ループ経験してそうな少し痛くて不思議ちゃんなキャラで……あれ?なんか…皆の反応、変じゃないです? 作:クレナイハルハ
朝、微睡み布団から抜け出したく無い私を
「お嬢様、朝ですよ」
「ふぇえ、はーちゃんはもう少し寝て居たいのですよぉ」
「朝食も出来上がっておりますし、お義母様も起きておりますよ?」
「ぶー、朝から完璧すぎるのですよ
「お嬢様のメイドですから」
そういいながら体を起こし目を擦る私の髪をレナがいつの間にか取り出した櫛ですいてくれた。
レナ、彼女はラノベやアニメの物語に登場するような流浪の野良メイドであり、理想のご主人様を探し各地を回り旅していた人だ。
そんな中、私のお母さんの妹であるお姉さんが私の負担を少しでも軽減したいと感じ住み込みでの家政婦の募集をしていたのを見つけ、応募してくれたのだ。
何がお眼鏡に叶ったのかは分からないけど、レナは何故かお姉さんではなく私を主と認め、私の側で支える事になってしまったのである。
そんな事を
「マーオ……!?」
「ふぁー、あホムホムちゃんおはよーなのですー……?」
私の足元まで歩いてきたホムラちゃんだったが、髪をすいてくれているレナを見ると、何故か驚いた様子で私とレナの顔を交互に見始める。
どうかしたのでしょうか?
レナがこの家で働き始めて
「シャーッ!」
何故か警戒した様子のホムラちゃんに不思議に思いつつ、私は制服に着替えて朝食を食べに自分の部屋から出た。
「今日のご飯は何なのです?」
「本日は、洋風でフレンチトーストを用意してみました。お口に合うと良いのですが」
「じゃあ、レナがお茶をいれて欲しいのです」
「へ?」
「レナの淹れてくれるお茶は本当に美味しいのです、レナが来てからの毎日の楽しみなのですよー?」
「はいっ、喜んで!」
「?」
何処か嬉しそうな、はりきった様子のレナに私は首をかしげる。
そんな私たちをホムラが戸惑った様子で見つめていることに気が付かなかった。
町の外れ、夢乃家から近くにある空き地に三匹の黒猫が集まっていた。
「ミャーオ、|マーオマーオミャーオマーオニャー(あのさ急に家に他人がいて、しかも最初からここで暮らしてたみたいにみんなが接してるの。これって変じゃない?)」
「にゃあ!?にゃにゃー!?(はぁ!?なにそれ!?)」
「シャー……(変なの……)」
自分の家の様相と今日起こったその異変について説明するホムラは、二匹の反応からやはり今朝の状況は普通じゃない事に安堵する。
だが、そんなことをどうやって彼女に伝えたものかと思案する。
私はあくまでも普通の飼い猫という
力量差的に言えば奴の正体を暴くのは簡単だが、あくまでただの猫である私がまさか堂々と奴の首を掻き落とすわけにはいかない。
自発的に正体に気づかせる為にはその確たる証拠を見せなくてはならないが、『確たる証拠』を見せるためには最低でも背中の羽を露呈させるくらいにダメージを入れなくてはならない、それは普通の猫には到底成し得ない“ありえない”現象だ。
それに今のところは彼女や回りの人々に害は与えていないし、取りあえず様子見だろうか。
「ニャア、ミャーミャ?(二人は、最近どう?)」
「シャーシシャ(特に変わらないわ)」
「にゃにゃあ(こっちもね)」
「シャー(相変わらず良く奢ってくれるおじさんのおかげね)」
「にゃ?!にゃーーっ!(なによ!あんなヤツなんかただのメシヅルなんだから!)
「シャ、シャーシャー(お騒がせね、少しは静かにしたら?)
