コズミックアーカイブ(仮面ライダーフォーゼ×ブルーアーカイブ) 作:炙り中トロ
第1話 青・春・先・生
『・・・・・我々は望む、七つの嘆きを。
・・・我々は覚えている。ジェリコの古則を。』
『持続パスワード 承認』
『「シッテムの箱」へようこそ、如月弦太朗先生』
生徒と過ごし、生徒を見送る。そんな何でもない、ありふれた日常の中で、彼の耳にそんな言葉が届いた。
(ここは……?)
彼は気付けば、穴の空いた端末、荒れた大地を窓に映す妙にキレイな電車の中で、見知らぬ一人の少女の前にいた。
「……私のミスでした。」
少女は口を開く。悲しげな、けれどどこか希望をいだいたような声が彼の耳を優しく撫でる。
(あんたは一体……?)
「私の選択、それによって招かれたこの全ての状況。結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったと悟るだなんて…」
「……今更図々しいですが、お願いします。」
「先生。」
(先生って……俺のことか…?)
彼女は彼を呼び、少し微笑む。だが、彼には少女の記憶がない。
ましてや、自分が彼女の先生など……
「きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません。何も思い出せなくても、きっとあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから。」
「ですから……大事なのは経験ではなく、選択。あなたにしかできない選択の数々。」
そう言う彼女と、それを聞く彼の脳裏に、様々な景色や思い出が浮かび上がり、泡のように儚く消えていく。
少しの空白のあと、彼女は再び口を開く。
「責任を負う者について、話したことがありましたね。」
「あの時の私には分かりませんでしたが、今なら理解できます。」
「大人としての責任と義務。そして、その延長線上にあった、あなたの選択。それが意味する心延えも。」
その言葉を聞くと、彼の頭に少しずつ浮かんでは消えていった存在しないはずの記憶が一気にフラッシュバックする。
存在しないはずなのに、記憶に痛いほど染み付いていて、思い出すと妙に胸が苦しくなる。
そして最後に浮かんだのは、悲しげにこちらを見下ろす狼のような少女。
「……」
彼女は再び少しの間沈黙する。窓の外は朝日が登り始め、黒が赤へと染まっていく。
それは新たな物語の始まりか、それとも、歪んだ先にあった終点の光か─────
「ですから、先生。私が信じられる大人である、あなたになら、この捻れて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を……そこへ繋がる選択肢は……必ず見つかるはずです。」
彼女は男の頬に触れ、最後に呟く。その途端に、彼の意識は薄れ始める。
「だから先生、どうか……。」
薄れていく意識の中、彼は一つ思った。何も知らないが、これだけは確かだと。
(お前も……俺のダチなんだな。)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「……い。」
「……先生、起きてください。」
「先生!!」
「うおっ!?」
聞き覚えのない女性の声が耳に響き、彼、如月弦太朗は目を覚ました。
弦太朗は辺りを不思議そうにキョロキョロ見回す。
そして、彼の目に、先程の声の主が映った。長い青髪をたなびかせ、青く矢のように真っ直ぐな目で弦太朗を見ている。
特徴的な制服や横に鋭く伸びたエルフ耳、まるでゲームやアニメの世界にでも来たようだ。
そして、何より気になるのが彼女の頭上に浮いている輪っかのような物体。
色々と聞きたいことがあるが、聞くよりも前に、彼女は喋りだした。
「少し待っていてくださいと言いましたのに、お疲れだったようですね。まさかここまで熟睡されるとは。」
「夢でも見られていたようですね。ちゃんと目を覚まして集中してください。」
その女性は物静かな様子で弦太朗に話しかけてきた。弦太朗はそんな女性を震えながら指さし、口を開く。
「…………だ」
「だ?」
「誰えぇっ!?ってかここどこ!?俺天校にいたはずなのに……ちょっ………どうなってんだよ!?」
弦太朗は訳の分からない状況に困惑して騒ぐ。当然だ。さっきまで見慣れた場所にいた『はず』なのに、気付いたらこんな見知らぬ場所にいるのだから。
「はぁ…落ち着いてください。」
「×〆々・々<…・^×>@€$〒゜#%」
「落ち着…」
「(あーだこーだどーだそーだ)」
「落ち着いてくださいッ!!」
「はっ、はい!」
いつまで経っても騒ぎ続ける弦太朗に痺れを切らし、謎の女性は弦太朗に対して声を張り上げ、弦太朗はビシッと気を付けをして椅子に座った。
「では、もう一度、あらためて今の状況についてお伝えします。」
謎の女性は、何事もなかったかのように冷静な口調で話を進める。
「私は、七神リン。学園都市、「キヴォトス」の連邦生徒会所属の幹部です。」
謎の女性、『七神リン』はそう名乗ると、まだ色々と困っている弦太朗を差し置き、話を進める。
「そしてあなたはおそらく、私たちがこの場に呼び出した先生……………のようですが。」
「ですが…?」
「……ああ、推測系でお話したのは、私も先生がここに来た経緯を詳しく知らないからです。」
