絶望ちゃんの理解度ちょっと低めです。
職員の住んでる部屋はこの会社内にあると思ってます。
18日目。
朝、なにかいい匂いを感じいつもより早くに目が覚めた。
昨日の残業祭りがあったのに珍しいと思ったが、目の前にいるヤツを見て理解した。
「···殺されたいのか?」
「朝から物騒だね、君のそういうところは直した方がいいと思うよ」
ケセドみたくコーヒー片手に俺が寝てる前に座ってやがった。
──普通にコイツ何しに来たんだ?というか、この部屋セキュリティガバガバすぎだろ。
「──で、お前は何しに来たんだ?アンジェラさんみたいに無言で去っていくのはやめてくれよ」
そう言うと、管理人の顔がなぜか納得したように見えた。
···アンジェラさんのことについてかよ。お前にできることは······結構あるな。お前が過去の記憶を取り戻し、アンジェラさんに「好き」と伝えたらハッピーエンドになるんじゃねぇのか。
まあ、そんな風にならないから、これほどのループを重ねてるんだけどな。
「そのアンジェラが昨日の業務終了後からずっとおかしいんだ。何か知らないかと聞きにきたけど、どうやら正解だったみたいだ」
「ああ、多分正解だな。昨日ちょっと話した、というより煽った」
会話はしてないし、おそらく煽るっていうのが表現として正しいだろう。
···こう管理人のまぬけな顔見るのも面白いな。
「煽った?···完璧なるAIの彼女を?──君やっぱり何者なんだ?」
「はっ、お前が求めてる答えは絶対出てこないから諦めろ。俺はただの一般職員だ。管理人が初心者すぎるから、色々やってるだけだ」
「···いつか君のこと話してくれない?」
「ああ、そのときになったら話すさ。それまでお前が生きてたらの話だけどな」
「?···君じゃなくて僕がか?──そのときは君に時間戻してもらっても?」
「だからそんな権限は待ち合わせてる訳ねぇって何回言えば分かるんだ?」
「じゃあ死なないようにしないとね。これからもよろしく頼むよ」
そう言って柔らかく笑った。
口調も表情も柔らかい。
このときだけは管理人としてのコイツより、
「──お前、そういう感じでアンジェラと話しといてくれ」
「君らに指示出してるとき以外はいつもこんな感じだよ。指示のときはさすがに口調変えないとだしね」
「あーそういう感じか」
「うん。そろそろコーヒーでも飲む?」
「···ああ」
なんで鍵かけてたのに入ってきたのか、アンジェラとの関係はどんな感じなのか、
そういうのは聞いても無駄だと思い、全てシャットダウンしコーヒーをもらった。
コイツのコーヒーうめぇな。
にしても、初長時間労働の翌朝でこんな元気なのは流石に気になった。
「お前長時間労働初めてだったのに、よくそんな元気そうに動けてるな」
「終わった後、君らみたいにメインルーム行って回復してたからね。疲れはないよ」
「不健全な回復の仕方だな」
精神面、肉体面含め大丈夫そうで少し驚いた。
これだけのループを繰り返して摩耗しないのだから、確かに頑丈か。
────────
「──まあ今日も1日死なないようにがんばってくれ。昨日よりかは短いと思うが、今までの3倍以上は働くことになる。が、みんなも感じてるはずだ。自身の能力が上がっていることに。···作業すればするほど生き残れる確率が上がる、だから死ぬほど働くぞ」
「「「「「はい!」」」」」
「各々担当部門に行ってくれ。あー、メアリーとクリスはちょっと残れ、引き継ぎするし」
「その目にくっついてるギフトのヤツ?」
「ああ。このアブノマ精神攻撃だからほんとに気を抜くなよ。お前らの自制と慎重なら大丈夫だとは思うが、気を抜くなよ」
「分かりました」「分かった」
「お前ら交互に作業しろよ。多分精神の8割弱は削られるだろうしな」
「「は?」」
職員に大体の指示を出しきった。
あとは、今日のアブノーマリティが俺が対応可能かつ、管理人の指示が合っていたら満点だ。
「レイ、O-01-73と会話してきてくれ」
さあ、今日のアブノマはなんだ?
