3週の間に観測したE.G.O装備が使える(まともに)アブノーマリティ
ALEPH 規制済み以外なし
WAW 地中の天国、裸の巣、風雲僧、女王蜂
HE シャーデンフロイデ、オールアラウンドヘルパー
確定週で収容したアブノーマリティ
21日目、銀河の子、夢見る流れ
22日目、肉の偶像(ツール型)、小さな王子
23日目、オールアラウンドヘルパー、赤ずきんの傭兵(管理人的に有能だったため2回目の収容)
24日目、女王蜂、狂研究者のノート(使えるツールだったため2回目の収容)
25日目、なし
26日目からは癒しを挟みながらボスラッシュですね。
どちらに振れる?
「貴様がレイか?」
長かったループが終わり、新たな部門に来ると、後ろから声をかけられた。
振り返った先に立っていたのは、赤く長い髪を揺らすセフィラだった。
瞳孔のない灰色と褐色のオッドアイ。顔にはいくつもの傷痕。こんな特徴のセフィラは、ひとりしかいない。
「ええ、ここの職員のレイです。──初めまして」
「その取ってつけたような敬語はやめろ」
挨拶しただけで、心底うんざりしたような顔を向けられた。···どうなってんだ、コイツは。
「···分かった。それで、お前はどこのセフィラで、何の用だ?」
「私は懲戒チームのゲブラーだ。
「······冷酷なのが管理人に向いてるとは思わないけどな」
「貴様もそういう
まあ、その通りなんだけど。言い方がいちいちムカつく。
アイツだって、一応は役目を果たしてる······はずだし。
「さあ?勝手に育っただけだろ」
「──まあいい。私の部門には腑抜けはいらない。懲戒チームは、セフィラの中で最強の戦闘集団だ。今までの生温い考えは捨てろ。アブノーマリティを鎮圧しろ」
「元々そんな甘ったれた考え持ってる職員はいねぇよ」
そう返すと、ゲブラーの表情が一段と険しくなる。
「······貴様には、アブノーマリティがどう見えている?アブノーマリティとは何だ?聖なる存在か?会社に捕らわれた哀れな存在か?エネルギー抽出のために丁重に扱うべき存在か?」
「バケモノ以外の何に見えるんだよ。哀れでもねぇし、丁重に扱う理由もない。ましてや聖なる存在?笑わせんな」
「ああ、その通りだ。アブノーマリティは傷つきはするが、消滅しない。だが——アイツらも痛みは感じる」
「だからどうした?」
「死ぬこともできない命だ。なら、せめて苦しませてやれ」
ハッ。成長も成果も望めない鎮圧に、何の意味がある?そんな考え方だから停滞するんだ。
「嫌だね。長引けば事故が増えるし、何より成長に繋がらねぇ。···まあ、お前らセフィラには分かんねぇかもしれないが」
ゲブラーは鼻で笑って言う。
「──そうか。なら貴様に問おう、アブノーマリティとの
「戦力強化」
一瞬の時が止まったような静寂が流れた。それからゲブラーは、低く言葉を落とした。
「···その言葉、忘れるなよ」
──────
『これも全部、くだらない「人工知能の倫理改正案」のせいよ。──多分、すべてが終わったら、ここで休める日を待ちながら故郷の歌でも聴いてるんじゃない?』
ティファレトがプレス機で押し潰され、新しい
『死んでいく職員の目を直視したことありますか?···何もできないからって逃げないでください。死んでいく犠牲に謝らないでください。もう少しうまくできたはずだと自責しないでください。──そのすべてに向き合えるようになったとき、やっと他のことが見えてくるんです。
──管理人がいるから劇的に変わるなんてことは起こらないことは分かっています。けど··· 待つくらいなら、やってみてもいいですよね?あの恐ろしい瞬間たちを私たちが受け入れる代わりに、管理人が苦しんでください。···今みたいに』
マルクトが言った通りだ。始めたてだった自分は向き合えていなかった。···今はようやく向き合えていると思う。他のことが見えているかは分からないけど、僕は
『私はここで相変わらず腐っていく幻覚を見て、ときには吐き気を感じあなたに対して我慢できないほどの怒りを感じるでしょう。けれど、一つ変わったことがあるとするならば、思いっきり絶望できることだと思います。絶望するなかで、いつかは腐っていく傷の中から、苦痛と共に希望も育ちます。···あなたが私たちに与えたのは希望を含む種だったみたいです。
見たところ、管理人も少しずつ過去を受け入れている過程のようですね。最初は誰もが辛いものです。気長にいきましょう。···あなたにそんな時間があればですが』
僕がイェソドに与えた種がなんなのかは分からない。けど、それでイェソドが変化しているのならそれでいい。···僕も変わらなければならない。過去を受け入れてる最中だけど、このままの調子ではアンジェラと本当の意味で話すことが出来ない気がする。僕は、どうすればいいんだ···?
