(仮)フロンティア・コンフリクト   作:真夜中都市屋

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第29話 うわーん!移動シーンが長すぎます!

 

 

 

『ブラックジャックス』には交渉役と運航に必要な人員が最低限配備され、改修を受けた『ヴィーナス』には戦闘部隊の兵士達が配備され、一定距離を保ちながら航行している。

 

 

「まもなく、『トリリオン』転移座標から『オリオン』転移座標へライン接続。『オリオン』の付近は湾曲障害が多い。不測の事態に備えて、各自準備を怠るな」

 

 

 アナウンスを聞きつつ、ラスティが呼びかける。

 

 

「だそうだ。といっても、我々戦闘部隊は特にやることもない」

 

 

 強慈郎がその言葉に反応する。

 

 

「待つだけか?戦闘になった時はどうする?」

 

「そうだな。戦闘部隊は二班に分ける。司令にも合った通り、ミザリィを隊長とした一斑、俺がまとめるのを二班とする。強慈郎は部隊に配備するより、遊撃でいだろう」

 

「一斑が前衛、二班はネレアと連携を取りながら後衛ってとこか。俺は好きにやらしてもらうってことでいいのか?」

 

「最悪の場合、鬼ヶ島組のサポーターが『ヴィーナス』の制御、傭兵団からも作業員を出す。あの特殊機体でイリシウムさんと出撃してくれ」

 

「……臨機応変にってことで」

 

 

 強慈郎が面倒くさそうに提案するが、皆異論はないようだった。

 

 

「とはいえ、戦闘なるかどうかは連邦次第だ。オリオンの管制からの定期連絡では異常無し。ゲートを出るまでは各自待機だな」

 

 

 ラスティの言葉に全員が頷き、ミザリィが口を開く。目と鼻が少し赤みを帯びているが、特に言及するものはいなかった。

 

 

「……俺は面識のある兵士を受け持つ。それでいいか?」

 

「あぁ、訓練内容は聞いている。一斑は演習メンバーで固めてくれ」

 

「了解した。……聞いての通りだ。付いてこい」

 

 

 ミザリィの声の下に数人集まる。どこか重苦しい空気を纏っていた。違和感を覚えた強慈郎はラスティへ耳打ちする。

 

 

「……訓練ってワードを聞いた瞬間、空気が一変したんだが何か知ってるか?」

 

「いや、適正ごとにチーム分けをして訓練をしたとしか聞いていない。部隊編成もほぼ構築されていたみたいだ。おかげですんなり班分けが出来たわけだが」

 

「そうか」

 

 

 強慈郎が不思議そうに観察する中、彼らはそれぞれの持ち場へと散っていった。

 

 数分もしないうちに、『ヴィーナス』でサポートをしているキャロルの声でアナウンスが入る。

 

「ライン接続完了しました。転移ゲート出力、次元湾曲を確認しました。イリシウム艦長、確認願います」

 

「こちらでも確認しました。転移ゲート、開きます」

 

 

 イリシウムがそう言い終えると同時に、前方の空間が割れる。その先には暗闇が渦巻いていた。

 

 

「オリオンまでの航路を開口を確認。ネレア艦長、侵入準備号令頼みます」

 

 

 イリシウムの声の後にネレアの声が響く。

 

 

「対湾曲反重力シールド展開。次元航行ブースター点火、スラスター、バーニア再度調整、ナビゲーションを再調整」

 

「シールド展開完了しました。ブースター点火、スラスター、バーニア共に異常無し。『ヴィーナス』、応答願う」

 

「……調整完了。通信確立確認しました。『ヴィーナス』、いつでも行けます」

 

 

 オペレーターの声にイリシウムが応えると、戦艦を青白い光の膜が球状に包み込み、徐々に加速していく。

 

 

「『ブラックジャックス』、『ヴィーナス』共に突入準備完了しました」

 

「了解。『ブラックジャックス』、突入開始せよ」

 

 

 ネレアの声と共に黒い大型戦艦は高速で空間を飛び抜けていく。そして、その後を追うように女神を乗せた戦艦も進む。

 

 

「『ヴィーナス』突入開始します」

 

 

 イリシウムの報告にキャロルが艦内アナウンスを掛ける。

 

 

「各班、衝撃に備えてください」

 

 

 直後、艦が大きく揺れ動き始める。それと同時にオペレーターたちの報告も入り始めた。

 

 

「艦体異常なし」「対湾曲反重力シールドの出力安定しています」「ゲート離脱まであと1分です」

 

「減速用スラスターをメインエンジンへ接続。モード反転、質量歪曲装置起動。次元航行ブースター、パージ」

 

 

 ネレアの声が響き渡る。

 

 

「重力装置解除確認。対湾曲反重力シールドと質量歪曲装置は次元航行の障害となるために、転移座標到着まで切り離します」

 

 

