ループ経験してそうな少し痛くて不思議ちゃんなキャラで……あれ?なんか…皆の反応、変じゃないです? 作:クレナイハルハ
純粋な笑顔を支えに駆け抜けたあの頃
頭に降ってくる雨の感触に、意識が浮上する。
頭から体へと体が濡れる感触に、ぶるりと体が震えた。
「あれ?俺は確か夕麻ちゃんと……おわっ!?」
雨、それも大雨が降っていて自分は傘も差さずに外に立っているのだと気付いた。
可笑しい、確か俺はさっきまで夕麻ちゃんとデートをしていた筈だ。
それに、デートをしていた時は雨が降るとは思えないほどに快晴であった筈だ。
と、とにかく何処か屋根のある場所を探して雨宿りしないと───。
「え……なっ!?」
そう考えていた時だった、目の前の光景に違和感を感じた。いや、違和感なんてものじゃない。
整備されている筈の道路はまるでバトル漫画みたいに所々が陥没しクレーターが出来ており、そこに降ってきた雨水が溜まり水溜まりを作っていた。更にはコンクリートの破片があちこちに散乱していて、靴を履いていなければ怪我することが目に見えるほど荒れている。
「い、一体何が………」
『─………っ!なん……、───っ─』
そう口に出した時だった、何処からか声が聞こえてきた。聞こえてきた声は何故か聞き覚えがあるように感じられて、不思議に感じつつも目の前で起こっている事を知りたくて聞こえてきた声のする方へと走る。
走りながら見た、見えてしまった。
家の壁が崩れていたり、道路の所々に赤い何かが道や壁に付着している。
目に映る景色に恐怖を感じつつも聞こえてきた方向に走る、聞こえてくる声が大きくなっていくにつれて、それがなんの声なのか気付いた。
泣き声だ、それも押し殺しているような男性の泣き声。
そしてたどり着いた場所には、地獄が広がっていた。
建物が崩れた事で発生した瓦礫が散乱し、沢山の人らしき何かが倒れていて、地面は赤く染まっている。
奥の方から、先程聞こえてきた泣き声が聞こえて進めば見覚えのある何人かの人達が見えた。
駒王学園でも有名な美少女であるリアス・グレモリーさんに姫島朱乃さん、1年のマスコットとして有名な塔城小猫ちゃんや女子達に人気なイケメンの木場祐斗、他にも駒王学園の制服を着ているが見覚えのない女子が何人かいた。
全員が雨に濡れることを気にせずにその場に佇んでいる。
一体何があったのだろうか?それにあの全員が共通する何かがあっただろうか?そんな事を考えながら近付いていくが、誰も俺に気付かない、ずっと沈痛な面持ちで俯いている。
変だと思いながら見ていると、彼女達が皆が雨に濡れることを気にせず何処かを見ている事に気付いた。
みんなの視線の先に目を向ければ、そこには左手だけに真っ赤な鎧?みたいなのを着けて俺と同じくらいの年で駒王学園制服を着た男がいた。
ソイツは、駒王学園の女子制服を着た誰かを抱き起こしており、近くには両膝を突いて駒王学園の制服を着ているが見たことのない金髪で何処か優しい雰囲気を持つ少女がその両目から涙を流して男の近くに寄り添っていた。
先ほどから聞こえてきた押し殺すような泣き声は、きっとアイツの声だ。
アイツの体でよく見えないが抱き起こしている女子生徒は見覚えのある髪型、サイドテールだった。
つぎの瞬間、俺はソイツの元へと走っていた。
見覚えのあるその髪型と黒い髪、つい昨日も間近で見た彼女の姿が脳裏に過る。回り込むようにして彼らの姿を正面から見たとき、俺は目を見開いた。
左手に赤い鎧のような何かを着けているのは、
そして目の前が抱き起こしているのは、クラスメイトの一人である
『──なんで、なんでだよっなんで、ハナが……』
『イッセーさん……』
俺はそう後悔や悲しみがぐちゃぐちゃになったような表情でクラスメイトである彼女を抱き寄せ涙を流していた。
クラスメイトであった彼女が何故、こんな姿になっているのか、俺は分からなかった。
そんな時だった、一瞬だがハナの口許が動いたのが見えた。
『ハナっ!』
『ハナさんっ!』
まるで、もう助けられる手段が無いような怪我の彼女にそう声をかける俺と女の子に、ハナは掠れて、苦しそうな声で話し始めた。
『アー、シアさ……お兄ちゃ、んのこと……お願いす……のです』
は?待ってくれよ、ハナは今、確かに目の前の俺の事を
ハナの口から出た言葉にまるで、鈍器で殴られた様な衝撃を感じた。
俺と彼女はクラスメイトだぞ!?そんなお兄ちゃんとか、呼ばれるような関係じゃない筈だ!
