えるほど綺麗になった拠点、その床に寝転びながらユースはため息をついていた。

面倒だと思ってやっていなかった掃除だが、やって見ると意外と気持ちが良く心まで晴れ渡っているような気分だと思いながら、ユースはフッとほくそ笑んだ。

 

「楽しかったの?」

 

「ああ、思ってた以上だった」

 

「良かった!」

 

こちらに曇りない笑顔を向けてくるユウキを見て、ユースも微笑み返す。

 

「あぁ、ちょっと蒸れちゃったな」

 

そして、そう言いながらユースはゆっくりとゴーグルをあげてユウキに素顔を見せる。あらわになった彼の左目にはざっくりと深い傷跡が残っておりまぶたは硬く閉じられており、顔は環境のせいか引き締まっており傷と合せてどこか威圧的な雰囲気を醸し出していた。

だが、それより彼の顔を見たユウキが驚いたのは・・・

 

「わぁっ!僕そっくり!」

 

「ああ、僕も初めて君を見た時は驚いたよ」

 

自身と瓜二つの顔を見て驚くユウキにユースはそう返す。

 

「でも、痛そう」

 

「これ?さっき言った魔物と戦った時に付けられた奴でさ、昔は目が見づらくなって不便

だったけど、多分これのおかげでゲートの位置を感知出来るようになったし、何も食べなくても生きていけるようになったから何かと助かってるよ」

 

左目の傷を見てそう言うユウキに対して、安心させるようにユースはそう言いながら微笑みかける。

 

「何も食べてないの!?」

 

「ああ、お腹空かないし、ここじゃあまともな食料が手に入らないからね」

 

「かわいそう・・・」

 

「そんな顔しないで、意外に不便じゃないからさ。さてと、少し休むんだ。外にはさっき見たいな魔物がうじゃうじゃいる、ゲートにいくまでに襲われるかも知れないから体力は回復しておかないと」

 

「う、うん」

 

半ば強引に話を切り上げられ、ユウキはユースに促されるままソファに腰を下ろして眠りについた。

 

 

 

「・・・さてと、そろそろゲートが開く頃だな」

 

この世界とあちらの世界は不安定ではあるものの一応繋がっている。そのせいで時々世界を繋ぐゲートが開いてしまい向こうから誰かが迷いこんだり逆にこちらの世界のものが向こうに侵入してきてしまうと言った事故が発生する。

基本的に一度開いたゲートは少し間隔を置いた後また同じ場所に開くので、迷いこんでしまったものを送り返す事には苦労しないのだが、問題はこちらのもの、例えば魔物が向こうの世界に侵入してしまった場合だ。

奴等は帰巣本能など持ち合わせておらず、基本的に知能も弱い。それでいて獰猛でゲートを通って向こうに行きたがるという厄介な習性を持ち合わせている。もし向こうの世界に侵入すれば確実に被害が出るし、そもそも違う世界の存在が長居すること自体世界に悪影響を及ぼしかねない。

 

(だから、僕がここで見張ってないとね)

 

ユウキの穏やかな寝顔を見ながら、彼はため息をついた。

 

「にしても、まさか新たな未来に進んでいたとは」

 

顎に手を当てつつ、彼はそう呟いた。向こうに侵入した魔物を討伐するため何度かあちら側の世界にも行ったことはあったが、大抵の場合ゲートを通れば荒野や森などに出るし、そもそもあまり長く向こうにとどまったことはなかったので今向こうがどのような状況なのか、彼には知るすべがなかったのだ。

最も、こちらの世界のように荒廃はしていないので行く度にそこだけは安心していたのだが、それもユウキ達が上手く未来を切り開いていけているのか、はたまた再構築がされた後なのかは分からなかったが・・・。

 

元の世界で仲間と共に戦えないか、彼も最初はそう考えて行動していた。だが、現実はそう上手くはいかないように出来ているらしい。

 

