短編連載小説:十字架の上で狂人は嗤う   作:語部歯車

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第一話 舞い込む依頼

 

 とある建物の一角で、2人の男と女が、いつも通りの日常。舞い込んでくる依頼もなく、グダグダとソファーの上で怠惰を貪っている。俺は、探偵事務所グロリアを営んでいる早瀬 鳶寿(とうじ)。特段得意な事はなく、強いて言うなら多少の腕っぷしなら自身はあるが、それだけだ。顔は広いが、なぜかこれといって依頼が舞い込んでこないのが不思議でならない。

 

「「何で依頼が来ないんだ?」みたいな顔してるけど、あんなダサいウェブページ誰も見ないよ」

 

「ダサいとは、失礼な」

 

「いや、事実でしょ。今度、私が作るから黙ってて」

 

「おまe」

 

「何?」

 

「何でも無いです」

 

 この生意気な俺の相棒兼助手の早瀬 霊歌。数年前の依頼で、教会で監禁されており、親が亡くなっている事がわかり、養子縁組として俺の義理の娘ということになっている。といっても、俺は28歳で、こいつは17歳ぐらいなので、親子と言うほどの年の差はない。

 そんな会話をしながらグダグダしていると、事務所の電話の呼び鈴が鳴る。

 

「「!?」」

 

 すぐに、受話器を取り耳に当て、落ち着いて喋る。

 

「こちら、探偵事務所グロリア。どのようなお依頼事でしょうか?」

 

 良かった。噛まずとりあえず言えた。なるべく、ここで依頼を受けられるような物の類いであることを願うしかないな。

 

「先輩、お久しぶりですね。少し協力してほしい依頼があるのですが、できますか?」

 

 久しぶりに聞く声が受話器越しに聞こえてきた。声の主は、古巣 硫化(ふるす りゅうか)数年前の霊歌をうちで引き取るきっかけとなった依頼を持ち込んだ依頼人である。2年前に探偵事務所を開き、俺の事をそれ以来「先輩」と呼んでいる男だ。

 中性的な見た目と名前で、女性に間違えられる事が多いが、れっきとした男だ。それにしても、久しぶりだな、こいつが、俺に依頼を持ち込む何てな。

 

「別に問題ないぞ。で?どんな依頼なんだ?」

 

「詳しいお話は後日に話します。端的に言いますと学校内の学生の調査になります」

 

 珍しいタイプというか、普通はこんな依頼はありえない。なんなら、一発で警察のお世話になりかねない依頼だ。少し慎重に動いた方がいいかもな。

 

「依頼人だれだ?」

 

「依頼人は、依頼を求めている学校の理事長ですね。学校の生徒間で、新手のドラッグが出回っている可能性があり、真実の有無と、実際にドラッグが出回っている際には、どのような経路で、ドラッグが出回っているのか調査をしてほしいそうです」

 

 なんだその依頼?!警察案件じゃねえか。真偽の有無がわからないから、依頼してきているわけだが、それにしたってだいぶ無茶振りな依頼だな。まあ、つっても世の中そんな依頼ばかりだがな。

 

「最近暇だったしな。その依頼を受けてやる。で?いつ詳細は聞かせてくれるんだ?」

 

「明日の横浜の中華街の店でどうでしょう?そこで、依頼人と最終確認をするんです」

 

「こっからバイクで45分ってとこか。わかった。じゃあ明日な」

 

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