ソードアート・オンライン ゼラニウムの兎   作:フローゼン

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※あまりにも文章が拙すぎたので再投稿です


五層攻略会議

フィンとの一戦を終え、俺達はとりあえずカルルインに帰還した。

 

 そして圏内と圏外の境目を通った瞬間、どこからかポロンッと鈴のような音が鳴る。メッセージ通知だ。

 

 俺はすぐにメニューウィンドウを開く。どうやら送り手はキリトのようだ。

 

『5層攻略で話がある。送った地図のところに来てくれ。』

 

 メッセージに書かれていた通り、別で送られていた地図を確認する。どうやら向かう先はカルルイン市内のようだ。

 

「ごめん、ミト、フィン。なんか攻略の集まりがあるみたいだから、少し行ってくるね。」

 

「そう。じゃあ私は遺跡の少し先にある森で素材集めでもしてこようかな。」

 

「大丈夫?もう夜だし、宿には行かないの?」

 

「夜にしか湧かないモンスターがいるの。五層でしか手に入れられないから、今のうちに行っておきたい。」

 

「そっか、わかった。集まりが終わったらすぐに向かうよ。…それで、フィンはどうするの?」

 

「俺も…攻略会議に連れて行ってくれよ。」

 

 俺はフィンの返答に長考する。

 

 そもそも四層を攻略してからまだ3日も経っていない。もし、フロアボス攻略の会議なのだとしたらあまりにも早すぎるのだ。

 

 攻略についての集まりは基本的にフロアボス攻略か、フィールドボス攻略でしか開かれない。しかし、ベータテスト時では五層にフィールドボスは存在しなかった。

 

 そこから読み取れるのは五層攻略による弊害、もしくはベータテスト時からの大幅な変更点についての会議であるということだ。

 

「今回は、今までのボス戦とは多分違う。俺達も、君をサポートできる自身は正直ない。もちろん、君の実力は分かってるよ。攻略組でも十分通用する。

それでも…参加する覚悟はある?」

 

 フィンはゆっくり目を閉じ、胸の前に腕を組む。そして、間をあけて口を開く。

 

「──ああ、多分ここで逃げたら俺はこれからも一生お前らに追いつけないな。」

 

「そっか。じゃあ行こう。」

 

 ──君を少し甘く見すぎてたのかな。

 そう思えるほど、彼の返事は力強いものだった。

 

 

――――――――――

 

「やあ、キリト、アスナ。四層ボス戦ぶり。」

 

「リオン、急に呼び出して悪いな。」

 

「こんにちは、リオン君。」

 

 メッセージでキリトに指定されていた料理屋に向かうと、中にいたのは彼とアスナ。それと、何度かボス攻略で顔を見た事のある確かDKBのタンク、シヴァタ。もう一人は見慣れない、全身を鎧で纏ったロングメイス使いのプレイヤーだ。

 

「会ったことあると思うけど、リオンだ。よろしく。」

 

「ああ、俺はシヴァタだ。それで、こっちは…。」

 

「リーテンだ。」

 

 どうやら全身鎧のプレイヤーはリーテンと言うようだ。声は金属質なエフェクトがかかっていて不明だが、喋り方から予測するに男か。

 

「リーテンさん、この人は信用して大丈夫よ。」

 

「…そうですか。」

 

 そう言うと、彼はメニューウィンドウをおもむろに操作し始める。

 

 すると突然彼の被っていたヘルメットはパーティクルを散らして消えた。

 

「!!」

 

 その中から出てきたのは、男らしいごつい顔──ではなかった。

 

 出てきたのは、前髪をぱっつり揃えた、茶色の長髪を肩に垂らした、可愛い顔の少女であった。

 

「改めて、リーテンです。よろしくお願いします。」

 

「あ、う、うん。」

 

 俺は動揺を隠しきれなかったが、何とか彼女の挨拶に相槌を打つ。

 

「まあいいや。それで、何があったの。わざわざ呼ぶってことはそういうことでしょ?」

 

「ああ、話が早くて助かる。…実は、明日五層ボスを攻略しに行こうと思うんだ。」

 

