ぷよぷよの要素も入れました。
「採点をしますぅ~。結果は48点ですぅ~。来年もがんばりましょう~」
緑色の長髪の女性。担任の先生から告げられた一言。
「ガ、ガーン…トホホ」
ぼくは幼稚園の卒業試験に留年した。運で筆記試験を合格をしたんだけど、実技試験に失敗。
来年もまた魔導幼稚園で過ごすことが決まってしまった瞬間。
「鉛筆を転がして試験に挑むからだ!オレと一緒に勉強するか?」
「ほへ?カミュ先輩?」
ラーラちゃんから逃げてきたカミュ先輩から思っていなかった一言。
カミュ先輩、いつの間に。また、怒ってラーラちゃんを閉じ込めていないよね?
ということが6歳の時。
****
「三週間後に中間試験だな」
いつの間にか10年の時が経っていた。
ぼくは留年をしているから、同じく留年をしていたラーラちゃん以外に幼稚園からの付き合いはカミュ先輩だけ。留年をする生徒は多いんだけど、違う学校に行ってしまったり、家庭の事情で魔導師を諦めた子もいた。カミュ先輩は数少ない10年以来の友達。
主に図書室で勉強をしているんだけど、学年が違う。もとい、毎年試験の問題が違うのになんで話が通じるのだろう?先輩は家のことを子供の頃から手伝いをしていたのは知っていたんだけど、成績優秀だと脳の造り自体が違うのかな?
ぼくは留年をしているからまだ魔導中学生だ。昔から、お兄ちゃんみたいな人だと思っていたけど、10年も経過すると本当に兄妹みたいだ。
「先輩、今度の試験だけど、実技が中心なんだ」
「そうか、試験範囲はどこだ?」
「魔導学基本Ⅲだよ」
「なら、東の方だな、行ってみるか?」
「うん」
ぼくはカミュ先輩の杖に乗って出発。ぼくと知り合った頃は一人乗りだったけど、先輩が中学生の時には二人乗りをできるようになっていた。勉強だから、ぼくも一部魔導力を使っているんだけどね。20分後に到着。
「着いたぞ」
ぼくたちは杖から降りる。
「なんか荒地だね」
「よく見ろ!魔法陣があるぞ!」
地面を指差す先輩。古代魔導文字。ぼくには読めなかった。
「なんて書いてあるの、先輩?」
「なだれに注意。<みんなのマスクド校長>だ」
魔法陣が光る!
「え、え?」
「魔法陣を読み上げると発動する仕掛けになっている」
「わかっているなら、読み上げないでよ先輩!」
一瞬、カミュ先輩がほほ笑む。たまに冗談でやっているのか、そうじゃないのかわからなくなるよ。
「ぷよぷよ~」
岩ぷよがまるでなだれのように流れてきた。地鳴りがする。簡単な罠だった。
「アルル、移動するぞ」
再び杖に乗るぼくたち。マスクド校長ってぼくの学校じゃないけど、どこの学校?もっとも、この世界だと変わり者が多いんだけど。
「妙なことをするんだね」
そんな感じで放課後の時間が過ぎていく。先輩と過ごす時間は大切なんだけど、ぼくたち魔導師は魔導師は一人行動が多い職業。半人前であるぼくも本来は一人行動が多くなるはずなんだけど、カミュ先輩もこんな日常をすごしていいのかな?そんなモヤモヤする気持ちになるそんな魔導中学校残り僅かの出来事だった。
****
夏になり、ぼくは卒業試験を終えて、17歳で魔導中学を卒業をした。次の日にはぼくはカミュ先輩に会いに魔導幼稚園を訪れた。門の前にはかつてお世話になった園長先生がいる。
「お久しぶりです、園長先生。カミュ先輩いますか?」
10年以上経過をしても時の流れを感じない人だ。容姿が当時のままだ。本当に魔女って感じだよ。
「久しぶりぢゃの。アルルやカミュは図書室ぢゃ。魔導で呼ぶわい」
「ありがとうございます」
カミュ先輩の家系だと一般の魔導師では使わない魔導を使う。ぼくと家系の違いだ。そう考えているうちに先輩がきた。
「よく来たな、アルル。オババ様、アルルと話してきます」
「ほっほっほっ、ゆっくり」
カミュ先輩と図書室に入る。小さい頃は大きかった椅子も今は小さい。
「改めて卒業おめでとう、アルル。よく頑張ったな」
ほほ笑む。
「えへへ、ありがとう。ぼくもやっと基本魔導をマスターしたよ」
ぼくもニコニコ。
「これから、古代魔導学校の入学試験に出発か?」
「うん」
じっとぼくは先輩を見る。
「今、よくないことを考えていただろう?」
「あよん」
カミュ先輩は三年前から古代魔導学校に通っているのだ。先輩はお見通しだ。
「あのな、お前、入学試験をなんだと思っているんだ!甘いぞ!」
厳しめの表情。
「だって~。去年の入学試験のことを先輩も知っているでしょ?」
「ああ、ルーン・ロードの後継者にあたる闇の魔導師が登校中の生徒をスリープで眠られて牢屋に閉じ込めたという事件だろ?」
