スカーレットに髪を切られた翌日、俺は若干の憂鬱な気分で学校に向かっていた。
「ハァ…頭に違和感が……」
何時ものボサボサの頭では無いため風か吹く度にすーすーとした感覚に思わずため息を漏らす。
「お、イッセー見っけ」
登校しているイッセーを見かけ駆け寄り声をかける。
「おはよう…イッセー」
「ん…あぁ、おはよう海ど……」
振り返りイッセーが俺の名前を呼ぼうとするが振り返ると同時に何故か固まっていた…。
「イッセーどうした?」
「お…」
「お…?」
「お前…誰だよ?」
はぁ…?いきなりどうしたんだイッセー奴…
いきなり意味のわからない事を言うイッセーに首を傾げながらもイッセーに疑問を投げ掛ける。
「何を言ってんだ?俺は海道 遼だ…何を言ってんだイッセー?」
「嘘だ!俺の知ってる海道は、そんなクール系なイケメン面をした奴じゃない!!」
ズビシッと音をたてそうなくらいに指をこちらに指してくるイッセー。
「おい…」
「アイツは髪がボサボサしてて何時もぶっきら…ブホォ!!!」
人の話を聞かないイッセーの頭に拳を振り落とせば変な声を上げればその場にうずくまる。
「たく…馬鹿を言ってないでさっさと行くぞ…」
「畜生…世の中は理不尽だ…」
何かイッセーが背後でブツブツ行っているようだが気にしないでおこう……。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あれから放課後になった…クラスの女子達から話し掛けられたり、松田と元浜にもげろと言われたり……本当に疲れた…あいつら…一体何なんだよ…。
「「「「………」」」」
「あんたらもかよ…」
部室に訪れた俺に皆唖然とした表情をしていた……イッセーお前も頷いてんじゃねぇ…!
イッセー達が依頼人達の元へ行っている間…俺は部室の掃除をしていた。
「姫島先輩、終わりました」
「お疲れ様です海道くん」
姫島先輩が微笑みながら掃除を完了した俺に労いの言葉をかけてくれた。
「気にしないでください…契約を取れない俺がせめてものできる事だけですし」
そう言いながら俺は掃除道具を片付けながら会話をしていると。
「「「「!!!!」」」」
俺を除いた皆が何かに反応したのか顔が強張っていた。
「部長…これは…」
「えぇ…朱乃、急いで魔方陣を出してちょうだい!」
「はい、部長」
リアス部長は姫島先輩、木場、塔城さんに指示を出し魔方陣を展開させ全員が中に入る。
「ごめんなさい、遼…貴方は帰っても良いわ…」
「……了解しました」
リアス部長達が消えていった後にスカーレットから念話が入る。
『遼…』
「何だ、スカーレットまたはぐれ悪魔か?」
『いえ…貴方のお友達がピンチよ…』
「つまり…今のはイッセー絡みか…」
『えぇ…そうよ』
「スカーレット転移を頼めるか?」
『止めておいた方が良いわ、周囲に堕天使の反応が複数あるわ』
「しかし…!」
『今、グレモリー達がイッセーを回収してこちらに戻っているわ…貴方は、部長に言われた通り帰りなさい』
今は何も出来ないか…俺は静かに呟きながら部室を後にした…。
「何度言ったらわかるの!」
翌日部活へと顔を出す為、扉を開こうとした俺の耳にリアス部長のどなり声が聞こえた。
「でも彼女は友達なんです!見捨てる事なんて俺には出来ません!」
どうやら昨日の出来事に関係があるらしく怒鳴る部長に食い下がるイッセーの声が聞こえる。
「そう言える貴方は素晴らしいと思うわ…でもね、あなたが考えているより悪魔と堕天使の因縁は深いの…それこそ何千年前から続いているわ…それにあなたが行動を起こせばグレモリー眷属全員に迷惑がかかるのよ」
暫く沈黙が続きイッセーの低い声が聞こえる。
「わかりました…」
「そう、それは良かったわ…彼女には可哀想だけど今回はなにもできないわ」
先程の声にくらべ安堵したのか優しい声色にかわっていた。
「なら…俺は…はぐれ悪魔になります…そうすれば部長たちに迷惑がかかりません!」
「「「「な!?」」」」
全員の驚きの声が重なり聞こえる…イッセー中々言うようになったな…そろそろ入るか…。
「そんな事ゆるさないわ!お願いイッセー言うことを聞いてちょうだい!」
「じゃあ…どうすれば良いんですか!アーシアを救うにはこれしか!」
アーシア…だと……アルジェントさん……。
『あ、あの…また…会えますよね?』
『ああ…勿論だ…』
『約束ですよ!』
堕天使…今度は…イッセーだけでなく…アルジェントさんを……まただ…イッセーが殺された時のような黒い何かが…へばりつくような……。
『スカーレット…』
『どうしたの?遼…?』
『知っているだろ…?アルジェントさんの居場所を…』
『遼…彼女は…協会側の人間よ…下手をすれば…』
『俺は…教えろと言っている…』
『……わかったわ…』
そうか…あの教会か…アルジェントさん、待っていろ…必ず助ける!
