ループ経験してそうな少し痛くて不思議ちゃんなキャラで……あれ?なんか…皆の反応、変じゃないです?   作:クレナイハルハ

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第3話

それは遥か昔、天使と悪魔、堕天使が争いあっていた時代、二天龍と呼ばれる存在が神器へと封印されず生きていた頃。

 

赤龍帝の赤い龍(ウェルシュドラゴン)ことア・ドライグ・ゴッホは束の間の眠りに落ちていた。

神や魔王すら凌駕し恐れられる二天龍の片割れ、そんなドライグの眠りを妨げる人がいた。

 

「ドラさまー?起きてくださいなのですー」

 

まるで吹けば消えてしまうような、小さく舌足らずな声と共に頭、正確には鼻先の角をペシペシと触れる感触にドライグは寝起き故に不機嫌になりながらも瞼を開き自身の眠りを妨げる人物を見下ろした。

そこには、以前に見た幼い姿の人間の子どもが嬉しそうに彼へ向け手を振っていた。

 

「貴様か、どうやら()()こちら側に迷い混んだようだな」

 

「ふふふ、またドラさまに会えるなんて()()()はうれしいのです」

 

かつて、ドライグが別の場所で眠りについていたとき、眠る彼の体へと落ちてきた不思議な人間。

幼い姿の人間の子ども、何故か悪魔、天使、堕天使の蔓延るこの世界に、人間の住む世界から迷い混んできた人間の幼子。

そんな幼子は時がたつことで軈て消えてしまい、またフラりと現れる。

そんな不思議な人間であり、現状のドライグとの交遊がある唯一の、恐らくは今後はいないのであろう人間だった。

 

「それでドラさまー?私のこの姿を見て何かありませぬかー?」

 

そう言いながら幼子はその場でくるりと回って見せる、ドライグは幼子が以前見た悪魔や天使、堕天使が身に纏っている服とは全く違う物を着ていることしか分からない。

前回とは違い、何故か因縁が感じられる赤と白、という俺とあの白いのを示すような色の服だ。

 

「下は良いが、上が気に入らんな」

 

「むー、せっかく神社の方にお願いして貰った巫女服ですのに。」

 

頬を膨らませながら身に纏う服をヒラヒラと揺らす彼女に、先程までの不機嫌さはいつの間にか薄れ、幼子と会話に楽しさを感じていた。

 

「なんだ、その服に何か意味でもあるのか?」

 

そう問えば、幼子はまるで花が咲くような笑顔を見せながら笑顔で話し始める。

 

「これは神社で巫女という人が着る服装なのです、神様に仕える人たちの服なのですよ?」

 

なるほどな、天使が着ているシスター服?だったか、あれと同じような目的の服装か。

 

「ドラさまを祀る、ツバキにぴったりだと思ったのです。お狐さまや狛犬さまがいらっしゃるのなら、ドラさまを龍神さまとして、祀ることもできると思ったのですよ?」

 

そう言いながら幼子は赤い布で結んだ髪を揺らしながらコテンと首を傾げてみせる。それに合わせて髪に差された髪飾り?らしきそれの小さな花が揺れる。

この幼子は本当に野に咲く花のようだ。

吹けば簡単に消えてしまう程に儚く脆弱だ、だが何処か見るものに愛しさと美しさを感じさせる。

目の前で自身を神のように信仰していると言われたのは、ドライグにとっては初めての経験だった。

 

「そうか、だがやはり白は好かんな。上も赤くせよ」

 

「むー、それじゃあ巫女服じゃなくなっちゃうのですよー」

 

そう言ってまたもや頬を膨らませる幼子に、ドライグは自然と笑みを浮かべていた。

あぁ、このような時の過ごし方は初めてだ。

何度も幼子と出会い、いつからか俺はこの幼子と過ごす時間が楽しみになっていったのだろう。

 

この時から少し先の事、俺はまた初めての経験をする事になる。

 

それも、最悪な形で。

 

