卒論というものはいなくなればいいのに。
「愛着か···こいつ相手の愛着って何するんだ?」
「貪欲の王」は自分で自分を封印してるため、普段は黄金の容器?の中でにこやかに眠っている。
──寝てるやつ相手の愛着って何するん??
···まあ適当に独り言つぶやいとくか。
「にこやかだな、どんな夢見てるんだ?」
そう、返ってこないだろう問いを投げかけたら、
封印してる容器ごとさっきみたいな光に包まれた。
──マジで言ってんのか?そんな挙動は搭載されてなかったって!!
光が収まり目を開けると傷一つない体で、にこやかな表情をして立っている女がいた。
「そうね、楽しかったことや幸せな記憶の追体験とかが多いわね──例えばさっきのレイとの会話···とかね」
「···お前らアブノマは記憶そのままなのかよ···」
時間遡行するからと適当に褒めてたのが仇となったのが分かりきってしまった。
コイツが異常なのか、それともアブノマたち全部がこうなのかは知らないが今後気をつけた方がいいことは明白だ。
──まだWAWで助かった。
ALEPHに取り返しがつかないことしたら詰んでたな。っては?
「ッ!!──普通に死ねるからやめてくれ」
そう考え事をしていると、目の前から殺気に似た何かを感じ、咄嗟に後ろに飛んだ。
──aleph装備のパンチとか殺す気だろ。
睨んだが、素知らぬ顔で佇んでいるだけだった。マジでなんだこいつ?
「この程度であなたは死なないでしょ?」
「アホか死ぬわ」
多分死にはしないが顔ぐっちゃぐちゃになるわ。
「で?なんでいきなり攻撃してきたんだ?」
そう言うと、さっきの俺みたく不満気な顔をしていた。こうして見てみるとただの普通の女性のように見えてしまう。
「だってあなたが『こいつ』って言うし、私が目の前にいるのに考え事か何か始めたからイラッとしたのよ」
「···あーそれは普通に悪い。ゆるしてくれ」
「···名前」
「名前?」
「ええ、私の名前言ってくれたら許してあげるわ」
──アブノマとの深い交流は災いでしかない。そんなことは分かっているが、頬を赤らめてる美女の願いを断ることなんて俺にはできない。
微妙に上目遣いになってるの結構くるな···
「
その一言だけで、コイツは満開の桜のような笑みをこぼした。それに心を動かされるのを感じてしまう。ああ、俺はまだまだ弱いな。
「ふふっ···
「お前は人類の味方になってくれるのか?」
満足そうな顔から一転、少し考え込むような顔になった。
──コイツが味方になってくれたら頼れる鎮圧係が増えるから大歓迎だが···
「そうね···全人類の味方にはならないわ」
「そっか」
「ええ。でもあなたの味方にはなるわ」
──そういう系か。ってか範囲狭すぎだろ。俺の味方だけだったらあんまり変わらないな。育ってる職員1人死んだらやり直しになるし。
「せめてここの職員たちの味方になってくれ」
「······あなたが私のお世話をしっかりしてくれたら考えるわ」
「分かった、また来るわ」
「えっ?」
だって、今回の管理終わったしな。今回の作業は中盤以外は完璧だったらしい。
──多分よそみしてたときだな。
困惑しているアンバーを背に収容室から出た。
「レイ、もう一回『貪欲』の相手するか?」
「あー、いや他のやつに相手させて。反応見たいし」
「分かった」
スピーカー越しに指揮官と会話し、「貪欲」の相手をする気がないことを伝えた。
他の連中の装備や能力的に「良」は出ないと思うが、俺以下のやつとならどうなるかが見たかった。
少しくらいなら相手になるかと思ったが、そんなに甘くはないらしい。
「レイ、脱走だ。対象は分かってるな」
「職員死んだ?」
「ああ、10秒も持たずに死んだ」
「──巻き戻しで」
「分かってる」
どうせ俺が「アンバー」と言ったの聞かれてるし、時間遡行の記憶持ってることバレてるからどうでもいい。
それよりも「貪欲の王」いや、「アンバー」結構めんどくさいな。ガチの俺専用アブノマになりそうだな···
···時計の音が聞こえる。その音が聞こえると同時に目を瞑った。
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