【ベヘモット34柱師団】お嬢様剣士ティリエルの憂鬱 作:Nera上等兵
「おっ!ティリエルちゃん!イメチェンしたのう!!」
「諸事情につき変装したまま報告を申し上げますわ」
ティリエルは魔道具を起動してベヘモット団長に定期の連絡を入れた。
しかし、お嬢様キャラが崩壊しているのを見た団長は嬉しそうに笑っている。
彼女としても不本意なのだが、潜伏先に知り合いが居る以上、こうするしかなかった。
「【
「ほうほう?それで?」
「どうやら先日の襲撃の件で警戒しており、身を隠して修行をしている様子です」
彼女の課せられた任務は、
しかし、それに関連する話題であれば報告を許されていた。
現に
なので契約者の情報も重要な情報であり、首の皮1つ繋げようとティリエルは躍起になっていた。
「ふむ、奴らも間抜けではなかったか」
「はい、親族にも行先を伏せるほどの徹底っぷりであり、情報が入り次第報告致しますわ」
「焔王さまの居場所は特定できたかのう?」
「只今、
いくら自分が優秀だからって酷使し過ぎのクソジジイに対して彼女は殺意すらあった。
「本当に証拠1つ掴めておらぬのか?ゲーム売り場とかは探したのかのう?」
「人間界のゲームは複雑多岐であり、ひとまず焔王様が好むジャンルの特定を行なっております」
「ほうほう!ティリエル君の好きなジャンルは何かね?今度一緒に遊ぼうではないか」
「団長!!至急、支援物資を頂けませんか!?作戦に支障が……通信を切られた」
持ち込んだ道具と双剣以外所持していないティリエルは、偉そうに質問してくる爺が大っ嫌いだ。
せめて抗議をしようと口を開いたら対応が面倒だと思われて通信を切られた。
もう一度かけ直してやろうかと彼女は思ったが、辛うじて耐える。
「忍者とは耐え忍ぶ者」と大物NINJAが発言しているし、実際、忍者みたいな活動をしていた。
故に本性を隠して活動をし続けるのは、彼女にとってストレスであった。
「終わったみたいだな」
「次はどこに行くんですって?」
「姫川が所有するビルだとさ!用意が出来たら声をかけてくれ」
仕切り壁の外で会話してきた共犯者に本日の内容を確認したティリエルは手鏡を見る。
あれほど美しいと思った自分の顔が少しだけ疲れた様な感じに見えた。
これは一大事と、笑顔の練習をしてから仕切り壁の扉を開いた。
「プライベート空間に関して問題点はあるか?」
「あるけど、それは帰ってきてから報告してもいい?」
「分かった。あとで聞こう」
ティリエルが契約した革瀬の部屋は仕切り壁で2つに分けられている。
さすがにお互いのプライバシーが欲しい彼らは妥協し、このような形となった。
決して暮らしやすいわけではないが、短期間とはいえ活動拠点としては悪くなかった。
「ねえ、姫川ってこの辺りではお金持ちなの?」
「姫川財閥の御曹司だからな。命と友情以外は金で買えるくらい裕福だ」
「ふーん」
資金難に陥っているティリエルは革瀬に金を借りている。
だが、その革瀬も家族が残した借金の返済をしている為、貧乏であった。
なのでリーゼント頭が印象的な姫川を利用して資金を調達しようと考えていた。
昨晩、彼の豪邸を見た彼女はどうしてもあの光景を忘れられなかった。
人間は、高所から人を見下ろすイメージがあったが、実際に見下ろすと不思議な感覚がした。
そんな複雑な感情を抱きながらティリエルは、下僕に案内されながら街中を歩いていく。
「よっ!古市!待たせたな!」
「遅いぞ!!お前、それでも高校生か!!」
「集合時間の5分前に来たんだぞ?文句を言われる筋合いはねぇぞ!」
「恵まれているお前と違ってこっちは散々なんだよ!!」
合流場所である姫川の高級マンションの入り口前には古市が居た。
なので革瀬は彼に挨拶をしたが、何故か集合時間に間に合ったのに文句を言われた。
『なんだこいつ』と思ったが、女連れという事で嫉妬しているとすぐに理解した。