神のお告げによりドライグが人間の幼子からの信仰を受け、更に力を手にするかもしれぬと知らせを受けた天使は悪魔、堕天使に情報を共有。 

信仰を消滅させるため、ドライグを信仰する幼子が現れるのを待ち、ドライグの元へと向かう姿を確認し殺害した。

少女の死を、感じていた体を淡く包む幼子の信仰(ナニカ)が消えた事で感じ取ったドライグは最初は何かの勘違いかと思った。

即座に最後に感じた幼子の気配を頼りに探せば、幼子は野に仰向けに倒れていた。

本来ならば白かったはずの服は赤く染まり、いつも優しさと愛しさを感じさせる綺麗な眼は虚ろで、光を宿していなかった。

ドライグはなにも話さない、何故ならもう目の前の幼子はその瞳になにも映していない、もう映すことはないのだと知っているからだ。

 

生命には始まりがあれば、終わりがくる。

 

だが、目の前の幼子がその終わりを迎えるのは早すぎるのではないかと幼子の亡骸を見つめながらドライグは天へと呟いた。

神や魔王すら凌駕する二天龍は、誰もが恐れるであろう強大な力を持っていながら、己を信仰した幼子一人すら、守護することは叶わなかった。

だからこそ宿主、兵藤一誠が通う駒王学園への道のりで目にした少女を見た瞬間、魂が震えるのを感じた。

 

『ドラさまー!』

 

懐かしい記憶の中で、嬉しそうにこちらへと手を振り笑いかける巫女服の少女が浮かんだ。

綺麗な黒髪と雰囲気が、かつて守ることが叶わなかった自分を信仰する人間の幼子が成長したような姿の人間がそこにいた。

彼女を目にして一つの言葉が浮かび上がった、それは()()()()。肉体が死に、魂が浄化され新たに生まれ直すこと。

 

もし、そのような事があったのならば……あの人間は間違いなく……ツバキ、巫女の生まれ変わりなのだろう。

 

兵藤一誠曰く、彼女の名はユムノ ハナ。

 

宿主の絶対に守りたい人間。

 

あぁ、ツバキに続いてまた花を意味する名前とは本当に似合っている。

吹けば散り、踏めば折れるような花のごとき儚く弱き、唯一俺を崇めた巫女よ、赤龍帝の巫女よ。

 

どうか、今世ではその()を散らすこと無く、咲き続けて欲しい。

 

それが、いまの俺の願いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝、色々とありましたが暫くは兵藤一誠くん達と一緒にいるのは不味そうなのです。何故なら堕天使関連でアーシアさんと出会うイベントがそろそろ開始される頃だと思うからです。

悪魔と関わっているからってあの神父さんに殺されそうになるのは流石に勘弁なのです。

いくらCVが某黒の剣士やおあがりよな料理人、英雄を目指す兎さんや猪突猛進な侍に顔面600族なドラゴンストームさんでも、尊死はいいですがガチで殺されるのはお断りなのです。

少しの間、意味深ループヒロインロールを止めアルバイトへ専念ですね。

ちなみにいうと、別に金欠とかお小遣いが無いわけではないのです。

お母さんの妹さんからはちゃんと月にいくらか貰っているのですが、流石に申し訳ないですし、いずれは一人立ちし、家を出るかもしれませんのでお金が必要なのです。

ちなみに、アルバイトの内容はウェイトレス。

ファミリーレストランでの接客なのですよ、料理を運んだり注文を聞いたりで月に何度かイベントもあったりして、お客さんからも人気なのです。

いつものようにファミレスの制服で接客していると、小柄で綺麗な白髪の少女。塔城小猫ちゃんが席に座ってメニュー表を眺めていた。

そして見るにメニュー表の一番最後のページ、恐らくはデザートとスイーツのコーナーを見ているのか、悩むように眉をハの字にしてページの商品を眺めている。

確か彼女は甘いものが好きだった、そしてずっとデザートメニューを見て悩んでいる事から考えるに、恐らくはデザートの値段を見て少し迷っているのだろう。

バイトしているこの店はデザートも美味しい、でも値段はお手頃な物から学生には少し高いと感じる程の物まである、故に彼女はお手頃なものにすべきか奮発してお高いのを買うべきか迷っているのだろう。

