コズミックアーカイブ(仮面ライダーフォーゼ×ブルーアーカイブ)   作:炙り中トロ

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1話でかなりハッスルした分、今回はかなり短めですが許してください!
責任は万丈とアルが取るので!!



第2話 如・月・赴・任

『Connection to the Crate of Shittim…』

『システムパスワードを入力してください』

 

シッテムの箱を起動して、最初に出てきたのがこの文章だった。 

 

「パ…パスワードぉ……?」 

 

勿論弦太朗はパスワードなんて知るはずがない。

──────はずだった。

 

「……!」

 

弦太朗の頭の中に、何故かある文字列が浮かび上がった。記憶にはないが、弦太朗はほぼ無意識にそれを入力した。

 

『・・・・・我々は望む、七つの嘆きを。

・・・我々は覚えている。ジェリコの古則を。』

『持続パスワード 承認』

『現在の接続者情報は如月弦太朗。確認できました。』

『「シッテムの箱」へようこそ、如月弦太朗先生』

『生体承認及び証明書作成のため、メインオペレートシステムA.R.O.N.Aに変換します。』

 

その文字列が映し出された最後、弦太朗の視界が白い光に染まった。

 

 

 

 

 

光が晴れ、弦太朗が目を開けると、目の前は見たこともない無い教室になっていた。後ろの壁はなぜか壊れていて、向こうには青い空と海がどこまでも広がっていた。

そして、きれいに並べられた机の中の一つで、水色髪の一人の女の子が机にうつ伏せになって居眠りしていた。

 

「くうぅぅぅ…Zzzz……カステラにはいちごミルクよりバナナミルクのほうが……」

 

女の子は食べ物の寝言を呟いている。カステラ+いちごミルクorバナナミルクとはまた珍妙な組み合わせではあるが……

それはさておき、弦太朗は悪いなと思いつつも、女の子を揺さぶって起こすことにした。 

 

「お、おーい……」

「うへ……」

「起きろー?」

「うへ……ひへ!?」

 

弦太朗の揺さぶりに反応したのか、女の子はぼんやりと目を開け、身をこすりながら立ち上がった。

 

「んにゃ…もう……ありゃ?」 

「ありゃ、ありゃりゃ?」

「え?あれ?あれれ?」

 

最初の方こそ寝ぼけていた女の子だったが、次第に驚きの表情が浮かび始めた。 

 

バッと顔を上げると、「ん!?ん!?」とキョロキョロと周りを見る。やがて、弦太朗と目が合うのだが……

 

「せ、先生!?」

「この空間に入ってきたってことは、ま、ま、まさか弦太朗先生!?」

「お?おう!俺はキヴォトスの奴全員と友達になる男、如月弦太朗だ!」 

 

弦太朗は相変わらずの勢いで自己紹介する。対して、目の前の少女はどこか焦り気味だ。その証拠に目が泳いでいる。

 

「う、うわああ!?そ、そうですね!?もうこんな時間!?」

「うわああ?お、落ち着いて…」 

 

女の子は一旦落ち着き、深く深呼吸した。そして弦太朗に向かい合う。

 

「えっと…その………あっ、まずは自己紹介から!」

「私の名前はアロナ!」

 

水色の髪の少女は、アロナと名乗った。よく見たら、頭上にはあの輪っかがある。

 

「このシッテムの箱に常駐しているシステム管理者であり、メインOS、そしてこれから先生をアシストする秘書……みたいなものです!」

 

アロナはニコニコしながら話を続ける。その顔はかなり嬉しそうだ。

まるで、ずっと待っていた待ち人が来たかのようだ。

 

「やっと会うことができました!私はここで先生をずっと、ずーっと待っていました!」

「うーんと、寝てたんじゃないのか?」

 

弦太朗の言葉が、アロナの胸に突き刺さる。

 

「あ、あうう…たまに居眠りしてたこともあるけど……」

 

しどろもどろに口をパクパクさせるアロナ。普段ならフォローに入る弦太朗だが、今はいかんせん疑問なのだ。さっきの「ずっと待っていた」という発言に加え、アロナが自分のことを知っていたこと……そして、ことあるごとに発生する謎の感情……なにか関係があるのか…と、考えを張り巡らせてみる弦太朗。だったが、不思議そうにこちらを見てくるアロナが目に入り、ひとまず話を進めてみることにする。

 