「えっ?知らないってどゆこと!?俺帰れねぇのか……!?ってかキヴォトスってなんだよ!?そんなとこ聞いたことねぇし……呼び出された覚えも………」
慌てふためく弦太朗を見て、リンはため息を吐きながら話を続ける。
「混乱されてますよね。分かります。こんな状況になってしまったこと、遺憾に思います。でも今はとりあえず、私についてきてください。どうしても、先生にやっていただかないといけない事があります。」
「やっていただかなくてはいけないこと?何だそれ?」
「…………学園都市の命運を分けた大切なこと……ということにしておきましょう。」
リンはそこまで言うと、エレベーターに向かって歩いていく。弦太朗は首を傾げながら、リンに着いていった。
エレベーターの中で、リンは話を続けた。そんな彼女の後ろには窓があり、広大なキヴォトスの学園都市が広がっていた。
「キヴォトスへようこそ。先生」
「キヴォトスは数千の学園が集まってできている巨大な学園都市です。」
「ええっ!?数千!?天高よりヤベェ…」
「天高……?まぁいいです。そして、このキヴォトスは、これからあなたが働く場でもあります。」
「おぉなるほどな……って働く!?」
「ご心配なく。我々もできる限りのサポートは致しますので。」
(そういうことじゃないんだけどな……)と内心思う弦太朗。リンはそんな彼の気持ちなど知る由もなく、一切の表情を崩さずに話を続ける。
「きっと先生がいらっしゃったところとは色々な事が違っていて、最初は慣れるのに苦労するかもしれませんが……でも先生なら、それほど心配しなくてもいいでしょう。あの連邦生徒会長が、お選びになった方ですからね。」
「連邦生徒会長……?」
「……まぁそれは後でゆっくり話すとします。」
そうこうしている間に、チンと音がなる。エレベーターが上の階に着いたのだ。リンはエレベーターの外へ降りていき、弦太朗もそれに続いて部屋に入っていった。
「ちょっと待って!代行!見つけた、待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!」
「……うん?隣の大人の方は?」
部屋に入るなり早々、怒号を上げながら青髪の生徒がこちらに近付いて来た。見た目や声的に、リンと同じくらいの年齢だろうか。
弦太朗を気にする少女。弦太朗は取り敢えず自己紹介をしようとしたが、そんな暇はないとでも言うように一人、また一人と、三人ほどがこちらに向かって歩いてくる。
その内のメガネをかけた少女と白髪ロングヘアーの少女の二人は特に変なところはなかったが、問題はもう一人。黒い服装に高校生とは思えないほどに発育した体つきもそうだが、何より背中から黒く大きな羽が生えている。
ありえないという価値観が無意識に全面に押し出され、弦太朗は目を丸くした。
「首席行政官。お待ちしておりました。」
「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が今の状況について納得のいく回答を要求されています。」
「あぁ……面倒な人たちに捕まってしまいましたね……。」
「こんな暇そ……大事な方々がここを訪ねてきた理由はよくわかっています。今、学園都市に起きている混乱の責任を問うために、でしょう?」
「そこまで分かってるなら何とかしなさいよ!!連邦生徒会なんでしょ!!」
青髪の少女が声を上げる。
それからその場の生徒たちが問題を口に出していく。それらは専ら風力発電所のダウンやら、停学中の不良生徒の脱走だとか、戦車がどうだとか物騒なものばかりだ。そんな中、弦太朗は一つの問題が気になった。それは、『怪物の目撃情報』である。戦いが始まったあの日に学校中に流れていた噂を思い出す。
だが、こんな殺伐とした雰囲気の中、弦太朗にそれを口に出す隙はなかった。
「こんな状況で、連邦生徒会長は何をしているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ会わせて!」
先程の青髪の少女がより一層声を荒げてそう言うと、リンは一蹴するように事を告げた。
「……正直に言いますと、連邦生徒会長は現在、行方不明になりました。」
「え!?」
「……!」
「やはりあの噂は……」
「結論から言うと「サンクトゥムタワー」の最終管理者が居なくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。認証を迂回できる方法を探していましたが、先ほどまでそのような方法は見つかっていませんでした。」
「……その口ぶり、今は何か方法があるということですか?」
一人の少女の質問に、リンは自信あり気に答えた。
その視線の先にいたのは、弦太朗である。
「はい。この先生こそが、フィクサーになってくれるはずです。」
リンはそう言いながら、弦太朗を指差した。
「!?」
「……!」
「この方が……?」
「そうそう…って、俺えぇっ!?」
と、驚愕する弦太朗と周囲。
いや、いきなり呼ばれたからには何か役割を任されると薄々感じてはいたが、まさかこんな大役を任されるとは……
周りも周りで、いきなり理由のわからないリーゼント男が先生になるなんて言われたら困惑しかないだろう。
「ちょっと待って...そういえばこの先生は誰なの?どうしてここにいるの?」