なお、送ってくれた次元転送悪魔のおっさんが臭かったので苛立っていたという裏事情もあった。
「こっちだってお前の大声のせいで散々だよ。見ろよ。目を付けられたじゃねぇか」
「ははは、あとはよろしくお願いしますー」
古市が大声を出したせいで近隣にうろついていた不良たちが集まって来た。
ゾンビ映画か何かと言わんばかりに
それを見た古市は、革瀬の後ろに隠れて目立たない様に頭を下げた。
「ん?」
しかし、不良たちは道中で引き返してどこかへと駆け出した。
まるで尻尾を巻くように逃げるようで彼らは不思議に思ったが、すぐに理由が分かった。
「オラァ!来てやったぜ!」
「ははは。神崎君の顔を見て逃げ出すなんてやましい事があったのかなー」
「神崎さん、あいつらはどうしますか?」
「ほっとけ。小物には用はねぇよ」
大物ヤクザの次男、神崎 一と愉快な仲間たちが合流してきたのだ。
雑魚を蹴散らすくらいの評判を持ち合わせる彼は、ここぞとばかりに恰好つけていた。
「へえ、あんたたちが遅刻しないなんて珍しいわね」
大森総長とその仲間たちも合流して姫川が居る高級マンションに入る準備が整った。
昨日、警備員に知らせておいたので不審者として扱われることは無い。
それを分かっている彼らは、姫川のインターホンを押して元気よく挨拶を口にした。
「「「「ひーめーかーわーくんー!あーそーぼーっ!!」」」」
小学生が友達の家のインターホンを押して遊びに誘うように彼らは発言した。
当然、思いっきりバカにしているのだが、こうする事で姫川の返答を急かしたのだ。
《お前ら、わざとやってるだろ……さっさと入れ》
呆れたような姫川の声を聴いた彼らは、競うようにマンションの入り口に突入した。
昨晩と同じようにエレベータに乗り込む彼らは、今日のゲームについて確認をする。
「こんなに人数が必要なのかよ」
「“ENOH”と名乗る人物が指定したゲームは人数が必要ですから」
神崎の疑問に対してゲーマーの谷村 千秋がすかさず返答をした。
昨日、襲撃者の首謀者である“焔王”が【ネトゲー】にハマっていると判明した。
そこで彼らは、ゲームが揃っている姫川のマンションで捜索活動をしていた。
「格闘ゲームと違ってチームワークが重要になるからねー」
「はい、ルールも徹夜で覚えてきました」
「ゲームになるとホント、キャラが変わるわね…アンタ」
夏目もゲーマーではあるが、千秋ほどではない。
ただ、彼女のキャラが変わって面白いのでわざと話題を振っていた。
一方、後輩がゲーマーモードになったのを見て大森 寧々はちょっとだけ戸惑っていた。
ゲーム何それ美味しいの状態である彼女は、そこまでゲームとは凄いのかと思っている。
『成り行きでゲームをやる事になったが、問題はないのか?』
『別に…ただ王族しかゲーム機を触る事ができないから少し興味はあるわね』
『なるほど、魔界では貴重なものなのか』
『厳格な調査を終えてから人間界から中古品を輸入しているそうだから珍しいのよ』
ガチ勢を除く人間にとっては、ゲームとは暇つぶしの道具や遊びに過ぎない。
しかし魔界では、輸入品のせいで王族くらいしか触る事ができない貴重品であった。
ゲーム機で遊べるかでその魔族の地位や財産などが評価されるほどである。
『まあ、大魔王様や焔王様を見る限り、麻薬のような依存性があると思っているわ』
『人間でも依存する奴は居るからな。それはしょうがない』
エリートであるティリエルにとってゲーム機に対して興味はない。
大魔王と同等な勢力の頂点に立つつもりなのだから、遊んでいる暇など無かった。
ただし、自身の野望を達成できるなら多少面倒な手段でもやるつもりだ。
「全員揃ったな。じゃあ練習すっから席につけ」
既にゲーム部屋を専用部屋に改造させていた姫川は、全員を席に座らせる。
そして全員の動きが分かるサブモニターや様々なサービスなどの説明をした