「まぁいいや。よろしくな!今日からお前も、俺のダチだ!」

「はい!よろしくお願いします!まだ身体のバージョンが低い状態でして、特に声帯周りの調整が必要なのですが……それでも、これから先、頑張って色々な面で先生のことをサポートしていきますね!」

「あ、そうだ!」 

 

そこまで言うと、アロナは思い出した様に手を叩く。

 

「ではまず、形式的ではありますが、生体認証を行います♪」

 

アロナはそう言うと、弦太朗の方に近づき、人差し指を出してきた。その指から画面のようなものが展開される。

 

「さぁ、この私の指に、先生の指を当ててください。」

「……へっ?」

「うう…少し恥ずかしいですが、手続きだから仕方ないんです。」

「お、おう。」

 

弦太朗はアロナの指に指を当てた。すると、きれいな画面のようなものに、何かしらのデータが展開された。

 

「実はこれで生体認証するんです。画面に残った指紋を目視で確認するのですが、すぐに終わります。こう見えて目は良いので。」

 

アロナにそう言われ、弦太朗は指を離す。そしてアロナは指紋の確認に入った。 

 

「どれどれ……」

「……」

「だ…大丈夫か……?」

(うーん…よく見えないかも……)

(まぁ、これでいいですかね?)

「ア…アロナさ〜ん……?」

「……はい!認証終わりました!」

 

アロナは本当はよくわかってないが、そういう報告をした。よくわかっていないが。

 

「お、おう!サンキュー!」

そして、それに気付かない鈍感な弦太朗なのであった。

 

 

 

 

数分後、アロナと弦太朗は二つの席をくっつけ、面談のような形式で向かい合っていた。

 

「……なるほど。先生の事情は大体把握しました」

 

今行っているのは、現状の把握と、その対応である。

 

「連邦生徒会長が行方不明。それに伴って、サンクトゥムタワーを制御する手段がなくなった……」

「アロナは連邦生徒会長って誰か知ってんのか?」

「私にはキヴォトスの多くの事がインプットされていますが、連邦生徒会長に関する記録はあまり……。彼女が何者で、何故いなくなったのか、動機も経緯もわかりません。お役に立てず、すみません……」

 

キヴォトスにおけるアカシックレコードとも言えるシッテムの箱の管理者であるアロナですら知らない存在……ますます謎は深まるばかりだが、弦太朗は後で考えることにした。

 

「気にすんなって。それで、サンクトゥムタワーの方はどうだ?なんとかできそうか?」

「あ、はい!そちらは大丈夫です!シャーレからならサンクトゥムタワーの制御権の奪取くらいちょちょいのちょいです!」

 

と言ってアロナは立ち上がった。その時、彼女の雰囲気が少し変わった。

今までの、のんびりな様子とはうって変わり、真面目な顔つきになり、先程のデータを展開させる。

それを感じさせるかのように、周辺の雰囲気も変わっている。風が吹き、アロナからオーラが溢れ出る。

 

『───サンクトゥムタワーのadmin権限を取得完了』

「先生。サンクトゥムタワーの制御権を無事に回収出来ました。今サンクトゥムタワーは、私の制御下にあります。ふふーん♪今のキヴォトスは先生の支配下にあるも同然ですよ!」

 

が、それも一瞬だった。オーラはすぐに収まり、アロナはこっちを見て、また人懐っこい笑顔で弦太朗の前に座る。

 

「マジか!?もう終わったのか!?すげぇな!」

「ありがとうございます、先生!では先生、サンクトゥムタワーは連邦生徒会に制御権を移管しますね!」

「おう。」

「わかりました。では、あとはアロナに任せてください!」

「サンキュー!」

 

後はアロナがやってくれるなら、もう戻っても良さそうだ。まだリンに聞きたいこともある。弦太朗はここから戻ろうと、あちこち動き回る……が、肝心の戻り方がわからない。

 

「やっべぇ……どうしよ……」

 

困っている弦太朗に、後ろからアロナが話しかける。

 

「……完了しました!じゃあ、先生!また会いましょうね!次は、もっと色々なお話がしたいです!!」

 

アロナのその声と共に、視界が再び白く染まる。

 

「あ、次は戻り方も教えますねー!」

 

気づくと、弦太朗はシャーレの地下室に立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

先程の教室には身体ごと飛んだのか、それとも精神だけ飛ばされたのかはパッと見ただけでは分からないが、リンが評定を変えずにこちらを見ている辺り、おそらく精神だけがあの部屋につながっていたのだろう。