「キヴォトスではないところから来た方のようですが……先生だったのですね。」
「はい、こちらの如月弦太朗先生は、これからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です。」
「行方不明になったはずの連邦生徒会長が指名……?ますますこんがらがってきたじゃないの……」
青髪の少女は、すっかり毒気が抜けて、今では多すぎる情報と矛盾に頭を抱えていた。
(取り敢えず……)
皆からの注目と視線を一気に集めていた弦太朗は、口を開く。
「ううんと…とにかく、これからキバタスの先生?をすることになった、如月弦太朗だ!よろしくな!」
「こ、こんにちわ、先生。私はミレニアムサイエンススクールの…い、いや!挨拶なんて今はどうでもよくて…!」
「そのうるさい方は気にしなくていいです。それとキバタスではなくてキヴォトスですね。話を続けますと……」
いつまでも驚いてばかりの青髪の少女に嫌が差したのか、リンは少女の声を遮る。青髪の子は先程のように大きい声で怒鳴り上げ名を名乗る。
「私は早瀬ユウカ。覚えておいてくださいね、先生。」
青髪の少女、もとい『早瀬ユウカ』はそう名乗る。
それに続き、他の生徒も名乗っていく。
眼鏡の生徒は『火宮チナツ』、ゲヘナ学園という学校の生徒らしい。
黒い制服の羽が生えた生徒は『羽川ハスミ』、白髪の生徒は『守月スズミ』。トリニティ総合学園の生徒だそうだ。
弦太朗はニコッと笑うと、一番前にいたユウカに腕を差し出した。
「おう、よろしくな!今日からお前も、俺のダチだ!」
「ダ…ダチ!?そんないきなり……」
弦太朗の勢いに飲まれ、ユウカは勢いを失う。
リンは今がチャンスと話を戻す。
「……先生がここに来ることになった経緯は連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問として活動をしてもらうためです。」
「─────『連邦捜査部「シャーレ」。』
リンはそう言うと、シャーレについての説明を始めた。
彼女の話を簡潔に纏めると、シャーレとは単なる部活ではなく、一種の超法規的機関らしい。キヴォトスにある学校の生徒に対してほぼ何でもできる様なもので、これもまた、連邦生徒会長が弦太朗をこの役割に推薦したらしい。
「何故ここまでの権限を持つ機関を連邦生徒会長が作ったのかはわかりませんが、シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。今はほとんど何もない建物ですが、連邦生徒会長の命令で地下に『とある物』を持ち込んでいます。先生をそこにお連れしなければなりません。」
リンはそこまで言うと、携帯を取り出してどこかに電話を掛け始めた。
ピッと音が鳴ると、どこか眠気さとおちゃらけを感じさせる少女の声が携帯から響いた。
「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど……」
「シャーレの部室?ああ、外郭地区の?そこ今大騒ぎだけど?」
モモカと呼ばれた生徒は早々に不穏なことを言ってきた。
リンがピクリと反応する。
「大騒ぎ……?」
「矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ。」
「……うん?」
「ま、あんだけボコボコにして閉じ込めといて、連邦生徒会に恨みがないわけないよねー、ここぞって感じで大暴れして、シャーレの占領を目論んてるみたい。」
モモカの話を聞いていく内に、リンの顔はどんどん俯いていき、いずれ表情が全く見えなくなった。
リンからは威圧感が出ているようにも見え、弦太朗は愚か、先程リンに罵声のごとく質問を浴びせていたユウカたちですら、口を閉じて後ずさっている。
「まあでも、もうとっくにめちゃくちゃな場所なんだから別に対した事な……あっ先輩!!お昼ご飯のデリバリーが来たからまた連絡するね!」
「………」
「だ、大丈夫…か……?」
「………大丈夫です。少々問題が発生しましたが、大したことではありません。」
リンは震えた手で眼鏡の位置を戻すと、ゲッソリとした顔を露わにした。
リンは一度深呼吸すると、しばらく目を瞑った。どうやら頭の中で状況を整理しているようで、表情が細かくではあるが変わり続けている。
やがて、先程までのポーカーフェイスとなって目を開けると、ユウカたちをジーッと見つめた。
「な、何?どうして私たちを見つめてるの?」
「……ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので私は心強いです。」
「えっ……?」
「ギヴォトスの正常化のために、暇を持て余した皆さんの力が今切実に必要です。行きましょう。」
「ちょ、ちょっと待って!?どこに行くのよ!?」
リンはヘリのある屋上へと向かって行こうとする。
事情もよくわからないままこれ以上振り回されるなど、考えられないユウカたちは当然止めに入るが、リンは構わずにズカズカと歩んでいくから、着いていくしかない。
「じゃあ俺も……」
弦太朗も取り敢えずついて行くことにして、歩き出す。その時だった。
「すいませーん!」
「?」
連邦生徒会の一般生徒が部屋に入ってきた。その手には何かを持っている。
(!?そいつは……!)