「なるほど、そういう………いやどういうこと!?」

 

「順を追って話すと少し長くなるんだが──」

 

 つまり、キリトの言いたいことはこういうことだ。

 

 第五層ボスはある特別な武器を落とすらしい。名称は《ギルドフラッグ》。

 

 性能としては下の下の槍らしい。だが、それには特殊能力がある。それは槍を地面に突き立てたとき、一定範囲に存在する槍に登録したギルドのメンバーにステータスの上昇バフを永続的に付与するものらしい。もちろん、槍を地面から離した場合、効果は終了するらしいが。

 

 そして、その槍のギルドの登録は同時に一つだけ、さらに変更は不可との事だ。

 

 どうやら、二大ギルドの一つである、リーテンが所属しているALS《アインクラッド解放隊》は、同じくDKB《ドラゴンナイツブリゲード》を出し抜いて、年越しのカウントダウンパーティーをすっぽかして、その武器をゲットしようと画策しているらしい。

 

「私とシヴァタは、そのパーティーの主催で、二大ギルドの初めての共同イベントなんです。だから、絶対成功させたい。」

 

 リーテンは切実に語る。

 

「そして、ALSがギルドフラッグを手にしてしまえば、どうなると思う?」

 

「二大ギルドが分裂、最悪対立して、これからの攻略に支障をきたすってことね。」

 

「そうだ。俺達はそれだけはなんとしてでも止めないといけない。だから、俺達が先にボスを攻略して、ギルドフラッグを独占する。」

 

「なるほどなあ…。」

 

 キリトの案を頭の中で巡らし、長考する。

 

 おそらく、いやこれはキリトが考えた作戦だ。

──こんなの思いつくなんて…。本当に他人のことばっかなんだな。

 

「ほんとに、君は損な役目ばっかだね。」

 

「…」

 

「キリト、わかってると思うけど、それをしたら君が…。」

 

「ああ、でも俺以上の適任もいないと思っている。」

 

「それも、そうなんだけどなあ…。」

 

 キリトの案を否定したかったが、彼は全て整合性のある事実を並べる。

 

「俺が全部責任を負う。だから協力してくれないか?」

 

「そういうことじゃないって!」

 

 キリトはおそらく、俺が自分の体裁を気にしていると思ったのだろう。いや、間違ってはいないのだが。

 

「…そうじゃない。俺は君が…。」

 

「俺は、攻略が止まらなければどうだっていい。これは全部自分のためなんだ。」

 

 キリトは真っ直ぐな眼差しを俺に向ける。きっと、今言ったことは本当なんだろう。しかし、彼の眼の奥が少し揺らいでいるのも、俺にははっきりとわかった。

 

 きっと、どこか躊躇っている気持ちもあるんだろう、しかし、それ以上に彼の覚悟を無視することは出来なかった。

 

「…はあ。わかったよ。やろう。俺も協力する。」

 

「リオン…。ありがとう。」

 

「それで、他には誰を誘ったの?まさか、ここにいる人だけで挑むわけじゃないでしょ?」

 

「ああ、メッセージを送ったのはエギル達のアニキ軍団の4人と、アルゴかな。それと──」

 

「もしかしたら協力してくれるかもしれない人がひとりいるの。でも、メッセージを送っても返信が来ないかもしれないから、私はあとで直接会いに行こうと思ってるわ。」

 

 アスナが言うプレイヤーを含めても人数は大体2パーティー分だけだ。普段、ボス攻略時に組むレイドパーティーには到底及ばないが、

 

「なるほど、でも多分協力してくれる人もそれが限界だよなあ。」

 

「リオンも誰か協力してくれる人に心当たりがあるなら、教えてくれ。お前が実力のあると思うプレイヤーだったら誰でもいい。」

 

「そっか…。じゃあ早速だけど、…安心して、変な人じゃない…と思うから。入ってきていいよ、フィン。」

 

 俺の合図とほぼ同時に勢いよく入口の扉が開く。

 

「おっそい!待ちくたびれたぞ!」

 