 

「先生。サンクトゥムタワーの制御権の確保を確認できました。これからは連邦生徒会長がいた頃と同じように、行政管理を進められます」

「お疲れ様でした、先生。キヴォトスの混乱を防いでくれたことに、連邦生徒会を代表して、深く感謝いたします」

「おうよ。役に立てたなら良かった。」

「ここを攻撃した生徒たちの追跡や処分もあらかた片付いたとの連絡も受けましたので、最後の項目に移ります。」

 

そこまで言うと、リンは「着いてきてください」と弦太朗に促す。

やはりよく分からないが、ひとまず弦太朗はあとに続いた。

 

 

 

 

 

コツコツと、地下から階段を登る音だけが響いている。

 

「なぁ、これってどこに向かってんだ?」

 

黙々と進んでいくリンに、弦太朗は問いかけてみる。

 

「これから行うのは『シャーレ』の案内です。具体的には、仕事をするオフィスや寝床、キッチン、教室や入浴設備にトレーニングルームにシアタールームなど。」

「あぁ、そういや、たしかに。ここのことは色々覚えとかなきゃな。」

「ってかシャーレすげぇな!?」

 

オフィスやお風呂はいいとして、トレーニングルームにシアタールーム、その他にも色んなものが完備されているとは……

タワーマンション並みの設備の充実さに目が飛び出そうになる弦太朗なのであった。

 

「なぁ、リンちゃん。」

「…なんですか?それとリンちゃん呼びはやめてください。」

 

そんな中、持ち直した弦太朗はリンに質問をする。

それは、ずっと気になっていたこと……

 

「見た感じだと、キヴォトスのみんなって頭に輪っかみたいなのがあるけど……これってなんなんだ?」

「あぁ、頭にあるこれは、ヘイローと呼ばれるものです。」

「ヘイロー?」

 

聞いたことがない単語を聞き、弦太朗は首を傾げる。

 

「このヘイローは私たちの生命の源。これが破壊されるということ……それは死を意味します。」

「!?」

 

あまりに重いその返事に、弦太朗は思わずたじろぐ。

つまりそれは、もしゾディアーツと戦う中で、拳や蹴りがヘイローに命中してしまえば、それは生徒や住民の命を奪ってしまうということ……

具体的な強度までは分からないが、心臓ともいる部分が頭の上にあるというのは、なんとも恐ろしいものだ。

そんな弦太朗のムードを感じ取ったのか、リンはフォローに入る。

 

「……ですがご安心ください。ヘイローには物理的な干渉は不可能ですし、銃撃程度なら我々は死なないので、ヘイローが破壊される、なんてことはないと言っていいでしょう。」

「…そっか。わりぃ。気を遣わせちまって。」

「別に、そんなつもりはありませんよ。」

 

そうして、シャーレの設備やキヴォトスについての説明を受けながら、進んで行く二人。そしていよいよ、最後の部屋の前についた。

 

「ここが、シャーレのメインロビーです。長い間空っぽでしたけど、ようやく主人を迎えることになりましたね。」

 

リンはそう言って、扉を開けた。部屋は簡易的な職員室の様だった。パソコンや本棚や物置に加え、エアコンや冷蔵庫も完備している。

少し埃が目立ったり、段ボールや何かしらの荷物が積み重なったりしているが、掃除さえすれば快適に使えそうだ。

 

「ここが、連邦捜査部『シャーレ』の部室。先生の仕事場です。」

「んと、それで俺はここで何をすりゃいい?」

 

と、仕事の内容について問う弦太朗。

 

「そうですね、シャーレは権限はありますが、目標の無い組織なので、何かをやらなきゃならない……という強制力はありません。各学園への自治区の出入り、あらゆる生徒のシャーレへの加入……何でも可能です。」

 

弦太朗は目を丸くして驚く。リンの言葉通りなら、自分はこのキヴォトスの支配者も同然である。ましてや、手元にはシッテムの箱……

もし自分ではなく、悪人が先生に選ばれていたらどうなっていたか……

これも全て、連邦生徒会長が設立したものらしいが……

 

「……本人に聞こうにも、連邦生徒会長は行方不明のまま。彼女の捜索に力を注ぎすぎるあまり、その他の対応はかなり遅れてしまっています。」

「それによって連邦生徒会に送られているあらゆる苦情……支援物資の要請、環境改善、落第生への特別授業、部の支援要請などなど……。時間が有り余っているシャーレであれば、この面倒な問題を解決出来るかもしれませんね。」