そしてリンに近づき、その何かを差し出しながら言った。
「建物内にこんなものが……」
一般生徒が差し出した物は、レバーと複数のスイッチが付いている水色のバックルのような物だった。
「これは……一体何でしょうか……?」
「さ、さぁ……爆弾の類ではなさそうだけど……」
「ミレニアムの作品ではないのですか?」
「こんなもの作ってないわよ……エンジニア部辺りが作ってたところで、わざわざ持ってくるわけないし。」
リンたちは見たこともないそれに頭を傾げるが、弦太朗はそれに見覚えがあった。
「そ、それ……」
「……?」
忘れるはずもない。そのアイテムを使い、戦いに身を投じた日々を、その存在を……
「フォーゼドライバー!?」
弦太朗は驚きながらフォーゼドライバーを手に取る。
「フォーゼドライバー……?」
「弦太朗先生、それを知っているのですか?」
リンは質問を投げかけるが、弦太朗はあまりの驚きぶりに声が出ない。
「間違いねぇ……本物だ……」
「……まぁいいでしょう。詳しい話は事が終わってから聞くとしましょうか。」
なにか事情があるのだろうと解釈したリン。リンは、ヘリがある屋上まで歩いていった。ユウカたちもそれに続き、弦太朗も慌てて走っていった。
数十分後、ヘリはシャーレの建物付近に到着していた。モモカがここぞとばかりに大暴れしているというだけあり、そこは殴り合い……などというレベルでない。
なんと、生徒たちが銃を撃ち合い、遮蔽物に隠れ、爆弾を投げ合うなどという、軍隊の如き戦いをしているのだ。
驚くべきは、キヴォトスの生徒たちは銃弾をその身に受けたとて、ほとんどダメージを受けていないのだ。
世界が違えばといえど、ここまで違うことがあるのかと、開いた口が塞がらない。
「キヴォトス……半端ねぇ……」
「まったく!!なんで私たちが不良と戦わなきゃいけないの!!!」
「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すためには、あの部室の奪還が必要ですから。」
チナツはユウカを説得し、宥めるのだが、ユウカは納得がいかないようで、発砲音すらかき消すほどの大声を上げる。
「それはそうだけど!私、学校では生徒会に所属しててそれなりの扱いなんだけど!!こういう仕事はC&Cとかに……!」
と、油断しているユウカの腹に複数発の銃弾が命中。
「いっ、痛っ!!痛いってば!!あいつら違法JHP弾を使ってるじゃない!?」
「ユウカ!大丈夫か!?」
「まぁ、これくらいは大丈夫です。」
「す、すげぇな……」
思わず足が動いてしまい、銃弾の雨の中を走った弦太朗だが、あまりにケロッとしていたユウカに調子を崩され、後ろに下がる。
「伏せてください、ユウカ。それにホローポイント弾は違法指定されていません。」
「うちの学校ではこれから違法になるの!傷跡が残るでしょ!」
「……今は先生が一緒なので、その点に気を付けましょう。先生を守ることが最優先。あの建物の奪還はその次です。」
「ハスミさんの言う通りです。先生はギヴォトスではない所から来た方ですので、私たちとは違って弾丸一つでも生命の危機にさらされる可能性があります。改めて、その点ご注意を!」
「分かってるわ。先生は戦場に出ないでください!私たちが戦ってる間はこの安全な場所にいてくださいね!」
ユウカたちは軽く話し合うと、走り出した。そして圧倒的な力で不良生徒たちを次々と蹴散らしていく。
「す、すげぇ……流星よりも運動できんじゃねぇかあれ……?」
弦太朗は数十メートル飛び上がったり、上手く遮蔽物に隠れながら戦闘をする四人の姿に驚愕していた。
そして、どんどんシャーレの部室へと近づいていく。
「もう、シャーレの部室は目の前よ!」
勝利を目前に、ユウカがそう言った、その時だった。
突然目の前で大爆発が起こった。なんの前触れもない、いきなりの爆発に驚かされると同時に、素早く警戒態勢に入る一同。
「どういうことなの!?戦車も大砲も爆薬も、敵が所持してる爆発物は殆ど破壊したはずなのに……!?」
「!あれは……!?」
真っ先に異変に気付いたのはハスミだった。ユウカたちの目の前に、暗黒宇宙の様な闇が広がっているのだ。
「代行、あれは何なんですか!?」
チナツは通信でヘリコプターから支援やサポートをしているリンに問いただした。
「わ、分かりません……あんなもの……」
しかし、リンもその正体を知らなかった。ただ、一つだけ心当たりがあった。
噂や事件の中でも、一番信憑性が薄いとして、不良の悪質なイタズラだろうと特に問題視してこなかった話……………
「怪物の噂………」
(まさか……!?)
