ソードアート・オンライン ゼラニウムの兎   作:フローゼン

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少し展開を変えたくて以前の3話目は削除しました。これからは1話1話の文字数を少なくして、投稿頻度をあげていこうと思います。


理由

「あのさあクライン。」

 

「?。なんだ?」

 

「SAOの中に閉じ込められたプレイヤーってさ、人にもよるんだろうけど、なんで早く帰りたいのかな?」

 

 茅場晶彦の衝撃的な演説の翌日である。俺はクラインと、その友達と共にフィールドに出ていた。モンスターへのチームでの立ち回り、回復ポーションの使い所、教えることは膨大だ。

 

 その休憩中、俺は囚われてからずっと考え続けていることがあった。

 

 演説の後、自分は自分でも不思議なくらい冷静だった。周りのあまりの取り乱し方が逆に自分を冷静にさせたのだろうか。否。俺は期待したんだ。新しい道を歩めると、これまでの人生を忘れて。

 

「おめえは帰りたくねえのかよ?普通みんなそう考えると思うぜ。まあでも、ほとんどの奴らが社会での自分の扱いを気にしてるんじゃねえか?オレだって社会人だ。働いてるとこクビにならねえかずっとヒヤヒヤしてんだ。」

 

 社会での扱い?そんなのどうでもいい。とっくに底辺を知っている。

 

「あとは家族の心配だな。オレの親ももう若くねえ。」

 

 そうだ。家族だ。母親は1人で俺と妹を育ててくれた。でもそんな母親もずっと家にいた訳ではない。俺たちを育てるためのお金を必死に稼いでくれている。なら妹は?俺がいなければ家の中で1人、夜遅くに帰ってくる母親をじっと待っているしかない。

 

「…!」

 

 この世界では汗をかかない。しかし、俺はたしかに冷や汗が、俺の頬を伝う感覚を覚えた。

 

 孤独。妹にそれを感じさせるのか?許されるはずがない。俺は初めて焦り始めた。早く家に戻って安心させなくてはいけない。

 

 俺はそんな使命感に駆られた。

 

 だからといってクラインを置いて攻略に向かう訳にはいかない。

 

「なあリオン。オレたちのこと、気にしなくていいんだぜ?もともとオレたちだけでどうにかするつもりだったんだ。」

 

 俺の焦りを悟ったのか、クラインは俺を真剣な目で見つめた。

 

「いや、最後までやり切るよ。そうお前と、…キリトとも約束したんだ。結局、このゲームをクリアするなら大勢のチームプレイが必須なんだ。俺がここで焦ってもどうにもならない。」

 

「そっか。サンキュな。」

 

 クラインは表情を変えなかったが、少し嬉しそうにも見えた。

 

 俺は決意した。全力でこのゲームをクリアすること。早く帰って2人を安心させること。確かに現実は嫌いだ。しかし、大切なものを失うことの方が怖い。

 

「さて、じゃあモタモタしてらんねえな!」

 

 クラインは遠くに見える蒼碧の空を見上げ、そう叫んだ。あと1週間程だが全力を尽くして教えられることを全て教える。俺はそう思い拳を握りしめた。

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