短期間ならまだしも、彼が長い期間元の世界の仲間達と関わるとそれだけで2つの世界に影響が出てしまうらしい。時間が経つにつれて向こうの世界はこちら側の崩壊した世界と融合し、やがて全ては飲み込まれて消えていく。彼一人を残して・・・。

 

それを経験した彼はその後、仲間達との接触や向こうの世界への干渉を出来るだけ避けてゲートから逃げ出した魔物の討伐のみを行うようになったのだった。

 

 

「とりあえず、みんな元気そうで良かった」

 

彼は安堵のため息を漏らしながら頭の中にある果てしなく積み重なった苦々しい記憶を端に追いやろうとする。

それでもなお、数ある中で最も苦々しい記憶と手に残る嫌な感触はべっとりと彼の脳裏に刻み込まれていた。

目を閉じれば今でも鮮明に思い返すことが出来る。

 

 

 

 

「はぁ、はぁ」

 

ボロボロな体と剣を引きずりながら、荒廃した町を彼は歩いていた。

 

「ウッヒャヒャヒャヒャ!!!!」

 

彼の目指す先では、かろうじて人の体を保っているどす黒い異形な何かが体中から突き出した触手と共に奇声を上げて地面をのたうち回っている。

 

「ヒャヒャヒャッ!!」

 

「くっ!!」

 

蠢いていた触手の一本が彼の顔面に直撃し、左目を部分から血がだらだらと流れ出すが、彼は一瞬呻き声をあげただけで止まることはない。

異形の何かは、彼を何とか遠ざけようと触手を使った彼に止めどなく攻撃を仕掛けてくるが、どれだけ傷つけられようとも彼は歩みを止めることはなく、とうとうその何かの目の前までたどり着いた。

 

「ヒャヒャヒャッ!!」

 

「これで・・・終わりだ」

 

まるで笑っているような呻き声をあげながらのたうち回る異形の何かを、彼はどこか哀れみを含んだ目で見下ろしながら呟いた。

手に持っていた剣を両手でしっかりと握って、異形の何かの狐のような耳を持った頭ような部分の下、喉元に切っ先を向ける。

そして深く息を吸い込むと、彼はためらいなく喉元に剣を突き立てた。

 

「・・・ふっ!!」

 

「イギャァァァァ」

 

先程とは全く毛色の違う耳を劈く悲鳴を上げながら異形の何かが刃から逃れようと体をジタバタとさせるが、彼は容赦なく剣を抑えて更に深く突き刺した。

やがて、暴れ回っていた異形の何かは段々と動きが弱っていき、動かなくなると共に光の粒子となって消滅した。

その様子を見ていた彼は暫くそのままの体勢で放心状態になっていたが、暫くして力なく

その場に座り込んだ。

 

「やっと・・・終わったよ」

 

そう呟きながら、彼は汚く曇った空を見上げる。

 

「って、遅すぎるよね」

 

そう自嘲気味な笑みをこぼしながら、彼はゆっくり目を閉じた。

 

 

 

 

「はぁっ!はぁ、はぁ 全く、いつ見ても最悪な気分だな」

 

忘れられない、忘れてはいけない記憶に毒を吐きながら、ユウキは自分の右手に視線を落とした。

 

「別に救われようなんて思ってなかったけど、少しはやることに意味が出てきたかな」

 

正直、今までは何者であれ人の命を奪ってしまったという罪悪感と胸にぽっかりと空いた空虚な穴を考えないようにするためにやってきた戦いだったが、再構築が行われず彼らが新しい未来に進んだと言うことは、こうして迷いこんだ誰かを元の世界に帰したり、向こうへの魔物の侵入を阻んだりする事には今まで以上に価値があるものになったハズだ。

 

「絶対返してあげるから」

 

何も知らず穏やかに寝息を立てるユウキを見ながら、彼は真剣な面持ちでそう言った。

 

 

 




次話の投稿は本日17時を予定しています。
次の話でこのお話は一区切り、どうなるか是非お確かめ下さい!!!

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