ルーン・ロード。歴史の教科書に載っている有名人。200年ほど前に封印されてからというものの、ずっとラーナの遺跡に眠っていた筈なのに、最近になって後継者がいるという噂を聞くようになった。今までひっそりと姿を隠していただけなのかもしれないけど、教科書に載っている古代魔導アレイアードを使う者がいるのを目撃をされていて、存在が明らかになった。
「そだよ」
「この世界だと魔導師を目指すならよくあることだ。理不尽に身近な者が行方不明になるのは日常じゃないか」
うう…ぼくはカミュ先輩に優しい言葉をかけて欲しかっただけなのに。予想よりか厳しく言われているよ。言い返す言葉が見つからない。黙っていると。
「アルル、聞いているか?お前は過去に留年をしていて、不安になっているのもわからなくはないが、よく入学試験の問題を読んだか?」
「えっと」
書類を確認をするぼく。
<自分一人の力で古代魔導学校まで来よ。受付は申請室なり。また、乗り物を使うのも禁ず。合格するまで娯楽も禁ず。>
念のために声は出していないよ。ちなみに受験者しか読めないように魔力でカモフラージュされている。古代魔導学校の生徒でもダメ。
「あっ」
「オレの時と多少異なるだろうが、よく読んでいなかったよな?」
「う…」
「そういうところ、知り合ったところから変わっていないな。まぁいい、オレから卒業祝いの贈り物だ」
「わ、本当!」
包装をされたリボンつきの箱をもらった。先輩からもらった物が気になっていてもたってもいられなくなった。
「ねえ、開けてもいい?」
「ああ」
これは方向石?でも、何か違う。
「それは特別の方向石だ。魔導力が少なくなると、自動で回復する」
「ええ!こんなすぐれものいいの?」
「それにお前、誕生日だっただろう?暫く会えなくなるからな。古代魔導学校で会おう、アルル」
「うん、ありがとう」
ちなみに魔導学校から遠いのに関わらず、こうしてカミュ先輩が実家である魔導幼稚園にいるのは古代魔導学校の生徒だかららしいんだけど、他者に教えるのは校則違反になるらしい。この世界だとモモンガの駅やドラゴンに乗って移動するという手段があるけど、入学と共に使える魔導でも教えてくれるのかな?気になるぅ。
自分の家に帰り、一晩明けるとぼくは魔導学校の制服に着替えて今までは縛っていなかった髪を鏡の前で青いスカーフを結ぶ。
もう中学生じゃないんだから、新しい気持ちの入れ替えだ。
ラーラちゃんみたいに全部縛るんじゃなくて、一部は縛らない髪型。そういえば、ラーラちゃんももう出発したんかな?
幼稚園の時にカミュ先輩の追っかけみたいなのをしていたんだけど、どうやら有名人が好きみたいで「きゃ~、〇〇様!!」だとか彼女がカッコいいと思う人にハートマークを色々と飛ばしていた。ぼくにはわからない趣味だ。けど、ぼくにとっては大切な友達の一人だからそっとしておいている。ラーラちゃんとあまり会えないのもそれが理由。たまに会えたと思ったら、その有名人に会いに行ったみたいな話を聞かされるんだけどね。
****
「いっきまーす!」
ぼくは旅立つ。およそ2ヵ月、ももも族を始めとする色んな魔物商人と取引して道具を買ったり、途中で同じ制服を着た女の子も見たんだけど、交流も娯楽に入るのかな?と思って、声をかけなかった。
闇の魔導師のことは心配していたんだけど、森の中に入ったときになぜか大量のネコの魔物。リュンクスが川で体を洗っているのを見ただけで、何もなかった。リュンクスって教科書で見たことがあるけど、マフラーみたいにしっぽを縛っていたっけ?ありゃりゃ。あの短い手でどうやって縛ったんだろう?まぁどうでもいいか。
その近くで赤い鳥の魔物商人、ミイル・ベンジャミンが「一緒にお茶をしない?」など声をかけてきたんだけど、商売以外で声をかけないでよ!もちろん、ぼくは断った。あまりにもしつこいから、胡椒を振りかけようとしたら、飛んで逃げていっちゃった。
森の中では空を飛ぶ魔物が多く。ハイパー音痴な歌を歌う鳥人、ハーピー。ドラゴンの翼、尻尾、角が生えた女の子。ドラコケンタウロスが口から火を吹いて攻撃をしてきたり、半人前の魔法使いのウィッチ。それとウィザードに名前は憶えていないけど、長ったらしい魔法で経験玉を全部なくなってしまって、厄介なものだった。
地面は地面で魔導を唱える前にサムライモールに声を食べられてしまって、ぼくにそっくりなドッペルゲンガーが何人も現れた。
もう何回戦闘になったかわからないくらいに戦った。
魔導杖ロフ、魔導杖ピチ、魔導杖ミホ…これ何個目の杖だったっけな?