そんな中で、弦太朗だけはその正体に勘づきつつあった。忘れるはずもない。初めて見たあの時の衝撃が脳に蘇る。
そしてそれは、姿を現した。
赤い体色でがっしりとした体格。胸部から脚部にかけてオリオン座を思わせる青いコアがある怪物。ゾディアーツ。弦太朗が元いた世界で戦っていた敵だ。
前に佇むのは、弦太朗が最初に戦ったゾディアーツ……『オリオンゾディアーツ』だ。
(ゾディアーツ……!?なんでキヴォトスに……!?)
弦太朗は戦慄する。それはユウカたちも同じだった。
きぐるみやコスプレの類ではないことは先程の爆発が証明している。見たことがない異形の怪物を前に、ユウカたちと言えど、表情に曇りが見える。
「何なのあれ……!?」
「見たところ戦車よりは小柄ですが……」
「………閃光弾、投擲。」
スズミは様子見とでも言うようにオリオンに閃光弾を投げた。そして手榴弾はオリオンに命中して眩く光る。本当なら、これで目潰しや混乱を招くはず……
しかし、オリオンは無傷で歩いてくる。
「!?」
「なっ!?」
「全く効いていない……!?」
大型のオートマタすらも混乱させるスズミの手榴弾が効いておらず、ユウカたちは更に戦慄した。思わず後退り、追い詰められていく。
「フフフッ……ミレニアム、ゲヘナ、トリニティ……各学校の有名人が集まっているとは……破壊しがいがありそうですわねぇ。」
「……!」
オリオンのその声には、聞き覚えがあった。リンはハッとして口を開く。
「その声は……ワカモ!?」
「何?」
「ワカモ……って確か……」
「様々な問題を何度も起こし、矯正局に入れられていたはずですが……確かに脱走者の中に姿がないと思っていました。」
「………ということは、あの怪物はそのワカモということですか?」
「そんなバカな……一人の人間をあんな怪物にするなんて、遺伝子や細胞の組み換えでもしないと無理よ……。」
怪物の正体について、ユウカたちは話し合う。しかし、オリオンゾディアーツはそんな猶予を与えない。
「余所見をしている余裕はありませんよ?」
「!?」
オリオンはこの短い間で会話をしているユウカたちに接近していた。
そして大きな拳を振り下ろし、ユウカたちを殴り飛ばした。
「うわあぁぁぁっ!」
「皆さん!」
「くっ……」
「うぐっ……」
オリオンのパワーは凄まじく、銃弾や爆発を受けても耐えられるキヴォトス人に一発で大ダメージを与えてしまった。
「マズイわね……今のままじゃ勝算は薄いかも……」
「委員長がいてくれれば……!」
ユウカは息を切らしながらライフルを手に取り、オリオンに向けて発砲する。しかし、オリオンは全く気にしていない。
「くっ……化け物め……!」
「さてどうします?神様にお祈りでもいたしますか?まぁ、無駄なことですが。」
「ぐっ………!!」
オリオンゾディアーツがその大きな拳を振り上げ、生徒たちをぺしゃんこにしようと振り下ろす。異形の肉体と異常な力、更に変身しているのはワカモ……
スズミは最期を確信して目を瞑る。その時だった。
「うおおおおおおおおおおッ!」
「!?」
そこに突如、弦太朗が走り込み、オリオンゾディアーツに体当たりをかました。突然の不意打ちに、オリオンゾディアーツは仰け反る。
「せ…先生……?」
「危険です…!逃げてください……!!」
突然の弦太朗の介入に、ユウカたちは一瞬驚くが、すぐにハッとなり、弦太朗に安全圏に行くよう言う。だが、弦太朗の考えは違った。
「いや、逃げねぇ!」
「何を馬鹿なこと言って……命が惜しくないんですか!?」
「勿論命は大事だ!でもな……」
弦太朗は皆の制止を振り切り、フォーゼドライバーを取り出した。
「お前らの命だって、おんなじくらい大事なんだ!」
「!それは……」
「さっきの……」
「……うん?」
全員が見守る中、弦太朗はフォーゼドライバーを腰に装着した。
久しぶりの感覚、ドライバーを腰に巻き付けた時の、体の奥底から湧き出てくる高揚感に弦太朗は包まれていた。
そして、ドライバーに付いている4つのボタンを順番に押していく。
『3・2・1』
するとカウントダウンが鳴り、その後待機音が響く。
そして、弦太朗はレバーを掴み、高らかに叫んだ。
「変身!」
そう叫ぶと、弦太朗はレバーを引き、腕を天に突き上げた。そして、弦太朗をスモッグが包む。
「うわぁ!?」
「一体何が起こって………!?」
