玄界に帰ってきた少年は少々特殊なようで… 改   作:W297

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敷谷翔哉①

 

「…よっと!」

 

 俺は門の中から地面へと降り立つ。

 

「…やっと帰ってこれたな」

 

 俺は慣れ親しんだ三門の街を見てそう呟く。

 

 …まずは、俺の実家に帰るとしよう。

 

「…ここってことは、家まで歩いて行けるな」

 

 俺はそう呟きながら、歩いていく。

 

「…っていうか、あのでっかい建物なんだ?

 

 っていうか電灯もついてねえし。

 

 この2年で変わったな…」

 

 俺は視界に入ってくる大きな長方形の建物を見てそう呟く。

 

 …というか、だ。

 

「…いくら夜とはいえ、人少なすぎないか…?」

 

 …今、何時かは分からないが、そばにある家からは人の気配は全くしない。

 

「…まあ、トリオン兵にあれだけ蹂躙されたら、この町出ていく人も多いか…」

 

 俺はトリオン兵の攻撃によって破壊された家を見て呟く。

 

 …あれから2年。回復しきれてないところもまああるか。

 

「…もうちょいだな」

 

 見慣れた道に辿り着き、そう呟いた俺は、家への帰り道を進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ついた」

 

 ほぼ瓦礫の山と化している家の前に辿り着き、俺はそうつぶやく。

 

「ただいま、2年ぶりだね」

 

 そう呟きながら俺は家の敷地へとはいっていく。

 

 

 

「…ブレイクツール、アックスモード」

 

 

 

 俺は腰に携えていたブレイクツールを取り出し、崩れた家の中に入っていく。

 

 家は崩れているが、その中は俺が攫われた日と何も変わっていなかった。

 

「…父さん、母さん。

 

 俺、帰ってこれたよ…。

 

 いるなら返事してよ…」

 

 そう呟いて、俺は家の中を探していく。

 

 …だが、俺の希望は早々に潰れてしまうことになる。

 

「…やっぱりか」

 

 俺が進んでいった先、リビングににあったのは二つの大きな血痕。

 

 おそらく父さんと母さんのものだろう。

 

 俺はすぐに両膝を突く。

 

「…ごめん、俺だけ助かって…。

 

 2人の分、思いっきり長生きするからさ、天国から見届けて…」

 

 俺の目からは大粒の涙がこぼれている。

 

 …覚悟はしていた。

 

 俺が攫われたってことは、俺の家はトリオン兵に襲われた。

 

 そうなっているのであれば、トリオンが多くなければ少なくとも生きているわけがない。

 

 レフォース、ポケトリア、この二つの国で若干諦めながら思っていた2人の安否。

 

 …だけど、これぐらいで泣くわけにはいかない。

 

 俺の寿命は億単位…、人間の寿命に比較したら長すぎる。

 

 出会い別れ…、何回でも経験していくはずだ。

 

 アルセウス様に話せばいくらでもしてくれると思うが、あんまり頼りすぎるのも良くないだろうし。

 

「…とりあえず、離れるかここ」

 

 そう話して俺は家の外へと出ていく。

 

 そして俺は入り口の前で改めて座り込んで手を合わせる。

 

「…今までありがとう。

 

 どうか安らかに…」

 

 俺はそう呟いて目を閉じて祈る。

 

 そして、立ち上がった俺は崩れたブロック塀に腰を掛ける。

 

「…にしても、これからどうしようか…」

 

 …第一目標は玄界との協力関係を結ぶこと。

 

 それをしないことにはせっかくアルセウス様が送り出してくれた意味がない。

 

 …だが、総理大臣とか、そのあたりとこっちだと一般人の俺が協定を結ぶことは不可能に近い。

 

 この三門以外で被害があるのかどうかは不明だが、首相官邸に行ったところで警備員に門前払いされるのがオチだ。

 

「まあ、新トリガーもあるし潜入はできるか…」

 

 そう思っていると、俺の耳に足跡と声が聞こえてくる。

 

 聞いている限り、俺と同じくらいの年代の奴が2人か。

 

「…貴様、ここでなにをしている?」

 

 黒い髪と険しい顔つきをした少年、そしてそれに着いて来たのであろう額にカチューシャをつけた少年が俺にそう話してくる。

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