「ごめんって、いきなり君が俺と一緒に来てもみんな困惑するだけじゃん。」

 

「まあ、そうか。」

 

「はあ…。とりあえず、自己紹介して。」

 

「はいはい。…俺はフィンだ。最近最前線まで来たんだが、そこのリオンとさっきデュエルで結構いい勝負したんだぜ。」

 

 フィンが名乗ると、キリト達も各々彼に自己紹介をする。

 

 彼の俺とのデュエルの発言にキリト達が言及しないのは、俺が大した指摘をしなかったからだろう。

 

「これで、全員集まってくれれば12人、ギリギリだけど2パーティー分の戦力かな。」

 

 しかしこれでも、かなり期待した値である。

 

 五層ボスは区切りのボスである。だから、他のフロアボスに比べて強く設定されている。

 

 そんな中で少人数で挑もうとしているのだ。キリト達がメッセージを送ったプレイヤーに協力を拒否される場合は十分にある。

 

 そして、俺は突然頭にあるプレイヤーの顔が思いつく。

 

 ──そうか、ミトなら…。

 

「もう一人、…もしかしたら、協力してくれる人がいるかもしれないけど、正直参加するか分からないな。」

 

「ああ、わかった。リオンが言っているプレイヤーの事は分からないが、それなら来ない前提で話を進めよう。」

 

「そうだね。」

 

 そして、キリト達が協力を求めた他のプレイヤー達も集まり、全員に対して彼は同じ説明をした。

 

 こうして、諸々の細かい予定を決め、この小さな攻略会議は終わりを迎えた。

 

 

――――――――――

 

 

「うーん。」

 

「どうした?リオン。」

 

 心の中で悩み事をしていたつもりが、どうやら口に出ていたようで、フィンはすかさず尋ねる。

 

「武器、どうしようかなーって。」

 

「今の武器じゃダメなのか?」

 

「うーん、今の武器さ、三層の攻略してた時に、キリトとアスナのエルフクエに参加させてもらってた時のクエスト報酬なんだよね。

今のところ五層で使ってても問題は無いんだけどさ、これからフロアボスに挑むってのに少し心配なんだよ。」

 

 エルフクエとは第三層から第九層までシナリオが続く、大型クエストであり、攻略と並行して進める必要があるため、少し面倒だが、ボスの情報だったり、強力な武器を入手できるため、攻略組の中でも挑戦している人は少なくない。

 

「そうか…。じゃあ、鍛冶屋紹介してやるよ。はじまりの街出るときに知り合ったんだけどさ、結構腕いいんだぜ。」 

 

「へえ、プレイヤーの鍛冶屋なんて珍しいな。」

 

 鍛冶屋もNPCの鍛冶屋、鍛冶スキルをあげたプレイヤーの二種類が存在する。

 

 NPCの鍛冶屋はどこにでもいる代わりにほとんどが大した武器も作れず、少しのメンテナンスしかできることがない。

 

 それに大して、プレイヤーの鍛冶屋は鍛冶スキルさえ高ければ高性能な武器を生産することが可能だ。その代わり、このゲームは戦うことが主のゲームなので、鍛冶屋プレイヤーはとても少ないのだ。

 

「じゃあ、その人に作ってもらおうかな。」

 

「おう。よし、早速行くか?」

 

「いや、ミトの様子が気になる。さっき送ったんだけど、MOB狩りしててメッセージ気づいてなさそうだし。先にそっち行こうかな。」

 

「そうか、じゃあ俺の斧のメンテナンスついでにここに連れてくるわ。」

 

「ごめんね。頼むよ。」

 

 フィンはニッと笑ってそのまま主街区の転移門から立ち去っていった。

 

「転移!はじまりの街!」

 

 フィンの姿が見えなくなると、俺は軽く息をついて、方向転換する。

 

「さて、行きますか。」

 

 

――――――――――

 

 ──もう私は…誰も裏切りたくない。

 

 ──ごめん、アスナ。私があんなこと言わなければ。デスゲームになんか巻き込まれなかったのに。

 