その光景に皆、困惑する。
そして、スモッグが晴れる。するとそこには、宇宙服の如きボディとロケットの様に尖った頭をした宇宙の超パワーを受けた戦士、『仮面ライダーフォーゼ』が立っていた。
「えっ!?」
「……!?」
「あれは……!?」
「姿が…変わった……!?」
「あらら……?」
フォーゼへと変身した弦太朗に、皆驚いていた。リンはヘリの中で言葉を失って画面に見入っている。
そんな中、フォーゼは両腕を天に突き上げ、空に、宇宙に向かって叫んだ。
「宇宙……キターッ!!!!」
「うわっ!?」
「う…宇宙……!?」
これは弦太朗が変身したときにいつもやるやつだ。これをすることにより、弦太朗の気合いが貯まるのである。
「なんで、こいつがあんのかも、ゾディアーツがいるのかも分かんねぇけど、あれこれ考えてる時間はねぇ!大事なのはダチだ!そんなわけで、仮面ライダーフォーゼ!久々の、タイマン張らせてもらうぜ!」
フォーゼはそう言うと、オリオンに突っ込んで行く。
「!無茶です!武装しているとはいえ、一人であれに挑むだなんて……」
ハスミはフォーゼを止めようと説得を試みるが、フォーゼは構わず走り続け、飛び上がってオリオンを殴りつけた。
「うっ!?」
すると、オリオンにダメージが入り、オリオンは仰け反った。
「!」
「攻撃が効いている……?」
「ほぉ……その姿は私のこれと同じような力を秘めているようですわね…なら、私も少々本気でいかせていただきますわ。」
オリオンはそう言いながら、息を整えて初めて構えを取った。
「ふふふっ……では、始めましょうか。」
オリオンはそう言うと、フォーゼに迫り、キヴォトス人に大ダメージを与えたあのパンチを繰り出した。
フォーゼはそれを真正面から受け止め、反撃とばかりにオリオンを蹴り飛ばした。
思わず地面に倒れそうになるほどに強力に一撃を受けて驚くオリオン。
そんな隙を与える暇もなく、フォーゼはオリオンに接近すると、ジャブ、ストレート、頭突き、蹴り……次々と攻撃をお見舞いしていった。
「す…すごい……」
「あの怪物を圧倒している……」
「なんだか戦い方はそこら辺の不良みたいですけどね……」
「………甘く見ないでもらいたいですね!」
オリオンを完璧に押していたフォーゼ。
だが、オリオンのスイッチャーのワカモは数々の戦闘をこなしてきた実力者。この程度で終わるはずがない。
オリオンがぼそっと言葉を放ったその時だった。フォーゼを謎の刃物が襲い、彼の身体は地面に叩きつけられる。
「痛ってぇ……あ?」
フォーゼはオリオンを見る。そのオリオンの手には、三八式歩兵銃と銃剣を組み合わせたワカモの武器、通称「真紅の厄災」が握られていた。
「!あれはワカモの武器……!」
「なら、やはり奴の正体は……!」
「うふふふっ……どうやらこの姿となり、この武器も強化されたようですわねぇ……!」
オリオンは紅く輝く真紅の厄災を撫でながらそう言い、銃口をフォーゼのデコに向け、発射した。
その攻撃力がかなり増強されていた。とても銃弾で受けるダメージだとは思えない。フォーゼは何もできずにダメージを受け続ける。
そしてオリオンは隙を突いてフォーゼに接近すると、パンチをお見舞いした。フォーゼは地面を抉りながら吹っ飛んで崩れたビルに激突する。
「先生!」
「マズい!」
一気に形勢が逆転され、ユウカたちの表情が曇る。
「あの力は危険です!皆さん、ヘリを手配するので体制を整えましょう!」
今までずっとフォーゼとオリオンの戦闘に見入ってきたリンはハッとなり、ヘリの梯子を降ろし始めた。
だが、フォーゼはまだ諦めていない。立ち上がって歩いてきた。
「待てよ……まだテンカウントは聞いてないぜ!」
「先生、倒れてからとっくに10秒は経ってますよ?」
「余計なツッコミを入れるな、チナツ。青春のカウントは、俺が負けたと思わない限り、いつになってもエイト、ナインあたりを繰り返してるんだよ。」
フォーゼは高校生の頃、友人に向けて放った言葉を言いながら、再び構えを取った。
その姿からもう分かる。彼の闘志は1ミリたりとも消えていない。
「!まさかまだ戦う気ですか!?」
「無茶です!相手はあの厄災の狐ですよ!!」
やる気に満ちた目で敵を睨むフォーゼをチナツが必死に説得を試みるが、フォーゼは聞く耳を持っていない。