それに、俺は一人っ子で妹なんて……。
ハナの言葉にアーシア?と呼ばれた彼女は即座に大きく頷くと、それを確認したのかハナは俺へとその視線を移した。
『お兄、ちゃん……大好き、なのです。いも、うとだけど、ほんと……に、愛し……』
そしてハナはそう言いながら、話の途中で瞼を閉じていく。まるで夜に人がベッドに入って眠るように、いつも見るあの笑顔を浮かべながら……ゆっくりと虚ろな瞳を瞼がしまっていく。
『ハナ?……ハナっ!起きてくれっ、なんで、なんでハナが死なないといけないんだよっ』
俺の必死な声に、答えること無くハナはその瞳を閉じた。眠るように、いつも浮かべている笑顔で。
その様子に目の前の俺は、声にならない叫び声をあげながらハナのことを抱き締めた。
目の前の光景に呆然としたまま、俺は目の前の俺とハナの事を見つめていた。
なんなんだよこれ………いや。
「………そうだ」
そうだ、俺は目の前の光景は……知っている。
違う、知っているじゃない。
俺は
そしてあの忘れもしない大雨の日、俺を狙って現れた
アーシアの神器である
学園で覗きをするような変態な俺に家でも学園でも変わらずに接してくれていた大切な家族で、妹だった。
彼女は、俺が弱いせいで殺された。
赤龍帝である俺を狙って現れたアイツらから守れなかった、俺は母さんや父さんから兄であるお前が妹を守れと言われていたのに守れなかった。
俺が弱かったから、だからあんなことになった。
俺は、もうあんな思いはしたくない。
なんでハナが、俺の妹じゃなくてクラスメイトなのかは分からない。
でも、だからこそ俺は……今度こそ俺は俺の周り全部守れるように強くなる。
誰もが俺の名前を聞いて、挑戦するのを止めようとする程に、強くならないといけないんだ。
部長やアーシア、木場たちオカルト研究部のみんな、父さんや母さん……そしてハナを守れるように。
朝、目が覚めると既視感のある感覚が体を襲った。悪魔特有の午前、光の当たる時間が気だるく感じられて改めて俺が人間から悪魔になったことを自覚する。
「前と同じなら木場がクラスに迎えに来てくれるはず」
そう思いながら、いつものように駒王学園の制服に着替えて家を出た。
それにしても、もっと前に思い出せたら体を鍛えておけたのにな。
そんな事を思いながらも、早くて明日からでも前みたいな特訓を始めた方が良さそうだとトレーニングする内容を考えることにした。
早朝にランニングでまず体力作りからだな、そこから前みたいに戦えるよう感覚を戻していかないとだな。
学園の門では生徒会の人たちが挨拶運動をしているのが見え、他には登校してきた女子生徒や運動部の人たちが校舎へと向かう姿が見える。
そして、学園の門を潜ろうとする彼女の姿も。
教室に入り、いつもの笑顔で朝の挨拶をする彼女の姿を想像する。学校の教室に入ってきた彼女は、夢で見た血を流し虚ろな瞳の状態だった。
即座に首を振って先程の想像を霧散させ、彼女の後ろ姿を見つめる。
目を離せば消えてしまいそうな彼女の後ろ姿に、気がつけば俺は走り出していた。
「ハナっ!」
そう声をかけながら彼女を抱き締める、ハナが消えないことを、死んでおらず目の前にいることを確かめる。
「い、いっちゃん?」
聞こえてきたのは、あの夢で聞いた耳を澄ませなければ聞こえないような弱々しい声ではなく、昨日も聞いた元気そうな彼女の声だった。
「ハナっ……ハナっ!本当にハナが……大丈夫だ、今度は絶対にっ、絶対に守るからな!死なせない、俺が、俺が絶対にっ……」
もう、もう絶対……離したりなんかしない。
何も失いたくない、守って見せる。
俺は兄としてお前を絶対に守ってやる、アイツらに指一本でもさわらせるものかっ!
放課後、ホームルームを終えた俺は未だに感じる二ヶ所からの痛みに溜め息をついた。
「いつつ……アイツら、遠慮無く蹴りやがって」
ハナを抱き締めているのを見た元浜と松田は勢いを付けて上手くハナに当たらないようドロップキックを当ててきやがった。
それにしても、やっぱり昨日のデートや告白されたことを他のみんなは知らなかった。
そこは前と変わらない、さて……そろそろか。
教室の女子が慌てた様子で教室の外を見て歓声を上げるので、あらかじめ帰る準備として荷物をいれておいた鞄を持って立ち上がる。
迎えに来た木場に一応、悪魔になったこと等については知らない風を装って付いていって久しぶりに旧校舎へと入った。
そして懐かしいオカルト研究部で、部長がシャワーしていたのを忘れて思わずいつものように興奮してしまい、小猫ちゃんに冷たい目で見られた。
ま、まぁ前もこんな感じの印象から始まったし大丈夫だよな?