ふふふ、ここならあの神父に悪魔と関わっていると思われにくい上にループ系の不思議ちゃんロールをしつつ、彼女に意味深発言ができそうなのです。

私は制服のポケットの中に()()があることをこっそり確認しつつ、彼女が座っているテーブル席へとたどり着き自然を装って話しかける。

 

「ご注文はお決まりなのです?」

 

勿論コテンと首をかしげるのも忘れない、まだ悩んでいたのか塔城小猫ちゃんは慌てたメニュー表から顔を上げる。

 

「あ……いいえ、まだです」

 

「ふふふ、うちのデザートメニューはどれも美味しいから迷う気持ちはわかるのです」

 

いつもの儚い雰囲気を纏ったはーちゃんスマイルを向けると、当たり前だが彼女は「はぁ?」と、なんなんだこの人といった視線を向けてくる。

 

「ふふふ、先輩からいつも頑張ってる後輩ちゃんへのプレゼントなのです」

 

そう言いながら私は店長が見ていないことを横目で確認しつつポケットから2切れの紙を取り出す。それは店長が作ってくれた500円引きの手作り割引券、家族にあげるもよし、友達にあげるもよしの五百円引き券。

個人経営のファミレスですので貰ったときは思いきった行動に凄く驚きましたし、店長も太っ腹ですねぇと思いました。

不定期ですが、毎月頂けちゃうので遠慮無く使ってるのです。

私は片手で人差し指を立てた後にそっと彼女の前に二枚券を置く、すると塔城小猫は目をパチパチさせた後、戸惑った様子で五百円引き券と私を交互に見つめてくる。

 

「あ、あの……」

 

うふふ、戸惑ってるのです戸惑ってるのです。

さて、ここからは凄く大変です。下手したら嫌われる可能性もありますが、度胸だして不思議ちゃんロールしていきますか。

 

「ふふふ、しろちゃん。どうか…いっちゃんを、兵藤一誠くんを助けて欲しいのです。」

 

しろちゃんと呼んだ事に目を見開き何処か呆然とした様子の彼女が口を開く。

 

「兵藤先輩を、ですか?なんで……」

 

「あのね、いっちゃんは大変なおバカさんで変態さんなのです。でも、他にも良いところがたくさんあるのですよ?」

 

そう言いながら私は彼女の頭を撫でる、さわさわとぎこちなく始めたら変に思われるので流れですっと行う。退けられなかったので、許されたのでしょう。彼女の頭を撫でながらはーちゃんスマイルを崩すこと無く話を続ける。

 

「いっちゃんは、何かあって困ったら相談に乗ってくれたり、助けようと動いてくれる。そんな凄く頼りになる人なのですよ」

 

そう話していると、何故か彼女の手が撫でる私の手を上から押さえるようにして持ち、彼女の頬を撫でるように頭から頬へと下ろされる、そしてそのまま彼女は私の手をゆっくり顎へと持っていこうとする。

あ、あれ?なんか頭を撫でたら「触れないで下さい」って怒られると思ってたのになんか、様子が変じゃないです?

思わず手を引き、思わずはーちゃんスマイルから困惑した表情になってしまう。

 

「?」

 

すると、何故か撫でないの?とばかりに首をかしげられた。

何故でしょう?本当に猫を相手しているような気にすらなってきました。ホムラちゃん、今頃何をしているのでしょうか?

ふと現実逃避のような形で恐らくは私の使っている部屋の人をダメにするソファで眠っているであろう飼い猫のホムラちゃんへの想いを馳せてしまう。

 

「あの、ボーッとしてますが何処か体調でも…」

 

「っ!?す、すいません。あとこの券はありがたく使わせて貰います、先輩。」

 

目を見開き頬を赤く染めながら塔城小猫ちゃんは、慌てた様子でメニュー表を見せてきながら注文をした。

頼まれたメニューを配膳し、遠目で何度か確認したが彼女は先ほどのぼーっとした様子からいつもの状態に戻り注文したパフェを口に運んでいた。

それにしても今日の塔城小猫さんは少し様子が変でした、熱でもあるのでしょうか?

体調は崩さず、どうかアーシアさんを助けるイベントに参加してくれることを、はーちゃんは祈っているのです。

 





ツバキの着けていた簪
簪の端には、花の飾りが着いており
ついている花は『ワスレナグサ』。


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