「いてて。…やっぱりミトは強いね。」

 

 うつ伏せで倒れるアスナに、ミトは屈んで手を差し伸べる。

 

「アスナもすごく強くなったわ。」

 

「でも、私の負けだから、もう攻略に参加してとは言えなくなっちゃった。…じゃあ、またね。」

 

 そう言うと、アスナは反転し、主街区の方へと歩き出そうとしたが、ミトはそれを遮った。

 

「ごめん。私は、もう最前線では戦えない。」

 

 アスナは振り返り、ゆっくりと目を瞑り首を振る。

 

「…今日は会えて嬉しかった。」

 

 アスナはもう一度、同じ方向へと歩き出し、森の中に隠れるように消えていった。

 

「…。はあ…。そこにいるのは誰?」

 

 ミトは突然どこかにむかって声を投げかける。

 

「わっ…あ。」

 

 すると、ミトの真後ろから少し幼い声が漏れる。そして、声の正体は、すぐ近くの木の影に隠れようとしたが、無駄だと察したのか、のそのそと彼女の後ろに現れた。

 

「悪い、隠れるつもりはなかったんだ。アスナが帰ってくるのが遅かったから、様子を見に来たら、君とのデュエルが始まって、出るに出られなくなって…。」

 

「あなたは…」

 

「ああ、挨拶はしたことなかったな。俺はキリト。アスナとコンビを組んでる。」

 

「知ってる、有名人だから。…アスナが心配でここまで来たの?過保護ね。…今度はあなたがボス攻略に誘うつもり?」

 

「いや、そうじゃないんだ。アスナの今使ってるシバルリックレイピア、君がアスナに渡したウインドフルーレのインゴットから作ってるんだ。アスナがウインドフルーレを手放したくないって言ったからな。」

 

「そんな面倒なことしなくても…。」

 

「そのくらい、君のくれたウインドフルーレが大切だったんだろうな。…アスナは、今も君のことを大切に思っているよ。」

 

 「…。わたし、あなたのこと嫌い。」

 

「あっ…。フッ。」

 

 キリトは挨拶もなくその場を立ち去った。

 

「…本当に、今日はギャラリーが多いのね。リオン。」

 

「…やっぱりバレてた?」

 

 ミトの視線の先の木の裏から、リオンが驚いた顔で慌ててでてきたが、彼はあくまでも平静を保ったように、表情をいたずら顔に変えた。

 

「はあ…いつから見てたの?」

 

「君がアスナに見つかったくらい。」

 

「最初からじゃない…。彼、フィンはどうしたの?」

 

「俺が武器を変えたいって言ったら、鍛冶屋連れてきてやるよって言って転移門でどっかに行っちゃったよ。

さて、じゃあ、俺の質問にも答えてもらおうかな。…君、アスナと知り合いだったんだね。」

 

「ええ、リアルからのね。それで?質問は?」

 

「うーん。まあ、なんで俺がアスナと面識があることを知っておいて今まで何も言わなかったかは置いといて、君、なんでボス戦参加する気ないの?」

 

「私はもう攻略組じゃない。最前線では戦えない。」

 

「君の実力で、戦えないは嘘だよね。」

 

「私は生産職がやりたいの。まだお店も開けてない。」

 

「ボスからいい素材が入手出来るかもしれないのに、そんなチャンスを逃すような人でもないよ。ミトは。」

 

「…何が言いたいの?」

 

 ミトは少し煩わしさを声に表しながら、聞き返すが、リオンは真剣な表情で、おどけずに彼女の目を見つめる。

 

「まあ、一旦宿に戻る?」

 

 

――――――――――

 

 

 INNと看板に書かれている宿の一階はほとんどの場合NPCレストランが併設されている。

 

 俺達は特に会話もなく森を抜け、宿の一階でそれぞれ飲み物を注文し、対面で座った。

 

 それからもどちらとも、会話の第一声を見失い、お互い顔も見ずに手持ち無沙汰に飲み物を口に運ぶ。

 

「…アスナは、私の唯一の友達だった。」

 