いや、持っていたとしても、フォーゼは耳を貸してはいないだろう。自己満足であっても、我儘であっても、彼は生徒を守るという気持ちがあるのだから。
「そっちがピストル使うなら、こっちはこれだ!」
フォーゼはそう言うと、ドライバーの右端に装填されているオレンジ色のスイッチを押した。
『ロケットオン』
すると、ドライバーから音声が響き、フォーゼの右腕にオレンジ色の小型ロケットが装着された。
「!?」
「ロケット!?」
そう。これこそがフォーゼの真骨頂。フォーゼはドライバーに装填されているアストロスイッチを押すことによって、そのアストロスイッチに込められているモジュールの力を使うことができるのだ。
「へぇ…ならそれで何が変わったか、見せてもらうとしましょうかッ!」
オリオンはそう言いながら、真紅の厄災を連射する。
「行くぜえぇぇぇぇっ!」
対するフォーゼはロケットを噴射させ、銃弾を全て弾きながらオリオンに接近する。
「!?」
「ライダーロケットパーンチッ!」
「うっ!?」
フォーゼはロケットでオリオンを殴り、オリオンは吹っ飛んで壁に激突する。
「次はこいつだ!」
フォーゼはロケットスイッチを切ると、次にレーダースイッチとランチャースイッチを起動した。
「喰らいやがれ!」
フォーゼはレーダーで照準を定め、ランチャーミサイルを発射した。オリオンゾディアーツはそれをまともに受け、打ち上がる。
「どんどん行くぜ!」
続いてフォーゼはロケットスイッチとレーダースイッチを引き抜き、代わりにクローとシールドのスイッチを装填し、起動する。
『クローオン』
『シールドオン』
「すごい…スイッチで手足が変わるんだ……」
そして背中のジェットを噴射させ、起き上がったオリオンに突っ込んで行く。
「!」
オリオンは銃剣部分で反撃を試みるが、フォーゼはそれをシールドで防ぎ、逆にクローモジュールの鋭い爪の攻撃を連続で喰らわせる。
「まだまだ……!」
オリオンはこのまま負けるかと、クローを真紅の厄災で受け止め、鍔迫り合いに持ち込む。
『チェンソーオン』
「!?」
「オラァッ!」
しかし、フォーゼはランチャースイッチから変えていたチェーンソースイッチを起動。右足のチェーンソーでオリオンを攻撃し、更に頭突きで吹っ飛ばした。
「す…すごい……」
「あのドライバーにあそこまでの力があったなんて……」
「トドメだ!」
フォーゼは全スイッチをオフにし、クロースイッチを外してロケットスイッチを装填した。
そして、ロケットスイッチとドリルスイッチを起動した。
『ロケットオン』
『ドリルオン』
フォーゼの右腕にロケット、左足にドリルが装着され、フォーゼはドライバーのレバーを引く。
『ロケット・ドリル リミットブレイク!』
音声が響くと同時に、フォーゼはロケットを噴射させて飛び上がった。
そしてロケットの噴射で勢いをつけ、ドリルの左足を突き出してオリオンに突っ込んで行く。
「ライダーロケットドリルキーック!」
「!」
オリオンは全身から光弾を放ち、更に真紅の厄災から銃弾を放ってフォーゼを撃ち落とそうとするが、フォーゼはそれをすべて弾く。
そしてフォーゼの必殺技、ライダーロケットドリルキックがオリオンを撃ち抜いた。
地面を一瞬で抉り、障害物さえも一瞬で破壊する威力。オリオンといえど耐えきれずに爆発四散した。
「よぉーしっ!さてと…」
勝利を納めたフォーゼはゾディアーツに変身したスイッチャーを捕まえようとする。
「あれ?」
しかし、そこにスイッチャーはいなかった。
「スイッチャーがいねぇ…もしかしてもうラストワンだったのか……?」
フォーゼは首を傾げながら、変身を解いた。
(まぁ、いっか…それより……)
何か引っかかるところはあるが、弦太朗はユウカたちの無事を確認すべく、走っていった。
あのオリオンゾディアーツが最後の敵だったのか、暴れていた不良生徒たちは一人もいなくなっていた。
「お前ら、大丈夫か?」
「あっ、はい!」
「助けていただきありがとうございました。」
「先生がいなければ今頃どうなっていたか……」
「気にすんなって!俺は先生だからな。先生は青春の守り神!みんなを守るのは当然のことだぜ!。」
「なんというか、眩しいくらい良い人ですね……最初はなんか呑気そうでどうしよって思ったけど……」
弦太朗とユウカたちが話し終わった頃、リンがこちらに歩いて来た。