『偽りかもしれないけど、それで私を嫌う人が出ても、私の努力で一人でも助かったり、慰められたりするのなら私は「いいひと」になることを諦めません。だから管理人、一緒に努力していきましょう。この無限地獄で』
ホドは今までのことを曲げずに前を向いた。···そんな姿勢がどこか羨ましい。──うん、自分の身体が壊れるまで努力していくよ。ここでは時間なんてないようなものだしね。
『お前は俺を壊しに来たと同時に、俺を救いに来たんだよ。見たところ、お前も俺
ネツァクは生きようと決意した。俺たちの「たち」が誰を指しているのかは見当はつくが今はいい。···僕は過去に囚われている。それを抜け出すには思い出すしかない。──過去と向き合うのは怖いが、みんなちゃんと過去と向き合い前を向いているんだ。僕が逃げてどうする。向き合った結果何が何が待ち受けていようが、僕が僕であることには変わらない。···そう思いたい。
考えが、感情が、記憶がぐちゃぐちゃになりながら25日目を迎えた。
そして、ぐちゃぐちゃになった僕に畳みかけるように、アンジェラが静かに口を開いた。
「人間の心の中には、様々なものが混ざっています。大事な記憶、執着、願望、苦痛、幸福と不幸。強烈な感情は、強いエネルギーを意味します。──我々に必要なのは莫大なエネルギーであり、関心を向けるべきは、ただ一つのみです」
「何に関心を向けるべき?」
「意味もなく、誰もが頭の中で腐らせている。常にあなたを惨めにしている。···そんな無意識たちです」
「無意識か。──それに関心を向けるのは難しいね」
アンジェラはわずかに首を傾けた。
「そうですか。···そういえば、まだあなたの意志を聞いていませんでしたね。あなたは本当に、Aに会いたいと思っているのですか?」
「会いたいよ。会わないと僕は進めないし、
「では、Aが戻り次第お伝えしておきます。ですが、彼から温かい言葉などは期待しないでください。彼は本心を表に出さない方ですので。人間でない私以上に」
「温かい言葉なんていらないよ。それは君がくれるしね」
「──私は、あなたに温かい言葉をかけられているでしょうか?」
「うん。君には感謝してもしきれないくらい感謝してるよ。···あ、それと。君、けっこう本心表に出してるからね」
「···管理人のあなたにあまり言われたくはありませんが。あなたがそう言うのであれば、きっとそうなのでしょう」
「···感情を出さないようにしたいの?」
「私はAIですので、そうあるべきなのですが、あなたは、その···素直な方が良いのでしょう?」
「まあ、そうだね」
「でしたら、完璧なAIである私としては、感情を
「──うん、そっちの方が好きだよ」
そう言って笑うと、アンジェラもそれに釣られたように、ほんの少しだけ微笑んだ。
いつもの冷たさを纏った作り物めいた笑みじゃない。少し不器用で、けれど柔らかくて···どこか可愛らしい笑みだった。···だから僕は君を好きになったのだろう。
氷が溶けたら水になる。水が氷に戻ることはまず起こらない。ーー誰かが氷に戻そうと思わなければ。
なんで今、そう思ったのだろう···?
──────
ゲブラーの
「管理人、新アブノマどんな感じだ?」
「そうだね──今日のアブノーマリティは、君が望んでいるアブノーマリティかもしれないよ」
「俺が望んでるアブノマ?」
今この段階で望んでいるのは、オーケストラ以外のALEPHだ。いやなんならオーケストラでもいい。それほど装備が貧弱だ。···けど今日来たらずっとオーケストラと共に行くのが確定する。それはあまりにもめんどすぎるか。
「──そいつは演奏家みたいな見た目をしてるか?」
「演奏家?そんな感じではないよ」
「···PE BOXの量は?」
「WAWと同じ。だから恐らくWAWだね」
「WAWか。···で、なんで俺が望んでると思うんだ?」
WAWで欲しいのなんて、ルナさんか黒鳥くらい──いや、一体まだ来ていない有能がいる。
「昔君が好きだって言っていた
「!収容室は?」
「真っ直ぐ進んで右にある部屋」
「ナイス!今日だけは管理人として尊敬しとくわ!」
「そんなにかい??というか君のそんな興奮した姿初めて見たよ」
興奮しない方がおかしい。絶望ちゃんのときも嬉しかったが、こっちは次元が違う嬉しさがある。
目的の収容室まで行き、扉を開ける。
そこには、黒い羽毛に包まれた人型の鳥のような姿をアブノーマリティがいた。それは、目には包帯を巻きつけ何も見えないようになっていて、腕にあたる部分は大きな黒い翼となっている。
そして、その名を示す
彼の天秤はあらゆる種類の罪を公正に評価ができます。
リスクレベルWAWではあるが、アブノマのなかでトップクラスに有能な武器・防具をくれる神。
そんな神を目の前にしたら、当然テンションは上がるわけで。
「──マジで頼む。ジャスティティア10個くらいくれ」
もちろん罰鳥はいるので、あと一体ですね。
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