 紅茶を入れたカップをソーサーにそっと置くと、口を開いたのはミトだった。

 

「同じ学校に通っていて、彼女はみんなからすごく慕われてた。

そんなとき、なんでか私に話しかけてきてくれたの。誰とも仲の良くない私に。

…それからはよく話すようになって。」

 

 ミトは、アスナとの出来事を少しずつ話し出す。

 

 ミトの視線は変わらず、俯いたままだったが、俺はずっと彼女のほうを向き続けた。

 

「そんなときだった。浮かれてたんだろうね。

私が、…私が、SAOに誘わなければアスナはこんなデスゲームに巻き込まれることなんてなかったのに…!」

 

 今まで淡々と語っていた彼女の口は震え出す。

 

 ただこの場を満たすのは、ミトの自責であることを俺は理解した。しかし、俺はただ黙って次の言葉を待つ。

 

「…ごめんなさい。…それで、せめてアスナを絶対に守るって誓ったの。

でも、私は自分に誓ったことすら守れなかった。」

 

 少し前に取り乱してからは、ミトの声は終始落ち着いていた。

 

 しかし彼女のティーカップの水面が波紋状に揺れたことが確かにわかった。

 

「結局、アスナは生きていてくれてた。一層のボス戦中に知ったんだけど、…あのときは本当に嬉しかったな。」

 

 ミトは、自分の指で目の下をなぞり、涙を拭って、微笑む。

 

「これで終わり。」

 

 いつもの彼女はこんな風に笑わない。

 

 俺にはわかる。きっとこれは自分を守るための笑みだ。

 

 何を言われるのか分からなくて、ずっと怯えてる。そんな、自虐的で悲しい笑顔。

 

「…!

どうして、泣いているの?」

 

 ミトに言われてようやく気づく。

 

「あれ…?なんでだろう…?」

 

 さっきからずっと拭っているのに、俺の頬は濡れたままだ。

 

 ミトの話に同情でもしたか?いや、そんなことはない。それは確かに彼女の過ちだから。同情なんてするわけが無い。

 

 なのに、ずっと胸のあたりが締め付けられる。

 

 いや、きっと理由はわかってる。それは、

 

「君の笑顔()、悲しいから。」

 

「…どういう「いや…!忘れて!」

 

 自分でもなんで言ってしまったのか分からない発言に恥ずかしくなり、彼女の言葉を遮る。

 

 そして、一度深呼吸をする。

 

「あんまり得意じゃないんだけど、少し偉そうなこと言うね。──君はやっぱりボス攻略に行ったほうがいいよ。」 

 

「…。」

 

 先程のような微笑みは消え、彼女は真剣な顔で俺の目を見つめる。

 

「君さ、アスナにもう誰も裏切りたくないって言ったでしょ?でも、仮にアスナがボス攻略に行って死んじゃったらまた、君はアスナを裏切ることになる。」

 

「それは…!」

 

「…。まあ俺もさっきキリトが言ってて知ったんだけど、アスナは君のことを大事な友達だと思ってるんだよ、今もね。なら、今度こそ、約束を守らないといけないんじゃないかな。」

 

「…!!」

 

「これは俺がアスナだったらの意見。勝手な俺の自己満足かもしれない。──あとは君が決めることだよ。」

 

 そういうと、俺はカップに残っていた飲料を飲み干し、席から立ち上がる。

 

「そういえば、迷宮区にも欲しい素材があるって言ってたよね。…ちょうど二つアルゴにマップ貰ったから、あげるよ。」

 

 俺はメニューウィンドウを開くと、迷宮区のマップをアイテム化し、テーブルにそっと置く。

 

「じゃあ、俺はもう寝るよ。」

 

 俺の今した事は正しかったのだろうか。

 

 今、彼女がなにを考えているのかは分からない。

 

 でも、彼女を見て俺はどうしてもやり直したい過去を思い出さずにはいられなかった。

 

 

 

 俺は落ち着かなくなり、宿スペースである二階の階段を駆け上がり、部屋に向かった。

 

 ──はあ、やっぱり最近変だなあ。

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