「ん?今、面倒って……」

「……その辺りに関する書類は、あちらにまとめておきましたので、気が向いたらお読みください。」

 

食い気味に言葉を被せるリン。まぁ、大人びているが高校生ではあるし、面倒だと思うのもまた青春である、と飲み込んだ弦太朗はリンの言う「あちら」を見るのだが……

 

「……多くね?」

 

そこにはとてつもない量の書類が置いてあった。夏休みの宿題だとか生半可な量ではない。天高の教員がやる一年分くらいの量の仕事がそこにあった。しかも、リンの口ぶりから察するにまだまだ量は増えていくという……

 

「……まぁ、全ては、先生の自由ですので。ただ、先生ほどのお方であれば、対応してくれると信じています。」

「ちょっ、あの……」

 

弦太朗はどうにか引き留めようとするが、リンは聞く耳を持たない。

そのままズカズカと出口に進んでいく。常人であればこの時点で発狂して辞任を選ぶだろうが、生徒想いの弦太朗にそんな見捨てるような真似はできない。そこを突いたリンにあっさりやられてしまった弦太朗なのだった。

 

 

 

 

 

 

 

外に出てみると、ユウカ、ハスミ、チナツ、スズミが今回の件の顛末について話していた。

 

「ええ、サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会が取り戻した事を確認したわ。」

「ワカモは自治区に逃げたそうです。恐らく百鬼夜行の方で捕まるとは思いますが……。」

「今後、厄災の狐にはお互い注意していきましょう。なにせ、SRTですら相当手こずった手練れですし……」

「万一私たちの自治区に現れたら、その時は細心の注意を払いましょう。」

 

そんな四人に近づく弦太朗。真っ先に視線に気づいたユウカが弦太朗のところまで駆け寄ってくる。

戦っていた時の軍人のような面持ちとは違い、初めて見るユウカやみんなの笑顔。これだけで、先生という役目を受けたことが嬉しく感じられる。

 

「先生、お疲れ様でした。先生の活動はキヴォトス全域に広がるでしょう。すぐにSNSで話題になるかもしれませんね?」

「今日はこれでお別れですが、近いうちにぜひ。トリニティ総合学園に立ち寄ってください、先生。」

「トリニティはいつでも、先生を歓迎します。」

「私も、風紀委員長に今日のことを報告しに戻ります。ゲヘナ学園にいらっしゃったときは、ぜひ訪ねてください。」

「ミレニアムサイエンススクールに来てくだされば、またお会いできるかも?先生、ではまた!」

 

ユウカたちは弦太朗に手を振り、それぞれの帰路につく。弦太朗もまた、シャーレのオフィスに戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

シャーレのオフィスの椅子に座って、弦太朗は窓の外を見る。外には、無数の星々と一つしかない月が輝いていた。

自分が高校生の頃は、あの月の上で大切な友達と過ごしたものだ、と思い出すと、天高が懐かしく、そして愛おしく感じられる。向こうにも、自分の教え子はいるのだから。 

 

(みんな、絶対戻るからな。でも、ここの問題も終わらせる。)

 

弦太朗は、心の中でそう決意した。

 

 

 

 

 

 

翌日……

昨日、リンが指した大量の書類が弦太朗の前にこれでもかと言うほどに積まれている。

気が狂いそうな量ではあるが、生徒のためを想えばどうということはない。

 

『先生!これからキヴォトスを、シャーレをお願いしますね!』

「任せろ!みんなの悩みを片付けて、そんでダチになる!」

 

シャーレの先生として赴任した仮面ライダーフォーゼこと、如月弦太朗。

これから先、キヴォトスの生徒たちが直面している、単純に見えても決して簡単ではない問題と向き合っていくことになる。

その先の先の先の先の果てにあるものはなんなのか、今は誰にも分からない。

だが、進んでいけば、それも見えてくるはず。

 

「よし!始めるぜ!」

 

今ここに、新たな青春の物語の幕が開いた。




チュートリアル的な導入も終わって次回からいよいよ対策委員会編……の前に、ユウカ、ハスミ、スズミ、チナツとの絡みを少しだけ書いてから対策委員会編に移るのでよろしくお願いしますm(_ _)m
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