俺は踵を返し教会へと向かった……。
イッセー side
部長と何時までも進まない、話を繰り返していると朱乃先輩が現れ部長に耳打ちをしていた。
「……そう、わかった…直ぐにいくわ」
そう言って部長が朱乃先輩とどこかへ行こうとする。
「部長!話はまだ…!」
「イッセーあなたに言っておく事があるわ…」
引き止めようとする俺に部長は振り返らずに話をしてくる。
「あなたは"兵士"を弱い駒と考えているわね?でも…それは間違いよ?悪魔の駒にもチェス同様にプロモーションがあるわ」
「プロモーション…」
「それと神器の事だけど…強く想いなさい…それが神器の力となるわ…」
想い…神器は所有者の想いで強くなる…
それだけ伝えた部長は、朱乃先輩とどこかへ出掛けた。
「よし!」
俺は気合いを入れ部屋を出ようとするがそこで声をかけられた。
「行くのかい?兵藤くん…」
「あぁ勿論だ…例え俺は一人でも行くさ…折角部長からお許しが出たからな」
「ふふ…気付いたんだね、それなら僕も行くよ…部長から君をフォローするように頼まれたからね」
「ありがとう木場」
微笑む木場の言葉に俺は嬉しく思い笑みを返していると小猫ちゃんがソファーから立ち上がり。
「…私も行きます…二人じゃあ危険です、人数は多い方が良いと思うので…」
「小猫ちゃん…ありがとう」
この場にいないが海道に力を貸して貰いたいが…これはあくまでも、俺の問題だ…巻き込む訳にはいかないしな…。
「よし、行くぞ!」
「うん!」
「…わかりました!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺達は教会の前へとたどり着いた俺達は、教会の近くにある茂みで話をしていた。
「で…どうやって入る…?」
「ここはやはり正面から行くべきじゃないかな?」
「そうだな…それでいこう!」
扉付近までくると俺は異変を感じ取る…。
「扉が吹き飛んでいる…?」
「これは…さっき壊したようだね…」
「…一体誰が…」
「まあ…良い…このまま一気に行くぜ!」
俺達は聖堂までは、誰にも遭遇しなかったが…聖堂の奥から銃声と轟音が響く。
「な、何だ…?」
「気をつけて兵藤くん、あの神父の気配が…」
「わかった!」
俺達は聖堂の奥にたどり着くと信じられない光景が広がっていた。
「ぐ…ガハァ…ちょ、ちょっと…コイツマジチート…すぎっしょ…」
案の定神父…フリードがいた…しかし奴は、全身傷だらけで口から血を吐き出し何者かに片手で頭を鷲掴みにし持ち上げていた。
「くく…これで終わりかよ…神父さんよぉ…」
崩れた壁から射し込む月明かりがフリードを掴み上げる何者かを照らし姿を見せる。
「海…道…」
そこには、残酷な笑みを浮かべる友人の姿があった。
イッセー side end