ぼくたち魔導師は魔導杖、指輪、白い手袋を使うことで戦闘が有利になる。
こんな長旅をしたことがなかったんだけど、何より困ったのが食事だ。ドラゴンの爪やドラゴンのしっぽをぼくたち魔導師は食べるんだけど、やっぱりカレーからっきょがいいな。らっきょは見た目はあんなんだけど、砂糖の味がする不思議な食べ物。旅先で食べるお菓子みたいなものだ。
こう旅をしているとちっちゃい頃に妖精さんたちと冒険をしたのを思い出して、彼女たちにまた会いたいな。
あの頃は妖精さんにサポートをしてもらったっけな。あの頃みたいにサポートが欲しいと思ってしまうぼくはまだまだ子供だ。
****
半袖で出発したから、ちょっと寒くなってきた季節だ。魔導学校の制服は半袖だ。
一見、学校には見えない。目立つ建物。やっと古代魔導学校が見えてきて、ぼくは申請室に向かう。そこで職員と思われる全身を黒いフードを被った人物が座っていた。
「こちらの用紙に記入をしてください」
顔を隠していて、男から女かすらわからないけど、声が低いから男なのだろう。自分の名前「アルル・ナジャ」を記入し、入学の手続きだ。
ぼくは広い校舎の中、カミュ先輩の姿を探す。ラーラちゃんにも会いたい!
カミュ先輩とぼくは学科が違う。古代魔導学校は学科によって卒業する年が異なる。ぼくが17歳だからカミュ先輩が19歳。
階段をあがって、生徒の髪を見るが、金、緑、赤、青といった色ばかりでカミュ先輩の髪の色、黒がない。こう何人もすれ違うと黒って目立つ色だ。ラーラちゃんらしき人もいない。大きな赤いリボンをつけているからすぐにわかりそうなのに。ラーラちゃんは優秀だから、ぼくよりも先に着いていそうだし。古代魔導学校は入学する日が人によってバラバラなんだ。
廊下で水色の長髪のウェーブをかかった綺麗なお姉さんと牛の魔物。よく見ると首から下は人間だった!彼女らとすれ違った。お姉さんはともかく、彼も古代魔導学校の生徒なんかな?おそらくは上級生なのだろう。その組み合わせが一目についた。
暫く廊下を歩いていると、それらしき人が!
「カミュ先輩ぃ!」
ぼくが手を振ると、ゆっくり振り返る。カミュ先輩も古代魔導学校の制服姿だ。
「久しぶり、髪型変えたんだな。入学おめでとう、アルル!」
「うん!ありがとう!」
ぼくの頭を撫でて照れくさかった。2人で笑う。ようやく、会いたい人に会えた。
おわり
一部、設定はねつ造です。
魔導物語の色んなシリーズのキャラクターと設定を引っ張り出してきました。
魔導大全によると、アルルは魔導中学校を卒業をするのが16歳なので17歳と表記。
マスクド校長…はちゃめちゃ期末試験、セリリにはっぴーばーすでぃ。
ルーンロード…ARS。
闇の魔導師が魔導学校の生徒を牢屋に閉じ込めた…魔導2。
ドラゴンに乗っていく…MSX2版発売前の設定。
モモンガの駅…はなまる大幼稚園児。
青いスカーフで髪を縛る…真魔導。
リュンクス…GG魔導2版。
ミイルに胡椒…MSX2版。
魔導学校の制服…MSX2版。
申請室…MSX2、PC9801版。
らっきょが甘い味。ドーナツの味がする。…PC9801版。