 イリシウムが答えると同時にオペレーターからの報告が入る。

 

 

「ゲート離脱まで残り10秒……9……8……」

 

 

 カウントダウンが始まり、緊張感が高まる中、ネレアはゆっくりと口を開いた。

 

 

「ゲート離脱まで残り5秒」

 

「4……3……2……」

 

 

 艦内は静寂に包まれ、誰もが息を吞んでいた。そしてついにその時が訪れる。

 

 

「……1……ゼロ!」

 

 

 その瞬間、辺り一面が眩い光に包まれたかと思うと一瞬で暗闇に包まれる。刹那の時間の中で意識を失う者も存在したが、すぐに全員が目を覚ました。

 

 

「転移完了しました」

 

 

 オペレーターの声が響くと皆安堵のため息をつく。だが、すぐに気を取り直すと状況把握を始めた。

 

 

「座標確認中……現在『オリオン』領宇宙ステーション近くに転移しました」

 

 

 ネレアがその報告に反応する。

 

 

「まずは予定通りのコースだな。確認急げ」

 

「了解。……確認しました。現在位置はステーションから758SiLほど離れた地点です」

 

 

 オペレーターの報告にネレアが指示を出す。

 

 

「よし、まずステーションに向かうとしよう。高速航行に切り替えろ」

 

「了解。随伴します」

 

 

 イリシウムの返事と共に艦は動き始めた。そして徐々に速度を上げながら目的地へと進んでいく。

 

 その間、ミザリィは強慈郎の隣に立ち、彼を見つめていた。彼はそれに気づくと彼女の方を見るがすぐに視線を前に戻す。彼女は少し残念そうな顔をすると、彼の服の裾をそっと摑んだ。

 

 

「どうした?」

 

 

 強慈郎が問いかけると、ミザリィは慌てた様子で手を離す。

 

 

「あ……いや、なんでもない……」

 

 

 彼女は顔を赤らめると、自分の席へ戻っていった。

 

 

「強慈郎……?ミザリィと何かありましたか?」

 

 

 ブリッジに戻ってきた強慈郎にイリシウムが話しかける。

 

 

「……別に?……何もないが?」

 

 

 彼は明らかに困惑した様子で返事をする。それに対してイリシウムは疑うような表情を浮かべた。

 

 

「嘘ですね。私が訓練で忙しかったのに、なんかいい雰囲気じゃないですか?しかも、あのネレアの弟にまで手を出して……」

 

 

 呆れ気味に言うと、他のクルーと談笑するラスティを見る。

 

 

「やめろよ、気色悪い」

 

 

 強慈郎が顔をしかめると、イリシウムはため息をついた。

 

 

「はぁ……こんなに魅力的で出来る女が近くにいるのにすぐ目移りして……」

 

 

 彼女が呆れていると、オペレーターの一人が声を上げる。

 

 

「艦長!『オリオン』から通信です!」

 

「む、なんて間の悪い……。交渉役に投げます」

 

 

 イリシウムが面倒くさそうに手を振ると、『ブラックジャックス』から応答が入る。

 

 

「君の無茶苦茶なやり方で回線を繋げないでほしいんだがね」

 

「貴方達の作法だと繋ぐまでに無駄な時間が多すぎます」

 

「……まぁいい。繋げ」

 

 

 すぐにネレアが指示を出し、画面に映像が表示される。そこには一人の男性が映っていた。彼は微笑みを浮かべながら口を開く。

 

「初めまして、トリリオンの皆さん。私はオリオン独立自治区、首長『スメラギ』です」

 

「『ブラックジャックス』艦長のネレアと、補佐役のMr.ケイだ。後ろに同行しているのは護衛艦だと思ってくれればいい」

 

「ネレア艦長、Mr.ケイ、護衛の皆さま。どうぞよろしくお願いします」

 

「単刀直入に言うが、この度の交渉に我々トリリオンが主体的に動くことに異論はないな?」

 

「ええ、勿論です。我々もあなた方のお力をお借りしたく思っております」

 

 

 彼女の言葉にオリオン首長『スメラギ』は満足そうに頷いた。彼は続けて口を開く。

 

「まずはこちらのステーションへお越しください。正確な座標をお送りいたします」

 

「了解した」

 

「では後ほどお待ちしておりますよ」

 

 

 スメラギが通信を切るとステーションの座標が届いた。ネレアたちはすぐに準備に取り掛かる。

 

 

「各艦に通達を。我々はこれよりステーションに向かう」

 

「了解!」

 

 

 オペレーターたちは慌ただしく動き始める。

 

 

「では、我々も準備しましょう」

 

 

 イリシウムが強慈郎たちに声を掛けると、彼らは頷き臨戦態勢を整えるべく準備を始めた。

 

 

 

 







新登場
・あんま重要じゃないからいいや



―――
それっぽいワードを書きたかっただけだよ
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