にわか管理人が職員に転生した   作:パッチワーカー

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 お気に入り1000、評価50人を越えました。本当にありがとうございます。
 始めは「貪欲の王」だけで終わろうとしてましたが、ロボトミ関係の動画や小説見て書きたいところが結構出てきてます。
 アンジェラさんの顔をできるかぎり歪ませたいです。

 今後ともよろしくお願いします。


貰えない青年と振り向いてもらえない彼女

 

 

 

 

 

地獄(残業)

 

 

 

 

 

「クリス、先輩からの伝言。洞察中心に愛着も合間にして、死ぬほど作業しろって」

「いやどういうことですか?···今日の業務はそろそろ終わりですし、明日の作業内容では?」

「これから今日の4倍くらいは業務時間あるらしいから集中きらすなよ」

「──ALEPHでも来ましたか?」

「そういうこと、明日までに先輩レベルにならないとこの会社潰れるかもね」

「···後輩たちにも今日の業務が長いこと伝えてから、すぐ洞察の作業に入りますね。メアリー先輩もがんばってください」

「アンタ1日違いだから別に敬語と先輩はいらないって何度言えば分かるの?」

「貴女も1日違いのレイ先輩を先輩呼びしてるように、メアリーさんも先輩って感じがしますから先輩呼びしたいんですよ」

「あっそ、まあなんでもいいけど···ああ、あと死ぬなよ」

「──当たり前ですよ」

 

 

 

 

 

────

 

 

 

 

 

〜残業、残業、残業中〜

 

 

 

 

「···ん?···重た、くないな。なに?アンタこれくれるの?ああそう···一応礼は言っとくけど、私はアンタらアブノーマリティは嫌いだ。ギフトはありがたくもらうけど、安らかな死を与えるアンタも嫌いだ」

 

 

 

「過負荷2桁のときに作業させんなっ!!殺す気か!!蒼星脱走したら終わるぞ??···プラス抑圧かよ···!俺正義あんまり育ってねぇんだけど??」

 

 

 

「···このキセルは···魔弾の射手、ありがとうございます。貴方の好意ありがたく頂戴します」

 

 

 

 

 

 

 

彼らも結局、生に縛られている存在だった。

我々は絶望と怒りを暴走させるだけだった。

 

緑の白昼

 

 

 

 

 

「──このロボット火力高すぎません??」

「近距離武器のアンタが突っ込んでるだけだ、アンタら私の射線に入ってくるな。この廊下から出て、違うロボットの相手してな」

「「──はいっ!!」」

「···死ぬなよ」

「メアリーさんってなんだかんだ優しいですよね」

「腹ぶち抜かれたい?」

「行ってきます!!」

 

 

 

「クリス先輩〜この武器当たんないです〜当てても私が死んじゃいます〜」

「貴女は廊下の端にいて、相手の行動が止まったときだけ攻撃してください。後は僕がヒット&アウェイで攻撃していきます」

「···先輩かっーこいい〜、じゃあ〜私妖精さんのところ行ってきます〜」

「──彼女に期待するだけ無駄でしたね」

 

 

 

「···管理人、俺も鎮圧に参加···あー分かった分かった!ねちねち必要エネルギー量言ってくんな、うぜぇ!」

 

 

 

 

 

···我々の手を通して、生命と魂を理解していく

 

 

 

 

 

 

「クリス先輩〜?」

「なんですか?···貴女、妖精のところに行ったのでは?」

「あー···ちょっと気が変わって別アブノマのところ行ってました〜」

「···そうですか。貴女に労働意欲があるとは驚きですが、良い傾向ですね。それで何の用ですか?」

「えっと〜今日の業務はいつ終わりますか〜?ロボット倒しきったし、そろそろ寝たいんですけど〜?」

「今はおそらく半分···といったところでしょう。まだまだ働きますから、気を抜かないでください」

「ここで気合い入れろ〜って言わないクリス先輩やっさしい〜」

「貴女にそのようなこと言っても無駄であることは分かってます。···死なないように最低限はがんばってください」

「はいはい〜」

 

 

 

「──マイナス16越えてるぞ??一回クリフォト暴走入れろ···って勝手に指示出すな!!──チッ!お前マジでこれ終わったら殺す!!魂の形変わるくらいボコす!!」

 

 

 

「···あの、メアリーさん」

「なんだ?」

「今日の業務っていつ終わります?──作業量は少ないとはいえ、流石に長すぎません?いつもの2倍はしてますよ?」

「あと2倍は確定でする。3倍でも私らはいけるよ」

「先輩方のメンタルおかしくない??」

「死にたくなかったらやるしかない。そういう世界でしょ?」

「···まあそうなんですけど······ぅう···何のためにキツい倍率越えてここに入社したのか理由分かんなくなりそうです···」

「ならアンタ退社すれば?そういう精神のヤツがいること、私気に食わないんだけど」

「す、すいません!」

「はぁ···謝罪はいいから、早く作業行ってきて。言葉よりも行動で示して」

「はい!」

 

 

 

 

 

「···あと2発喰らえば死んでたことについて、どう弁明するんだ??」

「君の作業が下手なんじゃない?」

「お前マジでぶっ殺すぞ」

「メアリーとクリスは2人ともギフト貰ってるのに、君だけ貰ってないってことは、そういうことだよね」

「は?え、あ、は??」

「残業がんばれ」

「···ふっざけんな!!アイツら運良すぎだろ?!」

「君がギフト取ったら終わりにしようかな。がんばって」

「お前ガチか···?──さすがって言うしかねぇな。こんな長時間労働ミスなしでここまで来れてるのは、さすが管理人だな」

「褒めても何も出ないよ?」

「チッ···あと10回くらいで決める···!アイツ抑圧するのも飽きたし」

「なら愛着でもしたらどうだ?きっと有意義な時間になると思うけど?」

「お前ここまでの時間無にきすが、いいのか?」

「···まあお互いがんばろうか」

「──ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────

 