あまりにも常識離れした光景に度肝を抜く一同であるが、すぐに液晶の画面に向き合う。
「もう一度、説明するが今回やるゲームは【ジ・エンド・オブ・ウォー4】だ」
「プレイヤーは、衛生兵、工兵、偵察兵、突撃兵のどれかを選んで操作をする」
「今回は、敵チームのプレイヤーを全滅させればオレたちの勝ちってわけだ」
「とりあえず適当に選べ。男女で別れて実践訓練すっぞ」
「まずはPCとディスプレイの電源を入れろ」
姫川の指示によって一同はディスプレイとパソコンの電源を入れる。
何名かこの時点でやり方が分からずパニックになっており、先が思いやられる。
特に大森総長はゲーム音痴である事が発覚し、何度もゲーム中で大惨事を引き起こした。
「ティターニア、初めてにしては上手いな」
「お褒めに預かり光栄ですわ。皆様の足を引っ張らないように引き続き努力して参ります」
“ティターニア”という偽名を名乗ったティリエルは、参加メンバーでは操作が上手い方だ。
珍しく純粋に他者を褒める姫川の言葉を聞いて一同が珍しがるほどである。
『このティリエル様にかかれば楽勝よ。バカと実力を合わせてやるのは大変だけどねー』
このゲームと同じTPS経験者の革瀬が居たのが大きかった。
コントラクトスペルでの思念会話により操作方法を教えてもらったティリエルに隙は無い。
先行でプレイしてドジを踏んだ革瀬のおかげで失敗をせずに操作をする事が出来た。
ただし、経験によるプレイヤースキルは皆無なので彼女は油断はしていない。
「ティ…ティターニア!俺のプレイヤーキャラを射殺するのやめろ!」
「射撃レンジと部位ダメージを確認したいからしょうがないじゃない」
「だからってリスポーン地点で狙って来るな!!」
双剣が得物であるティリエルは、遠距離武器の仕様が良く分かっていなかった。
そもそも【銃】という存在は同僚のおかげで知っているが、得物ではないので興味が無かった。
しかし、こうやって実際に操作した結果、剣術とは違う動きに興味津々になった。
なので、契約者の操作するキャラを使って射撃の練習をしていた。
というよりは、他の連中で練習すると面倒な展開になるのでこうするしかなかった。
当然、革瀬からすれば大問題であり何度も抗議をするが彼女は聞き入れられなかった。
「よし、時間だ」
焔王と思われる人物と約束した時間がやってきた。
なんとか練習して辛うじて操作は覚えた人々も居る。
泣いても笑っても、これが石矢魔の…いや、人類の未来がかかっている。
マルチプレイを選択して待機していると予定通り、ENOHと名乗るチームがやってきた。
〈約束通り来てやったぞ〉
〈昨日言ったとおり、この勝負〉
〈そち達が勝てば、余の居場所を教えてやろう〉
チャット欄には、焔王が書いたと思われる文章が表示されていた。
これを見た古市とラミア、そして革瀬とティリエルは内心で『うざい…』と思ってしまった。
そもそも彼自身のプレイスキルは凡人未満であった。
特に主君の性格や行動原理を知っているティリエルは、本気でうんざりしていた。
しかし、次に彼が書いた文章で事情を知る者たちの背筋が凍り付く。
〈ただし、余が勝った時には、嬉しさのあまり〉
〈余…超泣くから。〉
焔王は
力が弱まる人間界でも周囲15kmくらいは一瞬で消し炭にする威力がある。
古市とラミアはこの文章を見て思わず悲鳴をあげそうになった。
『えっ……ムリゲーじゃん』
その事をティリエルの思念発言で知った革瀬は単刀直入に言って帰りたくなった。
焔王がゲームに勝とうが負けようが人間界は火の海に包まれるのだ。
潜伏先が不明とはいえ、どう足掻いても大惨事になるのでやる気を失ってしまった。
『あははは!!好都合よ!!これで焔王さまの居場所を特定できるわ!!』
一方、ティリエルからすれば焔王の居場所を発見できる好都合な展開だ!