少し不安になりつつも、シャワーを終えた部長や朱乃さんに小猫ちゃん、木場たちが悪魔の翼をみせ自分達は悪魔であり俺もそうなったと説明された。一応、前みたいに驚いた振りをするのを忘れない。
俺が堕天使に襲われた理由はやはり、俺が赤龍帝……ドライグの
そんなことを考えながら、部長達と話していて自分の神器を出してみると言うことになった。
「イッセー、目を閉じて自分が一番強い存在を思い浮かべて」
「わかりました!」
部長に言われ、みんなが見つめてくるなか瞼を閉じて、自分にとって一番強い存在について考える。
俺にとって強い存在って誰なのだろう?この頃にとっての俺はアニメの主人公を考えたんだっけ?今、正確には前の記憶を踏まえるならば俺にとって一番強い存在……禁手を使った時か?
いや、そもそも思い浮かべなくても前の感覚を使って神器を出せばいいか。この頃の俺は
そう思った俺は無意識に左手を胸の前に構えていた。
なぁ、聞こえてるかドライグ。
俺は、絶対に強くなる。
だから、今はまだ認めてくれないのだとしてもオカルト研究部のみんなも、家族も、ハナも……全部、全部守れるような強さを身に付けてみせる。
弱いから、手が届かないなんて……失って後悔するなんてもう嫌なんだ。
前みたいな悲しいことにならない為に
過去の俺を越えるために、強くなるために
ハナを、妹を守る。
だから……力を貸してくれッ!
次の瞬間、オレの左手を慣れた感覚が現れそれと同時に本来ならば聞こえないアイツの声が聞こえた。
『Dragon Booster!』
「こ、これはっ!?」
部長達の驚いている声が聞こえ、慌てて目を開けば何故か俺の左手を
『今回の宿主は、面白そうだな。それに、最初から俺が宿っているのを知っているような口振りだ』
「嘘だろ………」
『それに、守るために強くなりたいという思いには
本来の物語より早い神器の覚醒に、兵藤一誠は驚くと同時に今後の行動をどうすれば良いのかと頭を抱えるのだった。
次の日、朝早くに起きて軽いランニングを終えた俺は学園への通路を歩いていた。
何故か昨日はいきなり神器が
色々と早まってしまったが、早くにドライグと意志疎通が出来るようになったのは良いことだ。
これを活かしてあの焼き鳥……ライザー・フェニックスとの戦いまでに禁手を習得できるよう特訓だな。
あと、どうやってアーシアを助けるかだよな。
前回と同じように行動したらアーシアは死ぬ、早めに助けたいけど。
そんな事を考えつつ、学園へと向かって歩いていると少し先で見覚えのある後ろ姿が見えた。
綺麗な黒髪をサイドテールにしているハナ、彼女が学園へと向かう様子を後ろから眺めていた時だった。
『あの人間……いや、そんな──まさか』
ドライグ?
神器こそ展開していないが、聞こえてきたドライグの声はいつもの落ち着いたものではなく、何処か困惑しているような気がした。
そんなドライグの様子に不思議に思っていると、突如として少し前を歩いていたハナが振り返ると俺を見て近付いてきた。
「いっちゃん、おはよーなのです。」
「おはようハナ、昨日はごめん!その……その急に抱きついたりして、俺どうかしてた」
「ふふふ、反省してるのなら許すのです。他の人にしてたらきっといっちゃんは速攻でおまわりさんと一緒ですよ?」
そう言いながら片手で腰に手を当てて、もう片方の手で俺へと人差し指向ける。まるで、小さい子に怒るお母さんや先生のような仕草に覚えがあった。
─お兄ちゃん、お兄ちゃん!覗きはダメなのです!お兄ちゃんにはアーシアさんやリアスさんという素敵な方々がいるのに、こんなことしてたら愛想つかされちゃうのです─
俺が悪魔になって、アーシアが家に住むようになってから少したった時だろうか?松田や元浜と一緒に行動していたのが漏れたのか、ハナはプンプンと口で呟きながら家で話しかけてきた。
これを聞いて、当時の俺はハナに言われた通りアーシアや部長に愛想をつかされるのが怖くて暫くは覗きとかしなかったんだよな。
『相棒、この人間は……』
ドライグ、ハナの名前は
俺のいも──。じゃなくてクラスメイトで、絶対に悪魔や堕天使、天使や神器を持った奴らから守りたいと思ってる、俺にとって大切な子なんだ。
『そう、か……』
何処かぼんやりとしたドライグの返事に不思議に感じつつ、俺はハナと一緒にクラスの教室へと向かうのだった。
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