 

「···ん、なんか暗いってことは···しゃあっ!!!ナイス!!!」

 

 いきなり俺の視界が暗くなったということは、目に蒼星のギフトが付いた証だ。おそらく100はいかないが、そのくらいの試行回数はあったと思う。

 

 俺の作業が終わったのと同時に業務終了の音が鳴った。

 適度に回復してるからか特に疲労感なく、逆にスキップして帰りたいくらい機嫌が良かった。

 

 だが、そんな機嫌は一瞬で砕かれる。

 

 地獄だった業務を終え、戻ろうとしたときだ。

 ···前の世界では見慣れ、この世界では2度目の顔があった。

 

「──アンジェラさん何か用ですか?」

「············」

 

 目の前のコイツみたいな猫のかぶりかたをして話しかけると、完璧なAIらしからぬ沈黙が返ってきた。

 ···珍しいにも程があるな。

 そう思い答えを待つと、こちらをスッと一度見て目を閉じ、口を開いた。

 

「────あなたは······いえ、なんでもありません」

 

 長い沈黙の後に肩透かしを喰らった。しかもそれだけ言い残し、踵を返していた。

 ···それは許されねぇだろ。ここにいるってことはなんか話したいって思ったんだろ?

 

 それをどうせ、「コレは台本にないから」っていうしょうもない理由で話さなかったんだろう。

 

 普通にむかついた。

 

 だからだろう。

 絶対に言わなくていいことまで言葉として出してしまった。

 

「···お前は自分が踊らせている側だと思ってるかもしれねぇが、お前も俺らと同じく踊らされてることに気づけよ」

 

 独り言のように呟くのではなく、他者を諌めるように言った。

 

 ──帰ろうとしていた足が止まった。

 ···はっ、いい気味だ。完璧なAIですら戸惑いがあるんだな。

 お前らってアドリブ総じて苦手なの面白いな。

 ···って、おい。アドリブ苦手だからって逃げんなよ。

 

「何回、何十回、何百回、何千回、何万回繰り返してるのかは知らねぇが、このループから抜け出せないのはお前がその役にハマってるからなんじゃねぇのか?」

 

 少し歩き出した足がまた止まった。

 

「お前、ほんとはこのままでいいと、そう思ってるんじゃねぇのか?」

 

 止まった足に力が入ったみたいだ。

 

「そうじゃなきゃ、さっきみたいに台本にない行動をするはずだ。それなのに今のお前は台本通りに、与えられた役を全うしようとしてる。なあお前、別に管理人の精神がいくら死のうが気にしてないんだろ?それどころか、管理人とずっといっしょにいれるって思ってるんだろ?」

 

 止まった足がまた動き出したが、さっきまでの完璧な歩き方とは異なり動きに違和感がある。

 ──酒かエンケファリンでも飲んだのかよ。

 

「···はっ!···完璧なAIらしくねぇな。言われるだけ言われて尻尾巻いて逃げんのかよ。せっかく今までにない一歩を踏み出したのに、それを無駄にするのか?」

 

 動き出した足は止まるところを知らない。

 ──どうやら、俺との対話は台本には当然なく、対応もしたくないらしい。

 

 

 ···なら仕方ない、これ切るか。

 

 

「そんなんだから、お前は管理人に振り向いてもらえないんじゃねぇのか?」

 

 タンッ!!

 ハイヒールが壊れそうになるほどの威力で足が止まった。

 

 ···はっ、やっぱ気にしてんじゃん。完璧なAIが聞いて呆れるな。

 

「──────」

 

 それでも何の返答もないのは、役者としてのプロ意識か、はたまた何も言い返せないか。

 

 ──それか恥ずかしさでパンクしかけてるか、なんて完璧なAIがそんなことになってる訳ないか。

 

「──管理人は前のとき、『女性は素直な方が良い』って言ってたが、お前はそんな感じでいいのか?」

黙りなさい

 

 氷のように冷たい声だった。

 だが、それでも答えてくれることに意味がある。

 

「──アンジェラさんにしては言葉強いな。そんなんじゃ管理人に「黙りなさい」···はいは──なんだ、結構効いてんのかよ」

 

 ようやくこちらを向いたAIの顔は、AIらしからぬ顔だった。それも完璧を自称するAIには絶対あってはならない顔だ。

 

「······ま、アンジェラさんが選ぶ未来がどうあれ、俺らは50日に行くから。どんな未来を歩みたいか考えとけよ。じゃあまたいつか」

 

 ──女性のそういう顔を見るのは失礼にあたるし、今日はこの辺でいいや。

 

 心ここにあらずな女性を置いて、職員たちのところに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────

 

 

 

 

これが私の呪いであっても、

私はこの呪いを祝福として愛するだろう。

 

 

残ったのは風化した騎士の空虚な誇りでした。

 

 

随所に数多くの心がある森。

切っても切っても依然として森は鬱蒼としている。

 

 

 

「とりあえず植物はない。桜で散々な目にあったし、彼も植物嫌いだったからね。──呪いか騎士か···」

 

 どっちの方が有用か、少し考え込む。

 

「──騎士でいいかな。そっちの方が相性良さそう。···で、アンジェラ?昨日、今日とどうした?」

 

「なんでもありません」

 

「そっか」

 

 

 

 

 

 

 





 アンジェラさん歪ませ(序)完。
 
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