塩昆布の優雅な日常   作:numatti

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第1話 前菜
パートA


 覚醒しかけの意識…うっすらとした意識で自分の寮部屋のチャイムを聞き…目を覚ました雅尚は寝ぼけた頭で考える。

「このチャイムは……」

 そこまで考えた所でもう一度…チャイムがなった。

「うちのだあぁぁぁああぁぁぁ。」

確認のため眼鏡をかけつつ、ベットの脇に置いてある目覚まし時計を見る。その時計の針はいつも雅尚の幼馴染達が学校に行くために集まっている時間だった。

制服を着ながら玄関に向かわねば。

外出しハンガーラックに掛かっている制服を見て、いつも通り前日に用意しておいて良かったと素直に思った。

まず起きながら靴下を履きつつ、寝間着を脱ぎワイシャツを着てズボンを履く。そして最後にブレザーを着ながら靴を履き、玄関のドアを開け放つ。完璧だ。その瞬間、僕の口に朝食のトースト(ベーコンエッグ乗せ)が押し入れられた。

「ぐっはぁ」

 雅尚は言葉にならない声が出て、少しのけ反った。

「ナオは大事な時に寝坊するんだから…もう今日からわたし達二年生だよ」

 そこには、朝の朝食(ベーコンエッグ乗せトースト)を僕の口に押し込んだ張本人である僕の大事な幼馴染・愛川明莉の笑顔があった。

 朝からまぶしい。この笑顔は、反則だろ。何があっても許してしまう。

 ちなみにナオと言うのは僕こと羽田雅尚の愛称つまりニックネームである。しかし雅尚は「まさひさ」と読むのが正しい。実は読み方が異なる漢字というのはよくある事で、明莉も僕の名前を「まさなお」と呼んだまま、周りにも広まった結果「ナオ」という愛称が誕生してしまったのだ。

 

 そんな御託を言いつつも、明莉の濃い桜のような赤みの強いピンク色のロングヘアーに、今日も綺麗だなと僕が思っていると……。

「確かにそうだよな、ナオはこういう時、駄目だからな」

「あー確かに」

 明莉の後ろからしたこの二つの声は、僕の親友であり、一番の悪友である笹田光と鬼こと篠田真衣の二人である。

 光は男子にしては低めの身長とくせ毛気味な髪の毛が特徴的なやつで、お…ではなく真衣は水色ショートヘアで赤い眼鏡が特徴的な活発な女の子である。

 この二人は、低い身長、好戦的性格、僕に対する酷い態度の3つの面で似ているなぁ、と僕はひそかに思っている。言うと怒ると思うから言わないけど…。

 僕は、口の中に突っ込まれた朝食を食べきると、自然にいつも通りのやりとりに入っていく。

「なんだよ、そういう光だって、普段はダメダメじゃないか。今でもシャツ出てるし」

「あんだと」

「そんなことはどうでもいいけど、あんたさっき失礼な事考えなかった。」

 横からさらに文字通り、鬼の…いや真衣の横槍が入った。

「いや、別に…何も…考えてないけど?」

 目を逸らしつつ、僕は自分のスキルをさりげなく発動する。

「まぁまぁ、2人とも暴れてたら遅れるよ」

 明莉からの助け舟が入る。

そのおかげで「明莉がそう言うなら…」と言いつつ、真衣はそれ以上の追及を諦めてくれた。

「ありがとう、明莉」

そう言いながら、僕がお助けフラグ発動成功だと思った。

 ただ、普段から、優しく、幼馴染の中で一番常識的かつ時に厳しい明莉なら、普通に助けてくれたんじゃないかと、今更ながらに思ってみるとスキルを使わなくてもよかったのではないかとも思ったが、そこは気にしない事にする。

 その時、一人の人物が明莉の助け舟をぶち壊した。

「まぁ、別に暴れててもいいけどな、放置して先に行ってるだけだし」

唐突にそう言った、本名・瀬尾孫左衛門ことタマちゃんは、黒縁眼鏡が特徴的で基本的に知的で真面目なのだが、煽りや傍観などで楽しんでくるという少し屈折した人物だ。

「なるほどぉ、それならokだな」

 そこですかさず、光が少しふざけた様にそう言って僕をまた窮地に追いやる。

「確かにナオを再起不能にしてからでも問題ないよね」

 光のふざけた煽りのせいで真衣も危険なことを言っている。

「お疲れ様、頑張って、ナオ」

そうしてさりげなく、不知火優子が、呆れたような声で一応のエール(?)をくれている。

そんなこと言いつつ、僕は逆にこの優子にエールを送りたいと思った。なぜなら…

「そんなことはどうでもいいけど今日も優さん、可愛い、大好き」

「・・・・・・・」

「なんでスルーするの!?」

僕たちのやりとりの横でこのようなやり取りが起こっているからである。

そして、優子とそんなやり取りをしているのは高瀬美歩である。性格は見たまんまで、頭の中がバラ色で溢れている、いや溢れかえっているといった方がいいかもしれない程にかわいい人・物が大好物な人物である。特徴的なオレンジ色のセミロングに紫の眼鏡、そしてその行動が目立つ女子である。

その美歩に襲われている優子は、艶やかな長い黒髪に少しサバサバな性格である所はあるが笑顔が絶えず、言葉に表せないほどの美人さを誇っている。また、そのせいで、美歩に狙われまくっているのもまた事実である。ちなみに僕達幼馴染の間では本名の優子より優と呼ばれることが多い。

常にこんな感じなので優子が本当に可哀想だと思っている。     

しかも、美歩の標的になるそのほとんどが優だから、より一層可哀想だと思える。

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