アンヘルス/アンラック   作:二次創作オンリー

2 / 2
前回とは視点が違います


不死対不完全(アンデットVSアンパーフェクト)

 今日も自殺した

 昨日も自殺して

 一昨日も自殺した

 死んで、

 死んで、

 死んで、

 

 狂ったかのように何度も身を投げ、毒を食らい、水に溺れた。

 

 そのほかにも知る限り、聞いた限り、見た限りの自殺を試みた。

 しかし何度、自殺を試みようが自分の体は日常は、何も変わらなかった。

 

 ()()()()と思ったことは憶えていない。

 

 ()()()()()()とは、思ったことすらない。

 

 それでもこの脳ではそれ以上、死ぬ方法を考えられなくて、ただひたすらに無意味な自壊を続けている。

 また再生した、もう慣れてしまったんだ、自殺する前は汚さないように服は脱ぐようにしている。

 

 今日も自殺に飽きて、何か気分転換したくて外に出かけた。

 すると、予想にもしなかった()()が現れた。

 

 「てめぇ、何モンだ?」

 

 「別に?どう思ってくれても構わない。ボクに悪影響はないからね

 ───ヴィクトール」

 

 アジトから出る途中、壊れた窓から白いメッシュのかかった茶髪の美少年が現れた。

 また癖の強い奴だ。

 こうゆう奴は十中八九ユニオン(あの組織)の手先だと決まってる。

 

 「おいお前、お前の上司に言っておけ。()()()()だ、ってな」

 

 ここは、俺の間合いだぜ

 左腕に日本刀を突き刺し、左腕の傷を高速で再生させる。

 その勢いで右腕に差した刀を抜く。

 

 ───紅三日月

 

 不死の超再生に押し出された居合は、的確に目の前の少年を切り裂く、はずだった。

 

 「いい居合だね。とても洗礼されている。不死である君とって()()と言える模範解答だ」

 

 ───でも、僕には効かない

 

 旋風のごとき居合は、直立する彼の少年の目前でからぶった。

 

 「もう無駄だ、君はその技を()()()()()()()()()()()()()()()()()

 次からは、さらに不格好になっていっちゃうよ?」

 

 なるほど、他者発動型の否定者(ひていしゃ)か。

 少なくとも、今のアイツの言葉を鵜呑みにするなら、いま()()が起きたのは俺の方だろう。

 

 そして範囲はおそらく《視界内》、《行動制限タイプ》の否定能力だ。

 一体何なんだ?『これまでの経験を否定する能力』、もしすべて俺の勘違いで『自己対象型』の能力なのだとしたら『自分の限界を否定する能力』、いやこれはないな、たとえ自分の身体能力の限界を失くし、無限に成長できたとして。その体格は子供の体格を維持することはできないはずだからだ。

 

 まぁ、そこを考えては切りがない。ここはとりあえず状況を進行させるべきだ。

 また刀を左腕に差し、居合の構えを取りながら、目の前の少年に問う

 

 「一応聞いておく、お前はどんな『否定者』だ?」

 

 答えは返ってこないだろう、本人にとってもただの戯れのようなものだった。

 

 「ん?ああ、もしかしてボクの否定能力について考えてたの?

 んもう、なんだよ。最初から聞けば答えてやったのになー」

 

 「んだと?」

 

 おかしい、否定者同士の戦いにおいて自分の持つ否定能力を知られることは敗北と同じといっても過言ではない。

 相手が()()()()()()()()()()()()()()を知れば、その()()ができるからだ。

 

 それについてもだが、何よりおかしいのはこいつの態度。

 まるで近所のおじさン家に遊びに来たような軽い雰囲気、しかしまぎれもない敵意を持っていることは確かだ。

 

 「そいつぁ、嘘じゃねぇのか?」

 

 「嘘じゃないよ。

 だってボク、嘘つけないし」

 

 嘘か本当かわかりにくい声だ、加えて本気で困っているようで、同時にあざ笑っているような。胡散臭い声

 

 「僕の能力は、不完全(アンパーフェクト)。他者の完全性を否定する能力。

 ついさっきボクは君のその()()()()()()()()()()()()()

 もう二度とその技は使えない、だからそんな構えを取っても無駄なんだ」

 

 「そうかよ、じゃあ、試してやるよ!!

 

 刀を振り抜く、感じている限りではいつもと同じ感触。

 速度も同じ、心の冴えも同じ、何らおかしな点などない。

 しかし、強いて言うならば、その一撃は長年刀を使ってきた俺にとって『納得』に値するものじゃなかったっとこか。

 

 記憶の彼方で刀の師匠が泣いている姿が見える、錯覚。

 

 また、当たらなかった。

 

 「ねぇ、だから無駄だって言ったんだよ。トンボが止まってるものに何故か当たれ ないように。

 君のその高速の居合も、なぜか、立ってるだけのボクには当たらない。」

 

 「チッ。それで、俺が簡単に捕まるとでも思ってんのかよ。

 一芸だけじゃないんだぜ!」

 

 人差し指を相手に向け、五本の指で拳銃をかたどる。

 

 「BANG!!

 

 原理としては『紅三日月』と同じ、人差し指の第一関節を高速で生え変わさせることによって高速で欠損した指を押し出す。

 

 しかしそれも不発に終わった。

 

 「首の皮一枚ならぬ、指の皮一枚繋がったってやつだ」

 

 「!!」

 

 生え変わりは順調に行われたはずだった。

 どういうことだ、こんなこと、今まで一度もなかったぞ。

 新しい指の生え変わった部分から古い皮がつながって旧い指がぶら下がっている。

 

 「いいのかなぁ、そんなに自分の主力技を封印しちゃってさ?」

 

 「てめぇ……」

 

 「ていうかそもそも、僕の目的は君の捕獲じゃないんだぜ?」

 

 「ぁあ!?じゃあ、いったい何のために」

 

 「そもそもボクは、一度も君に攻撃していないじゃないか。

 それなのに、急に攻撃してくるなんてきみ、常識ないんじゃない?」

 

 は、何をふざけたことを、そんなに純粋で邪悪な敵意を見せてくるのは、記憶の限りではてめぇが初めてだぜ。

 

 「まぁいい、どっちの道。お前は敵なんだろ?」

 

 「まぁ、そうなんだけどね」

 

 答え聞くとほぼ同時、俺は一目散に逃げだした。

 

 「えぇ、逃げるの?うわさで聞いたヴィクトールとは全然違うなぁ。

 恰好悪い」

 

 「はっ、あいにくと、俺は勝ちにはこだわらねぇ質なんでな!」

 

 あいつの目的はわからない、今のところ勝算もない。

 今は逃げるのが最善のはずだ。

 

 「アジト、変えなきゃだな」

 

 ちなみに、見た目通り基礎スペックは俺のほうが圧倒的に上らしく、簡単に逃げ切ることができた。

 

 ビルの上から迷子みたいに俺のことを聞いて回るアイツの姿は、俺を圧倒した否定者の姿とは思えないほど弱々しいガキのようで。

 

 「半端なガキだな」

 

 なぜか心が和んでしまって、無性に苛々した。

 

 「チッ、頭がいてぇ」

 

 カードを長く抜きすぎたな。早く戻さねえと何百年分の記憶が今の俺を吞み込んじまう。

 

 「って、アレ?」

 

 カードが、無ぇ...?

 落としたか?それとも、まさか、、

 

 「アイツ...!」

 

 盗まれたか。

 さっさと取り戻さねぇと、ちとやべぇかもな。




ふぅ、書ききった。
否定者同士のバトルって結構難しいな.......
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。