主に春休みの間の思い出話をしながら、和気あいあいと登校した。
「そういえば、夢はどこいった」
そこで唐突に、光が僕に聞いきた。
「いきなり、何言ってるんだよピカルン。夢どこいったって…」
「そうじゃなくてユメだよ」
ここで、僕は、あぁ、そっちかと思った。半分はふざけてだったのも事実ではあるが、そこは言わないでおこう。そういえば、どこに行ったんだろうと思う。
ユメがいないのは、よくあることだからすっかり忘れていた。
ちなみにユメも僕の幼馴染の一人で、本名は、空羊ユメ(夢)、光ぐらいの身長で常にパーカー姿でいつもどこかで寝ている。一応、言っておくがユメは男の子だ。
「さぁ、どこだろう」
「多分、いつも見たいに、どっかで寝てるだろうよ」
僕達の話を聞いていたのか、タマちゃんが呆れ半分な顔で言った。
「何、話してんの」
そう言って、ユメについて話す男子メンバーに真衣も入ってきた。
「いや、ユメの事だよ」
僕は、また変な誤解はされたくないので一応何を話していたか答えておいた。
「あ~ぁ、それより、うちは優さんとデートに行きたい。もちろんマイちゃん、アカリンとも…」
そこでいきなり、美歩がまったくもって別方向の話題をぶち込んできた。
「もうそろそろ、こいつセメントで固めて東京湾にでも沈める」
「それいいね、やろうよ」
「2人ともさすがにセメントは…普通に沈めるだけにしよう」
真衣の危険な提案に優子と明莉の二人も同意している。美歩、お前そろそろやめないとやばいぞと僕は心の中で本気でそう思った。鬼の真衣と一番犠牲になっている優は怒るのは当然として、あの優しい明莉までもがセメントを抜きにしても沈めようと言うとか普通ではない。
ここで僕達一向は自分達の教室に着いた。今日で一年生教室の扉を開けるのも最後と考えるとなんだか感慨深くなる。
そして、僕はその扉を開け放つ、そしてそこにはアイツがいた。
「あっ、いた」
あまりの不意打ち加減のご登場だった。
「いたな」
「確かにいるな」
「本当だ」
「やっぱり寝てるよ」
「いつからだろ」
「道端とかで寝てなくてよかったよ」
光、タマちゃん、真衣、優子、美歩、明莉の全員が呆れた様な、もうしょうがないかと言うようなあきらめの顔をしていた。明莉に、道端で寝てなかったことで安心される奴はもう駄目なんじゃないかとは思う。もし僕が教室でこんな時間に寝ていたら、絶対に明莉に心配されるだろうに、逆に怒られそうだぞと思った。
当の本人はまったくの無反応で寝ているし、道端でなくて良かったものの、今寝ているのは僕の机だぞ、しかもご丁寧に僕ら幼馴染にはお馴染みのユメのMy枕とMy掛布団付きで、僕たち以外はまだ誰もいない教室で寝ていた。
とりあえず、ユメを起こすかと思い、ユメに近づいていく僕は、その時、大事な事を一つ忘れていた。そして僕はそれを忘れていたことをすぐに後悔することになる。
「おーい、そこは僕の机だ、ユメ起き……ぐっ…はっぁぁぁ~。」
ユメを起こそうとした僕に対して不可視の力が襲う。そしてそれに少し遅れて、僕とユメの間に黒い奥行きが出現し、不可視の攻撃を相殺する。そして、僕はそのまま吹き飛び教室の壁に背中を激しく打ちつける。
激しく壁に打ち付けられた僕の薄れていく意識の中で確認できたのは、真衣と美歩の僕に対する「やっちゃったな、あいつ」という顔と明莉のひどく動揺した姿が見えた。
「はぁ、今、回復するから」
優子のそんなため息交じりの声が聞こえ、優とタマちゃん本当に、ありがとうと思った。その矢先、僕の頭に第二の不幸であるタライが直撃した。
その現象の原因であると思われる光を見ると、「あっ、ごめんやっちゃったぜ☆」という顔をしていた。本当に後で殺す。
そこで、僕の意識は完全に失われてしまった。