なので内心で大笑いをして「まだかまだか」とゲーム画面を見つめていた。
心の声なのでお嬢様らしくない笑い方と発言に顔を顰めた革瀬は思わず発言してしまった。
『あんたも巻き込まれる可能性だってあるだろ』
『その時はその時よ!!』
意外と楽観的な女悪魔の思考を知って革瀬は黙り込んだ。
これ以上意見を述べても無駄だと分かったし、どう足掻ても彼女に逆らえなかったからだ。
そして、人類滅亡をかけた狂気のゲームが幕を開けた。
突撃部隊 第1班: 神崎[突撃兵] 古市[突撃兵]
突撃部隊 第2班: 夏目[突撃兵] 城山[突撃兵]
工兵部隊: 花澤[工兵] 大森[工兵]
衛生部隊: ラミア[衛生兵] 谷村[衛生兵]
機動部隊: 革瀬[突撃兵] ティターニア(ティリエル)[偵察兵]
偵察部隊: 姫川[偵察兵]&チームリーダー
【石矢魔チーム】は、現時点で石矢魔で揃う最高戦力で勝負に挑む。
それに対して焔王チームは無茶苦茶であった。
プレイスキルが凡人以下なのに最前線に行こうとする焔王
それを必死に止めるハイスペック侍女悪魔3名
そして最低でもプレイ時間2000時間越えの廃人(ニート)7名
リーダーが全力でチームの足を引っ張っているがそれ以外は問題ない。
未だに大森工兵と城山突撃兵は、操作に手間取っている有様。
圧倒的に向こうが有利であった。
「ほぎゃああああ!!狙撃じゃあああ!?正々堂々と戦うのじゃ!!」
「焔王さま!!ここは良い的です!!一旦後退します」
「やじゃあああ!!余が自ら仕返しするのじゃ!!」
「相手は狙撃手です!!表通りでは分が悪すぎますわ!!おまえたち援護しなさい!」
「「「ハッ!!」」」
なお、戦況的には有利なのに焔王が勝手に動き回るせいで結果的に拮抗していた。
侍女悪魔たちは、主君がゲームに楽しんでもらう為に全力を尽くしている。
すなわち、相手プレイヤーにフルボッコされないように何度もサポートしていた。
『ああ!!護衛が鬱陶しい!!合法的に焔王をぶち殺せるチャンスだったのに!!』
執拗に焔王の操作キャラを殺そうとしているのは家臣のティリエルであった。
彼に対して忠誠心がないどころか振り回されている怒りから全力で排除しようと試みている。
そもそも彼が勝手に動き回るせいでベヘモット34柱師団と自分が酷い目に遭っているのだ。
ネトゲーという手段を使って全力で焔王をボコボコにして泣かせようとした。
『あのティリエルさん。俺の頭脳に向かって一方的に思念を飛ばさないでくれませんか?』
『別に良いでしょ。引き続きクリアリングをよろしくね』
『いや、考えている事まで筒抜けですからね…?』
思念会話は直接相手とやり取りができて便利ではあるが、デメリットが存在する。
例えば、男が女のエッチな画像を見る時の思念が相手側に筒抜けになるのだ。
今回の場合は、ティリエルが今まで抱えて来た鬱憤を言語として革瀬は聴く羽目になった。
罵倒や負の感情が自分に向けられているわけではないとはいえ、嫌でも耳にするのはきつかった。
『あの偉そうに振舞う侍女悪魔から先に仕留めるわ!!革瀬!付いてきなさい!!』
『ひえええ…姫川先輩の作戦がー』
焔王に仕える侍女悪魔によってベヘモット34柱師団は散々振り回されてきた。
今回も次元転送悪魔によって焔王さまと護衛部隊が引き離されている。
そのせいでティリエルは、焔王以上に侍女悪魔を憎んでおり殲滅しようと動き出した。
『というか、なんで焔王が操作しているプレイヤーキャラが分かるんだ?』
『だって一番下手くそですもの。侍女悪魔や用意した護衛が無能な動きをする訳ないじゃない』
つまり、【一番無能】と護るべき主君を評価するティリエルに革瀬は何て返答をするべきか迷う。
有能な敵より無能な働き者が厄介と分かっていたが、実際それを目の当たりにしている。
だが、主君に対してこのような発言はどうなのかと思ったが、口にはしなかった。
どうせ感情を読まれているので、今はゲームに集中する為に移動先のクリアリングを急いだ。
「少々おイタが過ぎましたわね」
執拗な狙撃のせいで焔王様のゲームプレイに支障が出ている現状にイザベラは我慢できなかった。
レアアイテムが石矢魔勢に渡って一時的とはいえ戦況が乱れたのも気に食わない。
侍女悪魔のリーダー格である彼女は、何としてもゲームで勝つ為に禁じ手を使用した。
“トリックアート
特定の物を透明化する能力だが、ネットに繋がったゲーム機を通じてゲームにも影響を与えた。
これにより侍女悪魔及び焔王が操作するキャラは、マップにも視覚にも表示されなくなった。