──────────
「レイ、O-01-73と会話してきてくれ」
彼に新規アブノーマリティの指示を出し、1日の業務が始まる。
昨日嫌というほど見たモニターの前にも座り、蒼星とO-01-73を注視しなければならない。
けど、隣に立っている彼女の様子が少し変で気になってしまう。
「──アンジェラ?」
「なんでしょう」
「昨日レイに煽られたんだってね、どういう話したの?」
そう言うと、アンジェラの顔が分かりやすいほど歪んだ。
···これほど感情が感じられる彼女は初めてで人間らしさを感じた。
冷たい氷に一滴のお湯が落ちたような、そんな感じがした。
「···管理人に話す意味はありません」
少し目を開き、いつも通りの冷たい声で遮断してきた。
まあ確かに僕相手に言う必要はないよね。
君から聞きたいけど、後でレイから聞けばいいだけの話だし今はいいか。
なにより彼女の感情が見られた。それだけで僕は満足だ。
「そうなんだ。聞きたかったけど、別にいいや。君の感情の起伏が見られただけで僕は満足だよ」
自然と笑みがこぼれた。
昨日しっかり回復したのと朝の彼との会話が楽しかったのも相まって、今は身も心も充実してる。
だから今日は自分でも不思議なほど気分が良い。
そんな僕が変だったのか、アンジェラは呆然とした顔をしていた。
「···アンジェラ?」
「──ア ···いえ、なんでもありません。貴方の体調が優れているようで安心です」
「なんt···いや、うん。僕も君のそういうところが見られて安心したよ」
始めの消え入るような言葉は聞き取れなかった。
聞こうと思ったが、彼女の懐かしいものを見るような、どこか寂しいことを思い出しているような顔を見て止まった。
それを聞くには、多分今の僕にその権利も資格も
いつか、君らのこと教えてもらえる日が来ることを切に願っているよ。
────────
新規アブノマの管理室に着き、ドアの前に立つ。
この瞬間が1番嫌いだが、心のどこかに期待している自分もいる。
──有能なアブノマ来いっ!害悪は死んどけっ!
そう強く願いを込め、扉を開けるとそこには人類の味方筆頭が立っていた。
青い髪に白いティアラを着け、銀河のようなドレスを身に纏った女性。
特徴的なのは、頬についている黒い涙のような紋様だろう。
「────ガチか。アイツどういう運してんだ?」
O-01-73 絶望の騎士。
脱走しない•E.G.O装備優秀•祝福(ガチ)を任意の職員につけられる•可愛いと、
それ以外にも色々あるが、あんなクソみたいなアブノマの中で最も敵にならないだろうアブノマだ。
WAWの皮を被ったZAYINや人類の味方筆頭と呼ばれるほど、管理人たちから愛されている。
「···言葉は話せるのか?」
首を横に振った。
──意思の疎通はできるが、話せないタイプだったよな。コイツ相手の愛着って何すればいいんだ?
迷っていると、絶望の騎士がなぜかあたふたしていた。
···困ってると思ったのか?それにしても面白いな、コイツ。
「っ···ははっ···!そんなに動揺しなくてもいい。心配かけたんならごめん。けど、別に困ってたとかではないし、安心してくれ」
そう言うと、表情や身振り手振りが戻り見慣れている真顔になった。
その真顔を見て俺も冷静になり、一つ重要なことを思い出した。
──加護受けたら管理できねぇじゃん。
死んだ蝶の葬儀のギフト貰ってないからそれ貰わないとだし、長時間労働して能力を上げなければならない。
コイツは作業が良ければ、管理をできなくしてしまう祝福を与える。
そのため、作業好感度を下げる必要がある。
···こういう質問が1番機嫌を損ねず、下げられるか?
「その涙はなんのために流してるんだ?見たところ騎士みたいだから、守れなかった民衆や仲間のために流してるのか?」
一瞬の迷いの後、首が横に振られた。
ああそうか──確か、コイツは他者を助けることによって自分が正義だったときを取り戻したいって思ってたよな。
「お前がアブノーマリティになったのは、過去の後悔からか?」
少し間が空いてから首が縦に振られた。
この感じ後悔···だけじゃなさそうだが、まあなんでもいい。
そろそろ作業が終わるはずだ。
アブノマ相手にアブノマになった原因を問うヤツが作業が良いはずがない。
そのはずだ。
だから···そんなはずはねぇだろ。
作業が終わった音を聞いて出ようとしたとき、絶望の騎士が歩み寄ってきた。
コイツは作業が良かった職員に対し祝福を与える。その代償として一切アブノマたちへの管理ができなくなる。
必要になるときは必ず来るが今じゃない。今日はある程度の能力があるヤツに生贄みたいな感じでつけるしかないな。
育ち切ってないときの祝福ってむずいな。
ありがたいが、拒否するしかない。
「あーその祝福、今日は貰えねぇ。結構色々やることあるんだよな。なにより俺は死なねぇし、お前といっしょで守る側なんだよ。だからお前の力借りなくてもいい。俺以外のヤツにつけてくれ」
きっぱりと拒否を表したが、人類の味方枠とはいえアブノマはアブノマ。
そんな都合の良いことは無理だと思った。管理人に時間巻き戻してもらうしかないと思った。
絶望の騎士が羨ましそうに俺を見つめるまでは。
コア抑制とかは管理人のお仕事なので、あまり触れる気がありません。
ですが、ネツァクやケセドさん、赤い霧は書きたいから書くと思います。
魔法少女たちって、全員過去に執着してますよね。
貪欲の王や魔法少女(ガチ)は幸せだった•必要とされていた時代に。
絶望ちゃんは誰かを守れていた時代に。
結構彼女たち似てて、全員WAWなのにどうしてこんなに差がついたのか…