「ミャア〜(喧嘩はしないの)ニャニャニャァ(それじゃ、私は行くわ)」
そういいながら三匹の黒猫は太陽を浴びながら丸くなる、お昼寝を始める二匹だったがホムラだけは即座にその場から移動をし始めた。
「問題はあり、ただし実害はなし……どう対処するべきか、難題ね」
私にとって、今お世話になっている家の女の子……夢乃儚那は目が離せない子供だ。
猫は、9回生まれ変わるという噂があるが、今の私は正に生9回の猫生を歩んでいる。
9回も生きていたら、それなりに様々な経験をして来た。
そんな9回の中の一回、そこで儚那と似た雰囲気を持つ女の子と過ごした記憶があった。
幼く生まれた私と生まれたての彼女は共に沢山の時間を過ごした。
彼女がハイハイから立ち上がるのも見たし、小学校へ通うのも見ていた。
楽しかった、これまでの猫生とはまた違った生き方で彼女が笑えば自分も笑い、彼女が親から叱られ悲しめば寄り添った。
いつまでも温かいこの生活が続くと、そう思っていた。
あの日、私は小さな彼女の腕に抱かれて町を散歩していた。
「ふんふふーん♪今日も良いお天気なのですー!」
そんな彼女の言葉にあくびをしながら、温かい太陽の光を浴び襲ってくる眠気に身を委ねたくなるのを我慢する。
私にとってこの子と散歩する時間は楽しみでもあったから、昼寝するより共に様々な景色を眺めたい。
「そういえば◯◯ちゃん、しってるのですー?来週、学校で二分の一成人式があるのですよ!楽しみなのです!」
二分の一成人式、それは10歳の節目を祝う風習であり昨今の学校ではあまり見られないイベントだ。
そんなのやってる学校がまだあったにゃんねぇ……。
「家族も来れるって先生たちが話してたのです、当然○○ちゃんも来るのですよー?だって大切な家族なのですからねー!」
いや無理でしょ、猫が学校のイベントなんて参加できる訳が……。
そんな事を考えていると、横断歩道の上にある信号が変わり誘導音が周りに鳴り響く。
その音が少し苦手で、私は両手で耳を覆った。
次の瞬間だった。
「○○ちゃん!」
私の事を呼ぶ女の子の声と共に先程まで体全体で感じていた彼女の温もりが消える、そして感じる浮遊感に私は驚きながらどうにか着地する。
流石に飼い主とはいえ、ペットを投げるのは子供とはいえ許せない。
少しの間は撫でさせないし、何を見せられても無視して痛い目を見せてやろう。
そう思いながら振り替えろうとした、次の瞬間。
背後からドン!という何かと何かがぶつかる音と共にビチャッと何か液体のような物が落ちた音が聞こえ、何事かと振り向いた先にあった光景に私は固まってしまった。
斜めに停車したトラックから少し離れた場所で、あの子が、地面に横たわっていた。
倒れた場所からは赤い何かが広がっていき、回りの人間たちが大きな悲鳴を上げる。
あの優しい瞳は光を失い何処か虚ろで、近寄る私に何の反応も示さない。
近寄り、彼女の頬に肉球を押し付ける。
『はぁー、○○ちゃんの肉球は癒されるのですー』
ほら、今なら好きなだけ触っていいから……。
『アハハ!くすぐったいのですよぉー!もう!』
彼女の頬をなめる、何度も舐めてもどれだけ肉球を押し付けても彼女は笑わない。
身動きすることも何か言うこともない。
ねぇ、何でなにも言わないの?喜んでよ、撫でてよ、笑ってよ……ねぇ、起きてよ。
『来週、学校で二分の一成人式があるのですよ!楽しみなのです!』
『当然○○ちゃんも来るのですよー?だって大切な家族なのですからねー!』
来週、二分の一成人式なんでしょ?楽しみなんでしょ?私もいって上げるから、こっそり車に乗り込んででもいくから、だから起きてよ……。
彼女の頬に顔を擦り付ける、何の反応もない。
普通、私なんじゃないの?
私が死んで、貴方が私を看取るんじゃないの?
ねぇ、起きてよ……。
この日、私の家族が一人亡くなった。
飲酒運転をしていたトラックに跳ねられ、彼女は私より先に死んだ。
だから、私は彼女から目を離せない。
白音を探すのは諦めてない、でも今は……せめて彼女が大人になるまでは側で見守りたい。
儚那は本当にあの子によく似てる、あの子みたいに笑う。
あの子みたいに私を抱いて散歩してくれる。
まるであの子の生まれ変わりみたいだから、だから彼女を絶対に交通事故や他人の脅威から守る。
この子は本当に優しい、でも儚くて……目を離したら死んでしまうと思えてしまう。
だから、だからせめて彼女が成人するまでは私が側で守りたい。
【交通事故】二分の一成人式叶わず
×月×日、◯◯県某所にて飲酒運転をしていたトラックに引かれ、小学4年生の少女が亡くなりました。
運転をしていた50代男性は容疑を認めています。