「焔王様!これで狙撃の対策ができました。打って出ましょう!」
「よくやった!今度こそ反撃の狼煙をあげるのじゃー!」
不意打ちし放題になった途端、困惑するニートを放置して侍女悪魔チームが動き出す。
焔王様にゲームを楽しんでもらう為に。
「ぐわー!!いきなり真っ二つになった!?なんて残虐なゲームなんだ!!」
神崎の配下である城山が操作するキャラが突然、チェーンソーが突き刺さって胴体を両断された。
残念ながら彼のキャラは退場してしまったが、これが転機となった。
偶然、その光景を目撃した神崎と姫川は、明らかな不正と判断した。
「チートか…」
「ああ、光学迷彩なんてこのゲームにはねぇぞ」
神崎はあまりにも卑怯な連中に拳が震えたが、姫川は違った。
「おい城山、オレのプレイヤーキャラを操作しろ。10分ほど時間を稼ぐだけでいい」
「え?いいのか?というかどこに行く気だ?」
突然、姫川からバトンタッチされた城山は大慌てで彼のプレイヤーキャラを操作する。
しかし、その意図が分からず思わず質問してしまった。
「このオレにイカサマ勝負に挑むとは……馬鹿な野郎だ」
姫川 竜也という人物は、プライドの他に美学という信念がある。
お金で解決できるが、あえて彼は自分の実力だけで石矢魔の天辺を獲ろうとしている。
それは、『家系や金のおかげで石矢魔の王になれた』と周囲に思われたくなかったからだ。
しかし、イカサマ勝負で自分を騙そうとする奴には、容赦はしない。
「やるんなら徹底的にだ。オレにイカサマ勝負で勝てると思うなよ」
姫川が取った行動は、【ジ・エンド・オブ・ウォー4】の買収である。
プログラムを変えるみみっちい真似など彼はしない。
堂々とマネーパワー(物理)でゲーム自体の設定を変更し、反攻を開始した。
ついでに買収した開発会社のプログラマーに改造を依頼している。
「やられた分をやりかえしてやれ!!10倍返しにな!」
姫川の宣言によって不良たちは無敵モードで反撃を開始した。
その結果、メイドさんに釣られた廃人プレイヤーたちはゾンビに喰われて全滅した。
愛したゲームに裏切られた彼らは二度とこのゲームをプレイせず社会復帰したとされる。
「仕方ありませんね。少々手荒ですがこの機械を改造させていただきましょうかね」
1/80の確率で出て来る激レアマシン「クレイジーフロッグ」をイザベラは改造する事にした。
しかし、そうは問屋は卸さないと言わんばかりに「クレイジーフロッグ」が10体立ち塞がった。
『『『ウソ…』』』』
これには侍女悪魔も唖然としてコントローラーを放してしまった。
その隙に10体のロボットが合体して【マックス・デ・イシヤマオーZ】となる。
戦争ゲームからロボゲーになったのだが、彼らは気にしない。
「「「「必殺!!ダイヤモンド・エビル・アローマックス!!」」」」
決め台詞と共に振り下ろされたパンチによって焔王と侍女悪魔のプレイヤーキャラは即死。
ゲームで敗北したのを画面に表示された〈YOU ROSE〉の文字で突き付けられたのであった。
「いやじゃあああ!!余は負けたまま終わらんぞ!!」
ゲームで敗北した焔王は約束を撤回して更なるゲームで勝負に挑んだ。
これには石矢魔勢も困惑したが、手がかりを得る為に引き受けるしかなかった。
『あはははは!!やったわ!!魔力の出所が特定できたわー!!』
『さすがティリエルちゃん!!私ってば最高ー!!あははははは!!』
誰もが勝利したと言えない状況下でティリエルのみ内心で大喜びをしていた。
ゲーム相手に悪魔が潜伏しているとは知らないイザベラが魔道具を使用したおかげである。
さっきの合体ロボ騒動で皆の注意が逸れている隙に彼女は魔力感知を行なっていた。
そして感知が成功して魔道具経由で居場所が割れた瞬間、彼女のテンションは最大まで上がった。
『で?どうするんだ?今すぐ潜伏先に突入するのか?』
『はぁ?何でそんな面倒な事をしないといけないの?』
『拠点が一カ所とは限らんだろ?移動される前に行動するべきじゃないのか?』
そんなハイテンションな彼女に水をかけた革瀬は焔王との接触を促した。
頭の中が彼女の声で一杯であり、これ以上発言を聞くと頭が割れそうだったからだ。
そんな事情など考えられないティリエルは、その提言を一蹴した。
『ベヘモット団長に潜伏先を通報するに決まってるでしょ!!』
あくまでも彼女自身は手を汚す気はなかった。
実際問題として次元転送悪魔が居る以上、ティリエルにはどうする事もできなかった。
襲撃しても次元転送で逃げられたら意味がない。
あえて泳がせて本隊の強襲によって侍女悪魔を始末させるのが一番の手であった。