始まりました新章!!
さて、これからどのように物語が展開されていくのか・・・お楽しみ下さい!
ep:1 探偵の仕事
暗雲渦巻く荒廃した町、一人の少年を獰猛なうなり声を上げる魔物達が取り囲んでいた。
「ギギッ!!」「シャァッ!!」
「ふっ、せやぁっ!!」
素早く動き回りながら繰り出される攻撃をいなしながら、少年は魔物達を次々と切り伏せていく。
しかし、それでも追いつかない程に魔物達はぞろぞろと群がってきていた。
その時
「っ!?マジかっ!!」
少年が顔を歪ませるのと同時に、彼らがいる空間に突然黒い渦が現われる。
魔物達は、その渦を待っていたと言わんばかりに雄叫びを上げると、次々と渦の中に飛び込んでいった。
「待て!!」
少年が慌てて渦の前に立ちはだかり、飛びかかってくる魔物達の体を切り裂いていく。
「ふっ、これで終わりだ!!」
「ギガァァ!!」
少年の言葉と共に、魔物の体は一刀両断され光の粒子となって消えていった。
「全く、面倒な事になったな」
苦々しい顔をしながら、少年は黒い渦を恨めしそうに見つめる。
「向こうに侵入したのは五体・・・仕方無い、いくか!」
ため息をつきながらそう呟くと、少年は意を決して渦の中に飛び込んだ。
「そうか、ご協力感謝する」
のどかな昼下がり、手帳とペンを手に持った獣人の少女 カスミは頭を下げて畑の中にぽつんと佇む家を後にした。
「特に収穫はなしか、全く一体誰がこんな事を・・・」
カスミの視線の先には、土が掘り返され野菜がほじくり出されている酷い有様の畑があった。
事の発端は数日前、とある依頼がカスミの元に寄せられた。
「最近付近の畑を荒らし回ってる奴等の正体を突き止めて欲しいんです」
「畑って、申し訳ないが魔物の被害などは専門外なんだが」
切実そうな表情で訴えかけてくる依頼人を気の毒に思いながら、カスミは頭を掻いてそう告げた。
彼女は獣人が運営する自警団カウォンに所属しているではそこそこ名の通った探偵だ。今までも数々の事件に介入して騒動を解決に導いている。
今回もその実績を評価されての依頼なのだろうが、あいにく彼女の専門は対人関係の依頼に限られている、魔物関係の依頼は専門外、と言うより人間と違って行動の読みづらい魔物の調査は正直言って苦手だった。
(まあ、そんな事委ってシャドウ関係の調査はしているのだけれど)
依頼主に何とかお引き取り願おうと説得しつつ、カスミは脳内でそう考えていた。
正直、魔物と同じくシャドウも行動が伸びづらく苦手分野なのだが、あれには個人的に因縁もあるし、調査スキルなどもシャドウの調査によって培われたものなのだ、止めるに止めれずここまでだらだら続けていた。
「ですけど、犯人が人か動物か分からないんですよ」
「そうはいってもねぇ、被害状況から言ってどう見ても動物じゃあ」
「まあまあカスミはん、受けて見てもいいんやない?」
断ろうとしているカスミの横から、独特ななまり口調のどこかふわふわとした空気を持った獣人の少女が割り込んで来る。
「マホさん!?」
「得意じゃない事に挑戦してみるのも、良い経験になるかもしれへんし」
「う~ん、しかしだな、依頼料も頂くわけだし」
組織的にはカスミの上司に当るカウォンのリーダー、マホにそう言われながらもなお難色を示すカスミを見て、マホは自然に彼女に近づいて耳元でささやく。
「もし獣人の犯行で、ナイトメアに介入でもされたら面倒やろ」
「・・・それは、確かに」
ナイトメアとは、ランドソルに存在する治安維持などを行う騎士団のことだ。
このランドソルでは、ヒューマンと獣人は種族間ではあまり相容れる事のない存在になっている。
その理由はここでは語り尽くせない程複雑な事情があるのだが、ランドソルにナイトメアという組織が存在しているにもかかわらず、獣人達がカウォンという組織を立ち上げているという情報で察して欲しい。
恐らく、マホが考えているのはもし自分たちの過失なら自分たちで落とし前を付けたいと言うことだろう。ふわふわとした雰囲気を醸しながらも、組織のリーダー、そういうところはしっかりと考えている人だ。
「わかりました、調査してみます」
「ほんまお手数おかけして申し訳ないわ~よろしくねカスミはん」
マホの言葉にカスミは渋々頷いた。
いくらカスミといえど、マホ個人の意見ではなく組織の意向には逆らえない。結局は自分も組織の歯車の一部かと心の中で悲観しつつ、依頼主に向き直って依頼を引き受ける旨を話した。
そんな経緯で調査を開始したカスミだったが、予想どおり進捗具合は芳しくなかった。
「ど~して魔物というのは生態が奇想天外なんだ」
結論から言えば、今回の犯人は九分九厘魔物の犯行だ。
目撃情報では犯人達は複数で夜に行動しているらしい。目にもとまらぬ素早く動き回り、獣のような雄叫びを上げ、鋭い爪を持った華奢な何かと言うことだ。
おおよそ人間とは思えない情報しか得られなかったが、マホに念を押されている分結論が出るまでしっかりと調査を行わなければならない。
聞き込みも続けるがここまで得られた情報が得られたら、後はそれを元にその特徴に該当する魔物であるという確固たる証拠を見つけてギルドに報告すれば仕事は完了だ。
・・・のだが、何故だかカスミが得られた情報に該当する魔物はこの近辺には生息していないらしい。
専門家の話を聞いても「突然変異という可能性が・・・」や「何らかの理由で移動してきた外来種と言うことも・・・」といったようにあやふやな意見しか得られない。
「そんな事言ったら、選択肢は無限大じゃないか・・・」
のどかな田舎町を歩きながらカスミがぼやく。まあ実際に被害が出ているとなればギルドも動いていないだろう。それにも関わらず表に情報が出てきていないと言うことは向こうの捜査も難航しているのだろう。
「仕方無い、こうなればあの手しかないか」
ため息を吐きながらそう呟いたカスミは、正直あまりやりたくない「あの手」の準備のため、今日の聞調査は切り上げて事務所に戻ることにした。
読んで頂きありがとうございました。
次回投稿は明日少し遅めの23時予定です、それではまた明日!!
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