流石のリンといえど、あそこまでの戦いを見た今、ポーカーフェイスも崩れている。
「先生、先ほどの怪物とそのベルトと先生のあの姿……説明を願えますか?」
リンの鋭い質問とともに、先程までの賛辞は止まり、訝しげな視線が弦太朗に集まる。弦太朗は「えっ……」と慣れない説明に戸惑いながら話し始めた。
「まずゾディアーツってのは、えーっと…コズミックエナジーが……」
「コズミックエナジー?」
「あぁそっからか……」
「コズミックエナジーってのは…まぁ、あれだ。宇宙の超パワー的なやつだ!」
「宇宙の超パワー……」
「なんかすごい曖昧ですね……」
「それでなんかこう……悪いコズミックエナジーが入ってるスイッチを押してなるのがあのゾディアーツだ。」
あまり詳しく説明したことのないフォーゼやゾディアーツについての説明を聞かれ、弦太朗は頭を抱えながら説明する。
拙い説明だが、言いたいことは分かるということは実にむず痒い。
「そんでこのフォーゼドライバーを使ってさっきの仮面ライダーフォーゼってのに変身するんだ。俺が元いたとこでこいつを使ってあのゾディアーツと戦ってさ、もう全滅させたし、ドライバーも捨てたはずなんだけど……」
ゾディアーツという新たな脅威の出現……積み重なる問題が更に増え、リンは更に嫌な顔をする。
「ともかく……ゾディアーツとやらの発生源はもちろんのこと、ドライバーの存在は先生にとっても予想外だったようですし、その辺りの調査をしなければいけませんね。色々と疑問は残りますが、今はシャーレに移動しましょうか。」
リンとしては今起きた異常事態について調べるのも重要だがそれよりもまずシャーレ部室が無事であることを確認することの方が重要のようだ。
「分かった。じゃ、案内頼む。」
「ここがシャーレか……」
ここはシャーレの地下。近未来的な設備があるが、今は壊れてしまったとはいえ、月にあるラビットハッチの環境に慣れていた弦太朗にとっては特別驚くものはなかった。
強いて言うなら、クラフトチェンバーと書かれた機械は気になったが……
そして、その部屋の一角で、誰かがもたれかかっていた。
「はぁ…はぁ……どうにか逃げ切れましたが……スイッチは壊れてしまいましたね……それに、これが一体なんなのか……まったく分かりませんね。これでは壊そうにも……」
「?」
「えっと……」
「……!!」
目が合った瞬間、狐の仮面越しに感じ取れる殺意に心臓がドキッとなる弦太朗。
変身も間に合いそうにない……が、少女の様子がおかしい。
「あら、あららら……」
「え……あ、あの……?」
「あ、ああ……///」
「し、失礼いたしましたー!!」
「何だったんだ…?」
なぜか狐の仮面の少女は走り去ってしまい、呆然とする弦太朗。そんな彼の前に、入れ替わるようにしてリンが現れた。
呆然とする弦太朗の表情に気づく弦太朗。
「お待たせしました。……うん?なにかありましたか?」
「えっ?あっ、いや!大丈夫大丈夫!」
「……そうですか。」
と、軽く確認だけ取ると、リンはタブレット端末を取り出した。
一見普通のタブレット端末だが、何故だろう。妙に懐かしく、大切なもののような感覚が弦太朗に走る。
「ここに、連邦生徒会長が残した物が保管されています。幸い、傷一つなく無事ですね。」
「こいつは……?」
「……これが、連邦生徒会長が先生に残した物。「シッテムの箱」です。」
「連邦生徒会長はこのシッテムの箱は先生の物で、先生がこれでタワーの制御権利を回復させられるはずだと言っていました。」
シッテムの箱という名前が弦太朗の耳に届くと、先程の感覚が更に加速する。
ともかく、一刻も早くシッテムの箱を起動させなければならないと、彼は衝動にも近い感情に駆られる。
「……私たちでは起動すら出来なかった物ですが、先生ならこれを起動させられるのでしょうか?それとも……」
「……私はここまでです。ここから先は先生にかかっています。私は邪魔にならないよう、離れていますので。」
と、リンはタブレットを渡し、弦太朗から距離を取った。
弦太朗は数秒の間、神妙な顔つきでシッテムの箱を見つめると、深呼吸をしてシッテムの箱の起動スイッチに手を伸ばす。
『シッテムの箱を起動させる・・・』
こっから頑張ってきます!
後々強化フォームを出したり、オリジナルフォームやオリジナル能力の登場も視野に入れてますのでお願いします…!!